労働者性7(サンランドリー事件)

おはようございます。

さて、今日は、代表取締役であった者の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

サンランドリー事件(東京地裁平成24年12月14日・労経速2168号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の代表取締役であったXが、Y社に対し、自身のY社における従業員性(労働者性)を主張して、退職金及び未払賃金等を請求した事案である。

Y社は、衣類の洗濯等を業とする株式会社であり、その株式の75%を現代表取締役であるAが保有している。

【裁判所の判断】

労働者性を否定

【判例のポイント】

1 従業員性の有無については、一般的には、主に、使用者との間の使用従属関係の有無により判断されるべきものと解され、具体的には、業務遂行上の指揮監督の有無、拘束性の有無、対価として会社から受領している金員の名目・内容及び額等の他の従業員との同質性及びそれについての税務上の処理、取締役としての地位及びその具体的な担当職務、その者の態度・待遇や他の従業員の意識、雇用保険等社会保険の適用の有無、服務規律等の適用の有無等の事情を総合考慮して判断すべきと解される

2 もっとも、本件では、XがY社の代表取締役であった期間中におけるXの従業員性が問題となっているところ、代表取締役が、法令上株式会社を代表として内部的及び外部的に業務執行に当たる会社の機関であり、その代表権の範囲が会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為に及ぶ包括的なものであることからすれば、代表取締役の地位は、原則として、使用者の指揮命令下で労務を提供する従業員の地位とは理論的に両立するものではなく、実質的にこれと両立していると解すべき特段の事情のない限り、代表取締役が従業員としての地位を兼務するということはできないというべきである

3 そこで、以下、かかる特段の事情の有無を検討すると、・・・(1)Xの勤務時間は、Y社の所定就業時間とは大きく異なっていた上、Xは他者から勤務時間管理を受けていなかったこと、(2)Xの報酬の内訳は、役員報酬のみで、諸手当等の支給はなく、その額についても、代表取締役就任当初は従前の給与額と大きな変更はなかったものの、その2、3年後には自身及び実母の都合により大幅に増額しているものであって、他の従業員給与の構成や昇給態様とは著しく異なっていると評価できること、(3)Xは代表取締役就任と同時に雇用保険の被保険者資格喪失手続をとっており、以後同保険に再び加入することはなかったこと、(4)Xの業務は、日常的に現業業務を行う一方で、Y社を代表して、従業員の採用、金融機関からの借入れ、従業員に対する懲戒の趣旨による降格処分等を行っており、その中には、Aに対する報告ないしはその了承を経ていないものも相当程度含まれていたこと、がそれぞれ認められ、これらのことに鑑みれば、Xは、他の従業員とは著しく異なる態様でY社において勤務し、経営に関する広範な権限を保有し、これを行使していたものと認められるのであって、Xには、代表取締役の地位と従業員の地位とが両立していると解すべき特段の事情は存しないというべきである。

本件では、代表取締役の労働者性が争われました。

よほどの事情がない限り、認められないことは明らかです。

ファイティングスピリットは素晴らしいです。

一般的に労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。