Author Archives: 栗田 勇

不当労働行為59(SETソフトウェア事件)

おはようございます。

さて、今日は、昇給差別と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

SETソフトウェア事件(中労委平成24年8月1日・労判1055号95頁)

【事案の概要】

Xは、Y社の副社長付業務推進センター、ビジネス・人材開発室・教育担当であった。

Y社は、Xに対して、虚偽の内容のメールを他の多くの従業員に送付したことを理由に減給1割(期間3か月)の懲戒処分に付した。

平成19年6月、Y社は、同年度のXの昇給額を0円とする給与改定を行った。また、20年6月、Y社は、同年度のXの業績給を2000円昇給する給与改定を行った。

なお、Y社は、平成17年4月に新人事制度を導入し、評価期間中に職務遂行能力の伸長が良好な者などに昇給を行い、職務考課や業績考課の評価が劣る者に降給を行うこととした。

【労働委員会の判断】

Xの昇給額を0円および2000円としたことは不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 Y社における新人事制度とそれを踏まえた賃金規程の定めからみて、Y社においては、資格等級や業績給額が毎年勤続年数に応じて上昇していくという年功序列賃金制度は採られておらず、少なくとも40歳を超えた従業員については、実際にも年功序列的な昇格、昇給は行われていないことが認められる。

2 ・・・以上によれば、Xの19年度及び20年度の職能給及び業績給総額における昇給の額が0円及び2000円であったことについては、いずれの年度においても、同人の昇給額が他の従業員に比べ殊更低く抑えられていたとはいえず、またY社の評価が不合理とは認められない
加えて、Y社がXが組合員であること及び同人の組合活動を嫌悪していたことを認めるに足る事情もない。したがって、Y社がXの19年度及び20年度の職能給及び業績給の総額における昇給額を0円及び2000円としたことは、同人が組合の組合員であることないしは同人の組合活動を理由として不利益な取扱いをしたものとはいえない。

年功序列賃金制度が取られておらず、昇給しないことが必ずしも不合理とは言えない状況では、不当労働行為にはあたりません。

会社としては、仮に昇給を行わないのであれば、不当労働行為と誤解されないように、また、誤解されても、しっかり説明できるように準備をしておきましょう。

ほとんどの場合、不当労働行為と判断されるのは、会社の認識不足と準備不足が原因です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介155 出稼げば大富豪 実践編(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、同級生4名で、忘年会を事務所の近くにある「郷港」(きょうこう)で行いました

写真は、キムチ餃子鍋。 体が温まりますね。

同級生4名のうち、私を除き、2人が経営者、1人が市会議員。

話は、自然と、社会や業界を変えていこうという熱い話になります。 いつもそうです(笑)

こういうパワーがみなぎっているメンバーと一緒にいると、こちらもますますやる気が出てきます。

大切にしなければいけません。

今日は、午前中は、沼津の裁判所で労働事件の裁判が1件、沼津の会社で打合せが1件入っています

午後は、静岡に戻り、裁判が1件、破産の免責審尋が1件入っています。

夕方から、社団法人の理事会です。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
出稼げば大富豪 実践編 (調子ぶっこきシリーズ)
出稼げば大富豪 実践編 (調子ぶっこきシリーズ)

アニキ本、第5弾です。

とにかく全部読んでみますからね(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

おれらが、今、走ってる道いうのは、高級住宅街やないで。一般的な住宅や。なのに、立派な門構えしとる家は、よおするに無理しとんねん。それが証拠に、家の方を観察してみ」「高いスーツ買って、応接セット買って、車買って、会社をつぶしてる経営者にそっくりやろ。どない?」(78頁)

大半のやつは、どうでもいいことに金と時間、使ってるから貧乏やねん」(79頁)

あまりコメントしようがありませんね(笑)

そのまんまです。

「多くの人が、(裕福になるためには)重要でないことに時間とお金を使っているから、裕福になれないんだ」というアニキの意見ですが、当然すぎるというか、こういうことを言うと変な人だと思われるのではないかと思い、普通の人はあまり言いませんよね。

ただ、これは、裕福になるという目的に限った話ではありません。

試験に合格するという目的、選挙で当選するという目的など、お金持ちになるという目的以外でも、多くの人が、その目的を達成するために、たいして重要ではないことに多くの時間とお金を費やしている。

だから、目的を達成できない、というふうに、私は読みました。

自分の目的のために本当に必要なことにこそ、時間とお金を使うべきです。

人生は短いです。

あれもこれもやっている時間はありません。 

労働災害55(C高校事件)

おはようございます また一週間が始まりましたね。今週もがんばっていきましょう!!
__←先日、いつもお世話になっている社長と、ホテルセンチュリー内にある「けやき」の特別賞味会に行ってきました

7種類の料理が鉄板の上で調理されて出てきました。

写真は、2品目「鱈の白子のムニエール 鮪と赤ワインのソースで」。

白子をムニエルにして食べたのは初めてです。 とてもおいしかったです。

今日は、午前中は、管財人代理をやっている破産事件の第1回債権者集会が入っています。

午後は、裁判が2件(うち1件は証人尋問)が入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、教諭の修学旅行帰途中の突然死と公務起因性に関する裁判例を見てみましょう。

C高校事件(東京地裁平成24年4月23日・労判1055号79頁)

【事案の概要】

Xは、昭和60年、高校教諭として東京都に採用され、平成11年から、C高校に転任した。

Xは、平成14年、高校生203名を修学旅行に引率し、羽田空港で生徒を解散させた。

その後、空港内を巡回した際の生徒のもめ事の対応をした後、疲労が激しいとして早めに帰路についた。

Xは、駅のバスロータリーのバス停でバスを待つ間に卒倒した。

Xは、病院に救急搬送されたが、同日、死亡した。

【裁判所の判断】

地公災基金東京都支部長による公務外認定処分を取り消す
→公務起因性を肯定

【判例のポイント】

1 地方公務員災害補償法に基づく補償は、公務上の疾病等の災害に対して行われ、同法31条にいう「職員が公務上死亡した場合」とは、職員が公務に基づく負傷又は疾病と死亡との間には相当因果関係が認められることが必要である。そして、地方公務員災害補償制度が、公務に内在又は随伴する危険が現実化した場合に、それによって職員に発生した損失を補償する制度であることからすれば、上記の相当因果関係を認めるためには、その負傷又は疾病が当該公務に内在する危険が現実化したものであると評価し得ることが必要である

2 被告は、修学旅行の引率業務が、脳・心臓疾患を発症する危険を内在する業務ということになれば、全国の公立高等学校において、修学旅行を行うことができない自体になりかねない等と主張するが、一口に修学旅行と言っても、文化施設の見学等から本件のようなスキー実習のようなものまでその内容には多様なものがあり、引率教員の人数や生徒に対する指導の程度(夜間巡回の頻度や時間等)、複数の引率教員ら内部のそれぞれの教員の立場や役割、また、修学旅行の引率前の職務従事状況等によって、引率教員の負担に大きな差が生じうることは当然のことであって、被告の上記主張が本件に妥当する主張であるとは考えられない

3 ・・・以上を総合すると、Xの発症前1週間の公務は、質的にも量的にも、日常の勤務と比較して特に過重であったと認められ、従前からの疲労を回復する機会を持つことができないままに本件死亡に至ったものと考えられるのであり、Xの上記基礎疾患が、その自然の経過によって直ちに急性心筋梗塞に至るまで増悪したとみることは困難であり、他に確たる増悪要因が見出せない本件においては、Xが従事した上記の公務による過重な精神的、身体的負荷が上記基礎疾患をその自然の経過を超えて増悪させ、発症させたとみるのが相当であり、公務に内在する危険が現実化したものとして、公務と本件死亡の原因である急性心筋梗塞の発症との間に相当因果関係の存在を肯定することができる

上記判例のポイント2にあるように、被告は、反論として、修学旅行の引率業務一般についてとりあげていますが、裁判は、当該事案について審理するものであるため、どれだけ一般論を展開してもあまり意味がありません。

労災事件(に限りませんが)は、事実を丁寧に拾い、業務(公務)過重性を主張・立証することが重要です。

抽象論を繰り広げても仕方がありません。

本の紹介154 心を動かす「伝え方」 また会いたくなる「話し方」(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。

心を動かす「伝え方」 また会いたくなる「話し方」 (講談社プラスアルファ文庫)
心を動かす「伝え方」 また会いたくなる「話し方」 (講談社プラスアルファ文庫)

フリーアナウンサーの梶原さんの本です。

話をする際の注意点が書かれています。

とても参考になる、いい本です。 おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

言いたいことを全部言おうとしたり、正確さにこだわりすぎたり、妙な言い回しをしたりする人の話はわかりづらいもの。相手を混乱させるだけでなく、不愉快な思いをさせることもあります。
『真面目でいい人なんだろうけど、話がわかりにくくて』という評価を受ける人は、本当はいい人でなく、気の利かない人ではないでしょうか。人は、他人の話を辛抱強く聞いてはくれないもの、と知っておくことが大事です。
」(28~29頁)

これは、よく事務所のスタッフに話をすることです。

相手に説明をする際は、できるだけ端的に説明をすることを心がけるべきです。

すべてのことを一度にわかってもらおうとすると、情報を盛り込みすぎるため、結局、何が言いたいのかよくわからなくなるのです。

なんでもそうですが、コツがあるのです。

ポイントは、聞き手に「予測可能性」を与えることに尽きます。

聞き手は、常に「結局のところ、この人は、何を伝えようとしているのだろう」ということを意識しながら聞いています。

話し手が、自分が話したいことのすべてを一気に話そうとすると当然、前提や背景事情から話すため、核心部分に至るまでにかなりの時間を要することになります。

その間、聞き手は、ずっと「・・・う~ん、かれこれ聞いているけれど、まだ何がいいたいのかよくわからないな・・・」という感じになります。

この状態が長く続くと、聞き手は、とても疲れ、ストレスがたまってきます。

これを回避するために、話し手は、まず最初に何を伝えたいのかを端的に示すのです。

これにより、聞き手は、「なるほど、結論部分はわかったぞ。では、その理由を聞いてみよう」となり、予めどのような話がされるのか予測でき、ストレスが相当軽減されることになります。

梶原さんの「『真面目でいい人なんだろうけど、話がわかりにくくて』という評価を受ける人は、本当はいい人でなく、気の利かない人ではないでしょうか。」という表現は、辛辣ですが、間違ってはいないような気がします。

話し手は、聞いてくれる相手のことを思い、できるだけストレスを感じさせない工夫をする必要があります。

すべては訓練です。

賃金54(リーマン・ブラザーズ証券事件)

おはようございます。

さて、今日は、解雇された社員からの株式褒賞相当額の金員等請求に関する裁判例を見てみましょう。

リーマン・ブラザーズ証券事件(東京地裁平成24年4月10日・労判1055号8頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社を解雇された後、雇用契約に基づき、Y社に対し、2007年度の株式褒賞相当額の1億9593万9834円および2008年度の賞与1億8322万7200円の合計3億7916万7034円のうち、1億円(内訳は2007年度株式褒賞相当額が5200万円、2008年度賞与が4800万円)および遅延損害金の支払いを請求した事案である。

株式褒賞とは、Y社を含むリーマン・ブラザーズ・グループの構成員に対し、5年後にLBHIの普通株式を取得できる権利を付与するもので、「株式褒賞プログラム」には、その制度趣旨として、このような権利を付与することで各構成員に会社の所有者のように考え行動するインセンティブを与えることとされ、2007年度株式褒賞は報酬の一部として与えられると記載され、5年間は売却等ができないこととされていた。

本件の主な争点は、(1)本件株式褒賞は労基法上の賃金に該当するか、(2)Y社は、Xに対し、2007年度の本件株式褒賞相当額について現金をもって支払う義務があるか、(3)Xは、2008年度現金賞与に関する具体的請求権を有するか、(4)2008年度賞与について支給日在籍要件規定の適用があるか、である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、4800万円およびこれに対する平成21年2月1日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え

【判例のポイント】

1 労基法上の「賃金」とは、名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいい、いわゆる任意的・恩恵的給付、福利厚生給付及び企業設備・業務費はこれから除外されると解される。
・・・本件株式褒賞において付与される株式の算定基準が株式褒賞プログラムに定められ、同プログラムの中には本件株式褒賞が2007年度の報酬の一部として与えられる旨の記載があることや、本件雇用契約(第1レター及び第2レター)において、本件株式褒賞が賞与の一部に含まれるものとして明確に定められていること、本件給与明細において現金賞与と株式褒賞の数額が区別されてXに通知されていることに照らすと、本件株式褒賞は、Y社が主張するような任意的・恩恵的給付ではなく、本件雇用契約の一内容として、賃金としての実質を有するものであると認めるのが相当である。

2 賃金全額払の原則に関する最高裁判例として、同原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるが、使用者が労働者の同意を得て相殺により賃金を控除することは、当該同意が労働者の自由意思に基づいてなされたものであると認めるに足りる合理的な理由が存在するときには、同原則に反するものではなく、有効であるとしたもの(最高裁平成2年11月26日判決)が存するところ、賃金通貨払の原則に関しても、基本的に同様の趣旨が妥当するというべきである。

3 そもそも、賞与は、支給対象期間における労働者の対償として、賃金としての性質を有しつつも、同時に、功労報奨的な性質や将来の勤務への期待、奨励という側面をも併せ持つもので、会社の業績や各従業員との勤務実績とを考慮して決せられるものである。このように、賞与が、月例の給与債権とはその性質を異にすることからすれば、賞与については、通常の月例賃金とは異なる取扱いを行うことが正当化されるところ、支給日在籍要件は、その受給資格者を明確な基準で定める必要性に基づくものである。また、労働者が任意に退職する場合は、その退職時期を自己の意思により選択することができるし、定年退職の場合などにも給与規程等でその支給時期を予測できることからすれば、このような規定により労働者に予測の損害を与えるともいえない。このような点からすれば、支給日在籍要件それ自体は、合理性があるもので、原則的には有効ということができる
しかしながら、本件のようないわゆる整理解雇は、労働者自身に帰責事由がないにもかかわらず使用者側の事情により解雇されるものである上、定年退職等のケースと異なりその退職時期を予測できるものでもない以上、このような場合にまで一律に支給日在籍要件の適用を及ぼすことには、合理的な理由を見出すことができない。しかも、Xの本件各請求権は、使用者側の査定によって具体化される一般的な賞与請求権とは異なり、当初から、第1レター及び第2レターにより本件雇用契約の内容として固定化、具体化されているものであって、この点からも、支給日に在籍しないというだけでその具体的権利を喪失させるのは、Xに酷な面がある。したがって、支給日在籍要件は、本件のような整理解雇事案に関してはその適用が排除されるべきであって、その限度で、民法90条により無効となると解するのが相当である。

いくつかの論点が含まれていますが、上記判例のポイント3は知っておくといいと思います。

ただ、ややマニアックな論点ですので、事前に顧問弁護士に相談すれば足ります。

本の紹介153 いつやるか?今でしょ!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、事務所のスタッフを連れて、事務所の近くの「海鮮貝焼 じゃん」に行ってきました

お店の名前のとおり、魚介類を焼いて食べるお店です。

ノリで入ってみましたが、貝好きにはいいお店ですね。

今日は、午前中は、東京高裁での裁判(電話会議)が1件入っています

午後は、沼津の裁判所での裁判(こちらも電話会議)が1件、打合せが1件入っています

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
いつやるか? 今でしょ!
いつやるか? 今でしょ!

東進ハイスクールで現代文を教えている林先生の本です。

東進、懐かしいな~。 私もよく通いました(笑)

「いつやるか? 今でしょ!」  CMのあれです。

いいですね。 こういうの大好きです。

内容もとても参考になります。 常識の逆を行く感じがする内容もありますが、まったく奇をてらっている感がありません。

しっかりとした理由があり、納得できるものが多いです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人は自分の判断基準に従って生きています。『こだわり』があるという言葉は、自分の判断基準を譲らない、という意味です。しかし、あまりにも『こだわり』が多すぎると、自分の世界を小さい閉じてしまうことになります。本当の『大物』は、実にこだわりが少ないものです。相手の判断基準に合わせて自在に立ち回る自信があるからです。したがって、『こだわり』の多さは『小ささ』の証明、と言えるのです。」(126頁)

誰の意見を、どう聞き、誰に、どう任せるか-最後まで、こだわるべきはここだけです。結局、『こだわり』とはモノに対して持つものではなく、人に対して持つものだ、ということなのです。」(131頁)

私自身、あまりモノに対してこだわりがないのですが、一般に、こだわりがある人は、かっこいいみたいなところがありますよね。

それはそれで別に趣味の話であればいいと思うのですが、仕事においては、あまり強いこだわりがあると周りがやりにくいということはあると思います。

こだわりは、モノに対して持つのではなく、人に対して持つという発想は、大変参考になります。

特に、悩んでいるとき、決断しきれないときに、誰に相談するか。

とりあえず、手当たり次第に相談してみるというのでは、周りも迷惑ですし、多数決で決める感覚になってしまいます。

そうではなくて、自分が信頼する人1人に相談をする。

そして、相談するからには、その人の意見を素直に受け入れる。

もし、素直に受け入れる覚悟がないのであれば、最初から相談なんかしない。

お互いにとって時間の無駄ですから。 特に相談される側は大変です。

人に対してこだわりを持つとは、こういうことを言うのではないでしょうか。

解雇88(日本航空(パイロット等)事件)

おはようございます。

さて、今日は、運行乗務員に対する整理解雇に関する裁判例を見てみましょう。

日本航空(パイロット等)事件(東京地裁平成24年3月29日・労判1055号58頁)

【事案の概要】

Y社は、その子会社、関連会社とともに、航空運送事業及びこれに関連する事業を営む企業グループを形成し、国際旅客事業、国内旅客事業等の航空運送事業を展開する会社である。

Xらは、いずれもY社と期間の定めのない労働契約を締結し、航空機の機長または副操縦士として勤務してきたパイロットである。

Y社では、平成22年3月以降、退職金額の上乗せや一時金の支給などを条件に、二度にわたる特別早期退職措置を実施したほか、整理解雇の方針を表明する前後の4度にわたる希望退職措置を実施した。

しかし、こうした措置にもかかわらず、パイロットについては、稼動ベースで80名分が削減目標に達しなかった。

そこで、Y社は、Xらを整理解雇した。

【裁判所の判断】

整理解雇は有効

【判例のポイント】

1 会社更生法上、労働契約は双方未履行双務契約として、管財人が解除又は履行を選択し得る(同法61条1項)が、管財人は、労働契約上の使用者としての地位を承継している以上、管財人の上記の解除権は、解雇と性格づけられる。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、権利濫用となる(労働契約法16条)のであるから、この権利濫用法理は、管財人が行った本件解雇についても、当然に適用されることになる。
そして、本件解雇は、使用者の経営上ないし経済上の理由によって行われた解雇なのであるから、上記の解雇権濫用法理の適用に当たっては、権利濫用との評価を根拠付ける又は障害する考慮要素として、人員削減の必要性の有無及び程度、解雇回避努力の有無及び程度、解雇手続の相当性等の当該整理解雇が信義則上許されない事情の有無及び程度というかたちで類型化された4つの要素を総合考慮して、解雇権濫用の有無を判断するのが相当である。このことは、当該更生手続がいわゆる事前調整型(プレパッケージ型)の企業再建スキームとして利用されるものであるか否かにより結論を異にする根拠はないのであり、本件更生手続が機構の支援と会社更生手続を併用して事業廃止を回避した事前調整型企業再建スキームであることは、上記結論を左右するものではない

2 Xらは、Y社がワークシェアリング、グループ内外への出向、転籍等の解雇を回避できる有効な手段があったにもかかわらず、それらの措置を真摯に検討・実施せず、また、運行乗務員の専門性、特殊性に照らすと、希望退職募集及び再就職支援の期間が短く、支援の内容も極めて不十分であったと主張する
しかし、上記のとおり、Y社は、更生手続開始決定の前後を通じて、・・・相対的には、手厚い解雇回避努力を尽くしているとの評価が可能である。同年11月の時点で組合から提案されたワークシェアリングの内容は、一時的な措置で問題を先送りする性質のものであるし、上記の解雇回避措置を行わなかったからといって、解雇回避努力が不十分であると評価することは困難であるというべきである。したがって、上記Xらの主張は、上記判断を覆すものとはいえない。

3 本件人選基準のうち、Xらに適用されたのは「病気欠勤・休職等による基準」「目標人数に達しない場合の年齢基準」である。これらはいずれも、その該当性を客観的な数値により判断することができ、その判断に解雇者の恣意が入る余地がない基準であり、このような基準であるということ自体に、一定の合理性が担保されているということができる。

4 Xらは、年齢に基づく不利益な取扱いは、世界各国で法律により禁止されており、中高年齢者の雇用確保という政策的観点と併せて、本件人選基準のうち年齢の高い順番によるという基準は、世界標準から逸脱した不合理なものであるとも主張するが、我が国では、定年制を採ることが、格別、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律のように、事業主が定年制を採用することを前提とした立法も存することに照らせば、年齢に基づく基準が不合理なものであると評価することはできない。年齢の高い者から順に目標人数に達するまでを対象とするという基準を他の人選基準では目標人数を満たさない場合の補助的な基準とすることに合理性があることは上記のとおりであり、中高年齢者の雇用保障という政策的観点を考慮しても、上記判断を左右するものではない。

JALの整理解雇事件です。

以前にもJALの事件を紹介しましたが、いずれも解雇は有効と判断されています。

解雇75(日本航空(整理解雇)事件)解雇77(日本航空運行乗務員解雇事件)参照。

会社更生手続中ということもあり、労働者側とすれば、かなり厳しい裁判であることは明らかです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介152 出稼げば大富豪2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
出稼げば大富豪2 気づいた人は動きだした (調子ぶっこきシリーズ)
出稼げば大富豪2 気づいた人は動きだした (調子ぶっこきシリーズ)

アニキシリーズ第4弾です。

あと少しがんばってみます(笑)

さて、この本で、「いいね!」と思ったのはこちら。

ようするに天と地、どちらかしかない。極端な言葉を発することで、真ん中から遠ざかることができる」(272頁)

平均、中流なんかを美徳としとる奴に成功はないんや」(273頁)

いわゆる「言葉の習慣」について、アニキ流に説明しています。

「人間には能力の差はない。あるのは『習慣』の差だけ」

という考え方に基づけば、日頃から発している言葉が平均的であれば、結果も平均的になるという発想です。

マイナスの言葉ばかりを使う習慣ができている人は、やはり負のオーラが出ていることが多いです。

常にプラスの言葉を使うことによって、物事を意識的にプラス受信する習慣が身についている人は、問題が起こっても動じません。

問題が起こっても、すべてプラスに考える習慣ができているからです。

何が起こっても、プラスの意味付けができるような訓練をしている人は、いつもプラスのオーラが出ていますね。

同じ年代の経営者で成功している人たちは、こんな人ばかりです。 

だからこそ一緒にいたいと思うし、応援したくなるのです。

不当労働行為58(横浜自動車学校事件)

おはようございます 

さて、今日は、スト予定日に出勤した組合員に対する賃金控除と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

横浜自動車学校事件(神奈川県労委平成24年8月8日・労判1055号94頁)

【事案の概要】

X組合は、Y社に対し、平成22年6月、次回団交で誠意ある回答がない場合は24時間ストを行う旨通告した。

また、X組合は、Y社に対し、次回の団交次第でストを回避する可能性もあると伝えた。

他方、Y社は、スト予定日に教習予定の教習生にキャンセルの電話連絡を開始し、X組合に対し、スト回避の通告を受けても、組合員の就労は認められないと伝えた。

X組合は、ストの前日、Y社にスト回避を通告した。しかし、Y社は、ストの前日回避は認められないとするとともに、キャンセルした教習生に組合員らが教習予約の電話をかけるなら、組合員の就労を認めると提案し(組合は、これに応じなかった)、さらに、同日夕刻、組合員31名の業務を「不就業」と記載した「勤務スケジュール表」を掲示した。

Y社は、スト予定日に出勤し業務を割り当てなかった組合員の同日分の賃金を控除した給与を支給した。

【労働委員会の判断】

賃金控除は不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件の場合は、確かにY社の今後の信用に関わるものとして、ストライキ当日の教習生のキャンセル作業を行ったことは不適切とはいえないとしても、それとストライキ回避後の組合員の就労を拒否することは別個の問題である。ストライキ当日に教習生が来校しない以上、Y社は組合員の就労を受け入れる意味がないとしても、それはY社のリスク回避の判断の結果であって、就労を拒絶する合理的な理由とはならないY社としては、組合員を受け入れて他の業務に就かせることも可能であり、仮に業務がなく賃金支払という負担だけが発生したとしても、それはY社の判断の結果として本来Y社が負うべきリスクがあり、組合員に負わせるべきものではない

2 なるほど、Y社は、組合がストライキ回避を通告した後に、組合に対して教習生への電話がけを手伝ってくれたら就労が可能となり得る旨を伝えているが、Y社の電話回線は8本しかなく、実際にストライキ回避後に組合員の協力を得て約150名の教習生に対し再予約の連絡をしたとしても、それ以前のY社による教習生へのキャンセルの連絡が12時間かかったという事実に鑑みれば、実際上の再予約は不可能だったといわざるを得ない。

3 以上のことからすれば、Y社による本件就労拒絶は、本来Y社が負担すべき組合員の就労受入れによる賃金支払を免れ、賃金喪失の不利益を組合員に負わせることを意図して就労を拒否するという、本件ストライキを計画したことに対する報復的な性格を否定できず、組合組織に打撃を与えることを意図して行われた不当労働行為に当たるといわざるを得ない

会社としては、とても厳しい判断です。

なかなか納得できないかもしれませんね。

教習生が来校しないときに、他の業務に就かせることも可能といいますが、実際、どんな業務があったのでしょうか? 

清掃とか・・・? 本来の予定されている業務でなくても、通常と同額の給与を支給しなければならないのでは、会社は納得できないでしょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介151 「調べる」論 しつこさで壁を破った20人(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、税理士K山先生と、鷹匠の「TORATTORIA IL Paladino」にランチに行ってきました。

写真は、「あさり、ズッキーニ、なす、いんげんのピリ辛トマトソース」です。

久しぶりにイルパラに行きましたが、やっぱりおいしいですね。

お客さんがいっぱいな理由がよくわかります。 

K山先生、ご馳走様でした。

今日は、午前中は、東京高裁での裁判ですが、電話会議です

午後は、浜松の裁判所で離婚調停です

午後は、新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
「調べる」論―しつこさで壁を破った20人 (NHK出版新書 387)
「調べる」論―しつこさで壁を破った20人 (NHK出版新書 387)

著者があらゆる業界の20人の人に話を聞いたことをまとめた本です。

内容自体は、あんまり「調べる」ことを中心とした内容にはなっていない気がします。

いろんな業界の話が聞けるという感じです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

知性の本質は、言葉をアウトプットすることにある。・・・高校までの勉強では、正確にインプットする能力が試されます。しかし、大学、そして社会で求められる知性はアウトプットの能力です。そこでは単に機械的に何かを学ぶだけでは足りません。就職活動でもエントリーシートに陳腐なことしか書けない人もいれば、人目を引く文章を書ける人もいる。この差はどこから来るのでしょうか。単なる知識や経験の差からではなく、むしろそれはアウトプットする能力の差から来ています。・・・言葉を使ってアウトプットすることで、はじめて自分の考えていることが明確になったり、ちゃんと物事を理解していなかったことがわかったりする。」(220~221頁)

哲学者の萱野稔人さんの言葉です。

「知性の本質は、言葉をアウトプットすることにある」 いいことばですね。

インプットは、アウトプットするために行うものです。

インプットをするときには、常に、アウトプットのことを考えながら行うわけです。

仕事等においては、知っているということそれ自体にはそれほどの価値はありません。

「知っていることをいかに表現するか」という視点がとても大切です。

もうこれは、日々の訓練しかないと思います。 ある日、突然、表現が上手になるものではありません。

それから、もう1つ。 逆の視点です。

有効なアウトプットをするためには、継続的にインプットをすることが必要になってきます。

「有効なアウトプットをするためにどのような知識を得る必要があるか」という視点もまた大切なのです。

インプットとアウトプットのバランスを常に意識するといいのではないでしょうか。