Daily Archives: 2012年9月3日

不当労働行為47(明静事件)

おはようございます。

さて、今日は、組合役員の解雇と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

明静事件(中労委平成24年5月9日・労判1049号92頁)

【事案の概要】

Y社は、平成21年6月当時、従業員56名をもって川口支店等において物流センター等の製品(食品)の入出荷業務全般の管理・運営、フォークリフト荷役作業等のアウトソーシング受託を行っていたが、顧客から業務委託契約を解約され、24年1月現在、従業員はいない。

平成21年3月から4月にかけて川口支店で班長として勤務していたAは、未払賃金、年休取得等について、所轄の労基署等に赴き、その後、組合を結成し、Aが執行委員長に、Bが執行委員、Cが副執行委員長に就任した。

平成21年5月、組合は、Y社に対して組合結成を通知し、団交を申し入れた。

Y社は、A及びCを解雇した。

【労働委員会の判断】

A及びCの解雇は不当労働行為にあたる。

Bの解雇は不当労働行為にはあたらない。

【判例のポイント】

1 (1)Y社が「解雇通知書」において、Aの解雇理由ないしその細目として掲げる事項は、解雇理由とするに足りる具体性を欠いていたり、解雇理由として相当ではない上に疑問のあるものばかりであり(2)Aには一部問題行為も見受けられるが、Y社はこれに対して解雇以外の処分を検討することなく、過去、全く問題としていなかった協力会社会議への無断遅刻・欠席等を列挙して、突如として同人を解雇しており、(3)Y社はY社における同人の労働条件改善活動を遅くとも21年4月上旬に、組合結成行為を遅くとも5月21日までには察知して、同行為を問題視していたことが認められるのであるから、Aに対する解雇は同人が組合の結成活動を中心的に行ったことを敵視し、それ故に意図的に行ったものであると考えざるを得ない。
したがって、Aに対する解雇は、労組法第7条第1号の不利益取扱いに該当する。また、Aに対する解雇は、組合の中心人物である同人を会社から排除することにより、同人が中心となって活動する組合及び組合の活動等を指導するフード連合を弱体化させる行為として同条第3号の支配介入にも該当する。

2 Y社は、20年9月頃より業務改革を押し進めており、社内規律改善のための管理体制の強化等から解雇がなされたものである旨主張するが、B以外にも検便未提出者が存在する中で、同人から事情を聴取することなく、弁明の機会も与えず、他の処分を検討することなく同人をいきなり解雇しているのであるから、上記Y社の主張は首肯し難く、同人の解雇自体には合理的理由があるといえるか疑わしい
ところで、Bに対する解雇について不当労働行為が成立するためには、Y社が同人の解雇をするに当たって、Aらの組合結成活動を察知し、また、Bがそれに加わっていたといえることが必要である。
・・・Y社が、Bが組合結成活動について関与していたことを察知していたことを認めることはできないから、Y社のBに対する解雇が同人が組合結成に関わったことの故をもって行われたと認めるには足りず、Bに対する解雇を不当労働行為とすることはできない

解雇の有効性に関する判断は、よくあるパターンですね。

重要なのは、Bに対して、解雇の有効性には疑問があるとしつつ、結論として、不当労働行為性を否定している点です。

これは、「故をもって」の要件との関係で、Y社に不当労働行為意思があるとは認められないと判断したものです。

このように解雇の有効性と不当労働行為は要件が異なるため、解雇自体が無効であっても、不当労働行為とはならないこともあるわけです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。