Daily Archives: 2022年11月18日

解雇375 整理解雇が有効と判断された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、整理解雇が有効と判断された事案を見ていきましょう。

コスモバイタル事件(東京地裁令和4年3月2日・労判ジャーナル126号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と期間の定めのない雇用契約を締結して就労していたXが、Y社に対し、Y社による整理解雇は無効であるなどと主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、未払賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件解雇は、いわゆる整理解雇であるところ、Y社は設立以来一貫して赤字が続いており、Y社の経営状況は極めて厳しいものであったということができ、そして、金融機関及び既存の株主からの新たな融資も見込めない状況であったのであるから、本件研究所の閉鎖及び人員削減について高度の必要性があったと認められ、また、Y社は、本件解雇を行う以前に、東京支社の従業員に退職勧奨を行い人員を削減したほか、役員らの報酬を減額するなど、相応の解雇回避努力を尽くしたということができるし、本件研究所を閉鎖して調理器具の開発・製造を断念する以上、本件研究所で業務に従事していたXらを解雇の対象とすることについても合理性があり、さらに、Y社は、本件解雇の日よりも20日以上前に、Xに対し、経営不振により本件研究所の閉鎖及び解雇になる旨伝えているところ、より丁寧にY社の経営状況を説明する余地はあったものの、Y社が5億円の赤字を計上した旨は説明しており、加えて、Xは、本件研究所において多額の開発費を要していたことを把握できる立場にあったこと、Xらの今後の処遇について一定の配慮を示していることを踏まえると、本件解雇の手続が不当であるとまではいえず、以上の事情を総合考慮すると、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でないとはいえないから、本件解雇は有効である。

一般論としては、整理解雇は労働者に帰責性のない解雇のため、要件はとても厳しいですが、本件のような事情があれば、裁判所も有効と判断してくれます。

解雇をする際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。