Daily Archives: 2019年9月18日

不当労働行為226 労組の交渉窓口担当者の交代を求めると不当労働行為?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

27日目の栗坊トマト。どんどん大きくなってきています!

今日は、学校法人が労組の交渉窓口担当者の交代を求めたこと、賃上げを議題とする団交を約2か月半延期したこと等を不当労働行為とした事案を見てみましょう。

学校法人大阪YMCA事件(平成31年2月6日・労判1203号84頁)

【事案の概要】

本件は、学校法人が労組の交渉窓口担当者の交代を求めたこと、賃上げを議題とする団交を約2か月半延引したこと等が不当労働行為に該当するかが争われた事案

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社の対応には一定の酌むべき事情がないとはいえないものの、A2組合員との窓口対応において、円滑な事務的調整が行われなかったことが一度あったからといって、組合が自主的に決定するものである交渉窓口担当者の交代を求め、交代するまで窓口対応を取りやめるというY社の対応は、組合の内部運営に介入し、組合の弱体化を招くおそれのある行為といえる。

2 26.7.2団交におけるY社の対応は、自らの回答について組合の理解を得るべく説明に努めたとはいえないもので、不誠実な交渉態度といわざるを得ず、誠実交渉義務に反するものであり、労組法7条2号の不当労働行為に当たる。そして、組合員の労働条件に関する組合の要求について、Y社が説明に努めたとはいえず、実質的な交渉が行われなかったことは、組合の影響力を弱めるものとして労組法7条3号の不当労働行為に当たる。

3 28.3.15団交申入れは、翌年度の賃上げを求めて団体交渉を申し入れたものであるから、賃上げ実施前の団体交渉の開催を求めるのは組合として当然であり、このような組合員の基本的労働条件に関する事項について説明を求められている以上、Y社が5月の理事会前には確定的な方針をもって回答ができないことを理由として団体交渉を拒否することは、正当な理由に基づくものとは言えない

上記命令のポイント1のように短気を起こさないことが団体交渉では肝心です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。