Author Archives: 栗田 勇

解雇82(学校法人V大学事件)

おはようございます。

さて、今日は、准教授からの必須科目等の講義を行う地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人V大学事件(東京地裁平成24年5月31日・労判1051号5頁)

【事案の概要】

Xは、Y大学の准教授である。

Y大学は、Xに対し、必須科目の講義の担当を外し、研究室に卒業研究生・大学院生を配属せず、学部の学科会議および大学院の専攻会議に出席させないとの措置をとった。

Xは、Y大学の各措置が、懲戒権を濫用し、または人事権の裁量を逸脱するものであり、Xの講義を担当する権利、研究室を持ち卒研生等の配属を受ける権利、学科会議等に出席する権利を侵害し、違法・無効であると主張し、争った。

【裁判所の判断】

XがY大学に対し、講義目録記載の講義を行う地位にあることの確認を求める部分を却下する。

XがY大学に対し、研究室を持ち、卒業研究生・大学院生の配属を受ける地位にあることの確認を求める部分を却下する。

【判例のポイント】

1 大学教員が講義を担当して学生に教授することは、自らの研究成果を発表し、学生との意見交換をすることなどによって、学問研究を深め、発展させることを意味するから、大学教員が講義を担当することは、労働契約上の単なる義務の側面のみならず、権利としての側面を有するものと解するのが相当である

2 ・・・学部及び大学院における学生に対する講義の課目、時間数及び時間割等の編成については、年度ごとに、学部においては各学科主任又はこれを補佐する担当幹事が、大学院においては研究科長を助ける研究科幹事が、それぞれ原案を作成し、教授会及び研究科会議の審議・議決を経て、最終的には、学長がこれを決定していると認めるのが相当である。
・・・そうすると、学長は、大学及び大学院における教育目的の効果的かつ円滑な実施のため、あらゆる事情を総合考慮の上、講義編成を決定することができると解するのが相当であるし、平成22年度以降の講義の担当につき、Xに講義目録記載の講義を担当させる旨の手続が履践されていない事情の下では、大学教員に講義を担当する権利が抽象的に認められるからといって、Xには、Y大学に対して具体的な講義の担当を求める権利ないし法律上の地位はおよそ認められないというほかない
したがって、本件訴えのうち、Xが講義目録記載の講義を行う地位にあることの確認の求める訴えは不適法であるから却下を免れないし、当該地位を前提とする上記講義を行なうことの妨害排除請求は理由がない。

3 大学設置基準36条2項は、「研究室は、専任の教員に対しては必ず備えるものとする。」と規程しており、大学教員の教育研究の拠点としての研究室を持つことは、専任の教員の権利であるということができるところ、Y大学も、少なくとも3階居室をXの研究室として設置し、Xが同居室を利用することを認めているのであるから、XがY大学に対して物理的施設としての研究室の設置を求める利益はないというべきである。
・・・以上によれば、XがY大学に対して研究室を持ち卒業生等の配属を受ける地位にあることの確認を求める訴えは、不適法であるから却下すべきであるし、当該地位を前提とする研究室の設置及び卒業生等の配属の義務付請求は理由がないというべきである。

本件は、大学教員の講義担当等に関する就労請求権が問題となった事案です。

労働者の就労請求権は、一般的には認められていません。

本件でも、教授という職業の特殊性を考慮しつつも、就労請求権を具体的な権利として認められていません。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介131 勝つための状況判断学(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 今日もいい天気ですね。
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←先日、丸子にある「Pizzeria IL Brolo」に行ってきました。

このお店、日本庭園を眺めながらイタリアンを楽しむというコンセプトです。

写真は、イタリア産パンチェッタのカルボナーラ。 やさしいお味でした

この他、水牛のモッツァレラチーズは秀逸でした。

今日は、午前中に裁判1件と裁判の打合せが入っています。

午後は、裁判3件と顧問先の社長との打合せが入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
勝つための状況判断学―軍隊に学ぶ戦略ノート (PHP新書)
勝つための状況判断学―軍隊に学ぶ戦略ノート (PHP新書)

著者は、元自衛隊員のようです。

戦場における状況判断の思考過程、戦局眼が示されており、仕事にも参考になる点が多数あります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

最善を求める慎重さは、最も恐ろしい敵である。おおむね良しで手荒く実行する計画は、来週までかかって作成する完璧な計画より、はるかに優れている」(203頁)

完璧な計画は、実行に移すまでの時間を遅らせます。

もっとも、計画に最善も最悪もないと思うのですが。

計画が最善か否かは、結果としてわかることであり、実行する前に、その計画が最善かどうかなんてどうやって判断するのでしょうか。

最善と思っていた計画が、いざ実行に移してみると、うまくいかないことなんてよくあることです。

そうだとすれば、実行前の計画段階をできるだけ短くし、タイミングを逸しない時点で、実行に移すべきです。

また、計画段階での時間と結果の出来不出来は、必ずしも比例しません。

日頃から、迅速に意思決定をする訓練をしている人は、なにごとにおいても、判断が速い。

判断が速いからといって、いい加減に判断しているわけではなく、訓練の結果、状況分析やリスクの有無・程度等を迅速に判断できるようになっているのです。

すべては、日頃の意識と訓練なんだと思います。

労働災害53(フォーカスシステムズ事件)

おはようございます 3連休も終わり、また1週間が始まりましたね。

今週もがんばっていきましょう!!
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←3連休は、山にウォーキングに行きました

毎週末は、山登りから一日が始まります。  

今日は、午前中は事務所の内装についての打合せと弁護士会での法律相談が入っています。

午後は、裁判が2件入っています。

夜は、弁護団会議です。

今日も一日がんばります!!
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さて、今日は、長時間労働等による精神障害発症・死亡に関する裁判例を見てみましょう。

フォーカスシステムズ事件(東京高裁平成24年3月22日・労判1051号40頁)

【事案の概要】

X(死亡時25歳)は、平成15年4月にY社にシステムエンジニアとして採用され、通信ネットワーク関係のシステム設計、構築および運用試験等の業務に従事していたが、18年7月に異動となり、携帯電話端末の組み込みソフト開発チームの所属となった。

Xは当初ベテランの従業員と組み、調査検討業務等に従事していたが、改修や再試験実施に手間取った結果、当初引渡し予定であった8月中旬時点で、予定の業務の30%程度しか進行せず、その結果Xの残業時間も増加していった。

同年9月、Xは自宅から都内にある勤務地に出勤するかのように出かけたが、携帯電話の電源を切って、無断で欠勤して河川敷のベンチでビール等をラッパ飲みし、意識不明で倒れているところを発見されたが、すでに心配停止状態で死亡していることが確認された。

Xの死亡について、中央労基署長は業務災害と認定して、遺族補償年金等を支給している。

【裁判所の判断】

Y社の安全配慮義務違反を認めた
→約4400万円の支払いを命じた

【判例のポイント】

1 当裁判所も、Xは、長時間労働、配置転換に伴う業務内容の変化・業務量の増加等の業務に起因する心理的負荷等が過度に蓄積したために精神障害(うつ病及び解離性逓走)を発症し、正常な認識と行為の選択が著しく阻害された状態で過度の飲酒行為に及んだため急性アルコール中毒から心停止に至り死亡したものであり、使用者であるY社の代理監督者は、Xの従事していた業務が上記精神障害を発症するなど心身の健康を損ねるおそれのある状態にあることを認識し又は認識し得たにもかかわらず、心理的負荷等を軽減させる措置を採らなかったことから、従業員に対する安全配慮の義務に違反しているものと認められ、このような従業員の心身の健康に配慮すべき義務は、使用者として尽くすべき一般的注意義務になると解されるから、Y社は不法行為(使用者責任)に基づきこれにより発生した損害を賠償する責任があると判断する

2 ・・・これらによれば、長時間の時間外労働と精神障害との一般的関連性は認められるところ、本件では、Xの時間外労働は本件当日前2か月間においていずれも100時間を超えているのみならず、配置転換に伴う業務内容の変化・業務量の増大、単体試験業務専任となることの心理的影響などにより相当重大な心理的負荷が生じ、蓄積しており、それらのことがXの行動や表情に表れているのであって、そのような状態にあった中で本件当日の飲酒行為に及んだのである。そして、これらの一連の出来事に基づいて精神医学の知見からXの従事していた業務と精神障害の発症及び飲酒行為との間には因果関係があるとする天笠医師の意見には十分合理性がある。そして、Xが精神障害を発症する原因は他に考えられないことをも併せ考慮すると、Xの従事していた業務による心理的負荷とその精神障害の発症との間には強い関連性があると認められる

3 ・・・他方において、Xの長時間労働は恒常的なものであり、必然的に睡眠時間の不足も日常的なものとなるから、就労後の時間を適切に使用し、できるだけ睡眠不足を解消するよう努めるべきであったところ、就寝前にブログやゲームに時間を費やしたのは、自ら精神障害の要因となる睡眠不足を増長させたことになり、その落ち度は軽視できないものである
・・・以上の観点のうち、Xにおいても、自らの趣味のために睡眠不足を招いたことは、それが心身の健康を損ねる大きな要因であることから、自己の意思によって健康管理に努めるべきであったと指摘することも可能であり、この点はXの落ち度として相応の考慮をせざるを得ないのであり、その他第1審原告らに生じた損害の全てについてY社にその責めを負わせるのは損害の分配における公平の観点からは相当でなく、第1審原告らに3割の過失割合を認め、上記損害を減ずるのが相当である。

時間外労働時間が100時間を超えていることのみから、会社の責任を問われてもおかしくありません。

本件は、労働者に3割の過失相殺が認められてはいますが、会社は4000万円を超える損害を賠償する責任を負うことになりました。

長時間労働については、くれぐれも注意しましょう。

本の紹介130 ホンダイノベーションの神髄(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 今週も今日で終わりですね。明日から3連休です。 ゆっくり仕事ができます。
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←先日、顧問先の社長と「こはく」に行ってきました

写真は、駿河シャモのたたきです。身がしっかりいて、とてもおいしいです。

社長、ご馳走様でした!

今日は、午後に、宇都宮地裁で免責審尋があります

ついでに餃子を食べてきます。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
ホンダ イノベーションの神髄――独創的な製品はこうつくる
ホンダ イノベーションの神髄――独創的な製品はこうつくる

元ホンダ経営企画部長の方の本です。

物づくりにおけるイノベーションのあり方が書かれています。

物づくり以外の仕事にも当然、参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ホンダには、その仕事に必要な能力の40%があれば任すという伝統がある。100%の能力が備わるのを待っていたのでは時間がかかりすぎるし、その仕事での成長も期待できない。40%の能力があれば、その仕事に取り組む中で残りの60%は成長するしかない。その方が、人は早く育つのである。そのため、常に実力以上の仕事が求められる。しかもその際、上司から手取り足取りの支援はない。『よく考えて自分でやれ』という雰囲気だ。・・・ホンダには、人が持つ、特に若手が持っているポテンシャルを信じ、大きな裁量権を与える伝統がある。」(202頁)

裁量を与えることで、人は自分の頭を使うようになります。

指示を出す際も、あえて裁量を残し、任せる。

そうすることにより、部下の能力、着眼点、やる気、性格などがよくわかります。

私の事務所でも同じことがいえます。

あえて裁量を残しつつ、スタッフがどのような姿勢で仕事をするのかを見ています。

難しい課題に対して、どのようなプロセスで結果を導いたのかをよく見ています。

例えば、初めてやる仕事について、事前にあまり多くのヒントを出さず、取り組んでもらいます。

こちらとしては最初から完璧な結果なんて求めていません。

大切なのは、課題に対してどれだけくらいつけたか、なのです。

わからないながらも、文献や判例、過去の同種事例を調査、検討し、一定の結果を示すことが大切なのです。

もうはっきり言って、プロセスしか見ていません。

プロセスがしっかりしていれば、結果は自ずといいものになっています。

労働者性6(伊藤工業(外国人研修生)事件)

おはようございます。

さて、今日は、外国人研修生の研修期間中の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

伊藤工業(外国人研修生)事件(東京高裁平成24年2月28日・労判1051号86頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が、外国人研修・技能実習制度に基づいてXらを研修生・実習生として受け入れ、研修及び実習を行ったところ、XらがY社に対し、研修期間及び実習期間における未払賃金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

研修期間中の外国人研修生は労働者には該当しない
→請求棄却

【判例のポイント】

1 本件制度において、研修生が労働基準法上の労働者でないために法的保護を受けられず、実質的な低賃金労働者として扱われる、技能実習生に対し雇用契約に明記された賃金が支給されない、時間外労働に対する割増賃金が正当に支給されない等の違法な事案や旅券や通帳を強制的に取り上げる等の不当な事案が発生していること、また、送出し国側の機関等が、出航前に多額の保証金等を研修生・技能実習生から徴収していたり、そのために研修生・技能実習生が出国前に多額の借金を強いられる例等があり、このことが、我が国入国後に研修生・技能実習生が失踪し不法就労に走る原因となっている状況が一部で生じていることが関係者等から指摘されていたところ、法務省指針は、本件制度の実施において生じていた上記のような問題事例の発生を踏まえ、本件制度の適正化を推進するために策定されたものである。

2 そして、上記のとおり本件制度における「研修」の法的位置付けは「労働」ではないことから、「実務研修」の実施に当たっては「労働」と明確に区別される必要があるが、「実務研修」については、現場における実際の作業に従事させることから、外見上はその活動が「研修」なのか、資格外活動である「労働」なのか明確に区別し難い場合が多いものと解される。そうすると、法務省指針が策定されるに至った経緯に照らし、同指針は、研修が法務省指針に沿って実施されている場合においては、当該研修における研修生の活動は「労働」ではないと評価し得る一応の基準となると解するのが相当である

3 ・・・したがって、以上の検討からは、Xらの研修は、全体的に法務省指針に概ね沿って実施されていたものということができるから、以上の点を加味して検討しても、研修期間中におけるXらは労働基準法上の労働者に該当しないという認定判断になるというべきである

4 Xらは、当審において、Y社が作成した照合済出勤簿やXら日記の記載に従っても時間外労働の事実が認められる旨主張するが、Xら日記における終業時刻の記載に信用性がないことは前記説示のとおりである。また、Xらの主張は、技能実習期間中の労働時間について、始業時間を一律に午前7時45分としたり、社員寮から各現場までの通勤時間を労働時間に加えた取扱いをするものであるが、Xらの就業時間は午前8時から午後5時までであり、技能実習期間中の午前7時45分からのXらの行為や通勤時間におけるXらの行為を時間外労働であると評価するのが相当であるとするような事実や事情は、本件全証拠によるも認められない。

高裁は、法務省指針を持ち出し、研修期間中の外国人研修生を労基法上の労働者とは認めませんでした。

上記判例のポイント1のような問題点がある中、法務省指針に概ね沿っているということを理由としています。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

使える!「孫子の兵法」

おはようございます
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←先日、両替町の「つたの」に行きました

1時間1本勝負です。 だらだら飲みません。

写真は、絶品のかつおとウコン割。

かつお君には、にんにくが一番です。

これから、かつお君がますますおいしくなる時期です。 楽しみです。

今日は、午前中は、証人尋問の準備です。

午後は、裁判が2件入っており、うち1件は証人尋問です。

夜は、裁判と調停の打合せです。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
使える! 「孫子の兵法」 (PHP新書)
使える! 「孫子の兵法」 (PHP新書)

齋藤さんの本です。

このパターンの本は、齋藤さんの得意としている切り口です。

ネタが尽きることはありません。 本当に素晴らしい。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私の教育の基本方針は、『追い込む』ことにある。日々接している学生の中には、何かにつけて『自分にはできない』と及び腰の者が少なくない。しかし私にいわせれば、その多くは単なる思い込みだ。やらざるを得ない状況に追い込まれれば、意外とできてしまうものである。だから私は、あえて心を鬼にして無理難題を出し、『やればできる』という経験を積めるよう仕向けているのである。」(205頁)

人の経験値は、どれだけ多くの修羅場を経験したかによって測られるのだと思います。

当初、成功するなんて思えなかったことも、いざやってみると、意外といい結果が出たりするものです。

このような経験を多くしてきた人は、難しい問題にぶつかったときに、そう簡単にはあきらめないようになります。

「難しいそうに見えるけど、やってみたら、案外、うまくいくんじゃないの。この前も、そうだったし。」と考えることができるのです。

「やってみないとわからない」という発想を持てるかどうかがポイントになってくるような気がします。

ぱっと見の難しさにびびっていては、大きな成果はあげられません。

挑戦あるのみです!

不当労働行為51(櫻間工業事件)

おはようございます。

さて、組合執行委員長の解雇等に関する命令を見てみましょう。

櫻間工業事件(北海道労委平成24年6月22日・労判1051号94頁)

【事案の概要】

Y社は、土木・建築の施工・管理ならびに請負および一般貨物自動車運送を行っている会社である。

Y社の従業員であるAは、Y社社長に、業務中に事故を起こした旨報告した。

Y社社長は、Aに出勤停止を明示、てん末書の提出を求め、Aは、これを受けて3回てん末書を提出した。しかし、Y社は、内容が不備であるとして、再提出を求めた。

Aは、Y社社長に対しててん末書の対応は労働組合に一任したいと申し出た。

その後、Y社は、Aをクレーン作業から外し、除雪のほか、資材積込み等の場内作業を命じた。

Y社は、Aを即日解雇した。

【労働委員会の判断】

解雇は不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社が、A組合員が組合員であることを知ったのは、22年12月に、A組合員が、てん末書の件について今後の対応は労働組合に一任したいとB社長に申し出た時点であり、A組合員は、その日を境にクレーン作業から外され、除雪、資材積込み及び清掃等の業務に従事させられている。A組合員が、てん末書の対応を労働組合に一任したいとB社長に申し出たのは、本件事故に対する認識についての回答をしたものではないから、そのことをもってA組合員の本件事故に対する認識に変わりがないとして作業内容を変更する等の処分を行う理由となり得るものではなく、Y社が、A組合員の作業内容を変更したのは、まさにA組合員に申し出たこと自体が契機になっていると考えざるを得ない

2 Y社は、A組合員が、本件事故発生から既に2か月以上経過したにもかかわらず、意識改善が全く見られないこと、及び組合の要請に応じて事実関係の調査のための時間的猶予を与えていたものの一向に回答がなされなかったことから、本件解雇に至ったと主張する。
しかしながら、A組合員が本件事故のてん末書の提示について組合に一任した後は、組合が対応の窓口となったのであるから、A組合員個人が組合を無視して直接Y社に謝罪等の意思を表明することは考えられず、Y社もてん末書の提出に係る団体交渉に応じている以上、そのことを承知していたといわざるを得ない。しかも、Y社は、本件事故についてA組合員とY社の主張が食い違っており、組合が本件事故について調査中であることを認識していたものである。それにもかかわらず、その調査結果を検討することなく、A組合員個人から調査報告書を未だ提出していない旨を聞いたのみでA組合員の意識改善が見られないとして決定した本件即時解雇には、相当な理由があったとは言えない

3 以上の事実から総合的に判断すると、A組合員をクレーン作業から外し、除雪、資材積込み及び清掃等に従事させ本件解雇に至った一連のY社の行為は、A組合員が自らを組合員であることを明かして、てん末書の件について今後の対応は労働組合に一任したいと申し出、組合の支援を受けて争う姿勢を示したことによるもので、A組合員が組合員であることの故をもってなされた不利益取扱いに当たり、労働組合法7条1号の不当労働行為に該当する

典型的な不当労働行為ですね。

即時解雇についても、裁判で争えば、無効でしょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介129 ナニワのメンター流 最強のビジネスマインドを獲得する習慣形成トレーニング(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 台風も過ぎ去り、今日から10月がスタートしましたね。
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今年もあと3か月です! がんばっていきましょう!!

←土曜、日曜と2日連続で、早朝ウォーキングに行ってきました

早朝の山は、涼しく、空気もきれいなので、とても気持ちがいいです。

今日は、午前中、新規相談が2件入っています。

午後は、証人尋問の打合せ1件と裁判の打合せ2件が入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
ナニワのメンター流―最強のビジネスマインドを獲得する習慣形成トレーニング
ナニワのメンター流―最強のビジネスマインドを獲得する習慣形成トレーニング

「ナニメン」こと吉井さんの本です。

現在、吉井さんも私も同じ社団法人の理事をしていることもあり、ときどきお会いしています。

全文、関西弁で書かれています(笑) さすが吉井さんですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人には、『能力の差』はないんや、あるのは習慣の差だけなんや。」(42頁)

吉井さんの名刺にも書かれているフレーズです。

シンプルですが、真理です。

何かを身につけるのに最も基本的かつ効果的なことは、「繰り返しやり続ける」ということです。

仮に「能力」というものが、「無意識にできること」と定義するのであれば、「繰り返しやり続ける」ことにより、「能力」となるのだと思います。

つまり、能力や性格の差だと思われていることのほとんどは、「繰り返しやり続ける」という習慣の差なのです。

能力や性格は習慣からつくられるのです。

何回やっても身につかない方、能力がないんじゃありません。

まだまだ回数が足りないだけなんです。

100回やってだめなら、200回やるしかないですよ。

そう考えれば、がむしゃらに努力できませんか? 

解雇81(クノールブレムゼ商用車システムジャパン事件)

おはようございます。  

さて、今日は、組合役員への職務懈怠、暴言等を理由とする普通解雇に関する裁判例を見てみましょう。

クノールブレムゼ商用車システムジャパン事件(さいたま地裁熊谷支部平成24年3月26日・労判1050号48頁)

【事案の概要】

Y社は、自動車用部品の研究開発、製造、販売等を行う会社である。

Xらは、Y社の工場で勤務していた者である。Xらはいずれも労働組合の組合員である。

Y社は、X1の行動について調査会社に関し調査を依頼した。その調査報告書によれば、X1は、組合用務として届出がなされていた時間帯において、届出どおりに組合活動を行っていなかったとされた。また、X1は、団体交渉や労使協議の場等で暴言・威嚇を繰り返しており、Y社の賞罰規定にいう「業務上の上長の指示・命令に従わず、越権専断の行為をなし職場の秩序を乱すとき」「会社内で、暴行、脅迫、傷害、暴言またはこれに類する行為をなしたとき」等に該当するとされた。

Y社は、Xらを普通解雇した。

本件訴訟につき、Y社は、Xらの提起した本件反訴のうち地位確認請求において審理判断の対象となっている事項は、本件本訴請求に包含されるものであり、確認の利益を欠くものであるとの主張を行っている。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 Y社は、本件本訴において、Y社とXらとの間に雇用関係が存在しないことの確認を請求しているところ、これは、Y社に雇用契約に基づく賃金等の支払義務がないこと及びXらが雇用契約上の権利を有する地位にないことの確認を求めるものである。そうすると、本件本訴は、本件反訴である雇用契約に基づく賃金等の支払請求及びXらが雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認請求の反対形相としての消極的確認の訴えであり、本件反訴請求の当否の判断に全て含まれる関係にあるから、Y社とXらとの間における法的紛争を解決する有効適切な手段であるということはできず、確認の利益を欠くというべきである
また、二重起訴禁止の趣旨は、相手方当事者の二重応訴の負担及び裁判所の重複審理の負担を回避するとともに、判決内容の矛盾抵触を回避する点にあり、このような趣旨に照らすと、係属中の訴訟手続において反訴を提起することは二重起訴禁止に抵触しないというべきである。
以上によれば、本件反訴は確認の利益が認められ、かつ二重起訴禁止にも抵触しないから適法であり、他方、本件本訴は確認の利益を欠き不適法であるから却下すべきである。

2 労使委員会、労使協議、職場労使懇談会などの席上でなされたXらの発言が暴言・威嚇であるとしてなされた解雇につき、就業規則上の解雇理由に該当する各発言がなされたのは、同一の労使協議の機会になされたものであり、Xらが暴言を日常的に繰り返していたとはいえず、一般に労使交渉等の場においては、日常的な会話の場面と比較して、多少攻撃的で強い表現がなされたとしてもやむを得ない面がある

3 ・・・Y社自身も、解雇理由2については、少なくとも解雇理由1との比較においては重要性が低いと認識しており、特に、(シ)の発言については解雇理由書に記載されておらず、Y社として、解雇に当たって特に重視していなかったことが明らかである

4 ・・・また、Zの暴言等はいずれもY社内部の問題であり、これによって、Y社や取引先に重大な損害を与えたり、Y社の経営や業務運営に重大な影響や支障を及ぼしたことを認めるに足りる的確な証拠はない。かえって、証拠によれば、Zは、平成22年4月から同年8月までの間に、所定労働時間712時間の約51%に当たる367.75時間はY社の業務に従事していたことが認められ、Y社に対し、一定程度の貢献をしていたことが認められる。しかも、Y社は、Zの離席時間に相当する賃金を実質的には支払っておらず金銭的な負担は生じていない。

普通解雇の場合、訴訟になって、解雇理由を追加することが認められていますが、上記判例のポイント3のように判断されることがありますので、解雇理由は、できるだけ解雇と通告する際にすべてピックアップするべきです。

Y社が提起した消極的な確認訴訟については、確認の利益が否定されています。

一応、参考になりますね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介128 松下幸之助 ビジネス・ルール名言集(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。写真 12-09-08 21 40 58

←先日、事務所の近くの「大庄水産」に行ってきました

なにごとも挑戦ですよ。

安くておいしかったです。 チェーン店だからといって侮れません。

また行こうと思います。

今日は、午前中は、建物明渡の民事調停です。

午後は、不動産に関する裁判が1件と相談が1件入っています。

夜は、東京で社団法人の理事会です

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
松下幸之助 ビジネス・ルール名言集 (PHPビジネス新書)
松下幸之助 ビジネス・ルール名言集 (PHPビジネス新書)

松下幸之助さんの名言集です。

辛抱するから技術なり仕事なりが身につく。そうすると、苦労が希望に変わってまいります。」(94頁)

仕事のコツ、商売のコツといったものは、教えて教えられるものではなく、習って習い得られるものではないと松下幸之助は考えていました。では、どうすれば、そうしたコツをつかむことができるのか。それには、実業の中に身を置いて、日々の経験を通して自ら体得していくしかないといいます。・・・仕事とは、商売とは、楽なことや自分のやりたいことだけをしていて成り立つものではありません。つらいことに遭遇し、辛抱し、工夫する中で、コツが培われていくのです。」(95頁)

さすが、いいこと言います。

自分の責任で、実際に仕事をしなければ、いつまでたっても「商売のコツ」は身につきません。

「常に上司に守ってもらえる」、「いざというときには先輩が助けてくれる」とどこかでそう思っている限りは、本当の意味で「仕事のコツ」なんて体得できないと思います。

また、未経験の仕事に遭遇した場合には、「チャンス!」と思うことも大切だと思います。

やったことがない仕事をやらせてもらえるなんてことは、チャンス以外の何物でもありません。

経験者の何倍も準備をし、何十倍も情熱をもって、仕事に取り組む必要があります。

これを繰り返してやっているかどうかで、5年後、10年後、相当な差がつくことは間違いありません。