Author Archives: 栗田 勇

賃金63(P社事件)

おはようございます。

さて、今日は女性グラフィックデザイン従業員による割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

P社事件(東京地裁平成24年12月27日・労判1069号21頁)

【事案の概要】

本件は、Y社で稼働していたXが、2年分の時間外労働等に対する割増賃金及び付加金、不法行為(男女差別、昇給差別及び賞与の不当カット)に基づく損害賠償としての差額賃金相当額等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社に対し、約800万円の未払い残業代の支払いを命じた

Y社に対し、800万円の付加金の支払いを命じた

【判例のポイント】

1 労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間をいい、この労働時間に該当するか否かは、使用者の指揮命令下におかれているか否かにより客観的に定まるところ、使用者には、労働者の労働時間を適正に把握する義務が課されていると解されることからすれば、本件のように使用者がタイムカードによって労働時間を記録、管理していた場合には、タイムカードに記録された時刻を基準に出勤の有無及び実労働時間を推定することが相当である。ただし、上記推定は事実上のものであるから、他により客観的かつ合理的な証拠が存在する場合には、当該証拠により出勤の有無及び実労働時間を認定することが相当である

2 本件の請求期間におけるXの退勤時刻は、基本的にはタイムカード記録時刻により、それを超えてXが労務を提供していたことを認めるに足りる客観的な証拠がある場合はそれにより認定することが相当である。具体的には、Xのパソコン上のデータ保存記録(タイムスタンプ)及びメール送信記録に照らし、タイムカード記録時刻ではなく、最終のデータ保存時刻又はメール送信時刻(ただし、X主張の退勤時刻がそれよりも前である場合は、X主張の退勤時刻)に退勤したものと認めることが相当である

3 本件において、Xの休憩時間を直接に示す客観的な証拠はないから、間接事実及び経験則により、休憩時間の概ねの傾向を推認するほかはない。
この点、Xは、担当していた業務量からいって、少なくとも他従業員の2倍の労働時間が必要であった等として、平日勤務における休憩時間を0、休日勤務における休憩時間を30分から1時間と主張し、証拠中にはこれに沿う部分がある。しかし、1年10か月に及ぶ請求期間を通じて、ほとんど休憩を取らずに1週間に100時間近い実労働(1週当たり60時間程度の時間外労働)に連続して従事するなどということはおよそ不可能であるし、Y社における業務内容にかんがみれば、労基法上義務づけられている休憩時間すら取得できないほど業務が過密であったり、即時対応のための待機を強いられたりしていたとは認めがたい。結局、労基法上義務付けられている程度の休憩は取得していたものとして、拘束時間が6時間を超えて8時間45分までであれば45分の、8時間45分を超えていれば1時間の休憩時間があったものと認めることが相当である

労働時間の考え方について裁判所の考え方がわかりやすく記載されていますので、参考にしてください。

付加金がほぼ満額認められていますね。 えらい金額になっています・・・。

経営者のみなさん、労働時間の管理はちゃんとしておきましょう。 義務ですので。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介225 覚悟の磨き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!
__←先日、いつもお世話になっている社長と一緒に「焼肉・ホルモン六番町」に行ってきました。

写真は、「上ロース」です。

ここのロースは、赤身と脂のバランスが秀逸です。

カルビではなく、あえてロースです。

秀逸と言わざるを得ません。

今日は、午前中は、証人尋問の最終準備をします。

午後は、証人尋問です。

夕方から、月一恒例のラジオ出演です。

夜は、裁判の打合せが1件と新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰 (Sanctuary books)

吉田松陰の言葉を紹介している本です。

吉田松陰は、30歳という若さで亡くなりました。

大学受験で勉強した範囲程度のことしか吉田松陰のことを知りませんでしたが、この本を読んでもう少し詳しく彼の生き様を知りたいと思うようになりました。

早速、本を注文しました。 「大和魂」とはどういうものなのかを心から学びたいと思います。

自分の不甲斐なさを感じ、自分を鼓舞するには、とても良い本だと思います。 おすすめです!

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

反求諸己。『すべての問題の根本は自分の中にある』 どれだけ大きな計画であっても、物事を動かす基本はここにあります。計画がうまくはかどらずに悩んだときは、外部に答えを求めることなく、『まず自分はどうあるべきなのか』 雑音から距離を置いて、ひとり静かに考えてみましょう。」(38頁)

「反求諸己」という故事成語は、「反りて諸を己に求む」という意味だそうです。

最近、よくこのブログにも書くことですが、人生は本当に短いですし、いつ終わるのかわかりません。

大それたことはできませんが、自分の仕事を通じて、少しでも誰かの役に立つことができたなら、生きている意味があったと自分で感じることができます。

私は、以前から、「人はいつ死ぬかわからない」という気持ちを強く持っています。

やるべきことをやり遂げて、人生を終わりたいという気持ちで、毎日、仕事をしています。

「まず自分はどうあるべきなのか」ということを考えたときに、私の答えは、「自己犠牲を惜しまず、力尽きるまでやるべきことをやる」ということです。

私の「やるべきこと」とは、弁護士という仕事を通じて、一人でも多くの困っている方の力になる、ということです。

みなさんは、「自分はどうあるべきなのか」と問われたときに、どのように答えますか?

不当労働行為69(東和交通事件)

おはようございます。 

さて、今日は、タクシー会社労組分会長および組合員に対する出勤時間変更指示と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

東和交通事件(愛知県労委平成25年3月18日・労判1068号92頁)

【事案の概要】

平成22年2月、X組合は、Y社に春闘要求書を提出して、団交を申し入れた。Y社とX組合は、4回の団交を開催した。

Y社は、平成22年8月度にタクシー台数を167台から160台に、23年2月度から151台に減車したことに伴い、乗務員の勤務体系の変更を行うこととした。

Y社は、A分会長およびC組合員に対して、昼間の出勤への変更指示を行った。

なお、タクシー乗務は、昼間より夜間のほうが収益率がよく、A分会長およびC組合員は、従前、主として夜間に乗務していた。

【労働委員会の判断】

A分会長およびC組合員に出勤時間変更を指示したことは不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 ・・・この指示は出勤時間の変更を命じるものであるから、労働時間の変更であるといえる。また、Y社は、同月度以前と比較して格別の不利益があったわけではないことは明らかであると主張するが、歩合給の基礎となる給与対象営収額が減収となっていることが認められ、本件出勤時間変更指示は賃金の減少を招くものであり、不利益性が認められる

2 Y社は、・・・乗務員の勤務体系を変更する必要があったものといえる。また、・・・会社は、X組合等に対し、勤務体系の確認及び周知徹底を目的とする説明会の開催通知をしていることが認められ、手続的に問題があるとはいえない。

3 しかしながら、同月度の異動の基準について、Y社は、最低補償額の支給対象となる月間営収額が低い者を異動の対象としたと主張し、その根拠として平成23年1月度の営収順位表のみを示しているが、本件出勤時間変更指示が同月度満了以前の13日及び14日に行われたことからすると、同月度の営収順位に基づき異動対象者を人選したとは認め難い

整理解雇の場合もそうですが、会社とすれば、それなりの理由から、人選をするわけですが、「それなりの理由」に客観的合理性が認められない場合には、恣意的な人選と評価されてしまいます。

過去の裁判例から、どのような点を裁判所が評価しているのかをチェックしてみるといいと思います。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介224 大好きに生きろ!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

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←先日、鷹匠の「ARIYOSHI」に行ってきました。

写真は「宮島産 活ムール貝のシャンパン蒸し」です。

あっさりしていて、何個でも食べられます。

貝好きには、たまりません。おいしゅうございました。 

今日は、午前中は、離婚調停が入っています。

午後は、不動産に関する裁判が1件、新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

 大好きに生きろ!

これまでも何度か紹介をしてきていますが、東進ハイスクールの古文講師の吉野先生の本です。

吉野先生の本は、学ぶことがたくさんあります。 

仕事や生き方に対してストイックなところが、とても共感できます。

もっとも、プロとしては、当たり前のことだと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

おまえら、ものわかりのいいふりなんかしないで、カネにこだわれよ。そのまんまじゃずっと二流だよ。どんどん落ちていくよ。自分をぎりぎりまで追いつめて、厳しい顔して生きろよ。そうじゃないと浅い人間のまんまだよ。・・・がんばることはかっこ悪い。一生懸命はみっともない。ギラギラしてるのはダサい。そんな空気が日本中にはびこっている。だから、裸一貫で会社を立ち上げるより、そこそこの会社に使われてればいいなんて考える。野心のない人間ばっかりだ。おれはそんなヤツと話して理想論を語られるとあくびが出る。」(93頁)

 こういう感じ、大好きです(笑)

確かに、私の周りを見渡しても、「お!この人、ギラギラしてるな~」と思うことはほとんどありません。

反面、仕事を一生懸命やっている人はいっぱいいます。

プロ野球の球団をつくりたいと言っている同世代の社長もいます。

この社長は、きっとやり遂げると思います。 だから、応援しているのです。

今、私は、34歳ですが、この先、いつまで全力で仕事ができるかわかりません。 そもそもいつまで生きられるかわかりませんので。

Life is short.  Time is money.

これからも、やるべきことに注力し、自分の役割を果たしていきたいと思います。

解雇107(第一興商(本訴)事件)

おはようございます。

さて、今日はパワハラで視覚障害発症、休職期間満了後の自動退職の効力に関する裁判例を見てみましょう。

第一興商(本訴)事件(東京地裁平成24年12月25日・労判1068号5頁)

【事案の概要】

Xは、Y社の正社員として勤務していたところ、上司等から仕事を与えられず、嫌がらせを受けたり暴言を浴びせられるなどした上、精神的に追い込まれて視覚障害を発症し、休職に追い込まれた結果、休職期間満了により自動退職という扱いになった。

Xは、①同視覚障害は、業務上の傷病に当たり、その療養期間中にXを自動退職とすることは労基法19条1項により無効であるとか、②Xは、休職期間満了時点で復職可能な状況にあったなどと主張して、Y社に対し、雇用契約上の地位確認並びに不当に低い評価を受けていた期間中の差額賃金及び上記自動退職後の賃金の支払いを求めるとともに、Y社にはその従業員らによる不法行為を漫然と放置したなどの安全配慮義務、不法行為があると主張して、Y社に対し、損害賠償を請求した事案である。

【裁判所の判断】

本件自動退職は無効

【判例のポイント】

1 ・・・以上のとおり、Xの供述内容には、全般的に疑問な点が多い。XがB課長やC課長らの暴言等を他部署の者、時には社外の者に訴え、その中で詳細にその言動の内容が記載されていることを考慮しても、X供述が客観的な裏付けを欠いていること、供述内容自体に合理性にが欠けていること、他の証拠との整合性がないことなどに照らすと、Xの供述についてはにわかにこれを信用することができないというべきである。
このように、Y社従業員(上司等)から継続的に暴言を浴びせられたり、嫌がらせを受けた旨のXの供述については信用することができず、他に、Xの主張を認めるに足りる的確な証拠は存しないというべきである。したがって、X主張にかかるY社従業員(上司ら)による不法行為の事実については、これを認めることができない。

2 労基法19条1項において、業務上の傷病により療養している者の解雇を制限している趣旨は、労働者が業務上の傷病の場合の療養を安心して行うことができるようにすることにある点からすれば、同項にいう「業務上の傷病」とは、労働災害補償制度における「業務上の傷病」、すなわち同法75条にいう業務上の傷病及び労働者災害補償保険法にいうそれと同義に解するのが相当である(東京高裁平成23年2月23日判決)。
そして、労災保険法にいう業務上の傷病とは、業務と相当因果関係のある疾病であると解されるところ(最高裁昭和51年11月12日判決)、同制度が危険責任の法理を基礎とするものであることからすれば、当該傷病の発症が当該業務に内在する危険の現実化と認められることを要するというべきであるところ、上記危険性については、その性質上、個々の労働者を基準として個別に判断すべきではなく、一般労働者を基準として客観的に判断されるべきものと解される

3 本件休職期間満了時点(平成22年1月6日時点)において、Xの休職事由が消滅していたか、すなわち、就業規則16条、18条に即していえば、休職の理由となった疾病が治癒し、通常の勤務に従事できるようになったかについて、以下、検討する。
・・・このように、労働者が、職種や業務内容を特定することなく雇用契約を締結している場合においては、現に就業を命じられた特定の業務について労務の提供が十全にはできないとしても、その能力、経験、地位、当該企業の規模・業種、当該企業における労働者の配置、異動の実情及び難易等に照らし、当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、その提供を申し出ているのあれば、なお債務の本旨に従った履行の提供があると解するのが相当である(最高裁平成10年4月9日判決)。
また、休職事由が消滅したことについての主張立証責任は、その消滅を主張する労働者側にあると解するのが相当であるが、使用者側である企業の規模・業種はともかくとしても、当該企業における労働者の配置、異動の実情及び難易といった内部の事情についてまで、労働者が立証しつくすのは現実問題として困難であるのが多いことからすれば、当該労働者において、配置される可能性がある業務について労務の提供をすることができることの立証がなされれば、休職事由が消滅したことについて事実上の推定が働くというべきであり、これに対し、使用者が、当該労働者を配置できる現実的可能性がある業務が存在しないことについて反証を挙げない限り、休職事由の消滅が推認されると解するのが相当である

4 これを本件についてみるに、Xは、本件休職命令後、視覚障害者支援センターに通学して・・・主治医であるD医師やI医師は、いずれも視覚障害者補助具の活用により業務遂行が可能である旨の意見を述べているところ、上記各医師の意見を排斥するに足りる証拠をY社は提出していない
・・・Xは、本件休職期間満了時点にあっても、事務職としての通常の業務を遂行することが可能であったと推認するのが相当である。

休職期間満了による退職処分と労基法19条との関係が争点となっています。

最近、この争点をめぐる裁判をよく見かけます。

使用者側のみなさんは、上記判例のポイント3を是非、参考にしてください。

裁判所の判断傾向を知っているだけで、とるべき対応策も変わってきますので。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介223 法則の法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。3連休も終わり、また一週間が始まりました。今週もがんばっていきましょう!
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←先日、常磐町の「くりた」に行ってきました。

写真は、「鱧の薄造り」です。

ここの親方は、私と同級生、しかも同姓ということもあり、応援しています。

また、京料理がベースとなっており、大学時代、大学院時代、ずっと京都で過ごした私としては、懐かしい味です。

親方、また行きますね。

今日は、午前中は、交通事故の裁判が1件、裁判の打合せが1件入っています。

午後はずっと外部の法律相談です。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は本の紹介です。

法則の法則―成功は「引き寄せ」られるか

巷に溢れているさまざまな法則を取り上げて、著者の意見が述べられています。

「引き寄せの法則」「原因と結果の法則」「正負の法則」「鏡の法則」「そ・わ・かの法則」「ランチェスターの法則」「80対20の法則」「パーキンソンの法則」「ハインリッヒの法則」「マーフィーの法則」・・・

本当にたくさんの法則が世の中にはありますね。

よく考えるものです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

まずは、自分を産んでくれた親に感謝すること。これが『第一法則』。そして、世のため人のために志を立てること。これが『第二法則』。この二つこそ、あなたが幸福になる二大法則であり、究極の成功法則であると、わたしは思います。」(232頁)

シンプルでわかりやすいですね。

私が普段、行動指針の一つとしているのは、自分の親の気持ちです。

「親が喜んでくれそうなことは、『やる』 親が悲しみそうなことは、『やらない』」

というものです。

父、母が喜ぶ顔を見るのは、子どもとしては、本当にうれしいものです。

私が、弁護士という職業を通じて、困っている方の力になることは、きっと父も母も喜んでくれると思います。

普段、忙しくてなかなか実家に帰ることができず、また、それほど頻繁に電話をするわけでもありません。

でも、心の中で両親が喜ぶ姿を思い浮かべて、日々、仕事をしています。

父も母も、今は元気ですが、いつか必ず別れの日が来ます。

その日が来ることを考えると、このブログを書きながら、涙が出そうになります。

一人でも多くの困っている方の力になることで、社会の役に立つことが、ここまで育ててくれた両親への恩返しになると信じています。

有期労働契約40(医療法人清恵会事件)

おはようございます。 今週も1週間お疲れ様でした。た。

さて、今日は、有期転換後の再雇用契約における雇止めの有効性に関する裁判例を見てみましょう。

医療法人清恵会事件(大阪地裁平成24年11月16日・労判1068号72頁)

【事案の概要】

Y社は、病院および診療所の設置、運営等を目的とする医療法人である。

Xは、Y社との間で、昭和53年9月21日付で期間の定めのない雇用契約を締結し、それ以降、Y社の本部ビルにおいて事務職員として勤務していた。なお、Xは、社労士資格の保有者である。

Xは、平成22年3月18日付(定年年齢60歳到達前)で本件再雇用契約を締結した。

Y社は、平成22年12月29日、Y社から本件再雇用契約を更新しないと伝えられた。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 ・・・Xは、当然のことながら、本件再雇用契約が1年間で終了することは想定しておらず、定年年齢である60歳、さらには定年後の再雇用に至るまで契約が更新されることを期待していたことは明らかであり、Y社もXのそのような期待を十分認識した上で本件再雇用契約書の文言を調整した上で調印に至ったものと認められる。
・・・以上のとおり、本件再雇用契約は、単に、簡易な採用手続により、1年間の有期雇用契約に基づいて補助的業務を行う従業員を新規に採用するような場合とは全く異なり、長年にわたって期間の定めのない雇用契約に基づいて基幹業務を担当していたXと使用者たるY社との間で、双方の事情から、期間の定めのない雇用契約を一旦終了させ、引き続き1年毎の有期雇用契約を締結したものであり、契約更新が行われることを前提とする文言が入った本件再雇用契約書を交わしていることからすれば、Xの契約更新への期待は、客観的にみて合理的な期待であるといえるから、本件再雇用契約を雇止めにより終了させる場合には、解雇権濫用法理が類推適用されるというべきである

2 ・・・以上のとおり、Xの業務量の減少については、その事実自体疑わしい上、仮に事実であったとすれば、Y社では、他の従業員について時間外労働が生じていたのであるから、Y社において適切な業務分担を指示すべきだったといえるのであって、このことが、本件雇止めの合理的理由になるとはいい難い

3 本件雇止めが不法行為に当たるかという点について検討すると、雇止め自体は、期間の定めのある雇用契約を期間満了により終了させ、契約を更新しないということに過ぎないから、たとえ解雇権濫用法理の類推適用により当該雇止めが無効とされ、結果として契約更新の効果が生じたとしても、そのことから直ちに当該雇止め自体が不法行為に該当するような違法性を有するものであったと評価されるものではない。また、仮に当該雇止めが不法行為であると判断される場合であっても、当該不法行為により労働者に生じる損害は、雇止め後の賃金を失うことによる経済的損害であるから、当該雇止めが無効と判断され、当該雇止め後の賃金請求権の存在が確定すれば、原則として労働者の損害は填補されることとなる
そうすると、雇止めを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求が認められる場合とは、当該雇止めについて、雇止めの違法性を根拠付ける事情があり、かつ、雇止め後の賃金の支払いによって填補しきれない特段の損害が生じた場合であると解される。
これを本件についてみると、・・・証拠上、Y社がそのような違法な目的で本件雇止めを行ったとまでは認定することができない。

 有期雇用については、これまでにも多くの裁判例が出されていますが、通常の解雇の場合と同様の配慮が必要になってきますので、注意が必要です。

また、雇止めが無効であったとしても、当然に損害賠償請求が認められるわけではないことも、解雇の場合と同様です。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介222 100%(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

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←先日、いつもお世話になっている経営者の方と、ホテルセンチュリー内の「花凜」に行ってきました。

終始、お上品なお味でございました。

おいしゅうございました。

今日は、午前中から名古屋の会社へ訪問します。

夕方から、事務所で裁判所の打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

 

さて、今日は本の紹介です。
100%

タイトルのとおり、100%力を出し切ることの大切さを教えてくれています。

あっという間に読めてしまいます。

素晴らしい本です。 こういう本、大好き!!

また、付録として、著者の講演が収録されたCD-ROMが付いています。これもまたいい!! 

夢や目標を必ず実現する方法がこの本を読むとわかります。

超おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今の人生は自分の選択の結果だということを認めて、初めて違う人生を選ぶことができる。」(74頁)

何よりも成功の原因になるのは、100%の行動である。90%は10%同然だ。100%やるから奇跡が起こる。家族においても、恋愛においても、運動においても、ビジネスにおいても、趣味においても、すべてが同じである。100%は、すべての夢を叶えてくれる『たったひとつの原則』なのだ!」(334頁)

自分にふりかかるすべてのことは、自分の選択の結果であると考えて、初めて今までとは違う人生を選択することができる、という考え方には、とても共感を覚えます。

今、自分が置かれている状況は、他人のせいでも、不景気のせいでもなく、1つ1つの小さな自分の選択の結果であると。

このように考えることができると、自分の選択如何によって、全く異なる人生を送ることも可能になってくるのではないでしょうか。

だって、選択可能なんだから。

他人のせい、不景気のせいと言っているうちは、自分ではどうにもできないことが原因と考えているのですから、選択不可能です。

つまり、「運が悪かった」とか「ついてない」とか「あいつが悪い」と言っているうちは、自分の不甲斐なさから抜け出すことはできないのではないでしょうか。

まずは、すべての事柄について自分の選択の結果だと受けとめる。 

そこから人生を変えていくしかないのです。

不当労働行為68(社会福祉法人ひまわりの会事件)

おはようございます。

さて、今日は、委員長の責任者解任と減給及び配置転換と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

社会福祉法人ひまわりの会事件(神奈川県労委平成25年2月1日・労判1068号95頁)

【事案の概要】

労働組合の委員長であったXは、施設長と言い争いをしたため、Y社は、Xに対して「注意喚起書」を発した。

Y社は、その後、Xに対し、施設長と良い争いをしたことなどを理由に、責任者の職責を解任し、減給処分とする旨通知した。

また、Y社は、Xを生活相談員から運転手業務に配置転換した。

【労働委員会の判断】

委員長の責任者解任、減給処分、配置転換はいずれも不当労働行為に該当する

【命令のポイント】

1 Xは、本件処分により責任者会議及び主任会議への出席がかなわなくなったことに伴い、生活相談員としての業務にも関わる法人の運営状況を確認する機会や入居者への対応を検討する場を失うこととなったのであるから、職務上の不利益を受けているといえる。
また、本件処分により、責任者手当として支給されていた職務手当4000円の支給が平成23年4月以降停止されており、Xには経済上の不利益が認められる

2 本件配置転換は、相談業務からデイサービスの送迎を中心とする運転手業務という職務内容の変更を伴う異動であり、Xにとっては、それまでの経験や技能をほとんど活かすことができない業務に就くという点において、職務上の不利益が認められることは客観的に明らかである。また、介護支援専門員の資格を取得するなどして、生活相談員として担当業務に取り組んできた同人が精神的苦痛を被ることは容易に推測できるところであり、精神上の不利益も認められる
・・・法人における運転手業については、本件配置転換の前は嘱託職員等の非正規職員が従事してきており、本件配置転換により正規職員に担当させなければならない具体的な必要性を窺わせる事情は認められない。したがって、本件配置転換は、業務上の具体的必要性や人選の合理性に疑問があるだけでなく、手続の相当性も欠落しており、その合理性を認めることはできない

3 以上から、本件処分及び本件配置転換は、組合員であること又は正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱いに当たる。

配転命令は、使用者に広い裁量が認められていることから、訴訟でその有効性を争う場合、労働者側とするとかなりハードルが高いです。

これに対し、本件のように労働委員会において不当労働行為性を争う場合には、訴訟ほどハードルは高くないような気がします。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介221 負けかたの極意(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
負けかたの極意

監督生活24年、1565勝1563敗のノムさんの本です。

先日も野村監督の本を紹介しましたが、今回もまた「負け方」についての本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『自分はまだまだ』と思えば、『もっとやらなければいけない』と素直に考えるようになるだろう。中国の『書経』にこういう言葉がある。『満は損を招き、謙は益を受く』 満足すれば妥協を呼び、妥協を呼べば進歩も止まるが、謙虚な気持ちを忘れなければ、多くの疑問が生まれ、もっと高みを目指して努力するようになる。そう、失敗や負けは、謙虚さとともにさらなる意欲を引き出すことにもなる。」(56頁)

さすが野村監督。 いいこと言いますね。

失敗や負けを次につなげるためには、そこから何かを学ぶ必要があります。

敗因は何か、それを修正するためにはどうしたらよいか・・・

言ってしまえば、毎日が弱い自分との戦いです。

生きている間、常に少しずつ向上していたいと願うのは、自然なことだと思います。

日々、少しずつ向上するためには、まさに今、目の前に置かれている課題から何を学べるかということに尽きるのではないでしょうか。

人間はいつか必ず死にます。 Life is short.

死ぬ直前まで向上したいと願いつつ、今日も必死に生きようと思います。