Daily Archives: 2020年12月16日

有期労働契約101 更新の上限設定と合理的期待の保護(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、有期労働契約の更新上限回数を超えての更新に合理的期待が認められないと判断された裁判例を見てみましょう。

社会福祉法人仙台市社会福祉協議会事件(仙台地裁令和2年6月19日・労経速2423号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で有期雇用契約を締結し、Y社が運営する障害福祉サービス(生活介護)事業所である「a施設」で勤務していたXが、平成30年4月1日をもって雇用契約の期間満了により雇止めされたことについて、Xには労働契約法19条2号に該当する事由があるから、上記雇用契約は従前の内容で更新されるから、Y社が行った雇止めは違法であり、無効であると主張して、Xが、Y社に対し、雇用契約上の地位にあることの確認を求めるとともに、雇用契約に基づく賃金+遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 ①本件募集要項には、勤務条件のうち更新・雇用期限等として「1年間の有期労働契約。勤務成績により更新は4回まで可能。」との明記されていたこと、②Xは、本件募集要項の内容を確認し、本件募集要項に基づいて応募をしたこと、③採用面接の際、XがC課長から雇用期間が1年間であり、契約更新の回数が4回までであり、5年間が限度であると説明を受けていたこと、④本件契約の雇用契約書において、「更新期間」は「指定管理期間終了まで(最長4回まで更新可)」と記載されており、Xが当該契約書に署名押印していたこと、⑤本件契約の更新について、契約更新ごとに雇用契約書が作成されており、平成26年度ないし平成28年度の更新時の雇用契約書において、「更新期間」は「最長4回まで更新可能」との記載がされており、Xがそれぞれの雇用契約書に署名押印していたこと、⑥平成29年度の雇用契約書において、「契約を更新する可能性 無し」、「更新期間」は「-」と記載がされており、Xが当該契約書に署名押印していたこと、以上の事実が認められる。
これらの事実によれば、Xは、Y社に採用される当初から雇用契約の更新回数が最長4回までであり、雇用期間が最大5年間であることを認識して、本件契約を締結していたものであり、その後の本件契約の更新についても、更新ごとに雇用契約書が作成され、その度に更新回数の最長が4回までであることについて明記がされ、最終更新年である平成29年度には雇用契約の更新を行わない旨が明記されていたことからすると、特段の事情がない限り、Xにおいて、雇用契約の更新4回、雇用期間5年を超えて更に本件契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認めることはできない

2 Xは、①Y社には特例延長制度があり、契約職員が5年を超えて雇用される制度が存在していたこと、②希望をすれば、契約職員から嘱託職員への身分の変更と施設の変更をすれば、5年を超えて雇い入れられる運用が労使慣行として成立していたこと、③Y社に採用される以前から5年を超えて雇用されている職員がいることを聞いていたこと、④平成21年3月の団体交渉において、5年雇止めをはじめとするY社の人事制度見直しが検討されることとなり、5年雇止めについても事態の打開可能性があったことからすると、Xには、更新回数4回、雇用期間5年を超えて、更に本件契約が更新されるものと期待することの合理的な理由がある旨主張する。
しかしながら、上記①の点について、特例延長制度(就業規則11条2項)は、Y社の会長がやむを得ないと認めた場合に適用されることとされていることが認められ、当然に特例延長制度が適用されるものではなく、特例延長制度があることが直ちに本件契約の更新への合理的期待を基礎付けるものとは認め難い

更新回数の条件を予め設定していたケースです。

これと似て非なるものとして、5年ルール適用直前になって、突如として上限設定を設ける場合には、既に更新の期待権が発生しているため、そう簡単にはいきません。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。