継続雇用制度21(日本郵便事件)

おはようございます。

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さて、今日は、高齢再雇用社員として期間満了後、期間雇用社員として雇用契約が継続されることに合理的な期待はないとされた裁判例を見てみましょう。

日本郵便事件(東京地裁平成26年6月2日・労経速2218号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と雇用契約を締結し、定年後、Y社の高齢再雇用社員として採用され、その後同社員としては雇用契約期間が満了して退職扱いとされ、かつ、期間雇用社員(その中の時給制契約社員)として不採用となったXが、上記不採用とされたことは違法無効なものであってY社との間に期間雇用社員としての雇用契約関係は継続していたと主張して、Y社に対し、賃金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件は、60歳に達したことにより定年となり、さらに64歳に達したことにより高齢再雇用制度による雇用契約期間が満了したXにおいて、さらに、期間雇用社員の時給制契約社員として1年間雇用契約が継続されることの期待について合理性があるかどうかが問題となる(XとY社間の有期労働契約が更新されることなく打ち切られたという観点からすれば、本件は雇止めの問題ともいえるが、高齢再雇用社員と期間雇用社員の契約類型が異なることを重視すれば、本件がそもそもいわゆる雇止め法理の適用が検討されるべき事案なのか疑問がないではない本件について雇止め法理の適用を考え得ないとすれば、雇用契約関係の継続を前提とするXの本件賃金請求は合理的期待の有無を検討するまでもなく主張自体失当ということになる。)。

2 Y社における高齢再雇用社員と期間雇用社員を比較すると、就業規則が別に定められ、その就業規則の内容について検討しても、社員の種類、雇用契約期間、契約更新条件等において大きく異なっていることが認められる。そして、Xにおいて反復継続された雇用契約は高齢再雇用社員としての雇用契約であって期間雇用社員としての契約更新手続ではないこと、高齢再雇用社員としての契約更新手続においても「郵便局株式会社高齢再雇用社員雇入労働条件通知書」が作成され、契約期間も明記された厳格な手続によるものであったこと、期間雇用社員の採用については、「会社は、会社に入社を希望する者の中から選考により社員を採用する。」とされていることなどからすれば、Xが、高齢再雇用社員としての雇用契約が反復継続されたことから本件雇用契約の継続について期待したとしても、雇用形態等が多くの点で異なる期間雇用社員として採用されることの期待については合理性があるとは認め難い

通常の有期雇用契約における雇止めの問題とは異なります。

高齢再雇用社員と期間雇用社員との間に労働条件に大きな違いがあることを理由にXの雇用契約継続に関する期待を保護しませんでした。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。