不当労働行為76(中ノ郷信用組合事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

さて、今日は異なる労組に二重加入している組合員に関する団交申入れと団交応諾義務に関する命令を見てみましょう。

中ノ郷信用組合事件(中労委平成25年7月17日・労判1075号93頁)

【事案の概要】

Y社は、Aの懲戒処分等を議題とするX組合からの団交申入れに対し、Aが2つの労働組合に二重加入していることを理由に団交を拒否した。

【労働委員会の命令】

労働組合の二重加入を理由として、組合の申し入れた団交を拒否したことは不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 労働者が組織を異にする二つの労働組合に二重に加入している場合、使用者が、当該労働者の労働条件等に関する同一の事項について各労働組合から別々に団交が申し入れられたときに両労働組合の間でまでは調整を求める等を理由に団交を拒否することは認められうる

2 しかし、本件においては、Y社は、職員組合から、Aの本件懲戒処分等を議題とする団交と同様の要求は受けておらず、その他Aの労働条件についての団交の申入れも受けていなかった。その上、職員組合は非組合員であるAの本件懲戒処分ないしは労働条件等を議題としてY社と団交を行う意思を有していたとは認められない。そして、職員組合にAの本件懲戒処分等に関してY社に団交の申し入れをするようなことを窺わせる具体的な事情も認められないことを踏まえると、Y社は、7月15日付け拒否回答の時点において、AがX組合と職員組合に二重加入の状態であったとしても、職員組合はAの懲戒処分等について団交を行う意思がないことは容易に認識でき、職員組合から二重の交渉を求められないことも認識していたと認められる。

3 したがって、Y社は、X組合と職員組合から同一の事項につき別々の団交を申し入れられた事実はなく、加えて二重の交渉を求められないことも認識していたのであるから、Y社がX組合からの7.2団交申入れに応じられない正当な理由があるとは認められない

押さえておくべきなのは、判例のポイント1ですね。

二重加入の事実のみを理由として団交拒否をすれば、不当労働行為に該当するのは明らかです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。