Author Archives: 栗田 勇

不当労働行為56(国立大学法人大阪大学事件)

おはようございます。 

さて、今日は、誠実交渉義務に関する命令を見てみましょう。

国立大学法人大阪大学事件(中労委平成24年6月6日・労判1053号95頁)

【事案の概要】

X組合は、団交申入れに対して、開催時間を昼休み時間帯、開催場所をB地区に限定したY大学の対応が不当労働行為であると主張した。

これに対し、Y大学は、時間帯を昼休み時間、場所をB地区とする大学の対応は原則を示したもので、それに限定するものでなく、この方針が特段不合理なものともいえず、不当労働行為に当たらないと主張した。

【労働委員会の判断】

Y大学の対応は不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件にあっては、教員の定年年齢に関連しての労働条件の不利益変更や期末手当、非常勤職員の雇止めといった重要な労働条件に関わる事柄について団交が申し入れられており、X組合らは、2時間から3時間程度の団交を要求し、議論を尽くすためには、少なくとも1回2時間程度は必要であると訴えていたことからすると、昼休みの時間帯に限定した団交の設定は時間の長さにおいて問題を孕んでいたものといえる。さらに、労働時間の途中における45分又は1時間の休憩時間の付与を義務づける労働基準法(34条)の趣旨及び昼食時間の確保の必要性を考え合わせると、労働組合の側が積極的に容認していたというのであれば格別、本件のようにX組合らがそれに異を唱えていたのを押し切って団交の時間帯を昼休みにこだわり続けることに合理性があったとは言えない

2 X組合に対し、団交の開催場所をB地区に限定することは、団交開催場所への移動の負担を一方的に労働組合側に負わせるものである。しかも、Y大学は、併せて、団交の開催時間を昼休みの時間帯に限定していたのであるから、かかる団交時間帯に限定していたのであるから、かかる団交場所の限定により、一層、実質的な交渉を妨げることになるのは明らかである。Y大学は、交渉に必要な場合、昼休みの1時間を過ぎても対応しており交渉に支障はないと主張するが、延長した場合であっても数分から十数分程度であって、これらにより実質的な交渉時間が十分確保されていたことを認めるに足りる証拠はない

3 以上みてきたとおり、X組合らによる21年7月以降本件申立てまでの間の団交申入れに対するY大学の対応は、団交の開催時間及び場所につき、正当な理由なくそれらを昼休みの時間帯及びB地区に限定したものであって、かかる対応は、X組合らの団交申入れに対する不誠実な対応として、労組法7条2号の不当労働行為にあたる。 

団交の開催時間及び場所について、合理的な理由なく、組合や組合員に不利益に制限すると、不当労働行為になります。

また、今回のように、休憩時間に限り、団体交渉を認めるとすると、労基法との関係でも問題となりうるという視点を持つことが大切です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介146 「欲望」のマーケティング(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
写真 2012-11-17 11 36 54←先日、うなぎを食べたくて仕方なかったので、清水にある「うなぎ亭」に行ってきました

写真は、うな重(特上)2400円です。 さすがうなぎ亭。安いです。

うなぎがいっぱいのっています。 コスパは、かなり高いと思います。

たれは、好みが各自好みがありますのでコメントは控えます。

今日は、午前中は、新規相談が1件、刑事裁判が1件、刑事裁判の判決が1件入っています。

午後は、裁判が3件、家事審判が1件入っています。

午後から、顧問先の社長と打合せです。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書)
欲望のマーケティング (ディスカヴァー携書)

著者は、「美魔女」ブームをつくりだした雑誌の編集長です。

「ブーム」のつくりかた、「ブルーオーシャン」のつくりかたが書かれています。

よく考えているな~というのが、率直な感想です。

ところどころ、参考になる点はありますが、全体としては、とても簡単にはまねできません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

毎月、単純に『よかった記事と悪かった記事』を答えてもらうというアンケートを読者に取っていました。その集計結果を見る時、単純に『よかった記事』に並ぶような記事ばかり集めればいい雑誌ができるかと言ったら、答えはNOです。きっと誰も批判できない代わりに、とても退屈な雑誌になってしまうと思うからです。
私が注目するのは、「よかった」と「悪かった」の両方で上位に来る記事です。それはよくも悪くも目立っていた記事だということだからです。誰が見ても無視できない存在感があったということだからです。
」(60~61頁) 

著者は、こうもいいます。

無難な表現は何も言っていないことと同じ

なるほど。 確かにそうですね。

批判されることを恐れるあまり、無難な表現や内容になってしまっているのを見かけることがあります。

よくもわるくも「無難」です。 

同世代で、勢いのある経営者を見ていると、誰一人、「無難」なことをやっている人はいません。

みんな「無難」であることがダサいことを知っているからです。

僕も、安定を求めて、「無難」なことをやりだしたら、引退を考えることにします。

常に生きている心地を味わいたいと思って、仕事をしています。

また、そんなふうに思える人と一緒に仕事をしたいですね。

賃金52(株式会社乙山事件)

おはようございます。

さて、今日は、タクシー会社を退職した社員からの割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

株式会社乙山事件(東京地裁平成24年3月23日・労判1054号47頁)

【事案の概要】

Y社は、タクシー事業等を営む会社である。

Xは、Y社の従業員であった者である。

Xは、Y社を退職後、未払割増賃金を請求した。

【裁判所の判断】

約1200万円の未払割増賃金請求に対して、約105万円の支払いを命じた

付加金として50万円の支払いを命じた

【判例のポイント】

1 労基法上の労働時間とは、労働者に実際に労働させる実労働時間、すなわち「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいうものと解されるところ、その判断は、(1)当該業務の提供行為の有無、(2)労働契約上の義務付けの有無、(3)義務付けに伴う場所的・時間的拘束性(労務の提供が一定の場所で行うことを余儀なくされ、かつ時間を自由に利用できない状態)の有無・程度を総合考慮した上、社会通念に照らし、客観的にみて、当該労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かという観点から行われるべきものである。

2 Xの勤務パターンは明確にされていなかったが、Xは毎日午前5時頃出社して帰庫管理等に着手しており、Y社もこれを黙認せざるを得ない状況にあったことから、始業時は午前5時であるといわざるを得ない。

3 Xは、事業場に毎日午後5時くらいまで居残っていたものの、Y社において内勤制度が発足し確立していた本件請求期間内においてはXが居残る必要性は消滅しており、加えてY社の代表者はXに会う度毎に「早く帰ったらどうか」と退社を促していたことからすれば、Xが午後5時頃までY社の指揮命令下に置かれていたものとはいいがたく、この時間をXの実労働時間の終了時とすることはできない

4 Y社の運行管理業務はそもそも繁忙状態を生じさせるようなものではなく、残業手当(1ヶ月5万円)に相当する1か月約15時間に相当する残業時間があれば十分にこなしうる程度のものであったと認められ、1日8時間を超えて労務の提供を余儀なくされるような業務が存在していたのかは大いに疑問であるといわざるを得ない
以上の点に加え、Xは、元々明確な所定労働時間に縛られた勤務体制下で業務に従事していたわけではなく、内勤に転じた後も、運行管理業務だけではなく、Y社に乗務員を紹介するという重要な役割を担っていたことなどを併せ考慮すると、上記要素(1)ないし(3)のいずれの観点からみても、Xの行っている上記運行管理業務が上記午後1時すなわち「8時間」を超えてY社の指揮命令下に置かれていたとはいい難く、したがって、Xの上記運行管理業務による実労働時間が上記「8時間」を超えていたものと評価することはできない。

5 Y社では、週休2日制を採用していたものであるが、Xの休日は週休1日が実態であって、法定外休日の土曜日も平日と同様に出社してY社の指揮命令下において運行管理業務を行っていたと認められる。

6 法定休日である日曜日も業務に従事していたとするXの主張につき、班長制度によりXの業務量等は減少していたもので、早めの退社を促していたY社代表者は、法定休日にXに労働させる意思を有していなかったものとみるのが自然であるから、休日割増賃金にかかる請求は認められない

7 Y社は、使用者としてXについてもタイムカードないしは出勤簿等により出退勤管理を行うべき義務を負っていたにもかかわらず、これを怠ってきた経緯が認められ、かかるY社の対応は労基法37条等の趣旨・目的に照らすと軽々に許されるものではない。そうだとすると当裁判所としては、Y社に対して時間外労働等に関する労基法の諸規定の遵守を励行させるべく、制裁金たる付加金の支払を命ずるよりほかない。
もっとも、その一方で、・・・Y社が本件給与の一部である残業手当のほかに、Xに対して割増賃金を支払う必要がないものと誤信したことには、それなりにやむを得ない事情が介在していたものということができる。
以上のとおりであるから、これらの事情を併せ考慮するならば、本件訴訟において認容すべき付加金の額は50万円が相当である。

非常に参考になる裁判例です。

上記判例のポイント1のとおり、労基法上の労働時間の判断のしかたは、是非、おさえておきたいところです。

その上で、この裁判例は、残業の必要性を否定しました。

労働時間を、実質的に判断している点を、使用者側のみなさんは是非、参考にしてください。

請求金額と認容金額を比較すると、ほぼ使用者側の勝利なんでしょうね。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介145 ゼロからの挑戦(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます また一週間が始まりましたね。 今週もがんばっていきましょう!!
写真 2012-11-14 18 43 37←先日、いつもお世話になっている社長とホテルセンチュリー内の「花凜」にふぐ料理を食べに行ってきました。

料理長が太鼓判を押しているだけあって、絶品でした。

社長、ご馳走様でした

今日は、午前中、東京家裁立川支部で離婚調停です

午後は、顧問先の社長と打合せが入っています。

夕方から月1恒例のラジオ出演です。 今月は、1週早めてもらいました。

夜は、某企業へ会社訪問です

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
新版 敬天愛人 ゼロからの挑戦 (PHPビジネス新書)
新版 敬天愛人 ゼロからの挑戦 (PHPビジネス新書)

稲盛さんの新しい本です。

これまでにもいくつか稲盛さんの本を紹介してきました。

稲盛さんの本もよく読みます。変に戦略的でなく、直球を投げるところが好きです。

いわゆる王道というやつです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

経営者というものは、まずは従業員を路頭に迷わせないために、また顧客のため、株主のため、さらには社会のために、何としても売り上げを確保し、利益を稼ぎ出すことに努めなければならない。また、そのためには、経営者はすさまじいくらいの気概を持って経営に当たらなければならないのである。
その気概とは、『闘魂』とも言い換えることができよう。『絶対に負けるものか』という格闘家の闘争心にも似た、激しい闘志が経営には必要不可欠である。
」(189頁)

仕事のことを朝から晩まで考え続けることは、大変な重労働である。しかし経営者である限り、それくらい仕事のことを考え詰めるようでなければ、年々歳々厳しくなる経営環境の中、会社を成長発展させることはできない。
しかし逆に言えば、いかにビジネス環境が変化しようとも、そのように強烈な願望を抱き、誰にも負けない努力を続けていれば、必ず成功することができるはずである。
」(191頁)

もうたまりませんね。 しびれてしまいます。

私自身、「気概」、「闘魂」、「闘志」を持って、日々、がむしゃらに仕事をしています。

それが楽しくて仕方がありません。

「たまには息抜きすれば」と言っていただくことが多いです。 大変ありがたいことですね。

ただ、毎日、辛いことをいやいややっているわけではないので、息抜きは今のところ必要ありません(というより、自分ではこれでも十分息抜きしているつもりです。)。

ぶっ倒れるまで突っ走る覚悟はできていますので。

人生は短いです。

「あのとき、もっと一生懸命やっておけばよかったな」と後悔したくありません。

おじいちゃんになったら、ゆっくり温泉巡りでもしようと思います。

それまでは、仕事、しまくります。

解雇85(南淡漁業協同組合事件)

おはようございます。

さて、今日は、信用業務(貯金業務)責任者に対する普通解雇に関する裁判例を見てみましょう。

南淡漁業協同組合事件(大阪高裁平成24年7月19日・労判1053号5頁)

【事案の概要】

Y社は、信漁連から貯金の入出金、貸付業務の取次ぎ等の業務の委託を受けていた。

Xは、Y社に勤務していた者であるが、Y社から重大な規律違反行為を理由として普通解雇された。

Xは、本件普通解雇は解雇権を濫用したものであり、無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

解雇は有効

【判例のポイント】

1 Y社に勤務している職員は本所で4名、H支所で1名にすぎず、それぞれの職務分担は一応定められているものの、互いの職務は関連しており、円滑な業務の遂行のためには、互いの連携、協力、連絡等が必要不可欠であるところ、Xは、理由は不明であるが、平成20年正月明けからほとんど他の職員と言葉を交わさなくなり、業務上必要な連絡もしないまま、仕事を行うようになったものである。このため、職場の雰囲気を著しく損ねるとともに、本所においてもH支所においても、Xが必要な連絡や伝達をしないことによる業務上の支障が生じることこととなった。そして、その結果、他の職員が困るだけでなく、Xのみが説明を受けたオンライン機器の操作方法を他の職員に教えなかったために、やむなく神戸から信漁連の職員に来てもらうというような事態まで生じたほか、貯金を引き出しに来た組合員に過少払をする結果となったり、組合員から依頼のあった燃油代金の引き落としの手続ができずに迷惑をかけるという結果まで生じていた。そして、Y社の組合員その他の関係者からも、Y社代表者に対して、Y社の本所の雰囲気が悪いとか、Xの窓口での応対が悪い状態が続いていることが告げられる状態にもなっていたものである
・・・XにはY社の職員としての職務上の義務に違背する行為があったものというべきである

2 Y社代表者は、XがY社の職場で他の同僚職員と会話をしないだけでなく、職務上必要な連絡や伝達さえもしなくなり、事務処理上さまざまな支障が生じていることについて3回にわたってXに注意をしたにもかかわらず、Xはこれを聞き入れようとせず、2回目の注意を受けた際には反発して午後には家に帰ってしまい、3回目の注意を受けた際には「ほっといてくれ」などと強く言い返して勤務態度を改めようとは全くしなかったものであるから、Y社の側でそれ以上の注意を重ねてもXの勤務態度の改善が期待できないものと判断したことはやむを得ないところであったというべきである

3 この点、Xは、本件解雇処分の前の段階で、Y社代表者らから、解雇を含めて厳しい処分を検討しているので職務態度を改善するようになどといった指導や警告を受けておらず、かかる指導や警告を受けたなら、Xが職務態度を改善した蓋然性があったと主張する。しかし、上記のとおりXが他の職員との会話をせず、職務上必要な連絡や伝達さえも行わない状態を長期間にわたって続けており、Y社代表者からの注意や指導に対しても、何らの説明や弁明をすることもなく、むしろ反発を強めるだけであった一連の態度に照らすと、Xの主張は到底採用することができない
また、段階的な処分を踏むべきであったとのXの主張についても、Y社代表者からの注意や指導に対して一向に態度を改めることがなく、かえって反発を強めるばかりであったXの一連の態度に照らすと、段階的な処分によってXが態度を改善させる可能性があったものとは認められないから、Xの主張は認められない

解雇事由に決定的な決め手のない普通解雇ですが、トータルでみて、解雇を有効と判断しています。

ポイントは、会社がXに対して、3回にわたって注意し改善を促したにもかかわらず、Xが勤務態度を改めなかった点です。

Xにも当然、そのような態度をとった理由があるはずですが、裁判所は、その点については重視しませんでした。

何度か改善を求めるという点は、参考にすべきですね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介144 ホンマもんの成功法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
ホンマもんの成功法則 -世界一気さくなバリ島日本人大富豪の教え-
ホンマもんの成功法則 -世界一気さくなバリ島日本人大富豪の教え-

先日、紹介をしました「大富豪の教え」に続くアニキ本第2弾です。

アニキに関する本は、とりあえず、すべて読んでみようと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ホンマもんは、計画にかまけてる暇がないんや。無我夢中や。必死になれないやつほど、計画が得意や。ほんで計画通りにいかん。やってるやつは、計画なんかどうでもいいねや。あとから結果がついて来るから。」(61頁)

計画を立てること自体を否定するつもりはありません。

ただ、計画を懸命に立てていると、手段と目的がわからなくなってしまいます。

計画を立てること自体が目的化してしまうというか・・・

また、計画の段階で時間を使いすぎると、そのうち、実行に移すタイミングを逸してしまうのではないでしょうか。

もとより、私は、計画を練るということがあまり得意ではありません。

思いついたら、どんどん実行に移したくなってしまうからです。

動きながら考えるのが性に合います。

人生は短いです。

すべては即断即決です。 

不当労働行為55(財団法人新国立劇場運営財団事件)

おはようございます。

さて、今日は、合唱団員の不合格措置と不当労働行為に関する裁判例を見てみましょう。

財団法人新国立劇場運営財団事件(東京高裁平成24年6月28日・労経速2152号3頁)

【事案の概要】

新国立劇場を運営しているY財団は、その開催するオペラ公演に出演する合唱団員として、Xとの間で、実演により歌唱技能を審査して選抜するための手続(試聴会)を経て、契約メンバーとしての出演基本契約を締結していた。

Y財団は、平成15年8月から平成16年7月までのシーズンの契約に関し、試聴会の審査により契約メンバーとしては不合格である旨をXに告知した。

これを受けて、Xが加入している音楽家等の個人加盟による職能別労働組合であるユニオンは、Xの上記シーズンの契約についての団体交渉の申入れをした。

しかし、Y財団がこれに応じなかった。

【裁判所の判断】

合唱団員の不合格措置は不当労働行為にはあたらない

団員の処遇に関する事項について財団には団交応諾義務がある

【判例のポイント】

1 ユニオンは、試聴会においては、審査の公平及び適正が担保されておらず、評価方法及び採点方法も恣意的であると主張する。
ところで、本件合唱団の契約メンバーとしての水準に達する歌唱力を有しているか、オペラ公演への出演に適するか否かを判断することは、専門的・技術的な性質を有する事柄であるばかりでなく、芸術的評価を伴うものであり、しかも、既に相当の技量を備える者の間で行われる評価であるから、第三者に客観的に認識し得る明確な基準を定立することは困難であるというほかない。そして、合否の最終的な判断は、審査員の芸術感や感性によっても影響を受けるのであるから、おのずと審査員の裁量に委ねられることにならざるを得ない。この点は、判断基準ばかりでなく、判断のための技能評価の方法についても同様であり、複数の審査員が関与する場合に、統一的な評価方法を用いるかどうかも、これに当たる専門家の判断によらざるを得ないのであって、評価方法や採点方法が決まっていないことのみをもって、試聴会の審査結果が不合理であるとするのは相当でない

2 Y財団は、本件不合格措置を撤回又は変更する義務はなく、ユニオンが専ら本件不合格措置の撤回や変更を求めて団体交渉を求めるのであれば、Y財団においてこれを拒否することに正当な理由があるが、ユニオンとY財団との間では、従前から、試聴会の在り方を含む契約メンバーの選抜について継続して話し合いが持たれているところ、契約メンバーは労働者であり、毎年試聴会を経て契約を締結してきているという実態がある以上、上記の問題は、労働者の処遇に関する事項に含まれるというべきであって、本件団交申入れは本件不合格措置を契機として行われたものであり、その対象がXの次期シーズンにおける契約とされているけれども、その契約締結の前提として選抜方法が問題となる以上、従前と同様に、協議内容が試聴会の在り方、審査の方法や判定方法等の本件合唱団員の処遇に及ぶことは両者にとって推測できるところであって、その結果が、次期シーズンに向けての出演基本契約の手続として本件合唱団の処遇に影響することになるから、この問題は、Y社にとっても義務的団交事項となるというべきであるので、Y社には団体交渉応諾義務があり、上記団体交渉事項が具体的でないとしてこれを拒否することには正当な理由はない

この事件は、一審は、労組法上の労働者に該当しないと、団交について不当労働行為性を肯定した部分を取り消し、不合格措置の不当労働行為性を否定した部分を正当としました。

二審も、一審判決を維持しました。

ところが、最高裁は、契約メンバーは、Y財団との関係において労働契約法上の労働者に当たると解するのが相当であるとし、これを前提として不当労働行為性の審査を尽くすべきとして、原審に差し戻しました。

本件裁判例は、この差戻審の判決です。

義務的団交事項か否かについての問題を事前に正確に判断するのはとても難しいことです。

微妙な場合には、団交に応じるべきであるというのが私の考えです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介143 松下幸之助翁82の教え(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
写真 2012-11-05 21 09 10←先日、久しぶりに、「魚弥長久」に行ってきました

個人的には、なすびグループの中で、このお店が一番好きです。

いわゆる「使えるお店」です。

今日は、午前中は、新規相談が1件、裁判が2件入っています。

お昼は、弁護士会の支部総会です。

午後は、裁判が1件あり、その後、富士へ行き、労務管理に関する新規相談と顧問先の社長との打合せが入っています

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
松下幸之助翁82の教え―私たち塾生に語った熱き想い (小学館文庫)
松下幸之助翁82の教え―私たち塾生に語った熱き想い (小学館文庫)

これまでにも何度か松下幸之助さんに関する本を紹介してきました。

今回は、松下政経塾の塾生さんの本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間は、窮地に追い込まれると自分でも不思議なくらいパワーが溢れ出す。松下翁は血のしょんべんを出しながら、幾度も窮地を凌いだ。『もうだめだ・・・』と思っている時期は、まだまだ序の口なのだ。さらに自分を窮地に追い込むことが、新たな解決への糸口になるのである。」(40頁)

従業員に対して「血のしょんべんが出るまでがんばれ」とは言いませんが、自分自身については、そのくらいの気持ちで仕事に取り組まなければいけないと思っています。

「もうだめだ」と思ってから、どれだけふんばれるかで勝負が決まるのだとも思っています。

また、「もうだめだ」とすぐに言ってしまう人がいますが、それではいけません。

多くの場合、「もうだめだ」は、「ま、いいか」と同義語です。

人生は、「ま、いいか」とのたたかいなのです。

不当労働行為54(テルウェル西日本事件)

おはようございます。 また一週間がはじまりましたね! 今週もがんばっていきましょう!!

さて、今日は、うつ状態による長期欠勤を理由とする雇止めと不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

テルウェル西日本事件(中労委平成24年7月18日・労判1053号92頁)

【事案の概要】

X組合員は、平成19年12月に開催されたY社と組合の団交に出席した頃から、休暇申請、賃金明細書、勤務実態、争議行為参加などをめぐり次第にY社と対立するようになった。

平成20年12月、組合は、X組合員がうつ状態になり年末まで欠勤する旨電話をかけ、その後、1月も欠勤すると電話をかけた。

平成21年2月中旬、Y社は、雇用期間が満了する同年3月31日限りでX組合員を雇止めにすると決定し、本人に通知した。

本件の争点は、本件雇止めが不当労働行為といえるか、である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 Y社がX組合員の雇止めを判断する上で根拠としていたのは、21.1.8診断書と21.1.23欠勤届の記載のみではないと考えられるのであって、X組合員が同年4月以降職場復帰することが可能であれば、X組合員がその旨会社に対し直接意思表示をすればよいだけであるにもかかわらず、同年2月中旬までに、そうした意思表示は行われなかった。つまり、X組合員は、同年3月31日に契約期間が満了することを承知していたのであるから、精神的健康状態が回復し、また就労の意思があるのであれば、雇用契約当事者であるX組合員から意思表示を行うべきであったと考えられる。ところが、組合はX組合員と会社との直接接触を遮るだけであった。X組合員の雇止めについて判断する前提としてX組合員の健康状態の把握に努めていた会社としては、X組合員の就労の意思及び可能性に関するX組合員との上記のような連絡状況をも勘案して雇止めの判断に至ったと考えられるのであり、会社がそのように勘案して、同年4月以降X組合員から安定的に労務を受領できないと考えたとしても無理はない

2 本件雇止めは、X組合員の欠勤の状況及び健康状態が芳しいものでなかったことを理由とするものであることは明らかであり、C組合員の組合活動への報復の意思ないし組合に対する弱体化の意図は認められない。したがって、本件雇止めは労組法7条1号に規定する不利益取扱いおよび同条3号に規定する支配介入には当たらない

 
雇止めの理由が合理的であると判断され、不当労働行為性は否定されました。

労働組合が、組合員と会社との直接接触を妨げるだけで、Xの健康状態、就労可能性について会社に対して伝達しなかったことも、雇止めが有効と判断された理由となっています。

参考になりますね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介142 わたしの人生に奇跡を起こしたマーフィー100の言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

さて、今日は、本の紹介です。
わたしの人生に奇跡を起こした マーフィー100の言葉
わたしの人生に奇跡を起こした マーフィー100の言葉

先日、紹介をした歯科医師の井上先生の本です。

これまでにも、何冊かマーフィー本を読んだことがありますが、いまいち興味を持つことができませんでした。

今回、再挑戦してみましたが、やはり興味が湧きません(笑)

「潜在意識」というキーワードが何度も出てくるのですが、わたしの心を掴みません。

いつかわかる日がくるのかもしれませんね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この世の中で、粘り強さに勝るものはない。才能があってもダメだ。才能のある失敗者は大勢いる。天才であってもダメだ。高い学歴があってもダメだ。高学歴の落伍者は大勢いる。しかし、粘り強さがあれば、決意したことはなんでもできる。『粘り強さを発揮しろ』というメッセージこそが、これまで人類の諸問題を解決してきたし、これからも解決し続けるであろう」(156頁)

これは、アメリカ第30代大統領カルヴィン・クーリッジの言葉です。

「この世の中で、粘り強さに勝るものはない」

いい言葉ですね。

もうダメだ、というところが、どれだけ忍耐強く粘れるかで、結論はかなり変わってきます。

このことを実際に経験し、理解している人は、強いですね。

仕事に対して粘り強い人は、頼もしいですよね。

そういう人と一緒に仕事がしたいですね。

同僚に感動を与えるような仕事をしていきたいと思います。