Daily Archives: 2015年11月4日

不当労働行為124(ファミリーマート事件)

おはようございます。

今日は、フランチャイズ加盟者の労組法上の労働者性に関する命令を見てみましょう。

ファミリーマート事件(東京都労委平成27年3月17日・労判1117号94頁)

【事案の概要】

本件は、①フランチャイズ加盟者が労組法上の労働者にあたるか、②会社が団交に応じていないことは、正当な理由のない団交拒否に当たるか、が争われた事案である。

【労働委員会の判断】

フランチャイズ加盟者は労組法上の労働者である。
→団交拒否は不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 本件における加盟者は、「フランチャイズ契約」との形式ではあるものの、その実態においては、全ての加盟店の店長として会社に労務を提供し、労務の提供に対して会社から詳細な指示等を受けているところ、①会社の業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として会社の事業組織に組み入れられており、②会社が本件フランチャイズ契約の内容を一方的・定型的に決定しているということができ、③加盟店の得る金員は、労務の供給に対する対価又はそれに類する収入としての性格を有することから、報酬の労務対価性が認められ、④実態上、会社からの業務の依頼に対してこれに応ずべき関係にあり、⑤会社の指揮監督の下に労務を提供していると広い意味で解することができ、その労務の提供については一定の拘束を受けているということができる一方、⑥顕著な事業者性を認めることはできない
これらの諸事情を総合的に勘案すれば、本件における加盟者は、会社との関係において労組法上の労働者に当たると解するのが相当である。

2 本件における団体交渉申入れ事項は、「加盟者が再契約を希望する際に会社が可否を決定する具体的な判断基準について」という、組合員と会社との本件フランチャイズ契約の再契約についてであり、再契約の可否の基準は、労務供給者である組合員の生計の維持に直結する労務供給ないし就業機会の継続の可否に係るもので、組合員の労働条件ないし経済的地位に関する事項であり、かつ、会社が使用者としての立場で実質的に決定又は支配できるものであるから、義務的団体交渉事項に当たると解するのが相当でる。

3 したがって、・・・組合との団体交渉に応じていないことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。

以前から話題になっていたものですが、衝撃的な判断ですね。

FCの加盟者は、労組法上の労働者にあたると。

労組法上の労働者の概念は海のように広いのですね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。