Author Archives: 栗田 勇

不当労働行為53(高見澤電機製作所外2社事件)

おはようございます。

さて、今日は、親会社・持株会社の労組法上の使用者性に関する裁判例を見てみましょう。

高見澤電機製作所外2社事件(東京地裁平成23年5月12日・ジュリスト1447号119頁)

【事案の概要】

Y1社は、長野県の信州工場でリレー部品等の製造等を営む会社である。

Y1社と組合との間には、会社は、企業の縮小・閉鎖などによる組合員の労働条件の変更については、事前に所属組合と協議し、合意の上実施することを内容とする全面解決競艇を締結していた。

Y1社は、平成13年9月、持株会社であるY2社を設立し、その後、Y1社からY2社にグループ会社全体を統括する管理・営業・技術開発部門の営業譲渡が実施され、Y1社はY2社の製造子会社に特化された。

Y3社は、Y2社が設立されるまでは、Y1社の株式の約53%を所有し、Y1社の取締役の約半数はY3社出身またはY3社との兼務役員であった。Y3社は、Y2社の設立以降、Y2社の議決権株式の約68%を所有し、Y1社の株式は所有していない。

組合は、平成13年11月、Y3社、Y2社、Y1社に対し、Y1社信州工場の存続・発展のための今後の経営計画・事業計画と同工場の労働者雇用確保等のための方策を明らかにすること等を求める団交を申し入れた。これに対し、Y1社は団交に応じたが、Y3社、Y2社は組合員の使用者ではないことを理由に団交に応じなかった。

【裁判所の判断】

請求棄却
→不当労働行為にはあたらない。

【判例のポイント】

1 一般に「使用者」とは労働契約上の雇用主をいうものであるが、雇用主以外の事業主であっても、当該労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、当該事業主は労組法7条の「使用者」に当たる

2 Y3社は、A事件、B事件の時点で、Y1社の株式の過半数を所有し、Y1社の全取締役の約半数がY3社出身またはY3社との兼務役員であったことから、資本関係および出身役員を通じ、親会社としてY1社に対し、その経営について一定の支配力を有していたとみることができる
Y2社の設立後(C事件の時点で)は、Y2社は、資本関係および兼務役員を通じて、親会社としてY1社に対し、その経営について一定の支配力を有し、営業取引上優位な立場を有していたとみることができる。Y3社についても、資本関係および出身役員を通じ、孫会社であるY1社に対し、経営について一定の支配力を有していたと推認することができる

3 Y2社設立以後、Y2社のY1社に対する営業取引上の意思決定ないし行為が、Y1社の労働者の賃金等の労働条件に影響を与えうることは否定できない。しかし、その決定過程にY2社が現実的かつ具体的に関与したことを認める証拠や、労働時間等の基本的な労働条件等についても、Y2社が雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していたと認めるだけの証拠はない。Y3社についても、Y1社の労働者の基本的な労働条件等について、現実的かつ具体的な支配力を有していたと認めるだけの証拠はない
以上によれば、Y3社およびY2社は、Y1社の経営について一定の支配力を有していたといえるが、労働者の基本的な労働条件等について現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったといえる根拠はないから、労組法7条の使用者にはあたらない

4 組合員の労働条件変更につき組合との事前協議・合意の上実施することを定めた本件全面解決協定は、いかなる場合においても常に使用者が一方的に経営上の措置を執ることを許さないとする趣旨ではなく、使用者側の独断専行を避け、できる限り両者相互の理解と納得の上に事を運ばせようとする趣旨を定めたものと解すべきである。そうすると、少なくとも、労働条件の変更を含む当該経営上の措置が使用者にとって必要やむを得ないものであり、かつ、これについて労働組合の了解を得るために使用者として尽くすべき措置を講じたのに、労働条件の了解を得るに至らなかった場合に、使用者が一方的に当該経営措置を実施することを妨げるものではないと解するのが相当である。A事件における転社者・希望退職者の募集および人事異動については、経営上の必要性が認められ、Y1社は組合らの理解や同意を求めて団交を重ねたにもかかわらず、組合らは自己の主張を維持する態度に終始していたという本件事情からすれば、Y1社は、組合らの理解と納得を得るために尽くすべき措置を講じたものと評価することができ、全面解決協定違反(支配介入等)にはあたらない。

まず、上記判例のポイント1はしっかりと理解しておかなければいけません。

労働契約法上の「使用者」概念と労働組合法上の「使用者」概念が異なることを意味します。

次に、上記判例のポイント4の「全面解決協定」に関する解釈についても参考になりますね。

同協定の趣旨から規範を導いています。

このような協定を締結している会社は、是非、参考にしてください。 

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介141 直感力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
写真 2012-10-31 20 25 21←先日、事務所のスタッフを連れて、鷹匠の「サングリア」にスペイン料理を食べに行きました

写真は、スペシャルミックスパエリア。 おいしゅうございました。

パエリアにたどり着く頃には、たいてい、たらふく食べており、既にお腹がいっぱいです。

今日は、午前中は、成年後見の打合せが1件、裁判が1件入っています。

午後は、裁判が2件、新規相談が3件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
直感力 (PHP新書)
直感力 (PHP新書)

羽生さんの新しい本です。

羽生さんの本はだいたい読んでいます。

参考になる点がたくさんあります。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

盤面上では自分が有利に、うまくいっている状態のことを考えても仕方がない。こうすればうまくいく、というその手に辿り着いたところで満足しては、そこでもう思考停止となってしまう。そうではなく、不利な場面をたくさん想定し、実際には回避する。その積み重ねが『あきらめない』精神を築くことにつながっていく。また同時に、それは『ターニングポイント』を知る訓練にもなる。つまり、ここが勝負どころだとか、分岐点だとかいうポイントが、感覚として分かるようになるということだ。」(132頁)

勝敗の分かれるターニングポイントを認識することができるようになれば、その先まだあきらめないで頑張るべきか、いやもうここはあきらめたほうがいいといった判断が明快にできるようになり、無駄な粘りをせず、必要な頑張りができるようになるだろう。」(133頁)

非常に共感できます。

準備の段階で、自分に不利な場面を予め想定し、それを回避する。

このことを繰り返していくうちに、羽生さんが言うところの「あきらめない」精神と「ターニングポイント」を知る力が身につくのだと思います。

単に経験が多いだけでは足りず、どれだけ意識をして取り組んできたかが大切なんでしょう。

「勝負どころ」や「分岐点」を察知できるかどうかで、仕事の成果も大きく変わってきますよね。

何度も挑戦して、失敗を繰り返し、また小さな成功体験を積み重ねることでしか習得できないものがあります。

それこそが、その人の本当の力なんでしょうね。

不当労働行為52(樟蔭学園事件)

おはようございます。

さて、今日は、非常勤講師の担当授業コマ数減少、誠実交渉義務と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

樟蔭学園事件(大阪府労委平成24年7月20日・労判1053号91頁)

【事案の概要】

平成22年9月、X組合員は、上司であるA教授から、23年度に本件科目のカリキュラム編成を変更し、担当コマ数を減らす方針である旨のメールを受信した。

同年12月、組合は、Y社に対し、協定の遵守を求め、X組合員のコマ数問題を議題とする団交を申し入れた。

Y社は、講師各人のコマ数は未だ確定していない旨回答し、23年1月、X組合員の23年度の担当授業コマ数を3コマとする旨をX組合員および組合に通知した。

その後、組合は繰り返し団交を申し入れたが、Y社は、X組合員から異議の申し出がないこと、年度末の繁忙期に当たり日程調整がつかないなどを理由に、23年4月まで団交に応じず、23年度のX組合員のコマ数を2コマ照らして3コマとした。

【労働委員会の判断】

担当授業のコマ数を減少させたことは不当労働行為に当たらない

団交申入れに対するY社の対応は不当労働行為に当たる

組合との協議を行わないまま担当授業コマ数を減少させたことは協定違反にあたり不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件科目を担当していた他の外国人講師のコマ数の増減についてみると、(1)平成22年度はX組合員以外の表中のZ1からZ5の5名が本件科目の金曜日の授業を担当したこと、(2)これらの講師は組合員ではないところ、退職した者以外全員について、同23年度は同22年度に比べて、コマ数が減少したこと、(3)これらのうち、Z1からZ3の2名については、コマ数の減少の幅が、Z組合員の2コマ減よりも小さいが、それぞれが、同23年度春に新たに担当するようになった授業は、月曜日の3限目の時間帯に実施されており、X組合員は、同22年度及び同23年度春に、この時間帯の授業を担当していること、がそれぞれ認められる。
そうすると、Y社が本件科目の金曜日の授業の廃止に伴い、X組合員のコマ数を前年度に比べ、2コマ減少させる一方、非組合員にだけ、特別の便宜を図ったとまでいうことはできない

2 X組合員がY社に対し、コマ数の減少に同意するとの意思を明確に示したと認めるに足る疎明はない。しかも、仮にY社の主張とおり、Y社が平成22年12月にX組合員がコマ数の減少に同意したとの情報を得ていたとすれば、Y社は、かかる情報を得ながら、組合からの12.14団交申入書に対して、文書で、団交申入れには何ら返答せず、講師各人の担当授業コマ数は未だ確定していないと回答し、さらに、2.1団交申入書による再度の団交申入れに対し、団交を保留したものであり、かかる対応自体、組合と団交の場で協議をしようとする姿勢を欠いたものであって、問題があるといわざるを得ない
以上のとおりであるから、Y社のX組合員のコマ数減少についての団交への対応は、早期に団交を開き、組合と協議を尽くそうとする姿勢に欠けたものであると判断され、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である

組合員に対する非組合員との差別的取扱いの有無については、結局のところ、上記命令のポイント1のように、組合員と非組合員に対する取扱いを比較した際、両者で差があるか否かという事実認定の問題になります。

会社としては、このあたりのことを考えずにあからさまに組合員に対して差別的な取扱いをすると、高い確率で不当労働行為と認定されますので、注意してください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介140 「学び」を「お金」に変える技術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!

さて、今日は本の紹介です。
「学び」を「お金」に変える技術
「学び」を「お金」に変える技術

著者は、北海道の歯科医の先生です。

これまでにもいっぱい本を出されているようですね。

とにかく勉強家であることはよくわかります。 勉強に対する情熱を感じます。

この本を読んで、井上さんの他の本も読んでみたくなりました。 

早速、アマゾンで手当たり次第、注文してみました。 また紹介します。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

次の7つを守ると、『時間管理』のスキルは高水準にアップグレードできます。
①優先順位を決める。
②新しいことをはじめるときは、現在、行なっているものの一部を捨てる。
③できないこと、苦手なことはムリしてしない。
④したいことだけをする。本当にしたくないことは断る。
⑤取り組むときは、真剣に、集中して行う。
⑥スキ間時間をムダにしない。どんな小さな時間でも活用する。
⑦常に本気で生きる。明日はないという気持ちで取り組む。
」(62~63頁)

書かれていること自体は、特に目新しいものは1つもありませんよね。

これを無意識のレベルまで落とし込み、継続して実践できる人は、時間管理が上手い人なんだと思います。

参考までに私の例を紹介します。

例えば、③できないこと、苦手なもとはムリしてしないことの一例としては、税務、会計については、一切タッチしないということです。

この分野が問題となる場合には、必ず税理士の先生とペアで取り組むことにしています。

中途半端な知識でヤケドをすることを避けるためです。自分にできることを精一杯やるほうがいいと思っています。

また、④したいことだけをする、本当にしたくないことは断るということの例としては、ゴルフでしょうか。

ゴルフは今のところ、お断りしています。 頻繁にお誘いを受けますが(笑)

そもそもあまり興味がないのと、ゴルフ以上にやりたいこと、やるべきことがあるため、自分の中で線引きをしています。

人生は短いです。やりたくないことを無理してまでやることはないと思っています。

解雇84(霞アカウンティング事件)

おはようございます。

さて、時機を失した懲戒解雇の有効性と割増賃金請求に関する裁判例を見てみましょう。

霞アカウンティング事件(東京地裁平成24年3月27日・労判1053号64頁)

【事案の概要】

Y社は、経理事務代行業等を目的とする会社である。

Xは、Y社の従業員である。

平成20年2月頃、職員の1人がY社代表者のところに来て、Xが、特定の女性職員にセクハラをしており、それが原因で、所属課の他の女性従業員らの猛反発を受けていると告げた。

Y社代表者はXから事情聴取したが、Xはセクハラの事実を否定した。

平成20年12月、Xは、21年4月付で課長職を解任する人事を告げられ、一般職員に降格された。

Xは、平成21年6月、上記降格と時間外手当等の不支給の問題について、労基署に相談したところ、同年8月、労基署からY者に指導が入った。しかし、その後も時間外手当等が支払われなかったため、22年4月、労基署に時間外手当等の不支給の事実を申告した。

同年7月、Xは、Y社から懲戒解雇する旨を告げられた。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は無効

【判例のポイント】

1 使用者による懲戒権の行使は、企業秩序維持の観点から労働契約関係に基づく使用者の機能として行われるものであるが、就業規則所定の懲戒事由該当事実が存する場合であっても、具体的状況に照らし、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当性を欠くと認められる場合には権利の濫用に当たるものとして無効になると解される。

2 Y社は、Xが部下の事情を一切考慮せずにスケジュールを入れたり、部下の意見を一切聞き入れないなど、協調性に欠けた言動を繰り返したと主張するが、これらの主張については、日時、相手方等の特定が全くされておらず、内容自体も抽象的であって、懲戒解雇事由の主張としては失当といわざるを得ない

3 ・・・仮にこのセクシャル・ハラスメントの事実が認定できるとしても、処分が遅延する格別の理由もないにもかかわらず約2年も経過した後に懲戒解雇という極めて重い処分を行うことは、明らかに時機を失しているということができる上、課長職からの解任との関連で言えば、二重処分のきらいがあることも否定できないところであって、これを本件懲戒解雇の理由とすることには、問題があるといわざるを得ない。

4 ・・・以上のとおり、Y社主張にかかる本件懲戒解雇事由については、いずれもその事実自体を認めることができないか、もしくはその客観的事実を認めることができても、懲戒解雇に相当する程悪質とはいえないか、懲戒解雇事由として採り上げるのは相当でない事由である。そして、後者の客観的事実自体を認めることのできる各事由を併せて考慮したとしても、未だ懲戒解雇の理由としては十分ではないというべきである。したがって、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会的にも相当とは認められないものであるから、懲戒権の濫用に当たり、無効というべきである。

5 本件懲戒解雇に至る過程で、Y社代表者は、平成22年4月から5月にかけて、2度にわたり、夜間、予告なくXの自宅を訪問したのみならず、同年7月には、予告なくXの実父を訪問するという常軌を逸した行為に出ているもので、これらがXの時間外手当等請求の阻止という目的に出た違法な行為であることは明らかであるから、Y社は、会社法350条、民法709条により、Xに生じた損害について賠償すべき責任を負う。・・・この精神的苦痛に対する慰謝料としては、30万円が相当である

本件では、懲戒解雇の有効性のほか、未払残業代の請求もされており、756万円あまりの支払いが認められています。

賃金と合わせるとえらい金額になりますね。

それはさておき、解雇が争われる際、会社側が主張する解雇理由があまりにも昔のことである場合、今回と同じようなことを言われてしまいます。

この際だからあれもこれも解雇理由にしておこうと考えるのは理解できますが、それぞれの理由がたいしたことがないものである場合には、結局、解雇は無効になってしまいます。

解雇をする際は、よくよく考えてから行うことをおすすめします。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介139 大きく、しぶとく、考え抜く。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 11月が始まりましたね。 今年も残り2ヶ月ですね。がんばりましょう!
写真 2012-10-30 20 09 22
←先日、事務所に近くにオープンした「七輪鶏焼肉 金乃鳥」に行ってみました

「播州百日どり」という鶏を使っているそうです

おいしいと思いますが、個人的には駿河シャモの方が好きです。

今日は、午前中は、浜松の裁判所で離婚調停です

午後は、静岡に戻り、裁判が2件入っています。

夜は、打合せが1件、新規相談が1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
大きく、しぶとく、考え抜く。―原田泳幸の実践経営論
大きく、しぶとく、考え抜く。―原田泳幸の実践経営論

最近出版された原田さんの本です。

原田さんの本は、とても勉強になるので、ほぼ全て読んでいます。

今回の本もとてもいい本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

商品企画で、独自性が強すぎると成功しないという失敗事例はいっぱいあります。あまり独自性が強すぎると、消費者に定着するまでにものすごい投資と時間がかかりますし、一方、コモディティに偏りすぎると、価格競争にしかなりません。すなわち、その真ん中のところにあるコモディティでありながら、お客様が慣れ親しんだ食のスタイルであり、独自性を持ったものがヒット商品になるのです。」(94頁)

非常に参考になります。

独自性が強すぎてもいけないし、コモディティになりすぎてもいけない。そのようど中間でバランスのとれた商品がヒット商品となるというわけです。

参考になりますが、実際にやることを考えるととても難しく感じませんか?

難しいと感じるのは、一番最初から、いきなりバランスのとれた商品をつくり上げようとするからだと思います。

徐々に形を変えて、バランスのとれた商品・サービスをつくっていくという発想が持てれば、そんなに難しい話ではありません。

まずは、原田さんもよく言うように、すばやく実行に移すことが大切なんだと思います。

とにかくスタートを切る。

そうしないと、時間がどんどん過ぎていってしまいますから。

決断する力と状況を的確に把握し微調整をはかる力が必要になってくるのだと思います。

有期労働契約34(X学園事件)

おはようございます。

さて、今日は有期雇用の用務員に対する契約期間中の解雇に関する裁判例を見てみましょう。

X学園事件(東京地裁平成24年4月17日・労経速2150号20頁)

【事案の概要】

Y社は、Y学園の設置・運営を目的とする会社である。

Xは、Y社において、特別専任職員として採用され、契約期間1年とする用務員として勤務していた者である。

Y社は、Xを契約期間途中で解雇した。

Xは、Y社に対し、(1)契約期間途中でなされたY社による解雇(無断欠勤2回、欠勤届不提出、昼休憩の際の打刻の不履行、生徒用掃除道具箱の清掃、備品の確認・補充の不履行を理由とする解雇)は、労働契約法17条1項に定める「やむを得ない事由」を欠くものであって無効である等と主張した。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 本件解雇理由(ア)ないし(エ)記載の事実の存在が認められ、これらは、いずれも業務命令違反行為として就業規則39条1項4号に該当するものといえる。
しかし、Xが有期雇用の用務員であって教員ではないことにかんがみれば、本件解雇理由(ア)ないし(エ)記載の事実がY社の設置・運営する学園の教育現場に与えた影響は、非常に限定的であったと推察される。また、就業規則39条は懲戒解雇の規定であるところ、Xには、本件解雇まで懲戒歴が全くない。加えて、解雇理由(イ)につき、事後的にではあるが、一応、欠勤届を提出していること、有期雇用は、雇用期間の満了によって自然に終了する反面、期間中の解雇は抑制的であるべきこと等の諸事情を総合考慮すれば、欠勤届の提出を求め、実際の昼休憩時間を把握するために打刻を指示した点は、労務管理上、合理的かつ当然の指示であること、生徒用掃除道具箱の清掃及び備品の確認・補充を指示した点も、用務員として通常予想される職務範囲内の正当な業務指示と認めることができること、平成22年12月中旬以降のXの勤怠が著しく悪いこと等のY社に有利な諸事情を考慮しても、本件解雇に、法17条の「やむを得ない事由」があるとまで認めることはできない

2 したがって、解雇手続の相当性について検討するまでもなく、本件解雇は無効であり、XとY社との間の雇用関係は、本来の期間満了日である平成23年4月30日の経過によって終了したものと認めるのが相当である。

3 そして、本件解雇日から上記満了日までのXの不就労は、Y社の責めに帰すべきものと認められるから、民法536条2項により、Y社は、Xに対する上記期間中の賃金支払義務を免れないが、Xは、解雇予告手当を平成23年2月分に充当する前提で同年3月分及ぶ4月分のみを請求しており、Y社も、解雇予告手当が同年2月分のみに充当されることにつき異議を述べないので、Y社がXに支払うべき未払賃金額は、平成23年3月及び同年4月の各月当たり23万7850円となる(なお、通勤手当は、実際に通勤することを前提に支給される手当であるから、本件において、Y社に支払を命ずることは相当ではない。)。

懲戒解雇ですから、自ずとハードルはあがります。

普通解雇ではダメだったのでしょうか?

また、有期雇用の期間途中の解雇は、「やむを得ない事由」がなければいけませんので、普通解雇の要件よりも厳しいです。 このことも裁判所はちゃんと踏まえていますね。

とはいえ、本件でY社がXに支払うのは2か月分の賃金だけですので、それほど大きな負担ではないですね。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介138 大富豪アニキの教え(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
大富豪アニキの教え
大富豪アニキの教え

本屋に平積みされており、表紙にやられ、買ってしまいました(笑)

とてもいい本です。 おすすめですよ。

一番大切なのは『相手を自分ごとのように大切にする心』」と、アニキはとてもいいことを言っています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

手間ひま。つながり。ご縁。絆。匠。義理。人情。そういった『人間味』を持つことが大事なんや。『人間の味』やな。合理化には『人間の味』がないやんけ。そのためにはな、やっぱり、利益第一の『合理化』をよしとせず、『相手を自分ごとのように大切にする心(=つながり・ご縁・絆)』を持って、行動することやねんて」(127頁)

いいこと言いますね。

業務を合理化するのは、実はそれほど難しいことではありません。

「無駄」をどんどん省けばいいのですから。

合理化を図る上で注意しなければいけないのは、「無駄」だと思えることは、はたして本当に「無駄」なのかという点です。

一見、「無駄」に見えることでも、実は、必要なことであるということもあります。

経費削減という名のもとに、時間短縮という名のもとに、あらゆる「無駄」を省いたところに何が残るのでしょうか。

今後、ますます価格だけで勝負をしている会社は厳しくなってくると思います。

アニキの言うところの「人間の味」が、今後、もっともっと重要視されてくるのだと思います。

賃金51(X社事件)

おはようございます。

さて、今日は、強制わいせつ致傷罪で有罪判決を受けた元社員に対する退職金支払いに関する裁判例を見てみましょう。

X社事件(東京地裁平成24年3月30日・労経速2145号7頁)

【事案の概要】

Y社は、地域電気通信業務およびこれに附帯する業務等を行う会社である。

Xは、Y社の正社員であった。

Xは、女子高校生に対して強制わいせつ致傷罪に該当する行為を行い、逮捕され、懲役3年保護観察付き執行猶予5年の有罪判決を受けた。

本件非違行為については、逮捕時に、少なくとも4紙で報じられ、テレビニュースとして放送もされ、これらの中には「Y社社員」として報じたものもあった。

Y社は、逮捕翌日、報道機関に対し、遺憾の意を表明するとともに、お詫びのコメントを出した。

Xは、逮捕後、退職届を提出して受理され、合意退職したが、Y社就業規則には、退職手当について、支給前に在職中の非違行為が発覚し、退職日までに懲戒処分が確定されない場合であって、かつ、懲戒解雇又は諭旨解雇にあたると思料される場合は、退職後も審査し、懲戒解雇相当の場合は不支給(諭旨解雇相当の場合は8割支給)とする旨の定めがあり、Y社は、懲戒解雇相当として、退職手当不支給とした。

これに対し、Xは、Y社に対し、退職手当1375万1750円等の支払いを求めた。

【裁判所の判断】

Y社に対して600万円強の退職金の支払いを命じた

【判例のポイント】

1 Y社における退職手当は賃金後払いとしての性格を有している一方で、本件退職金規定122条において退職金が不支給あるいは減額となる、あるいは、支給が制限される旨定めており、功労報償としての性質も併有する。そして、Y社における退職手当が両者の性格を併有することからすると、本件不支給規定によって、退職金を不支給ないし制限することができるのは、労働者のそれまでの勤続の功労を抹消ないし減殺してしまうほどの信義に反する行為があったことを要するものと解される

2 ・・・本件非違行為の報道において、Xの肩書きは概ね「会社員」ないし「元会社員」として報道されており、Y社の社員ないし元社員であることを明示する報道においても、当該事実はXの社会的地位ないし身上を示す意味で報道されたに過ぎず、Y社が報道機関から求められてコメントをするなどの報道対応を余儀なくされたことが認められるものの、あくまでも私生活上の非行としての報道であって、それ以上にY社社員であったXが本件非違行為を行ったことによって、Y社自身が社会的な非難の対象となったものとは認めがたく、前記のような報道がなされたこと自体をよって、Y社の業務に具体的な支障が生じたり、Y社の株価が下落するなど、Y社の社会的な評価ないし信用が具体的に低下ないし毀損されたことを認めるに足りる証拠はない。
したがって、本件非違行為によってY社に生じた業務上の支障、社会的評価・信用の低下も、間接的なものにとどまり、その程度も前記認定の程度にとどまる

3 本件非違行為は、法定刑が無期又は3年以上の懲役となる強制わいせつ致傷罪(刑法181条1項)に該当し、XがY社の社員ないし元社員である旨の報道もなされたことを踏まえると、本件非違行為は、社員就業規則76条第1号(法令又は会社の業務上の規定に違反したとき)、同条第11号(社員としての品位を傷つけ、又は信用を失うような非行があったとき)に該当し、その重大性等にかんがみれば、懲戒解雇も選択肢として検討されうる事案であることは否定しがたいものの、Y社が現に合意退職に応じていることからすると、それが不可避の事案であるとはいえず、諭旨解雇とするなどそれ以外の選択の余地がない事案であったものとはいえない。また、本件非違行為が私生活上の非行であること、本件非違行為によって直接被害を被った被害者との間の法律的あるいは道義的な問題が示談によって解決していること、本件非違行為によって生じた業務上の支障、社会的評価・信用の低下も、間接的なものにとどまり、その程度も前記認定の程度にとどまっていることなど諸般の事情にかんがみれば、本件非違行為がそれまでの勤続の功労を抹消するものとは言い難く、著しく減殺するにとどまるものであって、減殺の程度は5割5分を上回るものとは認められない

4 本件不支給には一部理由がなく、本件非違行為の内容及び事案の明白性等諸般の事情にかんがみれば、遅くとも本件不支給決定時には、退職金の支給は可能であったものと認められ、本件不支給決定の翌日から履行遅滞に陥るものと認めるのが相当である。

私生活上の非行を理由に退職金を支給しなかったり、減額する際の考え方として、参考になります。

強制わいせつ致傷罪ですから、犯罪としては、相当重いものですが、それでも、諸般の事情を考慮して、退職金減額は55%が相当とされています。

55%という結論を導くにあたり、裁判所が考慮した点については、上記判例のポイント3のとおりです。

判断が悩ましいところですが、顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

本の紹介137 日本人には教えなかった外国人トップの「すごい仕事術」(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます あっという間に一週間が終わりますね。 
写真 2012-10-22 20 41 28
「え、もう金曜日?」という感じです。

←先日、リニューアルした「しぶち」に行きました

写真は、静岡いきいきどりのレバーです。 とってもおいしいです!

おいしすぎて、3本おかわりしてしまいました。

今日は、午前中は、裁判の打合せが1件、家事審判が1件入っています。

午後は、離婚訴訟が1件、新規相談が3件、打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
日本人には教えなかった外国人トップの「すごい仕事術」 (講談社BIZ)
日本人には教えなかった外国人トップの「すごい仕事術」 (講談社BIZ)

少し前の本ですが、もう一度、読み直してみました。

著者と外国人経営者5人との対談が載っています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

クリアな未来の視野なんて、実は持つ必要はないと私は思っています。人生というのは、自分が想像している以上のチャンスを与えてくれるものです。・・・そこで必要になるのは、自分自身がオープンマインドでいることです。その時々の周辺状況にしっかりと目を配り、決して思い込みをすることなく、オープンな姿勢でチャンスを待つ姿勢を持てるかどうか。そして、チャンスが来た時には、それを思い切ってつかむ行動力を持てるかどうか。
むしろ、あまりにもクリアに道を思い描き、それに執着し過ぎてしまうと逆効果になりかねない。環境の変化に対応できず、チャンスを得る機会を見逃してしまいかねないからです。
・・・だから、道に関しては大きな柔軟性を持っておくというのが大切だと思います。
」(18頁)

日産のゴーンさんの言葉です。

あまり明確に方向性や目標を定めないほうがよいという視点です。

明確に方向性や目標を定めて、なにがあっても修正しない(できない)となると、それに執着しすぎて、状況の変化に柔軟に対応できないからです。

方向性や目標は定めても、状況の変化によって、それらは変わりうると考えるほうがいいんだと思います。