解雇81(クノールブレムゼ商用車システムジャパン事件)

おはようございます。  

さて、今日は、組合役員への職務懈怠、暴言等を理由とする普通解雇に関する裁判例を見てみましょう。

クノールブレムゼ商用車システムジャパン事件(さいたま地裁熊谷支部平成24年3月26日・労判1050号48頁)

【事案の概要】

Y社は、自動車用部品の研究開発、製造、販売等を行う会社である。

Xらは、Y社の工場で勤務していた者である。Xらはいずれも労働組合の組合員である。

Y社は、X1の行動について調査会社に関し調査を依頼した。その調査報告書によれば、X1は、組合用務として届出がなされていた時間帯において、届出どおりに組合活動を行っていなかったとされた。また、X1は、団体交渉や労使協議の場等で暴言・威嚇を繰り返しており、Y社の賞罰規定にいう「業務上の上長の指示・命令に従わず、越権専断の行為をなし職場の秩序を乱すとき」「会社内で、暴行、脅迫、傷害、暴言またはこれに類する行為をなしたとき」等に該当するとされた。

Y社は、Xらを普通解雇した。

本件訴訟につき、Y社は、Xらの提起した本件反訴のうち地位確認請求において審理判断の対象となっている事項は、本件本訴請求に包含されるものであり、確認の利益を欠くものであるとの主張を行っている。

【裁判所の判断】

解雇は無効

【判例のポイント】

1 Y社は、本件本訴において、Y社とXらとの間に雇用関係が存在しないことの確認を請求しているところ、これは、Y社に雇用契約に基づく賃金等の支払義務がないこと及びXらが雇用契約上の権利を有する地位にないことの確認を求めるものである。そうすると、本件本訴は、本件反訴である雇用契約に基づく賃金等の支払請求及びXらが雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認請求の反対形相としての消極的確認の訴えであり、本件反訴請求の当否の判断に全て含まれる関係にあるから、Y社とXらとの間における法的紛争を解決する有効適切な手段であるということはできず、確認の利益を欠くというべきである
また、二重起訴禁止の趣旨は、相手方当事者の二重応訴の負担及び裁判所の重複審理の負担を回避するとともに、判決内容の矛盾抵触を回避する点にあり、このような趣旨に照らすと、係属中の訴訟手続において反訴を提起することは二重起訴禁止に抵触しないというべきである。
以上によれば、本件反訴は確認の利益が認められ、かつ二重起訴禁止にも抵触しないから適法であり、他方、本件本訴は確認の利益を欠き不適法であるから却下すべきである。

2 労使委員会、労使協議、職場労使懇談会などの席上でなされたXらの発言が暴言・威嚇であるとしてなされた解雇につき、就業規則上の解雇理由に該当する各発言がなされたのは、同一の労使協議の機会になされたものであり、Xらが暴言を日常的に繰り返していたとはいえず、一般に労使交渉等の場においては、日常的な会話の場面と比較して、多少攻撃的で強い表現がなされたとしてもやむを得ない面がある

3 ・・・Y社自身も、解雇理由2については、少なくとも解雇理由1との比較においては重要性が低いと認識しており、特に、(シ)の発言については解雇理由書に記載されておらず、Y社として、解雇に当たって特に重視していなかったことが明らかである

4 ・・・また、Zの暴言等はいずれもY社内部の問題であり、これによって、Y社や取引先に重大な損害を与えたり、Y社の経営や業務運営に重大な影響や支障を及ぼしたことを認めるに足りる的確な証拠はない。かえって、証拠によれば、Zは、平成22年4月から同年8月までの間に、所定労働時間712時間の約51%に当たる367.75時間はY社の業務に従事していたことが認められ、Y社に対し、一定程度の貢献をしていたことが認められる。しかも、Y社は、Zの離席時間に相当する賃金を実質的には支払っておらず金銭的な負担は生じていない。

普通解雇の場合、訴訟になって、解雇理由を追加することが認められていますが、上記判例のポイント3のように判断されることがありますので、解雇理由は、できるだけ解雇と通告する際にすべてピックアップするべきです。

Y社が提起した消極的な確認訴訟については、確認の利益が否定されています。

一応、参考になりますね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。