Author Archives: 栗田 勇

労働者性7(サンランドリー事件)

おはようございます。

さて、今日は、代表取締役であった者の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

サンランドリー事件(東京地裁平成24年12月14日・労経速2168号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の代表取締役であったXが、Y社に対し、自身のY社における従業員性(労働者性)を主張して、退職金及び未払賃金等を請求した事案である。

Y社は、衣類の洗濯等を業とする株式会社であり、その株式の75%を現代表取締役であるAが保有している。

【裁判所の判断】

労働者性を否定

【判例のポイント】

1 従業員性の有無については、一般的には、主に、使用者との間の使用従属関係の有無により判断されるべきものと解され、具体的には、業務遂行上の指揮監督の有無、拘束性の有無、対価として会社から受領している金員の名目・内容及び額等の他の従業員との同質性及びそれについての税務上の処理、取締役としての地位及びその具体的な担当職務、その者の態度・待遇や他の従業員の意識、雇用保険等社会保険の適用の有無、服務規律等の適用の有無等の事情を総合考慮して判断すべきと解される

2 もっとも、本件では、XがY社の代表取締役であった期間中におけるXの従業員性が問題となっているところ、代表取締役が、法令上株式会社を代表として内部的及び外部的に業務執行に当たる会社の機関であり、その代表権の範囲が会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為に及ぶ包括的なものであることからすれば、代表取締役の地位は、原則として、使用者の指揮命令下で労務を提供する従業員の地位とは理論的に両立するものではなく、実質的にこれと両立していると解すべき特段の事情のない限り、代表取締役が従業員としての地位を兼務するということはできないというべきである

3 そこで、以下、かかる特段の事情の有無を検討すると、・・・(1)Xの勤務時間は、Y社の所定就業時間とは大きく異なっていた上、Xは他者から勤務時間管理を受けていなかったこと、(2)Xの報酬の内訳は、役員報酬のみで、諸手当等の支給はなく、その額についても、代表取締役就任当初は従前の給与額と大きな変更はなかったものの、その2、3年後には自身及び実母の都合により大幅に増額しているものであって、他の従業員給与の構成や昇給態様とは著しく異なっていると評価できること、(3)Xは代表取締役就任と同時に雇用保険の被保険者資格喪失手続をとっており、以後同保険に再び加入することはなかったこと、(4)Xの業務は、日常的に現業業務を行う一方で、Y社を代表して、従業員の採用、金融機関からの借入れ、従業員に対する懲戒の趣旨による降格処分等を行っており、その中には、Aに対する報告ないしはその了承を経ていないものも相当程度含まれていたこと、がそれぞれ認められ、これらのことに鑑みれば、Xは、他の従業員とは著しく異なる態様でY社において勤務し、経営に関する広範な権限を保有し、これを行使していたものと認められるのであって、Xには、代表取締役の地位と従業員の地位とが両立していると解すべき特段の事情は存しないというべきである。

本件では、代表取締役の労働者性が争われました。

よほどの事情がない限り、認められないことは明らかです。

ファイティングスピリットは素晴らしいです。

一般的に労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介200 運をつかむ技術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 今週も一週間、お疲れ様でした。
__←先日、久しぶりに安東の「うなぎ亭」に行ってきました

写真は、「うな重 特上」です。

ベストは、うなぎでごはんが見えない状態ですが、やむを得ません。

このお店よりCPの高いうなぎ屋さんを僕は知りません。

すばらしいお店です。

今日は、午前中は、離婚訴訟が1件と顧問先会社でのセミナーが入っています

午後は、不動産関係の裁判が1件と新規相談が1件、打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
運をつかむ技術: 18年間赤字のハウステンボスを1年で黒字化した秘密

HIS会長、ハウステンボス等の社長の澤田さんの本です。

いろんな会社の社長や会長です。

難問にチャレンジすることこそ生きがいなんだと思います。

勉強になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・だが、繰り返すが、しようとしていることを反対されるとどうしても燃えてしまうのが、私のもうひとつの弱点だ。我ながら、賢くないと思う。難しい案件であればあるほど本気になる。周囲に何か言われると、結局火に油を注ぐことになる。生まれつきのあまのじゃくだ。・・・難問ほど面白い。だからこそ、チャレンジしてみたい。」(75頁)

このくらいの強い気持ちを持っている人と一緒に仕事がしたいです。

難しい案件であればあるほど面白い。

敵が強ければ強いほど燃える。

この感覚というのは、あらゆる仕事で重要なファイティングスピリットだと思います。

新しいことをやるときというのは、「あまのじゃく」精神が必要です。

みんながやらないことをやるのですから、完全にあまのじゃくです。

「あまのじゃく、最高!」という考えが習慣化されている人は、どんどん新しいことをやっていきます。

配転・出向・転籍17(コロプラスト事件)

おはようございます。

さて、今日は退職勧奨後の配転命令の効力に関する裁判例を見てみましょう。

コロプラスト事件(東京地裁平成24年11月27日・労判1063号87頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の営業サポート職(いわゆる営業事務)として勤務していたXが、平成23年7月、埼玉県のA発送センターへ異動を命じられるとともに、業務をカッティングサービス、検品に変更されたことについて、同配転命令は、XがY社からの退職勧奨を拒んだことに対する報復であり、X・Y社間の雇用契約で合意された範囲を超え、権利濫用に当たるものであるから無効であるなどと主張して、XにA発送センターで勤務する義務がないことの確認を求めるとともに、Y社に対し、本件配転命令に伴い減額された差額賃金の支払を請求したという事案である。

【裁判所の判断】

配転命令は有効

【判例のポイント】

1 Xが採用に当たり勤務地が東京であり業務内容が事務職であることを告げられ、以後、東京において事務職として勤務してきたものであるとしても、本件雇用契約が長期間の雇用関係を予定した正社員としての契約であって、職種や勤務場所について限定する旨明確に合意した形跡が認められないことや、Xの職務が、通常の事務職であって格別特殊な技能や資格を要するわけでもないものであることなどの事情に照らすと、本件雇用契約が他業種、他の勤務場所への配転を排除するような職種限定・勤務地限定の雇用契約であると認めることはできない。

2 使用者の配転命令は、長期的な雇用関係を予定した正規従業員に対し使用者の人事権の行使として広く行われることが予定されているというべきである。しかし、特に転居を伴う転勤については、労働者の生活環境に少なからず影響を与えるというべきであるから、使用者としてもこれを無制約に行使できるものではないというべきであり、それが権利の濫用に当たる場合には無効となると解される。すなわち、当該配転命令に業務上の必要性が存しない場合や、業務上の必要性が存する場合であっても、当該配転命令が他の不当な動機をもってなされたものであるとき又は労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときなど、特段の事情がある場合には同配転命令は権利の濫用に当たるものとして無効になる場合があるというべきである。もっとも、ここでいう業務上の必要性とは、余人をもってしては容易に替え難いといった高度の必要性に限定されるものではなく、労働者の適正配置、業務の能率増進、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りはその存在を肯定すべきである(最高裁昭和61年7月14日判決)。

3 ・・・遠距離通勤になることについても、Xが単身で生活しており、要扶養、要介護の親族を抱えているわけでもなく、転居が可能な立場にあったことからすれば、この点を重視することはできない

4 ・・・なお、本件配転命令の経緯については、Xからすれば、それまでXに甘い言動をしていたC本部長が、態度を翻して退職勧奨をし、配転を命じたという点で唐突に感じた面があるかも知れないが、自らの勤務ぶりに対する営業職らからの評判が芳しくなかったことについては察知できたと考えられるし、また察知すべきであったともいえる。また、平成22年11月にはC本部長からも直接厳しい内容の話をされており、自らの勤務態度を省みる機会を与えられていたといえるのであるから、本件配転命令が不意打ちであるということもできない

配転命令については、使用者に広い裁量が認められているので、労働者側からすると、解雇の有効性を争うときに比べてハードルが高くなります。

配転により遠距離通勤となることについては、裁判所はほとんど重視していないようです。

上記判例のポイント3を参考にしてください。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら行いましょう。

本の紹介199 君は、世界がうらやむ武器を持っている(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、スタッフを連れて、「Las Tapas」に行ってきました

写真は、「シャンピニオンとハモンイベリコのオイル煮」です。

定番メニューです。やみつきになります。

今日は、午前中は、家裁での裁判が1件、打合せが1件入っています。

午後は、労働事件等の裁判が2件、顧問先会社の社長との打合せが入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
君は、世界がうらやむ武器を持っている
君は、世界がうらやむ武器を持っている [単行本(ソフトカバー)]

「これからは広い世界に出て行くべきだ」と唱える著者が、「世界に出られないわれわれはどうしたらいいのか?」という質問に答えた本です。

世界に出ないのであれば、徹底的に国内仕様の人間(スーパードメスティック)になるという結論なのですが、さまざまな示唆に富んだ本だと思います。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『世界をよくする』『社会にインパクトを与えたい』『困っている人を救いたい』 志はとても立派だ。しかし、彼らに足りないのは、自分の土台を作り、しっかりと力を蓄えないとそんなことはできないという自覚だ。自らを救えない人間に他人は救えないし、社会にインパクトを与えるためにはそれなりの存在にならないといけない。・・・『日本人の若者の志やよし』と思う。しかし、それから一歩踏み出して『その志を実現させるための力を持て!稼げ!』ともいいたい。」(187頁)

僕のやっているのは慈善事業ではない。経済活動なんだ。こんなに利益を出していることに注目してほしい。儲からないと続かないし、たくさんの人を救い、社会にインパクトを与えることはできない。稼げない人間に世の中は変えられない」(ムハマド・ユヌス氏・ノーベル平和賞受賞者、グラミン銀行設立者)(187頁)

ボランティアで「世界をよくする」、「困っている人を救う」方法を考えるのは、実はそう難しくありません。

これでごはんを食べていこうと思うと、とたんにハードルがあがるのです。

つまり、事業として行うのはとても難しいということです。

慈善事業でやるほうがよほど簡単です。

事業の持続可能性を考えた場合、そこからいかに利益を生み出すかということがキモとなります。

ですから、いいアイデアを生み出すよりも、そこからいかに利益を生み出すかを考えるべきです。

労働災害61(J株式会社事件)

おはようございます GWも終わりましたね。また今週も一週間がんばっていきましょう!!
__←先日、事務所の近くにオープンした「韓国家庭料理 韓旅(kantabi)」に行ってきました

写真は、「海鮮チヂミ」です。外はカリッと、中はフワッとしており、おいしいです。

新しいお店ができたら、とりあえず一度行ってみるのです。

今日は、午前中は、不動産に関する裁判が1件入っています。

午後は、交通事故等の裁判が2件、新規相談が2件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、石綿で精神障害発病・自殺と業務起因性に関する裁判例を見てみましょう。

J株式会社事件((岡山地裁平成24年9月26日・労判1062号84頁)

【事案の概要】

本件は、業務上の疾病である石綿肺を患っていたXが精神障害を発病し自殺したことに関し、Xの妻が、倉敷労基署長に対し、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金および葬祭料の支給を請求したところ、同署長から、上記自殺による死亡が業務上の死亡に当たらないことを理由として、これらをいずれも支給しない旨の決定を受けたことから、その取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

倉敷労基署長による遺族補償給付等不支給処分は違法である。
→業務起因性肯定

【判例のポイント】

1 労働基準法及び労災保険法上の災害補償制度が業務に内在する危険が現実化して労働者に損害を生じた場合には使用者の故意・過失を問うことなくその損害を補償すべきであるという危険責任の法理に基づくものであることに鑑みれば、上記相当因果関係の存在を肯定するためには、当該負傷又は疾病が当該業務に内在する危険が現実化したことによるものであると認められることが必要であると解される(最高裁平成8年1月23日判決)。当該疾病が精神障害の場合、精神障害の成因について環境由来の心理的負荷(ストレス)と個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生ずるかどうかが決まるという「ストレス-脆弱性」理論が精神医学上の知見として広く受け入れられていると認められることからすれば、業務による心理的負荷が、社会通念上、客観的にみて当該精神障害を発病させる程度に過重といえる場合に、業務に内在する危険が現実化したものとして、上記相当因果関係の存在を肯定し得るものと解するのが相当である。
また、精神障害を発病した者の自殺による死亡については、精神障害によって、正常の認識、行動選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されていた状態で自殺したと認められる場合に、精神障害が原因となって死亡したと認めることができるというべきである。

2 これを本件についてみると、Xは、Y社において、高濃度の石綿暴露作業とされる石綿吹付け作業に従事していたため、昭和62年に石綿肺を発病した。・・・このような、平成2年から10年以上の期間にわたり続く咳や痰の症状や、次第に悪化していく息切れなどの症状は、Xに心理的負荷を与え続け、かつその心理的負荷は次第に大きくなっていったものということができる。また、石綿肺は、根治療法がなく、慢性的な苦しみを与え続け最終的には死に至る危険の高い疾病であるが、Xは、そのことを悲惨な姿で死んでいった同僚らの姿を通じて認識せざるを得ない状況にあり、石綿肺の病状が悪化していく度に、一生続くであろう苦しみや死に対する恐怖を強く感じていたというべきである
・・・以上のことに加えて、じん肺を始めとする慢性呼吸器疾患の患者が精神障害を発病することについての研究報告等が存在することなどをも考慮すれば、石綿肺の病状等によるXの心理的負荷は、社会通念上、客観的にみて本件精神障害を発病させる程度に過重であったというべきである。そして、Xには、石綿肺による病状以外の心理的負荷や個体側の脆弱性、遺伝素因など他に発病因子となり得るような事情が証拠上明らかにはうかがわれないことからすれば、本件精神障害の発病と石綿肺の病状等との間、ひいては本件精神障害の発病と石綿肺発病の原因である業務との間に相当因果関係を認めることができる

本件は、石綿肺→精神障害発症→自殺という因果関係を認めています。

長時間労働→精神障害発症→自殺という因果関係よりもハードルが高いですが、裁判所は肯定しました。

本の紹介198 成功をめざす人に知っておいてほしいこと(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 明日からまた4連休ですね。 ずっと仕事してまーす。
__←先日、同世代の損保会社の方と「ふじの井」に行ってきました

久しぶりに2人で熱い話をしました。

定期的に意見交換をし、パワーをもらっています。

今日は、午前中は、建物明渡しの打合せです。

午後は、新規相談が1件と、掛川の会社で打合せです

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
成功をめざす人に知っておいてほしいこと
成功をめざす人に知っておいてほしいこと [単行本]

著者は、バスケットボールの監督です。

奇をてらったことは1つも書かれていません。

「はじめに」の内容として、以下のとおり書かれています。

成功をめざすからには、成功に値する人にならなければなりません。どうやって? 人の何倍も努力することです。小さなことであれ大きなことであれ、一生懸命になることです。これで十分だと思っても、さらにもっと努力することです。何をするにしても、心をこめて常に全力を尽くすことです。」(5頁)

真実です。

真実は、いつもシンプルです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

他人のアイデアを改良して独自のものにするのを恐れてはいけません。真似をするだけでは不十分です。自分の個性に合わせて修正することが重要で、そこに独自性が求められます。『これを取り入れて自分流につくり上げるにはどうすればいいか?』と常に自問することが必要です。ここでいう『自己流』とは、基本を無視した『我流』という意味ではなく、成功者のやり方をもとに創意工夫した合理的な方法という意味です。」(120~121頁)

・・・要するに、賞賛するのではなく見習うということです。賞賛するだけなら誰でもできます。成功の秘訣は、ロールモデルを研究して長所を取り入れることなのです。」(119頁)

1つ目は、いわゆる「守・破・離」の発想です。

いきなり「我流」でやり始めるのではなく、基本となる「型」を身につけることから始める。

これはどんな仕事でもそうだと思います。

へんなくせがついている人は、なかなかそのくせが治りません。

某外資系生保会社では、社員全員、中途採用(ヘッドハンティング)とのことですが、決して、他の生保会社で勤務していた人を採用しないそうです。

どんなトップセールスマンでも、例外はないそうです。

その理由は、へんなくせがついているからだそうです。

2つ目は、「わかる」ことと「できる」ことは違いということです。

多くの人は、本を読み、セミナーを聞き、それを実行することはありません。

「いいね!」と思ったことを次の瞬間に実行に移す習慣がある人は、どんどん挑戦し、小さな失敗を繰り返しながら、ステップアップしていくものです。

不当労働行為65(ユーエムジー・エービーエス事件)

おはようございます。

さて、今日は、元従業員によるアスベスト被害にかかる団交申入れと団交応諾義務に関する命令を見てみましょう。

ユーエムジー・エービーエス事件(山口県労委平成24年12月13日・労判1062号93頁)

【事案の概要】

Y社は、従業員553名をもってABS樹脂事業を行っている。

Xは、Y社の従業員として、機器の保守・管理業務等に従事してきたが、平成20年12月に自主退職した。

平成20年10月、Xは病院で肺がんが判明し、21年7月、労災認定を受け、その補償を求めてY社と交渉したが合意に至らなかった。

その後、Xは組合に加入し、Y社に対し団体交渉を申し入れたが、Y社は、Xが退職して2年以上経過しており、Y社に在籍する労働者でないこと等を理由に組合からの団交に応じる義務はないとして団交に応じなかった。

【労働委員会の判断】

団交拒否は不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 労組法7条2号の「使用者が雇用する労働者」とは、使用者が現に雇用している労働者をいい、雇用関係が既に終了している者は原則として含まれない。しかし、雇用関係が既に終了している者についても、解雇など労働契約の終了を巡って紛争が継続している場合、及び、雇用関係の継続中に紛争が顕在化し退職後も紛争が解決されていない場合のほか、在職中の事実を原因とする未精算の紛争が存在し、その問題の存在が顕在化してから時機に遅れていない合理的な期間内に、その所属する労働組合から使用者に団体交渉が申し入れられた場合には、「使用者が雇用する労働者」に含まれ、使用者は団体交渉応諾義務を負うと解するのが相当である

2 使用者が団体交渉をすることを労組法によって義務づけられている事項(義務的団体交渉事項)とは、組合員である労働者の労働条件その他の待遇や団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものをいうものとされ、賃金、労働時間、安全衛生、災害補償、教育訓練などが労働条件(場合により「その他の待遇」)の代表的なものとされている。

3 これを本件についてみると、本件団体交渉事項のうち、1のアスベスト被害により肺がんを発症したことに対し、Xに謝罪すること、及び4のアスベスト被害に対する会社の補償についての考え方を明らかにすることは、退職前の雇用関係に関連して発症した健康被害に関するものであり、2の会社におけるアスベスト粉じん曝露の状況と安全対策について説明すること、及び3の会社におけるアスベスト粉じん曝露による健康被害の発生状況及び石綿健康管理手帳の取得状況について明らかにすることは、職場環境とそれに関連したものであり、いずれも上記の安全衛生や災害補償に関する事項に該当し、会社に処分可能なものと認められるから、Xについての退職前の会社との雇用関係に関するものである限り、義務的団体交渉事項にあたると解すべきである。
以上のとおり、元従業員であるXが会社に在籍する労働者ではないことなどを理由とするY社の団体交渉拒否は、正当な理由がないものであって、労組法7条2号に該当する不当労働行為である。

退職後の団体交渉については、労組法7条2号の「使用者が雇用する労働者」の文言を拡大解釈することになります。

規範は上記判例のポイント1のとおりです。

よく出てくる規範ですので参考にしてください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介197 高井式 一生使える勉強法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 3連休、よく仕事をしました。また3日間、がんばりましょう!
__←先日、両替町の「ORGANICO」に行ってきました

写真は、「岩崎さんのマッシュルームのオイル煮」です。

オルガニコ得意のオイル煮です。白ワインによく合います。

今日は、午前中は島田の裁判所で学校事故の裁判です。

午後は、静岡で、労働事件の弁護団会議です。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
高井式 一生使える勉強法
高井式 一生使える勉強法 [単行本(ソフトカバー)]

弁護士の高井先生の勉強法に関する本です。

高井先生は、労働事件の使用者側専門の弁護士です。

いろいろな本を出されていますが、勉強法に関する本は珍しいですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

赤ちゃんは『また失敗する』なんて思わない。『できない』とも思わない。だから飽きずに繰り返す。この行動は大人にいろいろなことを教えてくれます。大人が置かれている状況も、立ち上がろうとしている赤ちゃんと大差ない。人が生きる営みをしている点では同じだからです。大人はなまじ言葉を知っているため、可能なことも不可能にしてしまっている。プラスの言葉を選べばいいものを、わざわざマイナスの言葉のほうを選んで、自分から暗くなっているのです。・・・『言葉の選択と結果は比例する』ということです。」(178頁)

日頃使う言葉についての話です。

「言葉の選択と結果は比例する」という考え方についてみなさんはどのように思いますか?

私は、正しいと思っています。

言葉の力は私たちが考えているよりも強い影響力を持っています。

どんな状況に置かれても、プラスの発言をするという習慣がついている人は、簡単には諦めません。

なぜか?

「まだまだ行けるぞ!」と言いつつ、簡単に諦めたら、それは、自分の発言と行動が矛盾してしまうからです。

人間は、矛盾を嫌う生き物です。

どんな状況でもプラスの発言をする人は、プラス思考からプラス発言をしているのではなく、あえてプラス発言をして、くじけそうな自分を鼓舞しているのです。

すべては習慣の問題です。

プラス発言をする人は、生まれつきプラス発言ができる能力を持っているのではなく、ある日、言葉の力に気づき、意識して日々、プラス発言をしているだけのことです。

こういう人の周りには、同じような考えの人が自然と集まってきます。

類は友を呼ぶのです。

困難を次のステージでステップアップできるチャンスと捉えることができるような、ファイティングスピリットに溢れる人と一緒に仕事をしたいですね。

労働災害60(萬屋建設事件)

おはようございます 一週間お疲れ様でした。 明日から3連休ですね。

普通に仕事をしまーす。
__←先日、久しぶりに「エアーフラッシュ」に行ってきました

写真は、「煮込みハンバーグ トマトクリーム」です。 何を食べてもおいしいです。

もう少し近くにお店があったら、間違いなく毎週行っています。

今日は、午前中は、新規相談が1件入っています。

午後は、打合せが2件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、過重業務により自殺した社員の遺族からの損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

萬屋建設事件(前橋地裁平成24年9月7日・労判1062号32頁)

【事案の概要】

本件は、Xの遺族が、Y社の従業員であったXが、Y社の過失及び安全配慮義務違反により、長時間労働等を過重な業務を強いられた結果、うつ病を発症して自殺をしたと主張し、Y社に対し、不法行為(民709条、715条)及び債務不履行(415条)に基づく損害賠償請求として、合計約9700万円を請求した事案である。

【判例のポイント】

Y社に対し約4000万円の損害賠償義務を認めた。

【判例のポイント】

1 Y社は、使用者としてXを業務に従事させていたのであるから、Xに対し、上記注意義務を負っていたと認定するのが相当である。また、Y社においては、時間外労働時間や休日労働時間について、自己申告制を採用していたのであるから、厚生労働省が策定した本件基準に照らして、Xに対し、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分に説明するとともに、必要に応じて自己申告によって把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、実態調査を実施する等して、Xが過剰な時間外労働をして健康状態を悪化させないようにする義務(労働時間把握義務)があったというべきである
しかし、Y社は、Xを含む従業員が時間外労働及び休日労働をする際、Y社所定の手続をとらずに時間外労働や休日労働をしている従業員がいることを認識しながら、従業員が申告した時間と実際の時間が一致しているか否か調査しようともせず、むしろ月24時間を超える残業時間の申告を認めておらず、労働時間把握義務を懈怠していたというべきである

2 長時間労働の継続等により疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると労働者の心身の健康を損なうおそれがあることは広く知られていることであり、うつ病の発症及びこれによる自殺はその一態様である。
そうすると、使用者としては、上記のような結果を生む原因となる危険な状態の発生事態を回避する必要があるというべきであるから、当該労働者の健康状態の悪化を認識していなくとも、就労環境等に照らして、労働者の健康状態が悪化するおそれがあることを容易に認識しえた場合には、使用者には結果の予見可能性が認められるものと解するのが相当である。
そして、Y社は、Xの業務自体の過重性を認識しており、長時間労働については認識していなかったとしても、それはY社自身が労働時間把握義務を懈怠した結果であるから、本件において、Xが遂行していた過重業務により、通常うつ病に陥り、自殺を図ることを予見することが可能であったというべきである

3 身体に対する加害行為を原因とする被害者の損害賠償請求において、裁判所は、加害者の賠償すべき額を決定するに当たり、損害を公平に分担させるという損害賠償法の理念に照らし、民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、損害の発生又は拡大に寄与した被害者の性格等の心因的要因を一定の限度でしんしゃくすることができる(最高裁昭和63年4月21日判決)。
この趣旨は、労働者の業務の負担が過重であることを原因とする損害賠償請求においても、基本的に同様に解すべきものである。しかしながら、企業等に雇用される労働者の性格は多様であることはいうまでもないところ、ある業務に従事する特定の労働者の性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでない限り、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等が業務の過重負担に起因して当該労働者に生じた損害の発生又は拡大に寄与したとしても、そのような事態も使用者としては予想すべきものということができる。しかも、使用者又はこれに代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行うものは、各労働者がその従事すべき業務に適するか否かを判断して、その配置先、遂行すべき業務の内容等を定めるべきものであり、その際に、各労働者の性格をも考慮するのは当然のことである。
したがって、労働者の性格が前記の範囲を外れるものでない場合には、裁判所は、業務の負担が過重であることを原因とする損害賠償請求において使用者の賠償すべき額を決定するに当たり、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等を、心因的要因としてしんしゃくすることはできないというべきである(最高裁平成12年3月24日判決)。

4 本件についてみると、Xは、責任感が強く人に頼みごとをしにくい性格であり、この性格も一つの要因となって、本件工事における、現場代理人としての職務について、Dに残業をするよう頼む等することができず、十分に業務を分担することができなかったと認めることができる。しかし、Dは、本件工事の前に担当していた工事を終えた直後に本件工事に配置されており、残業を前提とした業務分担を頼みにくい状況であったことや、D自身残業手当が出ないと考えており、残業をする意欲がなかったこと等に照らすと、必ずしも、Xの性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定さ
れる範囲を外れるものであったために、Dと十分に業務を分担することができなかったと認めることはできない。そして、他にXについて過失相殺をすべき事情を認めることはできないから、Y社の主張は採用することができない。

残業や休日出勤について、自己申告制を採用している会社は、注意しましょう。

使用者は、従業員の労働時間を把握する義務を負っており、また、生命・身体の安全に配慮する義務を負っているという基本を忘れないことが大切です。

残業時間が多くなっている従業員がいたら、速やかに業務内容を見直し、残業時間を減らすように指導することをおすすめします。

本の紹介196 「並の人生」では満足できない人の本(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、税理士K山先生と事務所の近くの「吉野寿司」に行ってきました

1時間一本勝負です。 完全に大人のお店です。 K山先生、ご馳走様でした。

今日は、午前中は、沼津で交通事故の裁判です

午後は、浜松の裁判所で労働事件の裁判が2件入っています

車で行くと大変なので、電車と新幹線で行こうと思います。移動中も仕事をします。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
「並の人生」では満足できない人の本
「並の人生」では満足できない人の本 [単行本]

かなり前に読んだ本ですが、本棚から取り出し、もう一度読んでみました。

薄くてすぐ読める本です。

内容は、ありがちなものですが、基本に立ち返るには、とても良い本だと思います。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功する秘訣は、他人が眠っている間に勉強し、他人が怠けている間に仕事し、他人が遊んでいる間に準備を整え、他人が虫のいいことを願っている時に、大きな構想を立てることだ。」(68頁)

「そりゃそうだ!」というレベルです。

王道中の王道です。

これが継続してできる人は、成功します。 もう断言してもいいと思います。

仕事でも勉強でも、結果を出している人は、猛烈にやっています。

自分がやっていることに熱中し、成果を出すことに楽しさを見出せる人は本当に強いです。

こういう人は、途中経過での苦しさを乗り越えることができます。

こういう人は、概して、いいオーラが出ています。

きっと自分に自信を持っているからではないでしょうか。

「自分はそれだけのことをやっている」と思えるからではないでしょうか。

人が見ていないところでどれだけできるか。

人は見ていないかもしれませんが、自分は自分の勤勉さや怠惰さを全て知っていますので、ごまかしがききません。

自信を持つためには、とことんやって、結果を出すしかないような気がします。