Daily Archives: 2023年10月23日

退職勧奨21 辞職の意思表示と自由な意思(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、辞職の意思表示と自由な意思に関する裁判例を見ていきましょう。

栃木県事件(宇都宮地裁令和5年3月29日・労判ジャーナル137号18頁)

【事案の概要】

本件は、栃木県の元職員Xが提出した退職願に基づき、栃木県知事がXに対し辞職承認処分をしたことについて、Xが、栃木県に対し、本件退職願に係る辞職の意思表示は錯誤により無効であり、又は、詐欺を理由として取り消され、そうでなくとも、Xの自由な意思に基づかないものであるから、これを前提としてなされた本件処分は違法であると主張して、その取消しを求めるとともに、栃木県の職員がXに対し違法に退職を強要したと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金110万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

辞職承認処分取消請求認容

損害賠償請求棄却

【判例のポイント】

1 本件退職願について、人事チームのリーダーのA及び次長であるBは、本件面談の際、Xが仕事を休むことで、他の職員等に迷惑が掛かっており、仕事をしないXに給与が支給されることに対し納税者たる県民の理解が得られないのではないかなどと、Xに対する消極的な事情を畳みかけるように告げ、さらに、県職員は向いていないという見方もできるとして、Xの適性にまで踏み込んで肯定的ではない評価を述べた上で、Xがそれまで自ら口にしていなかった退職という選択肢を栃木県側から示し、あらかじめ用意していた退職願の様式をその場で交付しているから、たとえAらに退職勧奨の意図がなかったとしても、Xからすれば、退職を勧められていると受け止めても仕方がない状況であったと認められるところ、Xが本件面談時にはあくまで復職を希望していたことや上記経過からすると、退職はXの意に反するものであったといえ、本件面談時の健康状態及び本件面談におけるAらの説明が相互作用したことにより、熟慮することができないまま退職の選択肢しかないという思考に陥った結果、本件退職願を提出するに至ったものと認められるから、本件退職願は自由な意思に基づくものとはいえないから、本件退職願を前提としてなされた本件処分は違法であるから、取り消されるべきである。

退職勧奨ですから、文字通り、退職を勧められているわけです。

労働者がそのように受け止めたからといって、直ちに自由な意思に基づかないとは限らないと思いますが、本件では自由な意思に基づくとは認められませんでした。

退職勧奨の際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。