継続雇用制度31 人件費削減の必要から嘱託社員の雇止めは認められるか?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、定年後有期雇用契約を2回更新した元社長補佐に対する更新拒絶の適法性に関する裁判例を見てみましょう。

テヅカ事件(福岡地裁令和2年3月19日・労判1230号87頁)

【事案の概要】

本件は、いわゆる定年後の継続雇用としてY社との間で雇用期間を1年とする有期の雇用契約を締結し、複数回の契約更新をしていたXが、雇用契約が更新されると期待することに合理的理由があったにもかかわらず、Y社がこれを拒絶し、そのことについて客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上も相当でないと主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認するとともに、民法536条2項に基づき、更新拒絶の後の給与支払日である平成30年4月から本判決確定の日まで毎月25日限り従前と同一の労働条件である賃金41万7000円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 本件継続雇用制度の運用実態を前提とすると、本件継続雇用制度に基づき継続雇用されていたY社の従業員は、更新することができない何らかの事情がない限り、契約期間の満了時に、満65歳に至るまでは更新されると期待し、そのことについて合理的理由があると認めるのが相当であり、それはXも例外ではないというべきである。

2 Y社において人件費削減の必要性がないとはいえないとしても、平成29年3月頃以降に業績不振に直面した後、人件費削減以外の方策としてどのような対処が考えられるのか、人件費削減による賃金削減により被る不利益の程度をどう抑制するのかなど、経営再建を図るために必要な経営合理化策と解雇や雇止めを可及的に回避するために採るべき措置を具体的に検討した形跡は証拠上認められない

3 現時点(当審の口頭弁論終結日)では、次の更新があるかどうか、又はその更新後の本件雇用契約に基づく賃金額は未確定であるといわざるを得ず、令和2年3月21日以降にも本件雇用契約が当然に存続し、かつそれに基づく賃金額も定められているとは認められない。したがって、Xの賃金請求については、本判決を言い渡す口頭弁論期日が本件雇用契約上の最後の賃金締日である同月20日の前日である同月19日に指定されていることに鑑み、本件雇用契約に基づく最後の賃金支払日である令和2年3月25日を終期として認める限度で理由があり、上記の終期にかかわらず本判決確定の日までの賃金の支払を請求する部分は理由がない

有期雇用契約の場合であっても、正社員同様、整理解雇の場合には、4要素を考慮してその是非を判断する必要があります。

解雇(雇止め)回避努力が不十分な場合には、本件同様の結論となってしまいます。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。