Author Archives: 栗田 勇

有期労働契約35(NTT東日本-北海道ほか事件)

おはようございます。

さて、今日は、雇用期間5年余、更新回数5回の有期契約労働者の雇止め、および関係会社への雇用替えに関する裁判例を見てみましょう。

NTT東日本-北海道ほか事件(札幌地裁平成24年9月5日・労経速2156号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのある雇用契約を締結し、契約社員として複数回契約を更新していたXらが、Y社らに対し、Y社による期間満了後の更新拒絶(雇止め)は許されないと主張し、さらに、Y社との間の雇用契約を合意解約してA社へ転籍する旨の意思表示は錯誤によるものであるから無効であるなどとして、XらがY社との間で雇用契約関係上の地位を有することの確認等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇止め及び雇用替えは有効

【判例のポイント】

1 XとY社との間の雇用契約は、5年6ヶ月にわたり継続し、契約の更新も5回されているが、Xの所属していた113センタにおいては、正社員とXを含む契約社員Ⅱの業務内容には相違点があること、Xの業務は継続性のある業務とはいい難いこと、業務の縮小、再委託等がある場合には雇止めがされていたこと、契約内容更新の際には、一応契約更新の意思の確認及び契約内容の説明は行われており、雇用更新の手続が形式的、機械的なものになっていたということはできないことから、XとY社との間の雇用契約には、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になっていたということはできず、また、雇用契約が更新されるものとの合理的な期待を抱いていたということもできないから、解雇に関する法理が類推適用されない。

2 Y社による本件雇用替えの目的には、一応の合理性が認められ、Xらを雇止めしてA社に転籍させる理由としても一応の合理性があるものと認められること、Y社は、本件雇用替えに当たって、Xらを単に雇止めするのではなく、A社への移籍という選択肢を提示してるところ、その選択肢は非合理的とはいえないこと、本件雇用替えの実施に当たって適正な手続が執られていること、本件雇用替えの対象者の人選に不公正な点は見られないことからすれば、Xらの主張のように、仮に解雇に関する法理が適用されるとした場合でも、Xらとの間の雇用契約を更新しないということを正当化する客観的に合理的な理由があったというべきである。

3 B、Cは転籍に応じなければ、Y社を雇止めになる旨を認識していたものと認められ、Xについても転籍に応じなければ同社がXを雇止めできると認識していた可能性は否定できないが、A社に転籍後もY社に派遣され、従前と同じ業務を続けることが予定されていたこと、転籍後の労働条件は転籍前と比べてほとんど変更なく、転籍前の不利益をできるだけ小さくするための手当がされていたこと、逆に転籍前と異なり正社員に登用される可能性もあったこと、本件雇用替えがY社と同社の最大労組との協議、大綱了解に至っていた施策であること等からすれば、通常一般人が、仮に、法的に雇止めができないことを認識していたとしても、転籍に合意することは十分にあり得たものと考えられ、仮にXらに錯誤があったとしても、錯誤がなかった場合に、通常一般人が転籍に合意しなかったであろうと考えられるほどに重要な錯誤があったとはいえず、要素の錯誤であるとは認められない

今月、社労士会のセミナーで講師を務める際、有期雇用について触れる予定です。

最近は、使用者の中でも、ちゃんと過去の裁判例から対応策を勉強しているところは、事前に適切な手続をしてから、雇止めをしているため、以前に比べると、有効と判断されるケースが増えているように思います。

まずは、上記判例のポイントの2と3のように、2つのレベルに分けて考えるようにしましょう。

次に、どのような手続をしていると有効と判断されるのかを複数の裁判例から読み取ることが大切です。

セミナーでは、そのあたりも触れます。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

本の紹介160 たった1つの言葉が人生を大きく変える(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
Attachment-1←昨年末の年越しそば第2弾として、「吉野」に行ってきました

写真は、税理士K山先生おすすめの「ぶっかけ」です。せいろを7種類(山菜、おかか、大根おろし、葱、海苔、かき揚、わさび)の薬味で食べます。

おいしゅうございました。 

年をとればとるほど、おそばがおいしくなってくるのは気のせいでしょうか。

今日は、午前中、裁判が2件、破産の免責審尋が1件、新規相談が1件入っています。

午後は、新規相談が2件入っています。

夜は、東京で、社団法人の理事会です

いよいよプロジェクトが形になってきたので、これからが楽しみです。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
たった1つの言葉が人生を大きく変える
たった1つの言葉が人生を大きく変える

よくある名言集です。

この本の特徴は、原題である「NEVERISMS」からもわかるとおり、「決して~するな」という名言を集めたという点です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

危険が迫ってきたときは、背中を見せて逃げるな。危険が2倍になる。しかし、ひるむことなく断固として立ち向かえば、危険は半分になる。何事からも、決して逃げるな。決して!」(ウィンストン・チャーチル)(168頁)

これを普段の仕事におきかえて考えることにします。

「危険」は「嫌なこと」「大変なこと」という意味で考えます。

大変な仕事は、どうしても後回しにしがちです。

でも、後回しにすればするほど自分を苦しめることになります。

後回しにしたって逃げることはできないのです。

最終的には、どこかでやらないといけないのです。

そうであるならば、覚悟を決めて取りかかる。

そして、これを習慣化する。

そうすると、自然と逃げない姿勢が身についてきます。

解雇91(甲社事件)

おはようございます。

今日は、勤務態度不良を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

甲社事件(東京地裁平成24年7月4日・労経速2155号9頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されていたXが、同社の行った解雇が無効であるとして、雇用契約上の地位の確認と未払給与、賞与の支払を求めるとともに、上司らが共謀して、Xに対する嫌がらせ・ハラスメント(虐待行為)を行ったとして、上司らに対し、共同不法行為に基づく損害賠償請求を求め、また、Y社に対して安全配慮義務違反による債務不履行もしくは不法行為に基づく損害賠償を求める事案である。

なお、Y社は、主にコンピューターソフトウェアの設計、販売及び輸出入を業とする会社である。

Xは、平成18年11月にY社に採用された。職務内容は、顧客に対するサポートシステムの保守及び新規機能追加の対応業務、各種プロジェクトの計画、進捗管理、ドキュメント作成、下請け業者のマネジメント業務であった。

【裁判所の判断】

解雇は有効

【判例のポイント】

1 本件解雇の具体的な理由として上げられている上記(1)ないし(3)の点については、上記のとおり、いずれもこれを認めることができる。具体的に、(1)に関して、Xは、これまでの業績が評価されて昇進したCに対して嫉妬し、Cのみならず、Dに対しても上司に対する尊厳を欠いたような発言を繰り返している。
また、(2)に関して、Xは、組織変更前の問題があるとされる仕事の進め方にこだわり、組織変更後の新しい方針を受け入れないまま、何事も自分が担当するプロジェクトが最優先で行おうとして、Dの指示や指導に従わなかったことが認められる。
さらに、(3)に関して、Xは、保守・サポート課に異動した後も、Y社の開催するワークショップに対して、根拠なく批判的な態度を取る、Navi2.2プロジェクトをたびたび紛糾させるといった行動を取る、E課長やDの指示や指導に従わない姿勢を取る、E課長から態度を改めないとPMの仕事に携わることはできないと指導されても、これに理解を示さず、自己の能力をアピールし続け、PMとしての仕事をさせて欲しいと要望し続ける等し、周囲の社員から一緒に仕事をしにくい人であるといった評価を受けていることが認められる。

2 以上からすると、Xには、Y社が求めている協調性が欠けており、また指導されても、自分の姿勢を改めようとしなかったことは明らかであり、かかるXの協調性不足を解雇の理由とした本件解雇については、客観的に合理的な理由があるといえる

3 次に、本件解雇が、社会通念上相当といえるかについて検討する。
・・・以上からすると、本件解雇に至るまでに、Y社は、Xに対して、再三にわたって指導注意を行った上で、それに応じようとしないXに対し、BA部以外の他部署への異動を勧奨し、さらに退職勧奨を行い、合意による退職の方途を探っており、Xとかなり時間を掛けて協議を行っていることが認められる。しかしながら、他部署への異動については、Xにやる気がなかったことなどから実現しなかったものである。また、退職勧奨についても、Xが、C、Dの謝罪の仕方にこだわったため、これが実現しなかったものである。なお、CやDについては、Xが主張するような事実自体認められない、あるいはパワーハラスメントとして評価しうるような行為はなかったものであり、C及びDが不法行為責任を負うものではない。
そして、Xが、Qに対して、Y社から他部署への異動のための面接を受けるよう指示されたことについて「この会社あほ???」と述べたり、他部署へ異動を命じられると「和解金も取れないし、パワハラも訴えられない」と述べていることからすれば、Xは、Y社の本件解雇を回避するために取られた他部署への異動打診といった措置をあざ笑うかのように不誠実な対応をとり続けたことは明らかであり、Xにやる気がみられないとして他部署からの受け入れを断られたものもXに原因があるといわざるを得ない。かかるXに対して、退職勧奨を経た上で行われた本件解雇は、やむを得ないものとして社会通念上相当といえる。

勤務成績不良を理由とする解雇を有効に行うことは、一般的にはハードルが高いといえます。

正直なところ、私は、その原因が使用者側にあると考えています。

勤務成績不良を理由とする解雇が無効になってしまう主な理由は、使用者の労働法や判例に関する知識不足にあります。

労使紛争に長けている顧問弁護士等がいる場合であればともかくとして、そうでない場合、使用者は、所定の手続を踏むことなく、すぐに解雇してしまう。そうすると、多くの場合、解雇は無効と判断される。

今回の裁判例を読むだけでも、どのようなことを事前にすべきかを読み取ることは十分に可能であると思います。

是非、参考にしてください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介159 出稼げば大富豪 運命が変わる編(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

出稼げば大富豪 運命が変わる編 (調子ぶっこきシリーズ)
出稼げば大富豪 運命が変わる編 (調子ぶっこきシリーズ)

アニキ本、第6弾です。

何度も言いますが、とにかく全部読んでみます(笑) あと少しです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

安定なんかを目標にしてるから安定から遠ざかるねや。わかるか?」(206頁)

シンプルですが、真実ですね。

目から鱗が落ちるというよりは、「そりゃそうだよね」という感じです。

いつも言うことなのですが、私と同世代の経営者を見ていて、安定を目標としている人って、1人もいないのではないでしょうか。

いろいろな経営者の顔を思い浮かべてみましたが、「安定」という言葉が似合う人が見当たりません。

みんな安定なんか目指していないですよね。

多くの「できる」経営者に共通するキーワードは、「変化」、「実行」、「挑戦」、「斬新」などです。

正直、30代から、安定なんかを目標にしても、楽しくもなんともないわけです。

こんな考えの経営者が周りにはたくさんいます。

このような考えの経営者が、世の中を変えていくのだと信じています。

継続雇用制度19(全国青色申告会総連合事件)

あけましておめでとうございます。

今年も一年、よろしくお願いいたします。

さて、今日は、定年後の再雇用における雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

全国青色申告会総連合事件(東京地裁平成24年7月27日・労経速2155号3頁)

【事案の概要】

Xは、平成3年5月からY社に正社員として勤務していた。

Xは、定年退職後、Y社との間で、平成21年10月、期間雇用の定めがある再雇用契約を締結した。

Y社は、Xに対し、期間満了後新たに契約を締結しない旨(本件雇止め)を通告した。

Xは、本件雇止めは無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

雇止めは有効

【判例のポイント】

1 Y社においては、職員が引き続き勤務することを希望すれば、就業規程の定める一定の要件の下、1年間の再雇用をするという内容の再雇用制度が採用されたのは、平成18年4月1日付けの就業規程の改訂によってであり、Xは、Y社において、前記改訂後初めて定年退職を迎える正職員であったこと、本件雇止めは、更新を経ずして行われたものであることが認められるから、本件においては、前記再雇用制度の運用状況や過去の更新の手続・回数等の雇用継続の合理的な期待を裏付けるに足りる客観的な事情は、特に見当たらないと言わざるを得ない。

2 平成3年当時、60歳定年制は未だ法律上義務づけられていなかったこと、Y社において、職員が引き続き勤務することを希望し、一定の要件を満たしていれば、1年間の再雇用をするという内容の再雇用制度は存在しなかったことが認められるのであって、Y社における定年が60歳であることが求人カードによって明示されていることを考え合わせれば、求人カードに再雇用制度有りという旨の記載があるとしても、また、Xの主張するとおり、
C及びDが、再雇用制度があり、65歳まで働くことができる旨を説明したとしても、それは、未だ存在してなかった前記の内容の再雇用制度を前提とするものではなく、定年が60歳であることを前提に、65歳まで再雇用されることもあり得るという意味にとどまるものと評価され、Xの65歳までの雇用継続を保障するものとは認められない
から、平成22年10月20日の本件再雇用契約の期間満了に当たってのXの雇用継続の合理的な期待を裏付けるには足りない。

3 Y社の再雇用制度は、平成18年4月1日付けの就業規程の改訂により導入されたもので、Xは、Y社において、前記改訂後初めて定年を迎える正職員であったから、Y社において、前記制度の運用について、慣例は存在しなかったというほかない
Xは、Y社及び東京青色申告会連合会の職員の定年後再雇用や役員が60歳を超えても勤務している例を挙げるが、いずれもY社における65歳までの継続雇用の慣例の存在を裏付けるに足りない。なお、Xは、Y社の平成2年4月の東京青色申告会連合会事務局からの分離・独立後に本件雇用契約を締結しており、前記のとおり、Y社の再雇用制度の制度化は、それ以降であるから、東京青色申告会連合会の例をもって、Y社における60歳以上の職員の雇用についての慣例を根拠付けることはできない
以上によれば、Xの本件再雇用契約後の職務内容が、それ以前と同じであったことを考慮に入れてもなお、Xにおいて、本件再雇用契約終了後の継続雇用について合理的な期待があったとはいえない。

久しぶりに継続雇用に関する裁判例を見ます。

この裁判例で学ぶべきは、「慣例」についてのハードルの高さです。

私も裁判で経験がありますが、労使慣行を認定し、そこから一定の法的効果を導くのは、想像しているよりもはるかに大変です。

「長い間、継続している」という一事をもって、労使慣行があるとはならないのです。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。

本の紹介158 採用基準(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、静岡駅の南口にある「湧登」に行ってきました

写真は、「沖田黒豚の焼きたてチャーシュー」です。

注文してから焼くので、出てくるまでに30分くらいかかります。

沖田黒豚は、日本で4件のお店しか扱っていないそうです。

当然のごとく、めちゃうまです。 脂が秀逸です。

今日は、午前中は、裁判1件入っています。証人尋問です。

午後は、裁判が3件、新規相談が1件、相続財産管理の打合せです。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
採用基準
採用基準

著者は、マッキンゼーの採用マネージャーを12年務めた方です。

私の事務所でも採用は、事務所運営にあたり、非常に重要な要素となってきますので、何かの参考になればいいなと思い、読んでみました。

採用について具体的に参考になったという点はあまりありませんでしたが、リーダーシップの意義については参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

全力を出し切らなくてもできる仕事を何年も続けてしまうと、知らず知らずのうちに保守的となり、視点が低くなります。めいっぱい頑張らなくてもできる仕事をしながら高いスピードでの成長を続けるのは、誰にとっても困難なことなのです。」(112頁)

面接を担当するコンサルタントは、面接の一時間の中でさえ、候補者がどの程度、成長するかを見極めようとしています。成長スピードの速い候補者は、面接中に聞いた相手の言葉からその場で何らかの学びを得て、次の質問ではすぐにそれを活かして回答を変えてきます。自分の実力を大きく超える仕事をしている人は、特別な勉強や訓練の機会を待たず、日常の仕事からも貪欲に学びを得ないと、必要なスキルを身につけることができません。このため常に”学びの臨戦態勢”を保っているのです。」(113~114頁)

「学びの臨戦態勢」という言葉、いいですね。

同じことを教えても、すぐに自分のものにしてしまう人とそうでない人の違いは、頭の良し悪しではなく、「学ぼう」という臨戦態勢が整っているかどうかなのかもしれません。

私の事務所でも、近日中に、スタッフや勤務弁護士の面接を行う予定ですが、面接では、その人の仕事や他人に対する姿勢、考え方を見ています。

学歴、経歴は全く重要ではありません。

ちなみに、私の事務所で求めているのは、「素直な人」「思いやりがある人」「向上心がある人」といったところでしょうか。

実務的なことは、素直な気持ちで指示に従い、向上心を持って真面目に仕事をすれば、自ずとできるようになります。

また、他のスタッフが困っているときにも知らん顔をしているような人はいりません。

困ったときはお互い様という気持ちをもって、いつでも助け合うことができる人と一緒に働きたいです。

解雇90(シーテック事件)

おはようございます。

さて、今日は、派遣労働者に対する整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

シーテック事件(横浜地裁平成24年3月29日・労判1056号81頁)

【事案の概要】

Y社は、持株会社であるR社のグループ会社として労働者派遣事業を営む会社である。

Xは、Y社との間で労働契約を締結し、派遣労働者として就労していた。

Y社は、平成21年6月末、Xを整理解雇した。

Xは、本件整理解雇は要件を満たしておらず無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

整理解雇は無効

【判例のポイント】

1 本件解雇は、労働者の私傷病や非違行為など労働者の責めに帰すべき事由による解雇ではなく、使用者の経営上の理由による解雇(整理解雇)であるから、その有効性については慎重に判断するのが相当である。そして、整理解雇の有効性の判断に当たっては、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性及び手続の相当性という4要素を考慮することが相当である。

2 ・・・これらの事情を考慮すると、本件解雇当時、Y社において、支出の相当割合を占める人件費を削減することが求められていたというべきであり、Y社が、R社に対する貸付けを放棄し、R社に対する経営指導料等の支払債務とR社に対する貸付金の相殺を行っていないことを考慮すると、切迫性には検討の余地はあるものの、Y社において、人員削減の必要性が生じていたことは否定し難い

3 Y社は、平成20年10月以降、間接部門の従業員を対象に希望退職の募集をしたり、技術社員の一時帰休を実施したり、新規採用中止を決定したり、事務消耗品購入の禁止、時間外労働の削減などにより経費を削減し、また、利益がない場合であっても派遣先との契約を締結する方針を取るなどして契約数を増やすための努力をしていたことが認められる
しかし、Y社は、Xを含む技術社員に対しては希望退職の募集を行わないまま、平成21年3月10日時点で待機社員であった技術社員及びそれ以降に待機社員となる全ての技術社員を対象に、整理解雇を実施することを決定し、同年3月17日以降、技術社員が待機社員になる都度、解雇通知を行っていたのであって、Y社が整理解雇の実施に当たって削減人数の目標を定めていたかも明らかではない。また、Y社では、本件解雇の通知前である同年4月に整理解雇により2774人及び同年1月ないし同年4月に退職勧奨等により1309人の人員削減が終了していたところ、それ以降、さらに整理解雇を実施する必要性があるか否かについて真摯に検討したことが証拠上窺われない。これらの事情からすれば、Y社が、本件解雇当時、人員削減の手段として整理解雇を行うことを回避する努力を十分に尽くしていたとは認めることができない
この点、Y社は、技術社員に対して希望退職の募集をしなかった理由を、優秀な技術社員が流出することでかえって資金繰りを悪化させるおそれがあったためと主張するが、Y社が、個々の技術社員の有する技術や経歴等を一切考慮することなく、待機社員であることのみをもって整理解雇の対象としたことからみても、上記Y社の主張は、不合理というほかない

4 Y社は、本件解雇の有効性の判断に当たっては、労働者派遣事業の特殊性について考慮すべきであると主張する。派遣労働者が派遣先企業における業務の繁閑等に対応するための一時的臨時的な労働力の需給調整システムとして雇用の調整弁としての役割を担っていることは理解できるところである。しかしながら、本件で問題になっているのは、労働者派遣事業を営む者と派遣労働者との間の労働契約であって、派遣労働者が派遣先企業において労働力の需給調整システムとして雇用の調整弁としての役割を担っていることから直ちに労働者派遣事業を営む者と派遣労働者との間の労働契約が不安定なものであることは導かれない。労働者派遣事業を営む者は、自ら雇用する派遣労働者が派遣先企業の雇用の調整弁となり、労働を提供することができないことがあり得るというリスクを負担する一方で、派遣労働者を企業に派遣することで利益を得ている側面を否定できないから、派遣労働者が派遣先企業との間の派遣契約の終了により一時的に仕事を失っても、そのことだけから直ちに解雇できないことはいうまでもない。労働者派遣事業を営む者としても、その雇用する派遣労働者との間の雇用期間を定めるなど、前記リスクを軽減することは可能である上、労働者派遣事業法30条も「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者について、各人の希望及び能力に応じた就業の機会及び教育訓練の機会の確保、労働条件の向上その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずることにより、これらの者の福祉の増進を図るように努めなければならない。」と定め、派遣労働者の雇用の安定を図るように求めているところである。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介157 奇跡を呼び起こす「魅力」の成功法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
斎藤一人 奇跡を呼び起こす「魅力」の成功法則 新版 (文庫ぎんが堂)
斎藤一人 奇跡を呼び起こす「魅力」の成功法則 新版 (文庫ぎんが堂)

先日も、一人さんの本を紹介しました。

とてもいい本でした。

今回の本は、一人さんが書いたのではなく、一人さんの弟子の方が書かれた本のようです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・一人さんも言っていました。『人を喜ばせたお礼に、神様からプレゼントされる。それがお金やツキなんだよ』と。ですから、人が喜ぶ顔を見るために、一生懸命何かをする。どんなことをしたら気持ちよく喜んでいただけるか一生懸命考え、それをやった結果、お客様が喜んでくださると、お互い本当にうれしいものです。そして、幸せの充実感を感じて、仕事が楽しくなります。」(54頁)

私の周りの経営者を見てみると、「人が喜ぶ顔を見るために、一生懸命何かをする」という発想で、仕事をしている方は、成功している人が多い気がします。

私は、日頃、スタッフや依頼者の方に「この人に会って、人生が変わった」と思ってもらいたいという気持ちを持ちながら、仕事をしています。

また、事務所のスタッフにも、そのような気持ちを持って、人と接してほしいと思っています。

話はやや変わりますが、この人といるとなんだか元気になる、やる気が出てくると思える人と出会ったときは、できるだけその人の行動や口ぐせを真似することをおすすめします。

まずは真似から入る。 これが王道です。

ここで大切なのは、「素直さ」です。

物事を素直な気持ちで見る。 いいものはいいものとしてそのまま受け入れる。

「素直さ」がない人は、どれだけいいものに出会っても、何か欠点があるのではないかという目で斜めから物事を見る傾向があります。

素直な心でいいものをどんどん吸収することを習慣化するだけでも、物事はいい方向に進むような気がします。

解雇89(ジャストリース事件)

おはようございます。

さて、今日は、会社解散に伴う元代表取締役に対する解雇に関する裁判例を見てみましょう。

ジャストリース事件(東京地裁平成24年5月25日・労判1056号41頁)

【事案の概要】

Y社は、リース・割賦販売事業、債券売買等を事業内容とする会社である。

Xは、18年12月、Y社の取締役に就任し、20年2月、同代表取締役に就任した。

Y社は、22年2月、解散し、同年4月、特別清算が開始された。

Xは、解散決議日に、Y社の代表取締役を退任し、22年3月、Y社との間で「雇用契約書」と題する書面を取り交わし、Y社の「本社 管理職」の地位に就き、従前と同様に、部下3名のチームリーダーとして、途上与信管理、管理債権処理(債権回収を含む)等の業務に従事した。

その後、Y社は、Xに対し、就業規則45条1項4号(「会社の経営戦略あるいは組織の変更に伴い、社員の職務の必要性がなくなったと会社が判断したとき」)および5号(「前各号に準ずる事由のあるとき」)に基づき、解雇する旨の意思表示をした。

【裁判所の判断】

解雇は無効

不当解雇を理由とする損害賠償請求は棄却

【判例のポイント】

1 労基法9条の「労働者」とは、「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」、すなわち他人(使用者)のために労務を提供しその対価たる賃金等を得て生活する者をいい、これに該当するためには、法的従属関係すなわち労務提供全般にわたり使用者の一般的な指揮監督を受ける関係(法的従属性)が存在していることが必要である。

2 ・・・以上によると本件契約書は、Xが、平成22年3月1日から本社において、所定の休日を除いた就労日に、所定の就労時間(午前9時15分から午後6時)、管理職としての業務に従事することを定め、これに対しY社が所定の支給日に月次給月額87万5000円をXに支払うことを約した契約書面であると認められ、そうだとすると本件契約はまさに「労働契約」そのものであって、特段の事情が認められない限り、本件契約の一方当事者であるXは、使用者たるY社のために労務を提供し、その対価たる賃金等を得て生活する者、すなわち労基法上の「労働者」に該当するものというべきである

3 整理解雇は、労働者に何ら落ち度がないにもかかわらず、使用者側の経済的な理由により、一方的に労働者の生活手段を奪い、あるいは従来より不利な労働条件による他企業への転職を余儀なくさせるものであって、これを無制限に認めたのでは著しく信義に反する結果を招きかねないばかりか、労働者の生活に与える影響は深刻である。このような整理解雇の特性等に照らすと使用者は、いわゆる比例原則に則り、雇用契約上、他の解雇にもまして労働者の雇用の維持に努め、可能な限り、その不利益を防止すべき義務を負っているものと解され、そうだとすると、その効力の判定は、(1)当該整理解雇(人員整理)が経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づくか、ないしはやむを得ない措置と認められるか否か(要素1=整理解雇の必要性)、(2)使用者は人員の整理という目的を達成するため整理解雇を行う以前に解雇よりも不利益性の少なく、かつ客観的に期待可能な措置を行っているか(要素2=解雇回避努力義務の履行)及び(3)被解雇者の選定が相当かつ合理的な方法により行われているか(要素3=被解雇者選定の合理性)という3要素を総合考慮の上、解雇に至るのもやむを得ない客観的かつ合理的な理由があるか否かという観点からこれを決すべきものと解するのが相当である(なお当該整理解雇がその手続上信義に反するような方法等により実行され、労契法16条の「社会通念上相当であると認められない場合」に該当するときは解雇権を濫用したものとして、当該整理解雇の効力は否定されるものと解されるが、これらは整理解雇の効力の発生を妨げる事実(再抗弁)であって、その事由の有無は、上記就業規則45条3号所定の解雇事由が認められた上で検討されるべきものである。)。

4 ・・・確かにY社は、本件特別清算の開始決定時においては負債超過の状態にあった。しかし、本件解雇の直前のである平成23年2月末までには債権の回収が順調に進み、負債超過の状態から脱却に成功し、その後は資産超過の状態が継続していることが認められる。そうだとすると本件特別清算の予定期間が平成24年7月であることを考慮したとしても、本件解雇の時点(平成23年3月31日)では既に僅か4名しかいないY社従業員について人員整理を断行する必要性は既に消滅しているものと認めるのが相当である。してみると本件特別清算業務を円滑に遂行するために人員整理という最終的な手段を採用することが、客観的にみて合理性を有するものとはいい難く、本件解雇(整理解雇)は、その必要性に欠けるものといわざるを得ない。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介156 Business Model YOU(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、休日出勤をしたスタッフ2名と事務所の近くにある「ベルベジ」でお昼ごはんを食べました

こういうときは、ランチセットではなく、食べたいものをいろいろ注文して、みんなで食べます。

すべての料理が、ヘルシーです。 女性にはとてもいいお店ですね。

今日は、午前中は、離婚調停です。

午後は、裁判が2件と新規相談が1件です。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
ビジネスモデルYOU
ビジネスモデルYOU

以前、紹介をした「Business Model Generation」の続編です。

9つの構築ブロックを「ビジネスモデルキャンバス」という1枚の表の中に落とし込んでいくという発想は同じです。

ビジネスモデルを、会社ではなく、自分自身で考えてみよう、という試みです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

顧客にキーアクティビティと価値を絶対に混同させてはいけないのです。」(65頁)

クリスは、顧客が最も満たしてほしいニーズが何かを見極めておらず、-当然、そのニーズを満たすために自分が与える価値を明確にしていませんでした。その結果、クリスは自分の与える価値は、編集・校正作業だと見なしていたのです。それによって自分の仕事の意義を引き下げてしまっていました。」(76頁)

ここだけ取り出すと、少しわかりにくいですかね。

「キーアクティビティ」と「価値」を混同してはいけない、ということがポイントです。

自分の仕事=キーアクティビティ。 自分の仕事により顧客に与えているもの=価値。

「キーアクティビティ」にスポットライトをあてるのではなく、「価値」にスポットライトをあてる。

そうすることにより、本当にすべきことが明確になってきます。

仕事を単なる作業と考えるのではなく、それによりいかなる価値を生むことができるのかという視点を持つことが大切です。

価値を生むためには、普通に仕事をするのでは足りず、工夫に工夫を重ねる必要があります。

この視点を持っている人は、自然と顧客視点で仕事のやり方を見直すことができるため、どんどん向上していくわけですね。