おはようございます。
今日は、更衣時間の労働時間該当性が否定された事案について見ていきましょう。
西日本高速道路サービス関西事件(大阪地裁令和7年10月30日・労判ジャーナル166号14頁)
【事案の概要】
本件は、Y社に雇用されて高速道路の料金ステーションで勤務するXが、所定始業時間前の制服への更衣時間、更衣室から呼気アルコール検査場所までの移動時間及び呼気アルコール検査時間並びに深夜時間帯の仮眠時間終了前の制服への更衣時間に対する時間外勤務手当が未払であるほか、同仮眠時間終了前の更衣時間に対する深夜勤務手当が未払である旨主張して、Y社に対し、労働契約に基づき、未払割増賃金等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Y社はXに対し、Y社の指定する制服を着用して業務を行うよう指示していたものの、料金ステーションの更衣室において制服に着替えることを義務付けていたとは認められず、Xが所定始業時間前の更衣時間においてY社の指揮命令下に置かれていたものと評価することはできないから、所定始業時間前の更衣時間が労働時間に当たるとはいえない。
2 仮眠時間終了前の更衣時間の労働時間性について、Y社は、休憩時間中、Xを就業を命じた業務から解放して社会通念上休憩時間を自由に利用できる状態に置けば足りるものと解されるから、休憩時間中における制服の着脱等に要する時間は、特段の事情のない限り、労働時間に該当するとはいえないというべきであるところ、本件における仮眠時間終了前の更衣時間についてみるに、料金ステーションのスタッフが着用する制服は、上衣がシャツとファスナ一付きのブルゾン、下衣が長ズボンというものであって、社会通念上、これらを着用した状態では休憩時間を自由に利用できないとはいえず、その着脱に要する時間もごく短時間であると考えられるから、本件において、上記特段の事情は認められず、仮眠時間終了前の更衣時間が労働時間に当たるとはいえない。
3 所定始業時間前の更衣室での更衣時間は労働時間に当たるとはいえないから、更衣室から呼気アルコール検査場所への移動時間についても労働時間に当たるとはいえず、所定始業時間前の労働時間として認められるのは、呼気アルコール検査の所要時間1分のみであるが、呼気アルコール検査の所要時間を加味しても、所定時間外の労働時間の切り捨て処理により、追加で支払われるべき時間外勤務手当は発生しない。
上記判例のポイント1によれば、自宅から制服で通勤することも認めていれば、更衣時間の労働時間該当性は否定されることになりますね。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。