不当労働行為98(富山通運事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう!

今日は、就労不依頼と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

富山通運事件(富山県労委平成26年8月5日・労判1097号92頁)

【事案の概要】

Y社は、日々雇用のアルバイトである組合員5名に仕事を依頼しなくなったことをきっかけに、組合はY社に対し、団体交渉を申し入れた。

当初、Y社は団体交渉に応じていたが、団体交渉で議論が出尽くしたことを理由に組合の主張する解雇に関する団交には応じない旨の回答をした。

【労働委員会の判断】

いずれも不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 日々雇用のアルバイトの場合、解雇に関する法理を類推適用することはできないし、就労実態からすれば、雇用関係の継続がある程度期待されていたとも認められない以上、契約関係の終了を制限すべき理由もない
よって、Y社がAら5名を解雇したとの組合の主張は認められない。

2 平成24年12月4日の第1回団体交渉において、組合と会社でAら5名に対する就労依頼がないことが「解雇」か否か、双方が自らの立場を主張しあい平行線であったことが認められる。
Y社は、その後の団体交渉を拒否したものの、組合が申請した当委員会のあっせんを受諾し、あっせんの場において2度、あっせん員を通じて話し合いが行われ、第1回の団体交渉と同じく、「解雇」か否かについて組合と会社がそれぞれの立場を主張し、結局話し合いは平行線のまま合意に至らず、あっせんが不調と終わった経緯がある。
このような一連の経緯からすれば、Y社は、当委員会のあっせんを受諾したことによって、事実上団体交渉を継続したといえること、また、2度のあっせんでも組合とY社の主張が合意に達する余地は全くなく不調に終わったことからすれば、交渉の行き詰まりに到達したと認められる
よって、Y社の対応は、団体交渉を拒否したとは認められず、また、誠実交渉義務に違反したともいえない。

交渉が平行線のまま行き詰まりに到達したか否かは評価の問題ですが、その判断は言うほど簡単ではありません。

会社側があまりにも早期に行き詰まったと判断し、交渉を打ち切ると、不当労働行為にあたる団交拒否と判断される可能性がありますので注意が必要です。