Monthly Archives: 2月 2015

不当労働行為104(小城新生興業社事件)

おはようございます。

今日は、賃上げの団交において回答の根拠となる売上高および人件費を含めた経費の内訳を提示しない会社の対応と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

小城新生興業社事件(佐賀県労委平成26年10月20日・労判1101号171頁)

【事案の概要】

本件は、X組合が、賃金引上げ要求事項を議題とする団交において、Y社が、貸借対照表や損益計算書、もしくはそれに類似する資料の開示を拒否したことが不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

将来の労使関係安定を考慮して誠実な団交の応諾を命ずるに当たり条件を付した

【命令のポイント】

1 Y社は回答について具体的根拠を示した説明をしておらず、Y社が提示した資料からは会社の経費に占める人件費の割合やその内容が全く読み取れないのであるから、このような状況の中で、組合が自己の要求額や会社回答の妥当性を判断するために会社の財務資料の提示を求めたことには、一定の理由があるというべきである。したがって、Y社は、組合との交渉に必要な範囲内において、賃上げ額の説明に必要な具体的数値、例えば売上高や人件費を示すべきであったといえる。

2 ただし、組合発行の機関紙の表現や団交の経過を見ると、組合と会社間の相互不信は根強く、正常な労使関係が構築できない現状を鑑みると同時に、労使関係の将来における安定のためという救済命令の目的を踏まえ、特に条件を付すものである。

3 なお、組合は、貸借対照表や損益計算書、もしくはそれに類似する資料を求めているが、主文の範囲の救済(当事者間で提示方法等について協議し、合意することを条件とする。)を命令することによって、救済の実をあげうるものと判断する。

救済命令に条件を付した例として参考になります。

会社として、財務資料の提示を躊躇することはよくあることです。

もっとも、団体交渉の際に、必要な資料の提示を拒むと、不誠実団交とされますので、注意しましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介405 捨てるべき40の「悪い」習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
1つずつ自分を変えていく 捨てるべき40の「悪い」習慣

午堂さんの本です。

お金に関する本が多いですが、今回の本は、自分を変えるために必要な「悪い習慣」について取り上げています。

習慣の重要性を理解するにはいい本だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『経営者は孤独』と言われる理由の1つは、彼らがたいてい一人で考え一人で決断するからです。その強さが、すべてを自己責任として引き受け、周囲がどうあろうと自分の目的を達成しようとする原動力となります。会社が成功している社長ほど、一人で考える時間を確保します。急成長する若い会社でひずみが発生しやすいのは、多忙すぎて社長が一人で考え抜く時間が確保できなくなるからではないでしょうか。」(53頁)

何かを考えたり、決断したりする場合には、一人で静かに過ごす時間が必要です。

多忙すぎて一人で考え抜く時間を確保できなくなると、適切な判断ができなくなるのはそのとおりだと思います。

もっとも、時間はつくるものですから、どれだけ忙しくても、一人で考える時間をつくることは可能です。

まずは、一人になる時間の重要性を理解し、その時間を確保する意識をもつことが大切なのではないでしょうか。

私は、朝型なので、毎朝、一番に事務所に来ます。

私にとっての一人で考える時間は、この朝の3~4時間なのです。

他の弁護士やスタッフが出社するまでの時間がゴールデンタイムですね。

「人が休んでいるときに猛烈に働く」というのが私のモットーです。

不当労働行為103(リコー(出向)事件)

おはようございます。

今日は、代理人弁護士を交渉担当者とする団交でなければ応じられないとする会社の対応と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

リコー(出向)事件(中労委平成26年10月15日・労判1101号173頁)

【事案の概要】

本件は、X組合が、平成25年、Y社に対し、当時会社からB社へ出向していたA組合員の復帰等を交渉事項とする団交を申し入れたところ、Y社がこれを無視し、回答しなかったことは不当労働行為に該当する旨主張し、大阪府労委に対し救済を申し立てた事案である。

【労働委員会の判断】

代理人弁護士を交渉担当者とする団交でなければ応じられないとした会社の対応は不当労働行為には該当しない

【命令のポイント】

1 代理人による再三にわたる説得にもかかわらず、4.18団交後も、代理人を団交における窓口及び交渉担当者として認めないという従前と同様の主張に固執し、これを譲る姿勢を全くみせない組合の態度に照らせば、本件団交申入れ当時、このまま交渉担当者の問題について解決せずに組合との間で団交を行っても、4.18団交と同様、組合が弁護士を会社側交渉担当者として認めないという自己の見解に固執し、交渉事項について実質的な交渉をすることができない可能性が高かったということができる。

2 代理人による5.10回答は、こうした状況の下で行われたものであり、その回答内容も考慮すると、その趣旨は、弁護士が交渉担当者として出席することを認めないという組合の主張には応じられないとしつつも、4.18団交と同様の事態が生ずるのを回避し、正常な団交を行うべく、本件団交申入れを応諾する前提として、本来労使間で合意の上取り決めるべき団交ルールの一つである交渉担当者の問題についてあっせん手続において話し合い、交渉担当者の問題が解決した後に団交を行うことを提案したものと解するのが相当であり、これをもって団交を拒否したものと認めることはできない

3 したがって、本件団交申入れに対するY社の対応は、正当な理由のない団交拒否であるとは認められず、労組法7条2号の不当労働行為には該当しない。

団体交渉の場に弁護士が代理人として参加することはよくあることです。

代理人弁護士が交渉担当者となることを組合が拒否した場合には、是非、この事案を参考にしてください。

本の紹介404 アンソニー・ロビンズの自分を磨く(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
アンソニー・ロビンズの自分を磨く (単行本)

アンソニー・ロビンズさんの本は以前にも紹介したことがあります。

自己啓発のど真ん中をいくような本です。

人生をより豊かに生きるために何を大切にすべきかが説かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

困難な問題の解決には、超人的な行動が必要だという考えほど、事実とかけ離れた考えはない。人生は積み重ねだ。・・・人生の成功や失敗は、大地を揺さぶるような大変動や大英断の結果のように見えることもあるが、決してそうではない。それどころか、成功も失敗も、あなたの毎日の小さな決断と行動の結果なのである。」(348頁)

力強い炎も、小さな火花から始まる -ダンテ」(348頁)

成功者の多くは、「成功も失敗も、あなたの毎日の小さな決断と行動の結果なのである」ということをよく理解しています。

毎日毎日、自分の目標を達成するために必要な決断と行動を繰り返す。

成功する方法は、もうわかっているわけです。

あとはこれを続けられるかどうか、だけです。

そういう意味では、成功することは本当に簡単なことです。

どうすれば成功するかわかっているわけですから。

人が寝ているとき、休んでいるときに、必要な準備をする。 それを毎日続ける。

日々の小さな習慣を変えることによって、人生は大きく変わり始めると思っています。

解雇163(A住宅福祉協会事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、協会の名誉を毀損したこと等を理由とする懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

A住宅福祉協会事件(東京高裁平成26年7月10日・労判1101号51頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の職員として稼働していたXが、Y社から懲戒解雇されたところ(なお、Y社は、当審において予備的に普通解雇の主張を追加した。)、解雇無効を主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、Y社に対し、解雇後の未払月額賃金及び未払賞与の支払を求める事案である。

原審は、Y社の主張する事実は懲戒解雇の事由に当たらず、また、手続の相当性も欠いているとして、Y社のした解雇は無効であるとし、Xの本件請求について、地位確認を求める請求を認容した。

この原判決に対し、Y社のみが敗訴部分の取消を求めて控訴した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Y社の当審における新たな主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下すべきか否かについて検討する。上記のとおり、人事異動命令の拒否など当審で新たに主張した3つの解雇事由は、Xに対する解雇通知に明文で掲げられていたものであるから、これを原審で主張せずに当審になって主張したことは、攻撃防御方法の提出として時機に後れていることが明らかである。そして、原審においてこれらの解雇事由についての主張及び立証をすることが、不可能あるいは困難であったとする事情は何らうかがうことができないことに加え、原審におけるY社の訴訟追行が弁護士である訴訟代理人によってされていたことも考慮すると、当審においてY社の訴訟代理人が変わり、訴訟追行の方針等に変更があったことを考慮したとしても、当審に至って新たな主張をすることが時機に後れたことについては、故意又は重大な過失があるというべきである。

2 ・・・当審において新主張についての当否を判断するについては、従前の双方の主張や証拠調べの結果だけでは訴訟資料が不足していることが明白であり、当事者双方の主張立証を尽くさせる必要があり(少なくともXがこれを争っている以上、X本人の尋問の実施は必須であるし、併せてY社関係者の尋問が必要となることが想定される。)、その主張整理や証拠調べには、なお相当の時間を要するとみられるから、訴訟の完結が大幅に遅延するものというべきである

3 なお、念のため付言しておくと、仮に上記各解雇事由に関するY社の主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下しなかった場合には、これまでの当事者双方の主張立証を前提とする本件証拠によっては、Y社主張の各解雇事由がXにあるとは認めるに足りないから、上記各事由による懲戒解雇をいうY社の主張を採用することはできないと判断することになる。

控訴審で新たな解雇事由を追加すると、本件のように、時機に後れた攻撃防御方法だと言われてしまいます。

一審のうちに、もっと言えば、一審の早い段階で解雇事由を固めておく必要がありますので、注意しましょう。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介403 シュガーマンのマーケティング30の法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
シュガーマンのマーケティング30の法則  お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは

ザ・マーケティングという内容の本です。

マーケティングとはどのように考えることなのかがよくわかります。

マーケティングが好きな方にはもってこいの本ですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

買いたいと感覚的に思っているお客にも、買い物が理にかなったものだという論理的な保証が必要だということだ。誰もがバカな買い物はしたくない。・・・誰もが自分の買い物には論理的根拠があり、正当化できるものだと確信したいのだ。あなたの役目は、論理を提供することだ。買い物をする理由と正当性を与えてあげなければならない。」(109頁)

この抽象的な文章に、自分の業務をあてはめてみると、何をすべきかが見えてきませんか?

みんな買い物で後悔したくないのです。

買いたいという気持ちはあるけれど、本当にこれを買って、あとで後悔しないか・・・と考えているのです。

売る側は、「大丈夫ですよ。」のあとにくる「なぜなら・・・」を論理的に説明することが大切です。

さまざまな業種の売り方を、このような視点で見ると、本当に勉強になります。

すべては買い手の「不安」や「後悔」を取り除くための工夫なのだとわかります。

不当労働行為102(ジェイウェーブほか1社事件)

おはようございます。

今日は、就労拒否等と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

ジェイウェーブほか1社事件(大阪府平成26年9月29日・労判1099号92頁)

【事案の概要】

本件は、①Y社が、組合員Cの就労復帰を認めなかったこと、②Y社及びA社が、組合員Bに対して、組合加入後、就労日数を減少させたこと、③Y社が、組合加入後、Bに専属車両を割り当てなくなったことなどが、それぞれ不当労働行為であると申し立てられた事案である。

【労働委員会の判断】

①A社は組合員の労組法上の使用者といえないので、A社に対する救済申立は棄却

②体調不良により休業したCの就労復帰を認めなかったY社の対応は不当労働行為にあたらない

③組合加入に加入したBの就労日数を減少させたことは不当労働行為にあたる

④専属のミキサー車を割り当てられていたBに、組合加入後専属車両を割り当てなくなったことは不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】(上記①及び④のみピックアップ)

1 A社代表者が、両組合員の基本的な労働条件について雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定できる地位にあったとみることはできず、この点に関する組合の主張は認められない。
①Y社とA社は別個の法人格を持ち、本店所在地や代表者等が異なっており、近畿運輸局からの一般貨物運送事業の許可も別個に取得していること、②Y社a営業所とA社車庫は同一敷地内にあるが、それぞれの駐車場所は区別されており、また、それぞれのミキサー車も外形的にもはっきり別個のものと区別される状態であったこと、③当該敷地の賃貸借契約も別個に締結されていること、が認められ、それぞれが独立した法人として活動しているとみることができる
以上のとおりであるので、A社は、C組合員及びB組合員の労組法上の使用者であるとはいえず、A社に係る申立ては、その余について判断するまでもなく、これを棄却する

2 平成24年2月、3月及び6月においても、B組合員の乗務する車両は変動しているうえ、①Y社がB組合員に車番5の車両を割り当てなくなったのには、塗装のやり直しをするためという理由があったこと、②車番5の車両を、その後、同組合員に割り当てなかったのは同組合員がメンテナンスを怠っていたことが一因であると陳述されていること、③Y社においては、1台の車両を専属として決められている運転手はほとんどいなかったこと、が認められ、これらのことからすれば、Y社が同年8月から10月半ばまでの2か月余りの間、B組合員を特定の車両に割り当てなかったことには一定の理由があるといえ、他の運転手と比べて、B組合員が特別不利益に扱われているとまで認めることはできない
したがって、この点に係る組合の主張は採用できず、組合の申立ては棄却する。

上記命令のポイント1は、労組法上の使用者性に関する認定をしています。

組合員に対する対応が不当労働行為にはあたらないというためには、非組合員との比較をした際、とりたてて組合員ということを理由として不利益な取扱いをしているわけではないことを丁寧に主張する必要があります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介402 あなたの財布に奇跡が起こるお金の習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
あなたの財布に奇跡が起こるお金の習慣

著者は、コンサルティング会社の社長です。

お金持ちの教科書」の著者ですね。

タイトルは、ちょっとあれですけど、本の内容は参考になります。

日頃からお金持ちと接している著者が、お金持ちの特徴を書いています。

お金をもうける裏技的な話は一切書かれていません。

非常に地道であり、王道を行く内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

お金の使い方が上手な人にはある。それはお金を払った相手に対して、必要以上に期待しないというものである。・・・相手への不満のほとんどは、相手が自分の期待したように動いてくれないことに端を発している。相手への期待は、行きすぎると相手への依存につながってしまう。正しいお金の使い方ができる人になるためには、こうした相手への過度の期待から自由になることが重要である。」(224頁)

いかがでしょうか。

相手への不満のほとんどは、相手が自分の期待したように動いてくれないことに端を発しているということです。

思い浮かべてみて下さい。

実際そうじゃないですか?

この場合の相手とは、上司、部下、恋人、配偶者など、自分が何かを期待してしまうすべての人です。

期待が行きすぎると、依存になると。

依存すると、人は弱いですよね。

覚せい剤やたばこの依存症を考えればわかりますね。

それがなくなったら、とたんに生活が不自由、不便になってしまいます。

あまり相手に対して過度な期待をしないことが、心穏やかに生きる秘訣なのかもしれませんね。

有期労働契約54(北海道大学(契約職員雇止め)事件)

おはようございます。

今日は、更新3回後の期間満了を理由とする雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

北海道大学(契約職員雇止め)事件(札幌高裁平成26年2月20日・労判1099号78頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に契約期間1年間の契約職員として雇用され、3回の契約更新を繰り返してきたXが、平成23年3月31日の契約期間満了をもって雇止めとされたことは許されないとして、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認、雇止め後から本判決確定の日までの賃金及び遅延損害金並びに本件雇止めが不法行為であるとして慰謝料100万円及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。

一審(札幌地裁平成25年8月23日)は、Xの請求を棄却した。

【裁判所の判断】

控訴棄却
→雇止めは有効

【判例のポイント】(原審について)

1 本件においては、平成19年4月の本件労働契約締結の際、Xが3年雇用の方針を認識していたこと、更に、Xが、平成16年4月に短時間勤務職員として雇用された際にも3年雇用の方針を認識していたことは争いがない。当裁判所は、本件で最も問題になる点は、Xにおいて3年雇用の方針を認識した時点において、既に、雇用継続についての合理的期待を有していたと認められるか否かであると考える。

2 ①雇用継続の合理的期待を有するに至った後にXが3年雇用の方針を認識する(あるいは認識し得る)に至ったという場合であれば、使用者が事後的に設けた(労働者に認識させた)雇用期間の制限により労働者の雇用継続の合理的期待が消滅したと判断することが許されるのかという点が重要な論点になるが、②雇用継続の合理的期待を有するに至る前に、Xが3年雇用の方針を認識していたという場合であれば、その方針を前提に、Xが雇止めの時点で雇用継続の合理的期待を有していなかったとしても、①のような問題は生じないから、この区別は、本件の結論に大きな影響を及ぼす重要な点である

3 Xは、自らが従事していた謝金業務は、非正規職員と比較しても不安定であり、財源を厚生科研補助金に依存しており、その支給がなくなれば、終了する可能性があることを認識していたのであるから、そのような謝金業務に最長で1年半従事したからといって、Xが3年雇用の方針を認識した時点において、その方針を超えて勤務が継続されるという合理的期待を有するに至っていたとはいえない。平成16年4月当時、C教授の研究に対する厚生科研補助金の支給は、平成17年3月31日までの予定であったから、その時点で、Xがある程度の勤務継続の期待を抱いたとしても、それが合理的なものと評価し得るのは、平成17年3月31日までが限度である。

4 仮にXが謝金業務に従事した期間を実質的には雇用的関係であると評価した場合には、平成14年10月頃から平成23年3月31日の本件雇止めまでの間に8年半の雇用的期間があったことになる。しかし、形式的に雇用的期間が相当連続したと評価したとしても、その実質は変わらないのであり、謝金業務に従事していた期間は、上記のように不安定で、雇用継続の合理的期待を持ち得ない雇用的関係であることに変わりはない。しかも、Xは、そのような雇用的関係が最長でも1年半続いた段階で3年雇用の方針を認識するに至っている。そうすると、謝金業務に従事した期間を実質的に雇用的関係であると評価したとしても、本件雇止め当時、Xが雇用継続の合理的期待を有していなかったという上記判断が変わるものではない。

5 なお、大学の非常勤講師として、1年の雇用契約が20回更新され、21年間にわたって勤務を継続してきた者につき、解雇に関する法理を類推しなかった原審の判断が維持された事例として、最高裁平成2年12月21日判決(亜細亜大学事件)がある連続した雇用的期間が相当継続したと評価したからといって、当然に解雇に関する法理が類推されるわけではなく、その雇用的期間の性質、実質が問題になると解される

非常に参考になる裁判例です。

特に上記判例のポイント3、4は理解しておくべき考え方ですね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介401 若者よ、天下を取れ。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週もがんばりましょう。

今日は本の紹介です。
若者よ、天下を取れ。

著者は、商品の企画開発、ネーミング開発、テレビCMの企画製作等をしている方です。

タイトルだけで、2秒で買いました。

最近、「天下を取る」ことを目標にしている若手、まわりにいます?

私の周りには、結構います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一発芸人を大尊敬している。一発で、妻子を養っていく。その一発を生むためにどれほど苦労したんだろう。」(86頁)

オレなんかいまだに一発も芸を身につけてない。君の一発芸はなんだい?遠慮なんかしないで、バンバン公開するんだ。」(87頁)

著者が言うとおりですね。

一発芸人をばかにしてはいけません。

あなたには、妻子を養っていくだけの一発芸、ありますか?

僕にはないな・・・。

僕もダンディさんのように破壊力のある一発芸を身につけたいな。

ゲッツ!!