不当労働行為52(樟蔭学園事件)

おはようございます。

さて、今日は、非常勤講師の担当授業コマ数減少、誠実交渉義務と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

樟蔭学園事件(大阪府労委平成24年7月20日・労判1053号91頁)

【事案の概要】

平成22年9月、X組合員は、上司であるA教授から、23年度に本件科目のカリキュラム編成を変更し、担当コマ数を減らす方針である旨のメールを受信した。

同年12月、組合は、Y社に対し、協定の遵守を求め、X組合員のコマ数問題を議題とする団交を申し入れた。

Y社は、講師各人のコマ数は未だ確定していない旨回答し、23年1月、X組合員の23年度の担当授業コマ数を3コマとする旨をX組合員および組合に通知した。

その後、組合は繰り返し団交を申し入れたが、Y社は、X組合員から異議の申し出がないこと、年度末の繁忙期に当たり日程調整がつかないなどを理由に、23年4月まで団交に応じず、23年度のX組合員のコマ数を2コマ照らして3コマとした。

【労働委員会の判断】

担当授業のコマ数を減少させたことは不当労働行為に当たらない

団交申入れに対するY社の対応は不当労働行為に当たる

組合との協議を行わないまま担当授業コマ数を減少させたことは協定違反にあたり不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件科目を担当していた他の外国人講師のコマ数の増減についてみると、(1)平成22年度はX組合員以外の表中のZ1からZ5の5名が本件科目の金曜日の授業を担当したこと、(2)これらの講師は組合員ではないところ、退職した者以外全員について、同23年度は同22年度に比べて、コマ数が減少したこと、(3)これらのうち、Z1からZ3の2名については、コマ数の減少の幅が、Z組合員の2コマ減よりも小さいが、それぞれが、同23年度春に新たに担当するようになった授業は、月曜日の3限目の時間帯に実施されており、X組合員は、同22年度及び同23年度春に、この時間帯の授業を担当していること、がそれぞれ認められる。
そうすると、Y社が本件科目の金曜日の授業の廃止に伴い、X組合員のコマ数を前年度に比べ、2コマ減少させる一方、非組合員にだけ、特別の便宜を図ったとまでいうことはできない

2 X組合員がY社に対し、コマ数の減少に同意するとの意思を明確に示したと認めるに足る疎明はない。しかも、仮にY社の主張とおり、Y社が平成22年12月にX組合員がコマ数の減少に同意したとの情報を得ていたとすれば、Y社は、かかる情報を得ながら、組合からの12.14団交申入書に対して、文書で、団交申入れには何ら返答せず、講師各人の担当授業コマ数は未だ確定していないと回答し、さらに、2.1団交申入書による再度の団交申入れに対し、団交を保留したものであり、かかる対応自体、組合と団交の場で協議をしようとする姿勢を欠いたものであって、問題があるといわざるを得ない
以上のとおりであるから、Y社のX組合員のコマ数減少についての団交への対応は、早期に団交を開き、組合と協議を尽くそうとする姿勢に欠けたものであると判断され、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である

組合員に対する非組合員との差別的取扱いの有無については、結局のところ、上記命令のポイント1のように、組合員と非組合員に対する取扱いを比較した際、両者で差があるか否かという事実認定の問題になります。

会社としては、このあたりのことを考えずにあからさまに組合員に対して差別的な取扱いをすると、高い確率で不当労働行為と認定されますので、注意してください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。