不当労働行為148(生コン製販会社経営者ら(会社分割)事件)

おはようございます。

今日は、会社分割後の事業閉鎖を理由とする組合員の解雇と損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

生コン製販会社経営者ら(会社分割)事件(大阪高裁平成27年12月11日・労判1135号29頁)

【事案の概要】

本件は、X組合とその組合員らが、本件組合壊滅を目的とした会社分割とその後の事業閉鎖で組合員らが実質的に解雇されたとして、分割前会社であるY社の元代表取締役であるA、新設会社であるZ社代表取締役B、会社分割を進めた司法書士Cらに対し、会社法ないし不法行為による損害賠償を請求する一方、Aとその妻であるDが、本件組合・組合員らによる自宅付近での街宣などの差止め、損害賠償を請求した事案である。

一審は、Bの責任を認めた一方で、その他の被告の責任は認めなかった。

【裁判所の判断】

原判決中、Cに関する部分を取り消す。

Cは、組合員らに対し、合計約850万円を支払え

【判例のポイント】

1 会社分割の方法を用いることにより本件会社から本件組合の組合員を排除するとの方法を発案することは、会社分割に関する相当な法的知識を有する者でなければできないことであるところ、Aの周辺にそのような法的知識を有するものは、C司法書士以外に見あたらない(Aは、インターネットや本で調べた上で債権者と相談したが、C司法書士に相談したことはない旨供述するにとどまり、具体的な債権者名等については、供述を拒んでいる。)。
加えて、本件会社の分割は、Aにとって非常に重要なことであるにもかかわらず、あえて上記の組合員排除という目的をC司法書士に秘匿したまま、登記手続を依頼し、かつ前記のような質問を発するというのも、不自然不合理であるといわざるを得ない。

2 A、C司法書士及びBは、共謀の上、本件会社の事業のうち製造部門をZ社(会社分割における新設会社)に承継させ、本件組合の組合員である本件従業員らが所属する輸送部門を分割会社である本件会社に残すという会社分割をし、その後、分割後の本件会社の事業を閉鎖することにより、本件会社から本件組合の組合員である本件従業員らを排除することを企て、A及びC司法書士において上記のとおり本件会社分割を行い、その後、Aにおいて分割後の本件会社の事業を閉鎖したことが認められる。
上記によれば、A、C司法書士及びBは、共同して本件従業員ら及び本件組合の権利を故意に侵害したものであり、それは民法719条1項の共同不法行為に当たるというべきである。

濫用的会社分割により組合員を排除したと認定されています。

今回のスキームを考えたのが司法書士と認定され、共同不法行為に該当するとされています。