Author Archives: 栗田 勇

賃金55(アクティリンク事件)

おはようございます。

さて、今日は、不動産会社元従業員による割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

アクティリンク事件(東京地裁平成24年8月28日・労判1058号5頁)

【事案の概要】

Y社は、不動産売買、賃貸、管理およびこれらの仲介業を目的とする会社である。

Xらは、Y社の元従業員である。

Xらは、Y社に対し、雇用契約に基づく賃金請求として、時間外労働に対する割増賃金の支払を求めた。

【裁判所の判断】

X1につき、Y社に対し約278万の未払残業代及び275万円の付加金の支払いを命じた。

X2につき、Y社に対し、約193万円の未払残業代及び190万円の付加金の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 労基法37条5項及び労基法施行規則21条所定の手当は、いずれも除外賃金とされているが、除外賃金に該当するか否かは、名称に関わりなく実質的にこれを判断すべきである。住宅手当が除外賃金とされた趣旨は、労働と直接的な関係が薄い費目を基礎賃金から除外することにあると解されるから、除外されるべき住宅手当とは、その名称の如何を問わず、実質的にみて住宅に要する費用に応じて算定され、支給される手当をいうものと解するのが相当である
Y社では、住宅所有の有無や、賃貸借の事実の有無にかかわらず、年齢、地位、生活スタイル等に応じて1万円から5万円の範囲で住宅手当が支給されていたこと、Xらは、本件請求にかかる期間中、家賃等住宅にかかる費用についてY社に申告したこともないこと等の事実を認めることができる。これらの事実にかんがみれば、本件における住宅手当は、実質的にみて、住宅に要する費用に応じて支給される手当ということはできない。
よって、本件における住宅手当は、除外賃金には当たらないというべきである

2 ・・・営業手当は、本件賃金規程において、月30時間分に相当する時間外労働割増賃金として支給されることとされていることからすれば、いわゆる定額残業代の支払として認められるかのようにもみえる
しかし、このような他の手当を名目としたいわゆる定額残業代の支払が許されるためには、(1)実質的に見て、当該手当が時間外労働の対価としての性格を有していること(条件(1))は勿論、(2)支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明示され、定額残業代によってまかなわれる残業時間数を超えて残業が行われた場合には別途精算する旨の合意が存在するか、少なくともそうした取扱いが確立していること(条件(2))が必要不可欠であるというべきである
・・・これらの事実にかんがみれば、営業手当は、営業活動に伴う経費の補充または売買事業部の従業員に対する一種のインセンティブとして支給されていたとみるのが相当であり、実質的な時間外労働の対価としての性格を有していると認めることはできない

3 労基法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)とは、同号の趣旨にかんがみ、一般に「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」をいうものと解され、それに当たるか否かの判断は、職位等の名称にとらわれずに、職務内容、権限及び責任並びに職務態様等に関する実態を総合的に考慮して決すべきものと解される。
この点、確かにXらは、課長または班長の地位にあったことが認められるが、反面、Y社の経営に参画し、自らの部下らに対する労務管理上の決定権を有していたとまでは認めることができず、少なくとも業務開始時刻については、タイムカードによる出退勤管理を受けていたことが明らかである。
したがって、Xらが「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」ということはできず、Xらは、労基法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)には当たらないものというべきである。

固定(定額)残業代に関する上記判例のポイント2は参考になりますね。

あらゆる手当に固定残業代の意味であるとすることは許されないということになります。

当然といえば当然のことですね。

また、上記判例のポイント1の除外賃金についても、よく争われるところですが、しっかり理解しておかないと勘違いをしてしまいます。

ご注意ください。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介175 誰も教えてくれなかった 運とツキの法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 また一週間が始まりましたね。今週も一週間、がんばりましょう!!

さて、今日は本の紹介です。
誰も教えてくれなかった 運とツキの法則
誰も教えてくれなかった 運とツキの法則

クレディセゾン社長の林野さんの本です。

先日、林野さんの「BQ」という本を紹介しましたが、この本がとてもよかったので、林野さんの別の本も読んでみました。

タイトルだけ見ると、西田塾を思い浮かべる方もいると思います(笑)

実際、この本の巻末付録に「西田文郎から学ぶ」というページが設けられています。

「BQ」との比較で言えば、今回の本は総論で、「BQ」は各論、という感じでしょうか。

「BQ」の方が、私は好きです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

物事に悲観的になっている人やしょげている人にはけっして運とツキはおとずれません
明るく頑張っている人、努力を惜しまない人に運とツキはやってくるものです
」(38頁)

ハングリー精神が運とツキを呼び、勝利を勝ち取る」(78頁)

これは正しい、間違っているという問題ではなく、価値観の問題です。

「運がある」とか「ついている」などということを軽視する人もいると思いますが、私は、「運」や「ツキ」というものを非常に重視しています。

運やツキというと、たまたまいい結果が出たというように捉えがちですが、そうではありません。

運のいい人、ついている人というは、日頃からちゃんと準備をしているのです。

ある出来事が起こっても、何も感じない人もいれば、「これはチャンスだな」と思える人もいます。

たとえそれが客観的に見ればマイナスの出来事だとしても同じことです。

ある一定の考え方の習慣を持っているか否かだけで、人生や仕事の捉え方が大きく変わってきます。

すべては性格ではなく、習慣であるということを理解すれば、物事の捉え方を変えることができます。

ですから、「自分はそういう考え方ができない性格なので・・・」ではなく、「自分はまだそういう考え方をする習慣ができていないので・・・」が正しい言い訳なのです(笑)

習慣をつくるまでが大変ですが、それもまた習慣によって乗り越えられるわけです。

まずは、習慣をつくる。そうすれば、あとは習慣が人間をつくってくれる、というわけです。

解雇97(World LSK事件)

おはようございます。 

さて、今日は、中途採用の内定取消しに対する損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

World LSK事件(東京地裁平成24年7月30日・労判1057号160頁)

【事案の概要】

Y社は、LEDの販売等を営む会社である。

Xは、Y社への採用が内定したが、平成23年9月、同内定を取り消された。

なお、Xは、Y社の入社面接時、A社で勤務しており、Y社からの内定を受けて、A社を退職している。

【裁判所の判断】

内定取消しは違法

Y社に対し約133万円の支払を命じた

【判例のポイント】

1 Y社代表者は、8月8日には具体的に確定した雇用条件でXを採用する旨の意思表示をしており、同時点で本件労働契約が成立したと認めるのが相当である。

2 Y社は、本件労働契約が成立しているにもかかわらず、Xに対し、Xの就業開始日の翌日である9月2日に突然、採用を取り消す旨の意思表示をし、また、その点について何ら合理性のある理由を説明していないから、Xに対し、違法な採用内定の取消しを行ったというべきであり、これと相当因果関係を有する損害の賠償責任を負う。

3 本件労働契約の内容からすれば、Xは、本来であれば、平成23年9月1日からY社で就業を開始し、基本給月額50万円を得られたはずであった上記給与を得られなかったこと、Xは、10月1日、別の会社に就職することができ、同社での給与は月額39万6100円であること、Y社における給与額とXが就職した会社における給与額との差額は、月額10万3900円であること、本件労働契約においては試用期間が3か月と定められていたことが認められる。
そうすると、Xは、少なくとも3か月はY社に勤務することができ、月額50万円の給与を得ることができたと認めるのが相当であるから、その逸失利益は、9月分の給与50万円及び2か月分の差額20万7800円(10万3900円×2か月)の合計70万円7800円と認めるのが相当である

4 Xは、Y社の採用内定に基づきA社を退職したこと、Y社による採用内定取消し後、再就職先を探し、東京都内の会社に就職したことが認められる。Xは、G市内で再就職先が見つからなかった旨主張するが、G市内において、再就職先がまったくなかったとは考え難く、転居費用については、Y社の違法行為と相当因果関係のある損害とは認め難い(なお、転居したことについては慰謝料算定の一事情として考慮する。)。

5 Xは、Y社の採用内定に基づき、前勤務先であるA社を退職し、Y社での就業準備を行ってきたにもかかわらず、一方的に採用内定を取り消された上、Y社社長からこの点に関する説明もなく、不誠実な対応をされたことなどにより精神的苦痛を被ったことが認められる。このXの精神的苦痛に対する慰謝料としては50万円が相当である。

内定取消しに関する裁判例です。

採用内定を受けた者の不利益を考えると、やはり合理的な理由のない内定取消しは許されるべきではありません。

使用者としては、十分注意してください。

また、上記判例のポイント4は、損害論のところで問題となりますね。

個々の事案において、どこまでを相当因果関係の範囲と認めるのかという点です。

参考にしてください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介174 結局「仕組み」を作った人が勝っている(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、お昼ごはんを食べに、はじめて「ブロンコビリー」に行きました

ハンバーグ400gにガーリックビーフライスを付けてみました

おもしろ半分で注文してしまいました 夜ごはんは当然、食べませんでした。

満席でした。サラダバーがあるとお客さんが集まりますね。

みんな真似すればいいのに・・・と思ってしまいます。

今日は、午前中、裁判が2件と顧問先会社の打合せが入っています。

午後は、新規相談が1件、裁判の打合せが1件です。

夜は、社労士の先生と一緒にオープンセミナーを行います。

テーマは、「弁護士×社労士による未払残業代請求対策セミナー」です。

会社が残業代請求について気を付けなければならないポイントについて解説します。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている―驚異の自動収入システムは今も回り続けていた! (知恵の森文庫)
新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている―驚異の自動収入システムは今も回り続けていた! (知恵の森文庫)

要するにいかに不労所得を増やしていくか、という内容の本です。

利益を生む「仕組み」さえつくれば、あとは自動的にその「仕組み」が利益を出してくれるというわけです。

これだけ読むと、いかにも胡散臭いですが、多くのビジネスは、この「仕組み」の上に成り立っていることは疑いようのない事実です。

大変参考になる本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

すべて自己流でやって成功できると考える人も、僕には理解できない。東大に行きたいと思ったら、みんな塾に行くなり家庭教師をつけたりするでしょう?それなのにビジネスに関してはみんなタダで何とかしたいと考える。それで成功しようなんて無理ですよ。
今後、プチリタイアに限らず起業を考えている人には『成功するまで続けろ』『知らないのにやるな』という2つの言葉を贈りたいですね。
」(116頁)

「成功するまで続けろ」というのは、よく聞くことばですね。

どれだけ本を読んだかではなく、また、どれだけセミナーに参加したかでもなく、成功するまで続けられるかどうかなんだと思います。

途中で修正しながら、あきらめないでやり続けることしかないんだと思います。

これに対して、「知らないのにやるな」というのは、私にとっては新鮮でした。

言われれば「そりゃそうだ」と思いますが、それを文字にできることがすばらしいですね。

成功した人の意見を聞き、素直に受け入れる。とにかくそれでやってみる。

これが一番の近道です。 

素直さと柔軟性が大事なのです。

変なこだわりやプライドは1つもプラスにはなりません。

解雇96(甲タクシー事件)

おはようございます
__
←先日、修習生3人と「キャトルプレジール」に行ってきました

写真は、定番の「ガーリックチキン」です。 秀逸です。

私も修習生のときは、いろんな先生に食事に連れて行っていただきました。

今は、その恩返しを後輩にしています。 

今日は、午前中は、打合せが2件入っています。

午後は、清水で大学生等を対象とした「JOBコン」に参加します。

最近の学生がどんなことを考えているのか、とても興味があります。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、タクシー運転手に対する懲戒解雇処分に関する裁判例を見てみましょう。

甲タクシー事件(千葉地裁平成24年11月5日・労経速2161号21頁)

【事案の概要】

Xは、平成22年10月夜間、タクシーを運転して、一方通行道路を逆走し、前方を走行していた自転車に対し、道路の端によけさせえようとして、警音器を鳴らす等しておあり運転をし、また、逆送を継続しながら、自転車を追尾し、自転車が停止した後、そのわずか数十㎝手前でタクシーを停車させる行為をした。

なお、Xは、本件請求と同旨の労働審判等を求めたが、労働審判委員会は、Xの申立てに係る請求をいずれも棄却するとの労働審判をしたところ、Xが、異議申立てをした。

Xの請求内容は、地位確認、賃金の請求、慰謝料50万円の請求である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は有効

【判例のポイント】

1 ・・・以上によれば、Xのこれらの行為は、本事件の際に本件タクシーが本件自転車に衝突したか否かにかかわらず、道路交通法を遵守し、安全運転を行い、交通事故の防止に努めるべきとする本件就業規則及び本件服務規程の定めに違反する行為と認められる
また、Xは、本事件の前にも、本件出勤停止処分(1)及び(2)という懲戒を受けており、その懲戒理由は、それぞれ、乗車拒否及び不当な料金の収受という、本件就業規則の定める違反行為に当たることが認められる。すなわち、Xは、本事件の前、本件就業規則の定める違反行為を繰り返したものと認められる

2 さらに、Xは、本事件の後、Y社代表者がXに対して指導をしたにもかかわらず、本件女性が、本件自転車を道路の端に寄せるなどして後方の本件タクシーに道を譲るという、本来そのような義務のない行為をしなかったことを批判するばかりか、本件女性が本件自転車を本件タクシーに衝突させようとしたなどと、本件女性を非難するばかりで、上記のとおり、道路交通法に違反し、危険な運転をしたことについては、反省の意思を何ら示さず、かえって、Y社代表者を誹謗中傷する言動に及んだものであり、タクシー事業を経営するY社の規律を全く顧みない言動を繰り返したものと認められる
以上に述べたところによれば、Xのこれらの行為は、Y社の重要な服務規律に違反し、さらに、本件就業規則の定める違反行為を繰り返し、会社の秩序等を乱したものとして、本件就業規則の定める懲戒解雇の事由に当たると認められる。

3 また、Y社においては、これまで、人身事故を起こした労働者や、乗務前の飲酒検査において基準を超えるアルコール量が検知された労働者らに対しても、けん責の懲戒しかされていなかったことが認められる。しかしながら、上記懲戒処分を受けたY社の労働者らが、当該懲戒を受けた際、当該懲戒処分について反省の意思を示さなかったとの事実や、それまでに本件就業規則等の定めに違反する行為を繰り返していたとの事実を認めるに足りる証拠はないのに対し、Xは、・・・に照らせば、このことによっても、本件解雇が不公平な懲戒であるとまでは認めるに足りない

4 Y社がXに対してして本件解雇は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であるとは認められないものとはいえず、かえって、合理的かつ相当であり、やむを得ない懲戒処分と認められる。

本件は、本人訴訟です。

参考にすべき点としては、上記判例のポイント3でしょうか。

原告としては懲戒処分の相当性について争ったわけですが、否定されています。

懲戒事案は、個別性が高いため、本件事案が従前の事案と完全に同一なものでないことは明らかです。

また、従前の事案に対する処分が適切であったかすら判然としないのが通例のため、結果、主張立証を重ねても、本件事案の解決には影響しないことがほとんどだと思われます。

本の紹介173 99%の社長がカン違いしていること(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__
←先日、事務所の近くにある「橡面坊」(とちめんぼう)に行ってきました。

写真は、「とびっきりカレーうどん」です。いろんな野菜が入っています。

このお店の特徴は、桜エビのラー油がついているところです。

好みが分かれるのかもしれませんが、僕は好きですね。 チャレンジ精神がすばらしい。

今日は、午前中は、裁判が2件、新規相談が1件入っています。

午後は、刑事裁判が1件と社団法人の理事会が入っています。
 
今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
99%の社長がカン違いしていること
99%の社長がカン違いしていること

大阪の税理士の先生が書かれた本です。

難しい話はまったく出てきません。

非常にわかりやすく、内容も共感できることがほとんどです。

久しぶりにとてもいい本に出会いました。 おすすめです!

「銀行の言うことは信じるな」と言うあたり、素敵ですね(笑)

実際、レベルの低い担当者の言うことを聞いているととんでもないことになるので気を付けましょう。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

もうこれ以上、目先の利益のために長期の利益を犠牲にするのはやめてください。・・・成功しない中小企業の社長はお金を得ることばかり考え、成功する中小企業の社長はみんなが幸せになるように考えています。自分の大好きなことをして、お客様の問題を解決してお金を稼ぐ方法を見つける。」(72頁)

成功している中小企業の採用基準は、その業界にどれだけいたかではありません。即戦力ではなく、自社の経営方針である『お客様を喜ばせること』にどれだけ親身になって対応してくれるかを基準にしているところが多いです。」(105頁)

私たち弁護士も、仕事柄、さまざまな経営者にお会いしますが、著者の上記意見と全く同意見です。

お金のことしか考えていない経営者には、全く魅力を感じません。

従業員、顧客、社会のことを考えながら、経営をしている経営者には、同じように考える支援者が自然と集まってくるものです。

自分のことしか考えていない経営者の周りには、同じように自分のことしか考えていない者しか集まってきません。

類は友を呼ぶとはよく言ったものです。

「私はこの人を幸せにするために何ができるだろうか」ということを自然に考えられる人と一緒に仕事をしたいと思います。

不当労働行為63(ミトミ建材センターほか事件)

おはようございます。 

さて、今日は、労働組合の街宣活動等の禁止に関する仮処分決定を見てみましょう。

ミトミ建材センターほか事件(大阪地裁平成24年9月12日・労経速2161号3頁)

【事案の概要】

Y社は、土木工事及び建築工事の請負並びに設計施工等を目的とする会社である。

本件は、Y社らが、X組合に対し、X組合が、Y社の生コン納入現場付近、Y社が受注する工事現場周辺、Y社代表者Aの自宅付近で、街頭宣伝活動やシュプレヒコール等を行ったことにより、Y社らの営業権や人格権が侵害されたとして、X組合の行う街宣活動等の禁止を求める仮処分命令を申し立てたところ、これを認容する原決定がなされたのに対し、X組合が、X組合が行っている街宣活動等は、労働組合活動の一環として行われているもので適法な行為であるなどと主張して、異議を申し立てた事案である。

【裁判所の判断】

労働組合の街宣活動等の禁止を求める仮処分命令には理由があるとして認可した

【決定のポイント】

1 労働組合は、組合員である労働者のために、その労働条件をはじめとする経済的地位の維持・向上を目指して活動することが許されており、その活動が、組合活動として正当な範囲内にある限り、違法性は阻却される。そして、組合活動が正当なものとして許されるためには、その目的、態様、内容、使用者側が受ける不利益その他の事情を総合考慮し、社会通念上相当と認められることが必要であると解するのが相当である

2 ・・・以上の事情を総合すると、X組合の行ったY社らに対する街宣活動は、少なくとも10回にわたって行われ、その内容もY社とその労働者との関係にとどまらず、Y社を違法業者と認定し、その公共事業に関することにまで及んでいる上、Y社に関連する工事現場の近くを何度も巡回する方法で行っているのであって、X組合の街宣活動は、社会通念上相当と認められる範囲を超えているといえる。したがって、X組合のY社等に対する街宣活動は、正当な組合活動と認められるものではなく、Y社等の営業活動を不当に妨害する行為であるというべきである

3 上記において認定したX組合の街宣活動等の態様に加え、疎明資料及び審尋の全趣旨によれば、X組合の街宣活動によってY社等の取引先が取引に躊躇していることがうかがえることも併せ考慮すると、X組合の街宣活動等によって、Y社等に著しい損害が生じ得るといえるので保全の必要性は認められる。

本件では、労働組合からの異議申立てが認められず、差し止めの仮処分が認可されました。

取引先等別企業に対する街宣活動(二次的争議行為)と経営者の私邸付近での街宣活動については、組合活動の正当性が否定される傾向にあります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

不当労働行為62(パナソニックエコシステムズ事件)

おはようございます。

さて、今日は、組合の申立人適格、会社の使用者性等に関する命令を見てみましょう。

パナソニックエコシステムズ事件(愛知県労委平成24年9月24日・労判1057号170頁)

【事案の概要】

Xは、人材派遣会社からY社に派遣され、有圧換気扇の試作品の性能実験業務に従事してきた。

Y社は、平成21年3月、Xに対する労働者派遣契約を解除すると通知した。

Xは、平成21年4月、組合に加入し、組合は、Y社に直接雇用を求めて団体交渉を申し入れた。

Y社は、自らは単なる派遣先であって団交を行う立場にないと回答して、団交に応じなかった。

【労働委員会の判断】

労働組合の申立人適格は認められる

Y社の労組法上の使用者性は否定

【命令のポイント】

1 Xが、平成21年4月に組合に加入し、組合がY社に対し、Xを直接雇用することを求め団体交渉を申し入れたこと、同人が同月末をもってY社での派遣就労を終えたことは、・・・で認定したとおりであり、Y社で就労する派遣労働者であったXについて、Y社での派遣就労の終了に際し、組合により直接雇用の申込義務の有無について問題が提起され、本件において争われているのであるから、この限りにおいて、現時点においても同人は、その加入する労働組合による団体交渉を通じて、労働条件等について交渉する権利を有する「労働者」の地位にあるものといえる

2 Xが学習塾の経営者としての側面を有するようになったことにより、組合の自主性が失われていること及び同人がY社の利益代表者に該当することについての疎明はない。また、同人が雇用するアルバイト4名が、いずれも組合に加入したことがないことは、・・・で認定したとおりであり、同人が、組合に対する関係で、労組法第2条第1号に規定する使用者の利益代表者に当たるとはいえない。
よって、組合は労組法第2条に適合する労働組合ではなく申立人適格を有しないとのY社の主張は採用できない。

3 Xに関して、Y社は派遣受入期間の制限を超えて同人の労務の提供を受けていたものの、同人を会社の社員と同様に扱っていたとはいえず、採用及び賃金額決定への関与、労働時間の管理、配置権限の行使及び雇用契約打切りへの関与等の各点においても、派遣先の立場を超えて、雇用主と同視しうる程度に具体的に支配、決定できる地位にあったとまでは認められない
また、これらのことを合わせ総合的に判断しても、Y社が、Xとの労働関係について、雇用主と同視できる程度に具体的に支配、決定できる地位にあったとまではいえない
したがって、Xについて、Y社が労組法上の使用者に当たるとはいえない

派遣先会社への直接雇用を要求する団体交渉を申し入れた事案ですが、労働委員会は、派遣先会社の労組法上の使用者性を否定しました。

上記命令のポイント3は押さえておくといいと思います。

これに対し、派遣労働者に対するセクハラの事案について、派遣先会社を団交義務を負う使用者とした日本製箔事件(滋賀県労委平成17年4月1日)や派遣契約解除に関する事案について派遣先会社に団交義務を負う使用者としたタイガー魔法瓶事件(大阪府労委平成20年10月10日)などがあります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介172 「大発見」の思考法(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、新しいスタッフの採用面接のためスタッフ全員に休日出勤をしてもらいました。

そのため、お昼は、みんなでホテルセンチュリー内の「ラ フルール」にごはんを食べにいきました

ビュッフェのため、食べ過ぎてしまいます。午後は仕事になりません

静岡では、ここのカレーが一番おいしいと思います。カレーだけ食べてもいいくらいです。

今日は、午前中は、建物明渡の裁判が1件と顧問先会社との打合せが入っています。

午後は、外部での法律相談、裁判の打合せが2件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
「大発見」の思考法 (文春新書)
「大発見」の思考法 (文春新書)

山中教授と益川教授の対談形式の本です。

ノーベル賞受賞者がどのようなことを考えているのか、というのはとても興味をそそられます。

お二人の考え方がばんばん出ていて、とてもおもしろいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

はたから見たら、僕の人生は、遠回りで非効率に見えるかもしれませんし、無駄なことばかりやっているように思えるかもしれません。もっと合理的な生き方が出来たんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そうやって回り道したからこそ今の自分があるんじゃないかと思います。」(78頁)

もちろん、一つのことにずっと取り組むことも美徳だと思います。でも、無駄を省いて全てを合理性で突き詰めた生き方をしていると、いつか壁にぶつかるんじゃないかな。僕の研究室を見てもらえればわかるけど、物理の本なんてほんの少ししかないの。・・・いつも僕は目の前にある面白いことで遊んでいるだけなんです。」(81頁)

最初の発言は、山中教授のもので、次の発言は、益川教授のものです。

周りの人は、成功した結果しか見えないため、その結果が出るまでの過程がいかに遠回りであったか、いかに非効率的であったかはわかりません。

だからこそ、成功者を見ると、「この人は、もともと天才だったんだ」「僕は天才ではないから無理だ」と思ってしまいがちです。

でも、多くの成功者は、何の失敗もなく、一直線にゴールにたどり着いてはいません。

何度も失敗を繰り返し、その都度、何かを学び、軌道修正をしながら、少しずつ、ゴールにたどり着いています。

課題を克服できる人は、天才ではなく、課題を克服する方法を知っている人なんだと思います。

常に課題は一直線には克服することはできないこと、何の失敗もせずに克服することはできないことを知っている人は、失敗しても、そう簡単にはあきらめません。

そもそも課題を克服する過程は常にそのようなものだとわかっているからです。

たいていのことは、自分からあきらめなければ、克服できることを知っているからです。

解雇95(コアズ事件)

おはようございます。

さて、今日は、営業開発部長の降給・降格処分と解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

コアズ事件(東京地裁平成24年7月17日・労判1057号38頁)

【事案の概要】

Y社は、警備業務等を業とする会社である。

Xは、平成20年2月頃、Y社に採用された後、営業開発部長として就労してきたが、降給処分を受け、営業開発部長から降格された後、解雇された。

Xは、上記降給、降格の各処分および解雇がいずれも無効であると主張して、Y社を相手として提訴した。

なお、Xは、本件訴訟係属中に、破産手続開始の申立をしたため、途中から破産管財人が訴訟手続を受継した。

【裁判所の判断】

給与の減額は無効

第一営業部長から「独任官」と称する地位への降格は無効

解雇は無効

【判例のポイント】

1 賃金が、労働者にとって最も重要な権利ないし労働条件の1つであることからすれば、上記給与規程の定めが存するとはいえ、その変更を、使用者の自由裁量で行うことが許容されていると解することはできず、そのような賃金の減額が許容されるのは、労働者側に生じる不利益を正当化するだけの合理的な事情が必要であり、そのような事情が認められない以上、同賃金減額は無効になると解するのが相当である。そして、そのような賃金減額の合理性の判断に当たっては、減額によって労働者が被る不利益の程度、労働者の勤務状況等その帰責性の有無及び程度、人事評価が適切になされているかという点など、その他両当事者の折衝の事情を総合考慮して判断されるべきであると解される。

2 ・・・以上を総合するに、まず、本件給与減額1については、その減額幅は30万円を超えるもので著しく大きく、これによりXの受ける不利益には甚大なものがあるといわざるを得ない。他方、Xの帰責性という点に関し、Y社主張にかかる10名の営業部長の採用という業務については、それが実現されなかった場合に給与減額等につながることが合意されていたとはいえない上、実質的にも、Y社において、給与減額の理由とすることは明らかに不合理である。また、Xの勤務状況、勤務態度等についてみても、Y社主張の客観性が担保されているとはいえない状況であるのみならず、恣意的な人事が行われている状況も窺われることからすれば、いずれも、かような多額の給与減額の根拠とはなり得ないものである。
なお、Y社は、Xが本件給与減額1の後、約1年以上も明確な異議を申し立てていないことを挙げて、同Xが同給与減額に同意していた旨主張する。仮に、かようなXの態度をもって同意と評価することができるにしても、同給与減額が大幅な減額である以上、それなりの合理的な事情に基づくのでなければ、真意に基づく同意があるとは推認し難いところ、前記のとおり、そのような合理的な事情は認められないのであるから、これを真意に基づく同意であると認めることはできない
これらの事情によれば、本件給与減額1は無効と認めるのが相当である。

3 職位の引下げとしての降格については、使用者は、人事権の行使として、広範な裁量権を有するが、その人事権行使も、裁量権の逸脱、濫用に当たる場合には無効になると解される。
これを本件についてみるに、Xは、平成22年4月に、D本部長が「独任官」と称する部下のいない地位に降格されているが、Y社が特命事項と称する10名の営業部長の採用を実現できなかったことが降格の理由となり得ないことは明らかであるし、Xの勤務状況は、Y社が主張するほどに劣悪であったとは認められず、降格に値するような確たる非違行為があったわけでもないこと、Y社において恣意的な人事が行われている実態が窺われることなどに照らすと、Xに対する本件降格処分については裁量権の濫用があるというべきであって、これを無効と認めるのが相当である

4 以上にみたとおり、Xの本件特命事項の不履行、同Xの勤務成績、勤務状況の低劣さといった主張により、降給処分及び降格処分の有効性を基礎付けることはできないことからすれば、いわんやそれよりも重い処分である解雇の有効性を基礎付けることはできないのは明らかである。したがって、本件解雇は無効である。

給与減額については、それを使用者の裁量で行うことができる規定があったとしても、相当な合理性がなければ認められません。

また、この裁判例は、Y社において恣意的な人事が行われている実態が窺われることを間接事実として評価しています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。