Daily Archives: 2018年4月27日

不当労働行為194 組合員に対する雇止めと不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、組合員2名の就労するパチンコ店のワゴンサービスからの撤退を理由に同人らとの雇用契約を更新しなかったことの不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

丙川飲料販売事件(大阪府労委平成29年8月7日・労判1170号92頁)

【事案の概要】

本件は、組合員2名の就労するパチンコ店のワゴンサービスからの撤退を理由に同人らとの雇用契約を更新しなかったことの不当労働行為該当性が争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 平成28年1月10日に黒鳥店から撤退した後も、Y社従業員がワゴンサービスを行っているパチンコ店は、同年2月1日現在において、羽曳野店、堺インター店、泉北店、春木駅前店等、計44店舗あることからすると、黒鳥店撤退後もY社においてワゴンサービスを行う店舗は存在し、しかも、その店舗には、かつてA組合員が勤務していた店舗も含まれている。以上のような状況において、Y社は、本件組合員2名に雇用契約の終了を申し入れた理由として黒鳥店からの撤退を挙げるが、これのみをもって、本件雇用契約解除通知を行った合理的な理由であるとみることはできない

2 ・・・以上のことを総合すると、本件雇用契約解除通知をしたことに合理的な理由はなく、また、Y社が撤退店舗からの通常の雇用契約解除の手続きを踏まずに、組合が結成され、組合活動が開始した直後に本件雇用契約解除通知を行ったのは、組合が組合結成や組合活動を開始したことを認識し、組合及び組合員を職場から排除することを企図して行ったとみるのが相当である。

会社の行為について合理的な理由を説明できればいいですが、できないと不当労働行為と判断されてしまいます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。