Monthly Archives: 8月 2016

本の紹介590 立ち読みしなさい!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
立ち読みしなさい!~美しいほどシンプルな成功術(ありがとう出版発行)

普段、苫米地さんの本はあまり読まないのですが、今回は、アマゾンで目に入り、読んでみました。

アマゾンなので、立ち読みできないので、買って読みました。

ホメオスタシス」と「エフィカシー」という重要な2つのキーワードを理解することが大切です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ホメオスタシスに気付かれないように、まずは小さなことから変えてください。小さな目標であれば、現状維持の範囲内なので、ホメオスタシスに気付かれることはありません。コンフォートゾーンはあなたの部屋のような存在だと話しました。そして、その部屋の管理人がホメオスタシスです。あなたが管理人の許可なく部屋の模様替えを行うと、管理人であるホメオスタシスに気付かれ元の場所に戻らされてしまいます。ですから、毎日少しずつ模様を変えていくことが大切です。」(181頁)

医学的にこの説明が正しいのかどうかわかりませんが、そんなことはこの際どうでもいい話です。

大切なのは、この説明に納得できて、今いるコンフォートゾーンを抜けだそうと決意することです。

今の自分を少しでも変えたいと願うのであれば、このホメオスタシスに気づかれないように、少しずつ変えていくことです。

1日なら誰でもできることを1か月続ける。

1か月続けられるのであれば、1年続けられますから。

だいたい3日坊主で終わってしまうという人は意志が弱いのではありません。

やり方が間違っているだけなのです(と思うことが大切です)。

能力や性格の問題ではなく、やり方の問題だと強く思うことがとても大切です。

コンフォートゾーンから抜け出し、自分の価値を高めていくことを習慣にできたらいいですね。

不当労働行為152(社会福祉法人大磯恒道会事件)

おはようございます。

今日は、組合員に対し、センター長および施設長の役職を解任し、自宅待機命令をしたこと等が不当労働行為にあたるとした命令を見てみましょう。

社会福祉法人大磯恒道会事件(中労委平成28年4月6日・労判1136号169頁)

【事案の概要】

本件は、組合員に対し、センター長および施設長の役職を解任し、自宅待機命令をしたこと及び組合いに対し法人の分室勤務を命じたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、自らの定款で定めた所要の手続を経ることなく本件解任等を実施しており、また、本件解任等を行うに際し、Aらの管理職としての適性を合理的に判断したとも認められない。

2 Y社は、ユニオンに加入したAらが、懲戒処分を議題とする団体交渉の開催を繰り返し要求し、組合活動を通じてY社に対抗していく姿勢をあらわにしたことから、同人らが職場で組合活動を展開すれば、同人らに同調する職員がユニオンに加入するなどにより理事会等法人上層部に対抗する勢力の拡大を招くおそれがあるとみて、Aらの組合活動への危機感を募らせ、同人らの職員への影響力を削ぐとともに職場から排除することを企図して、同人らの役職を解いて自宅待機を命じたものとみるのが相当である。
・・・したがって、本件解任等は労組法7条1号の不当労働行為に当たる。

3 本件分室勤務は、Aらに対し、常時、法人の介護現場や職員から隔離された個室内で勤務することを強いるものであるから、Aらに疎外感を与えるものであり、さらに、分室には出入口に向けてカメラが設置され、かつ、同人らにその設置目的や取扱方法も知らされていなかったことを考慮すれば、そのような環境下で勤務を強いることは、Y社により常に行動を監視されているとの念を抱かせ、心理的な圧迫を与えるに足るものというべきである。よって、本件分室勤務は、Aらに対し、精神上の不利益を与える取扱いである。
以上のとおり、本件分室勤務は、・・・労組法7条1号の不当労働行為に当たる。

所定の手続を経ずに解任等の不利益取扱いをすると、やはり組合敵視のように見えてしまいますね。

また、仮に手続を経たとしても、合理的な理由なく解任等を行えば、同様の結論になってしまいます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介589 手に入れたのはカッコいい体と●●だった(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
手に入れたのはカッコいい体と●●だった

著者は「読む筋トレ」、「へやトレ」の方です。

タイトルの●●に入る言葉は、人それぞれですが、マイナスの言葉が入らないことだけは確かです。

体を鍛えてマイナスなことなど、思いつきません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

毎朝5分の筋トレタイムを見つけた時『勝った』と思った。」(64頁)

成功は約束されていない。しかし、成長は約束されている。」(135頁)

私は、週末にジムに通うほか、毎朝、事務所(ジム所?)で15分程度、筋トレをしています。

有酸素運動と異なり、1時間も2時間も筋トレをする必要がないので、特に時間がない人にはおすすめのスポーツです。

「成功は約束されていない。しかし、成長は約束されている。」

いい言葉ですね。

確かにその通りです。

成功よりも成長を目指す。

成長のその先に成功が待っていると思い続けることが大切ですね。

結局、日々の習慣がものをいいます。

不当労働行為151(両磐酒造(団交拒否)事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、和解協定の履行に関する団体交渉に応じなかったことが不当労働行為にあたるとされた命令を見てみましょう。

両磐酒造(団交拒否)事件(平成28年2月23日・労判1136号170頁)

【事案の概要】

本件は、和解協定の履行に関する団体交渉に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

Y社は、夏の中元シーズン期間は忙しいので棚上げし、団交は中元シーズンおよびお盆の終わった頃にしてほしいと回答し、団交に応じなかったものである。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 再雇用は労働条件と密接に関連しているものであるから、少数組合といえども、規程に関し団体交渉の申入れがあれば、会社は団体交渉に応じなければならない。

2 また、会社は、和解協定において、再雇用に関する規程を早急に整備し、次回のAの契約更新時以降は、整備した規程に基づき再雇用の手続を行うという内容を組合と合意した。しかし、Aの契約更新満了日であった7月31日の翌日である8月1日時点では、就業規則以外に具体的手続などを定めた関連規程を整備していないことが認められる。そのような状況の中で、就業規則に再雇用に関する規定が作成されていることを理由に団体交渉に応じないのは、正当な理由があるとはいえない

業務多忙を理由に団交を延期することだけで当然に不当労働行為に該当するわけではありません。

本件の場合には、上記のように団交を延期しておきながら、雇止めをしたために不当労働行為と判断されています。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介588 出世する人、しない人の1ミリの差(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
出世する人、しない人の1ミリの差

帯には「頭角を現し、大差をつける人に共通する微差とは?」と書かれています。

ほんの些細な差の積み重ねが、結果の違いとして現れるわけです。

とても勉強になる本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

パナソニック創業者の松下幸之助さんの有名な言葉に、『うまくやっている人は、なぜうまくやれているか?それは、うまくやれるようにやっているからだ。ダメになる人は、なぜダメになっているのか?それは、ダメになるようにやっているからだ』というものがあります。・・・つまり。成功する人やうまくやれる人は、成功し、うまくいくような原理原則に則って行動しているということで、原理原則というのは、『時間に厳しい』、『約束は必ず守る』、『感謝の言葉を忘れない』、など、一般的によく言われていることです。」(50~51頁)

「微差」を意識し、それを続けることこそが大差をつける唯一の方法であると確信しています。

王道と呼ばれる原理原則を守り、当たり前のことを大切にする。

トリッキーは方法は、ぱっと見はとても見栄えはいいかもしれませんが、やはり原理原則ではないのです。

多くの成功者が大切にしている核・基本というのは、一見すると「なーんだ、そんなことか」と思うものですが、それが真理です。

今も昔も「基本」というのはそんなに変わるものではありません。

年齢や地位が上がるにつれ、当たり前とされる「基本」を疎かにしてしまいがちですが、どこまでいっても大切なのは原理原則です。

このことを忘れずに日々努力をしていこうと思います。

配転・出向・転籍32(社会福祉法人奉優会事件)

おはようございます。

今日は、出向命令が有効とされた裁判例を見てみましょう。

社会福祉法人奉優会事件(東京地裁平成28年3月9日労経速2281号25頁)

【事案の概要】

本件は、主位的に、Y社のXに対する違法な出向命令により、Xの出向後の給与及び賞与が出向前よりも減額したとして、その差額について、不法行為に基づく損害賠償を求め、予備的に、出向命令が有効であるとして、上記差額について、出向規程に基づく補償を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本件限定合意がある以上、Xの同意のない本件出向命令は違法・無効であると主張する。確かに、労働条件通知書には、「就業の場所」として、「特別老人ホーム白金の森」と記載されているが、当該記載は、採用時の労働条件の明示事項(労働基準法15条1項)である勤務の場所を記載したものであり、採用直後の勤務場所を記載したものにすぎないと認められる。また、Xは、募集要領に「法人内異動:有」と記載されているところ、Xの就業場所としてY社が経営する施設以外への出向等がないかについて、就職時、特に確認していたと主張する。しかし、Y社は本件限定合意の成立を否認しており、Y社職員のうちXだけ出向規程の適用を排除すべき特段の事情があったと認められないこと、他に上記合意の成立を認めるに足りる的確な証拠がないことからすれば、本件限定合意が成立していたと認めることはできない

2 Y社は、ケアマネージャーとして勤務したいというXの希望を踏まえた上で、本件出向命令に至っているのであって、出向を命ずる業務上の必要性はあったと認められ、他に本件出向命令について、不当性をうかがわせるような事情はない。また、本件出向命令によってXの労務提供先は変わるものの、その従事する業務内容(SPM)について、事前に説明会が実施されており、Xは自分が担当するSPMの業務内容について十分理解していたこと、出向規程において、出向中の職員の地位、賃金、退職金その他処遇等に関する規定等、特に本件補償規程を設けて、経済的不利益が大きくならないように配慮していることを勘案すれば、Xが労働条件等において著しい不利益を受けるものとはいえない。そして、本件出向命令に至る経緯及び本件出向命令後、Xは何ら異議を述べることなく出向先での勤務を開始していることからすれば、Y社において、Xが出向に同意したものと認識し、出向同意書の返送を催促せず、その結果、出向同意書が未提出のままになっていたことも理解できるものであり、当該事実が、本件出向命令の不当性をうかがわせるような事情であるとはいえない
これらの事情にかんがみれば、本件出向命令が権利の濫用に当たるということはできない。

X側とすれば、限定合意の存在を強く主張しましたが、この点について裁判所が否定したためにかなり厳しい戦いとなりました。

出向命令自体、特に不当な目的のためになされたものでもなく、かつ、経済的不利益を減らすための措置を講じていることからこのような判断となりました。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら慎重に行いましょう。

本の紹介587 1杯の水と卵1個で変わる史上最強のコンディショニング術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
1杯の水と卵1個で変わる史上最強のコンディショニング術

著者は高校教師でパワートレーニング顧問の方です。

ブログもやっており、とても参考になります。

体の作り方にとどまらず、習慣化に重きを置く教育法は、とても共感できます。

体を鍛えている人で後向きな人に会ったことがありません。

みんなプラス思考ですし、日々の習慣とタンパク質がどれほど大切かを身をもって知っているのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『習慣化したこと』が、実際に習慣化されてしまうと、そのあとは楽。というのも、習慣化されたことによって、それは単なる『ルーティン』となり、いちいち意識せずにやりとげることができるからです。・・・何か行動に移す前に、ふんぎりがつかなかったり、いちいち『あれをやらなきゃ、これもやらなきゃ』などと思うこともありません。この『思い悩むことなく、体まかせの状態になってしまう』ことこそ、ルーティンの最大の効能です。」(183頁)

最近では、この「ルーティン」という言葉が日常用語として登場しますね。

私は、やはり「習慣」という言葉のほうがわかりやすいような気がします。

体作りも仕事もこの「習慣」が本当に大切です。

どのようなことを習慣化しているのかがそのまま結果に表れます。

どんなことを日常生活に取り入れるのか。

ここが運命の分かれ道です。

労働時間42(阪急バス事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、バス助役の仮眠時間につき労基法上の労働時間に当たらないとされた裁判例を見てみましょう。

阪急バス事件(大阪地裁平成27年8月10日・労経速2281号9頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結し、バス助役として勤務しているXが、時間外労働を行ったが割増賃金が支払われていないとして、平成23年1月から同年11月までについてはY社の違法な労務管理によって損害を被ったとして不法行為に基づき、同年12月から平成25年9月までについては雇用契約に基づき、その支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、62万1341円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、付加金として62万1341円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 確かに、助役は、最終バスの点呼を行い、門の施錠や構内の点検を終了した後から始発バスの準備までの間、伏尾台営業所の事務室内にある仮眠室で仮眠することとされていたのであるから、滞在場所については場所的な拘束がなされていたといえる。
また、確かに、助役が仮眠室に泊まり込むことで、何らかの緊急事態等が発生した場合には、迅速な対応をとることが可能となることからすれば、仮眠時間中においても、労務提供の可能性が皆無であったとまではいうことができない
しかし、助役は、門の施錠や構内の点検終了後から、始発バスの準備までの間に、日常の業務として何らかの業務に従事することを求められていたわけではなく、実際のXら従業員の状況をも併せ考慮すると、門の施錠や構内の点検終了後から、始発バスの準備までの時間において、労働契約上の役務の提供が義務付けられていたと評価することは困難であり、仮眠時間中に、仮眠室においてすごしていた不活動仮眠時間については、原則として、労働からの解放が保障されており、労働契約上の役務の提供が義務付けられていなかったと評価することができる(なお、仮眠時間が労働時間に当たらないとしても、例外的に作業が必要となり、実際に作業に従事した時間については時間外労働として賃金の支払が必要となることは当然である。)。
したがって、本件における仮眠時間について、労基法上の労働時間に当たると認めることはできない。

2 Xが主張する損害は未払賃金相当額であるところ、Y社がXの労働時間を適正に把握しておらず、その結果、Xの割増賃金について一部が未払となっていたとしても、Xとしては、正しい労働時間を前提とした割増賃金を計算し、未払となっている割増賃金の不払を請求することができるのであるから、割増賃金の一部が未払であることをもって、Y社が労基法上の罰則を受けたり、Xとの関係で債務不履行責任を負うことはともかく、Xとの関係で直ちに不法行為を構成すると解することはできない。

約461万円の請求に対して約62万円という結論です(付加金も同額認められています)。 

大星ビル管理事件最高裁判決の考え方を踏襲しています。

労働時間に関する考え方は、裁判例をよく知っておかないとあとでえらいことになります。事前に必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介586 人に必要とされる会社をつくる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
人に必要とされる会社をつくる

著者は、三重県の万協製薬株式会社の社長です。

阪神・淡路大震災の絶望を乗り越えて学んだ『本当に強い経営』」と書かれています。

逆境を乗り越えた方は、本当に強いです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生の経験の大半は人との交わりの積み重ねである。そして、人生の質は、素晴らしい、尊敬できると思える人と、どれだけ出会えるかで決まると言っても過言ではない。だから、こういう人たちに数多く出会えるような生き方をすべきだ。それは感性を研ぎ澄ましてアンテナの感度を良くすることであり、また、そういう人たちと会うにふさわしい人間か、常に自分自身を謙虚に見つめるということでもある。中国の古典に『弟子に準備ができたとき、師は自然に現れる』という言葉もあるように、素晴らしい人との出逢いというのは、自分がその人に会うのにふさわしい人間になったときに生まれるのだ。」(214頁)

素晴らしい人との出逢いというのは、自分がその人に会うのにふさわしい人間になったときに生まれるのだ」という言葉、素晴らしい言葉ですね。

出逢いを追うのではなく、自分が出逢いにふさわしい人間になるように準備をするという発想です。

出逢いがないことを嘆くのではなく、それはまだ自分の準備が整っていないと考える。

準備が整えば、あちらからお声がかかるということです。

焦らず、こつこつ準備をする。

人とのつながりを広げるための王道です。

不当労働行為150(アドバンストコミュニケーションテクノロジー事件)

おはようございます。

今日は、取引先会社における派遣業務が終了した組合員に対し、自宅待機を命じ、給与を減額支給したことの不当労働行為該当性に関する命令を見てみましょう。

アドバンストコミュニケーションテクノロジー事件(中労委平成28年6月1日・労判1136号168頁)

【事案の概要】

本件は、取引先会社における派遣業務が終了した組合員に対し、教育訓練を受講させずに自宅待機を命じ、給与を減額支給したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Xに対する自宅待機命令当時の賃金規程第20条によれば、Y社は、派遣業務を終了して未稼働状態となった社員に対し、教育訓練又は休業(自宅待機)を命じることがあり(基本的には教育訓練を行うとされている。)、教育訓練を受講した場合に支給される基準内賃金は、1か月目が90%、2か月目以降は80%と定められているのに対し、自宅待機の場合に支給される基準内賃金は60%と定められている
Xは、自宅待機を命じられ、上記規定に基づき、自宅待機中の給与について、基準内賃金を60%に減額され、同時に、教育訓練を受講し、技術者としての自らのスキルを向上させる機会を失うなどしたのであるから、教育訓練を受講した場合に比べて経済上及び職業上の不利益を被ったことは明らかである。

2 Y社は、Xに対し、合理的な理由もなく教育訓練を行わずに自宅待機を命じており、このような扱いを受けたのはXのみであったこと、Y社は、Xへの自宅待機命令当時、労組の協力に基づき結成された準備会を問題視し、Y社に対する批判や要求を疎ましく思っていたと認められることからすれば、Xに対する自宅待機命令は、準備会の結成メンバーとしてY社を批判し、労働条件や職場環境の改善等を要求していることを理由に、同人を社外に排除するために行われたものというべきであるから、同自宅待機命令及びその機関中に教育訓練を受けた場合と比較して給与を減額支給したことは、労組法第7条第1号の不利益取扱いに該当すると認めるのが相当である
また、Xに対する上記不利益取扱いは、組合活動を萎縮させ、また、社員に対する組合への加入を思い留まらせる効果等を有すると認められるから、同時に同条第3号にも該当する。

教育訓練を行わずに自宅待機を命じたことについて合理的な理由を説明できればよいのですが、できないとなると不当労働行為になってしまいますね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。