不当労働行為68(社会福祉法人ひまわりの会事件)

おはようございます。

さて、今日は、委員長の責任者解任と減給及び配置転換と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

社会福祉法人ひまわりの会事件(神奈川県労委平成25年2月1日・労判1068号95頁)

【事案の概要】

労働組合の委員長であったXは、施設長と言い争いをしたため、Y社は、Xに対して「注意喚起書」を発した。

Y社は、その後、Xに対し、施設長と良い争いをしたことなどを理由に、責任者の職責を解任し、減給処分とする旨通知した。

また、Y社は、Xを生活相談員から運転手業務に配置転換した。

【労働委員会の判断】

委員長の責任者解任、減給処分、配置転換はいずれも不当労働行為に該当する

【命令のポイント】

1 Xは、本件処分により責任者会議及び主任会議への出席がかなわなくなったことに伴い、生活相談員としての業務にも関わる法人の運営状況を確認する機会や入居者への対応を検討する場を失うこととなったのであるから、職務上の不利益を受けているといえる。
また、本件処分により、責任者手当として支給されていた職務手当4000円の支給が平成23年4月以降停止されており、Xには経済上の不利益が認められる

2 本件配置転換は、相談業務からデイサービスの送迎を中心とする運転手業務という職務内容の変更を伴う異動であり、Xにとっては、それまでの経験や技能をほとんど活かすことができない業務に就くという点において、職務上の不利益が認められることは客観的に明らかである。また、介護支援専門員の資格を取得するなどして、生活相談員として担当業務に取り組んできた同人が精神的苦痛を被ることは容易に推測できるところであり、精神上の不利益も認められる
・・・法人における運転手業については、本件配置転換の前は嘱託職員等の非正規職員が従事してきており、本件配置転換により正規職員に担当させなければならない具体的な必要性を窺わせる事情は認められない。したがって、本件配置転換は、業務上の具体的必要性や人選の合理性に疑問があるだけでなく、手続の相当性も欠落しており、その合理性を認めることはできない

3 以上から、本件処分及び本件配置転換は、組合員であること又は正当な組合活動をしたことを理由とする不利益取扱いに当たる。

配転命令は、使用者に広い裁量が認められていることから、訴訟でその有効性を争う場合、労働者側とするとかなりハードルが高いです。

これに対し、本件のように労働委員会において不当労働行為性を争う場合には、訴訟ほどハードルは高くないような気がします。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。