Monthly Archives: 9月 2019

本の紹介955 事実VS本能(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは「目を背けたいファクトにも理由がある」です。

不都合な真実はとりあえずなかったことにして都合のいい事実を作り出す時代をどう生きればいいのかを考える本です。

どこかの国の行政が統計の数値を都合よく変えてしまうのも無理はありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分がどのような世界に生きているのかをまちがって理解しているひとも、自分や家族の人生について正しい判断をすることができないでしょう。世の中には、縮尺や方位のちがう地図を手に右往左往しているひとが(ものすごく)たくさんいます。そんななかで、正しい地図を持っていることはとてつもなく有利です。これが、事実(ファクト)にこだわらなければならないいちばんの理由です。」(6頁)

私たちが日ごろ接するのは「事実」そのものではなく、事実であると説く誰かの「解説」「解釈」です。

だから、実際の真実と解説・解釈が異なることなんて日常茶飯事です。

「~らしいよ」という程度の話を鵜呑みにし、自分が正しいことを信じて疑わない。

独善的で、自分の正義感を他者へ押し付ける。

こういう人とは関わらないことです。

労働者性26 運転代行従事者の労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

20日目の栗坊トマト。 葉っぱの数が増えてきました。

今日は、運転代行従事者の労働者性と未払賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

ミヤイチ本舗事件(東京高裁平成30年10月17日・労判1202号121頁)

【事案の概要】

Y社は、運転代行業などを業とする株式会社である。X1は、平成24年7月頃から平成26年3月15日まで、X2は、平成24年5月22日から平成26年3月15日まで、いずれもY社において運転代行業に従事していた。

本件は、Xらが、Y社との雇用契約を締結していたと主張して、Y社に対し、未払残業代等の請求した事案である。

Y社は、主に、Xらとの契約が雇用契約ではなく業務委託契約であると主張して、Xらの請求を争った。

原審は、Xらが労働者に当たるとはいえないと判断して、Xらの各②③の請求を棄却するとともに、各①の請求について、請求に係る元本額+遅延損害金の限度でこれを認容した。

Xらは、原判決の上記判断を不服として控訴した。

【裁判所の判断】

労基法上の労働者性を肯定

【判例のポイント】

1 Xらは、就業規則と題する書面に署名押印させられ、勤務時間を定められ、職務専念義務及びY社の指示に従う義務を課せられた上、就業規則に定めのない事項は労働基準法その他の法令の定めるところによるとされていた。さらに、具体的な仕事の進め方についても、「代行本舗 社内遵守事項」が定められており、Xらは、業務遂行にあたって、仕事開始時間、待機の場所等について具体的に指示され、時間的場所的拘束を受けるだけでなく、Y社の指示に従う義務を課されるなど、Y社の包括的な指揮監督に服していた

2 具体的な業務内容である勤務シフトは、Y社側が一方的にシフト表を作成し(具体的にシフト表作成の事務を行っていたのはXらであるが、シフト表に従った勤務を命じているのはY社である。シフト表に従った勤務をできないときは、Y社の許可が必要であり、許可なしに勤務しなかった場合には、「代行本舗 社内遵守事項」によって、最高で1日2万円の制裁が科される。したがって、各月の運転代行業務について、Xらに諾否の自由があったとは認められない

3 他の代行運転者が業務委託契約書を交わしているのに対し、Xらについては、業務委託契約書が作成されていない上、Xらの業務は、他の代行運転者と異なるものであった。すなわち、Xらは、他の代行運転者よりも早く出社して、自動車を駐車場から事務所に移動させる業務、顧客を紹介する飲食店への手土産の購入などの業務、シフト表の作成業務、X1については電話番と手配業務などをしていたが、これらは代行業務に係る業務委託契約の範囲を超える業務であるというほかない。

4 Xらは、歩合報酬だけでなく、X1が電話番として勤務する以外の場面においても職務手当及び役職手当との名目で支払を受けていたこと、Y社の決算報告書において、Xらに対する支払いを業務委託料ではなく給料手当として計上していることからしても、Y社もXらとの関係を雇用関係であると理解していたとうかがわれる。
これらの諸事情を総合すると、XらとY社との関係は労働契約に基づくものというべきである。

これだけの事情がそろえば、労働者性は肯定されることはそれほど大変ではありません。

もっとも、一般的に労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介954 戦略と情熱で仕事をつくる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

著者は、ボードゲームソムリエの方です。

すべてのことが職業になるということを教えてくれています。

これからますます今までなかった職業が登場するでしょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

僕な好きな格言 やったことはたとえ失敗しても、20年後には笑い話にできる。しかし、やらなかったことは、20年後には後悔するだけだ。 マーク・トウェイン」(120頁)

生きている間にあと何回、チャレンジできるのでしょう。

もちろん何もチャレンジしなくても、日々の生活はできますし、何の支障もありません。

だから、みんながみんな、何かにチャレンジする必要はありませんし、いつも言うことですが、自分が生きたいように生きればいいのです。

何歳まで生きられるかわかりませんが、やりたいことがやれるうちは、何の我慢もせず、どんどん好きなことをやればいいのです。

老後の心配なんてしたところで、何の役にもたちません。今やりたいことを好きなだけやればいいのです。

賃金172 固定残業代が無効と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

18日目の栗坊トマト。成長著しい!

今日は、タクシー乗務員の未払割増賃金等支払請求に関する裁判例を見てみましょう。

洛陽交運事件(大阪高裁平成31年4月11日・労判ジャーナル89号28頁)

【事案の概要】

本件は、タクシー乗務員としてY社に勤務する従業員Xが、Y社に対し、①平成25年3月22日から平成28年2月19日までの時間外労働及び深夜労働に対する未払割増賃金合計約235万円等の支払を求めるとともに、②労働基準法114条に基づく付加金約199万円等の支払を求めたところ、原判決が、①未払割増賃金合計約183万円等の支払、②付加金約95万円等の支払の限度でXの請求を一部認容し、その余を棄却したため、X及びY社がそれぞれその敗訴部分を不服として控訴した事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 A期間について、「基準外手当(1)」及び「基準外手当(2)」及び「時間外調整給」には、割増賃金の性質を含む部分があるとしても、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金の性質を含む部分とを判別することはできないから、いずれも通常の労働時間の賃金として、割増賃金の基礎となる賃金に当たるというべきであるが、他方、「祝日手当」は、Y社において「祝日」及び「公休出勤手当」は、休日に勤務した場合に支給される手当であることからすると、通常の労働日の賃金であるとは認められないから、割増賃金の基礎となる賃金に当たらないというべきであり、また、「業績給」及び「乗務手当」は、いずれも4箇月ごとに支給されるものであり、労働基準法施行規則21条5号の「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」に当たるというべきであるから、割増賃金の基礎となる賃金には当たらない

2 B期間について、「基準外1」及び「基準外2」は、月間運送収入額の多寡に応じて、月間運送収入額ないしそのうちの一定額に一定の割合を乗ずるなどして算定されるものであり、「基準外1」及び「基準外2」は、いずれも通常の労働時間の賃金として、割増賃金の基礎となる賃金に当たるというべきであり、また、「調整給」は、A期間における「時間外調整給」と同内容のものであるから、割増賃金の基礎となる賃金に当たるというべきであるが、他方、「祝日手当」は、A期間における「祝日手当」と同内容のものであるから、割増賃金の基礎となる賃金に当たらないというべきであり、また、「休日出勤手当」は、A期間における「公休出勤手当」と同趣旨のものであるから、割増賃金の基礎となる賃金に当たらないというべきである。

3 「基準外手当(1)」、「基準外手当(2)」、「時間外調整給」、「基準外1」、「基準外2」及び「調整給」は、いずれも、出来高に応じて支払われる手当であるから、「請負制によって定められる賃金」(労働基準法施行規則19条1項6号)に当たる。

固定残業制度の運用を誤ると、一気に基礎賃金の額が上がるので、細心の注意をしなければなりません。

固定残業制度については最高裁判例及び多くの裁判例が出されていますので、それらを参考にしながら、適切に運用していくことが肝要です。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介953 捨て本(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

本当にそれは必要ですか?

1ページ目にはこの1文だけが書かれています。

所有している「モノ」の多くは、本来、たいして所有する必要のないものです。

所有から解放されると何物にも縛られない自由を手に入れることができます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『欲しいものがわからないと、本当は欲しくないモノに包囲されて暮らすことになる』『所有していたモノに、自分が所有されるようになる』だいぶ前にブラッド・ピット主演の映画化で話題になった、チャック・パラニュークの小説『ファイト・クラブ』の一節だ。・・・僕はモノの呪縛を解いて、動き続ける。安定じゃなく、刺激あふれる世界にいたい。しがらみや古い常識に、とらわれない。とらわれたくない。何かに縛られて、立ち止まりたくないのだ。」(292~293頁)

全く同感。

所有欲がない人の多くはこのように考えます。

しがらみとか世間体とかに囚われて生きたくないのです。

「~は~であるべきだ」みたいなのはすべて無視して、自分の生きたいように生きればいいのです。

好かれたい、嫌われたくないという他人の評価から解放されると、幸福度が一気に上がります。

生きたいように生きる。 これが一番です。

解雇306 上司の指示命令に従わないことを理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

15日目の栗坊トマト。順調に育っております。

今日は、上司の指示命令に従わないこと等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

社会福祉法人三宅島あじさいの会事件(東京地裁平成31年3月7日・労判ジャーナル89号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社を普通解雇された元職員Xが、本件解雇は無効であるとして、Y社との間で雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、Y社に対し、本件解雇後の未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は有効

【判例のポイント】

1 Xの行為のうち、解雇理由1ないし5については、上司の職務上の指示命令に従うことを求めた就業規則26条2項、職員間で相互に協調することを求めた同規則27条1号、職務上の権限を越えた専断的行為を禁じた同規則29条1項5号に反するものであり、同規則22条11号(就業規則等の定めに反したとき)に該当し、また、解雇理由2ないし6のとおり、Xの介護技術や同僚職員との連携に不十分な点があったにもかかわらず、Xが上司及び同僚職員の指示や指導を聞き入れようとせず、本件けん責処分を受けながらなお真摯な反省の態度を示すことがなかったXの姿勢は、Y社においてXを指導し、介護技術や職員間の連携等など、介護の職務遂行上必要な能力を向上させることをおよそ困難とする事情であり、同条3号(勤務成績が著しく不良又は上司の指示を守れず早期に改善の見込みがないとき)、同条4号(職務遂行能力が劣り、一定期間の改善指導を行っても職務遂行上必要な水準まで上達する見込みがないとき)及び同条12号(前各号の他、解雇に該当する合理的事由があるとき)に該当し、本件解雇には、就業規則上定められ、合理的と認められる解雇の理由が存する。

2 Xの解雇理由に共通するのは、Xが自己の判断で独善的かつ専断的に業務を遂行するという点であり、Xには、上司の指示に従い他の職員と協同して業務を遂行するという、組織の中で職務を遂行するに当たり求められる基本的な姿勢が欠けているといわざるを得ず、また、Xが、上司や同僚職員からの指導に対して真摯に耳を傾ける姿勢を欠き、本件けん責処分により改善の機会が付与されたにもかかわらず、その後も自己の勤務態度を改めることがなかった経緯も踏まえると、Xの勤務態度について、指導等による改善が見込めるものでもないから、Xに対し解雇をもって臨むことはやむを得ず、本件解雇の手続にも特段不適切な点は認められないことなどを踏まえると、本件解雇は社会通念上相当として是認することができること等から、本件解雇に解雇権を濫用した違法があるとはいえず、本件解雇は有効である。

このような事案の場合、使用者側もしびれを切らしてすぐに解雇してしまう例がありますが、それではいけません。

指導・教育・改善の機会を与えたにもかかわらず改善しなかったという一連の流れについてエビデンスを残す意識を持つことが大切です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介952 外資の流儀(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは「生き残る会社の秘密」です。

年功序列とは真逆の世界で生きていることがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私が転職者の面接をするとき、とくに重視するのは着目点とその順序です。
着目点は第一に『情熱』、第二に『人柄』、そして第三に『能力』です。この優先順位が大事なのです。いくら人柄が良く、能力的に優れていても、仕事で何かを成し遂げようとする強い情熱がなければ、何事も成功しません。また、情熱や能力があっても、仕事は必ず他人と関わるもので、チームを円滑に運営できなければ生産性は下がります。そのとき、もっとも大切なのが人柄です。」(195頁)

3ついずれも大切なのは言うまでもありませんが、どれだけ能力が高くても、前二者が備わっていないと能力を発揮することはできません。

もっとも、これらの着目点を面接時にどれほど把握できるかは個人的には疑問です。

実際に一緒に働いてみないとわからないのが実際のところではないでしょうか。

仕事は一時的なものではなく、長く継続するものなので、瞬間最大風速ではなく、平均風速が鍵となります。

配転・出向・転籍40 労働条件の不利益変更が認められる場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。
13日目の栗坊トマト。葉っぱが大きくなってきましたね!

今日は、配転命令無効等確認及び解雇無効地位確認請求に関する裁判例を見てみましょう。

アルバック販売事件(神戸地裁姫路支部平成31年3月18日・労判ジャーナル89号36頁)

【事案の概要】

本件は、甲事件において、Y社と雇用契約を締結した元従業員Xが、Y社に対し、①配転命令が違法、無効であるとして、A営業所で勤務する義務がないことの確認を求め、また、②(1)雇用契約に基づき、未払賃金・賞与等の支払を求めるとともに、(2)Y社が不当な自宅待機命令及び配転命令を行ったこと等により、多大な精神的苦痛を受けたと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料等の支払を求め、加えて、③上記②の請求と選択的に、不法行為による損害賠償請求権に基づき、未払賃金及び賞与との差額に相当する損害、上記②(2)の慰謝料等の支払を求め、乙事件において、Xが、Y社が平成27年3月9日に行った解雇は、客観的合理的理由がなく無効であると主張して、雇用契約上の地位の確認を求めるとともに、Y社に対し、雇用契約に基づき、未払賃金・賞与の支払等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

配転命令は有効

解雇は無効

未払賃金・賞与等支払請求は一部認容

慰謝料等請求は一部認容

【判例のポイント】

1 Y社が就業規則に基づきXの配転命令権を有すること、また、労働者の採用に際し、勤務地を限定する合意がなされた事情がないことについては、当事者間に争いがないところ、A営業所においては、一人分の欠員が出ていたこと等から、本件配転命令には業務上の必要性が認められ、また、退職勧奨時にXが姫路へ行くと回答していること等からすると、本件配転命令が、Xが退職しなかったことへの意趣返しという不当な動機のみによってなされたものであるとまで認めることは困難であり、さらに、Xが、Xの長女の事情をY社に伝えたと認めるに足りる証拠は存在しないし、妻の乳がんとの関係で本件配転が不利益である事情や、本件配転への異議は一切述べていないことが認められること等から、本件配転命令が、Xに通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を与えるものであったと認めることはできないから、権利濫用に当たるというべき特段の事情は見当たらず、本件配転命令が無効であるとは認められない。

2 Y社は、変更後の就業規則を社内メールの送信や掲示板に掲載する方法で従業員に周知したものと認められるところ、Y社は、不利益の程度が大きい者については調整給を支給しており、本件就業規則変更による従業員の不利益は、著しく大きいとまではいうことはできず、そして、Y社は、遅くともA社が人事制度改革を行うことを発表した時点において、収益を改善する観点からも、A社の子会社としての経営判断の観点からも、A社に倣って労働条件を変更する高度の必要性があったものというべきであり、また、職能資格等級制度自体は、職能資格の上昇によって賃金が上昇するため公平感があり、人事として安定するとともに、労働者のモチベーション維持にもつながり、合理的な制度であり、さらに、Y社は、説明会やメールで従業員に新賃金制度の説明を行うとともに、従前の従業員代表者から通知された新従業員代表者との間で、新賃金制度について合意を形成したことが認められること等を総合して考えると、本件就業規則変更は、有効と認めることができる。

3 Xの取引先への対応に問題があるなどして、取引先との間でトラブルが複数回あったことを認めることはできるが、その全てがXのみを原因とするものであったとは認められないし、当該取引が破談となった、Y社が取引先を失ったなど、Y社の業務全体にとって相当な支障が生じたとか、Y社に大きな損害が発生したという事実も認められないから、解雇に相当するほど重大なものであるとは認めがたく、また、Xの上司が各トラブルの度に注意したことは認められるが、これを受けてXは謝罪をしたりトラブルの原因や今度の対策について報告をしたりしているから、Y社が主張するXの取引先とのトラブルの頻発は、就業規則58条6号「就業状況が著しく不良で就業に適さないと認められるとき」として解雇理由に該当するものとはいえないというべきであること等から、本件解雇は、客観的に合理的な理由があるとは認められず、かつ、社会通念上相当であるとも認められないから、本件解雇は、解雇権の濫用に当たり無効である。

配転命令に関する判断もさることながら、上記判例のポイント2の不利益変更の手続の進め方は参考になりますね。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら慎重に行いましょう。

本の紹介951 超AI時代の生存戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

再び落合陽一さんの本です。

サブタイトルは、「シンギュラリティ(2040年代)に備える34のリスト」です。

これから起こる大きな変動を前に「生存」するためにいかなる「戦略」をとるべきかが書かれています。

親の世代とは全く「常識」が異なる以上、親をロールモデルにしてもなかなかうまくいかないわけです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ただ無自覚にお金を貯めると、それは時間もお金も滞ってしまって、何も生み出さない。だから、そのスタンスは変えたほうがいい。今の時代、それはより顕著だ。昔であれば投資はせずに、せっせと貯金をしておくか、家を買ってローンを返していけばよかったのだが、今は人生で何回、仕事を変えるかわからないし、どこに住んでいるかもわからない。一生ある仕事をするわけではない時代なので、自分に投資して、仕事を変えていくというのもキーワードになるだろう。」(165~166頁)

いろんな本で同じようなことが書かれていますが、これだけ変化の激しい時代に「安定」を求めて生きるのは、本当に大変なことです。

地方の人口がどんどん減り、空き家がこれだけ増えてもなお、マンションやマイホームを建てる。

需要と供給の関係でいえば、これらの資産価値が今後どうなるかは予想できるところです。

いつも書いていることですが、変化の激しい時代にはできるだけ身軽でいることが大切です。

できるだけいろいろなものを所有しないことがキモです。