本の紹介178 パクリジナルの技術(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、仕事帰りに、一人で「博」に寄りました

自慢のお刺身とともに森伊蔵です。 遅めの晩ご飯のためこれで終了。

当然のことながら、長居はせず、1時間一本勝負で帰宅しました。

今日は、午前中は、顧問先会社でのセミナーが入っています。

テーマは、「第3回 契約書作成に必要なリーガルマインド習得講座」です。

午後は、労働事件の裁判と交通事故の裁判が1件ずつ、刑事裁判の判決が入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
パクリジナルの技術 ~何をパクリ、どうオリジナルを生みだすのか~ (経済界新書)
パクリジナルの技術 ~何をパクリ、どうオリジナルを生みだすのか~ (経済界新書)

帯には、「スティーブ・ジョブズ、孫正義、柳井正・・・世界の一流は、みんなパクって成功してます!

と書かれています。

同旨の内容の本は結構ありますよね。

この本もパクって成功しようとしていますね(笑)

すばらしいです。 有限実行。

この「パクリジナル」という造語は、「パクるだけではダメで、オリジナルまで昇華させなければならない」という意味を込めているようです。

この造語は、いまいちです(笑) たぶん、はやりません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ぼくは3才の時から練習を始めています。3才~7才までは、半年位やっていましたが、3年生の時から今までは、365日中、360日は、はげしい練習をやっています。だから一週間中、友達と遊べる時間は、5時間~6時間の間です。そんなに練習をやっているんだから、必ずプロ野球の選手になれると思います」(119頁)

これは、イチロー選手の「僕の夢」と題した小学校の卒業文集の一部だそうです。

「そんなに練習をやっているんだから、必ずプロ野球の選手になれると思います」って、すごくないですか?

まるで他人のことを評価するかのように、自分のことを評価しています。

これは、スポーツに限らず、受験勉強や仕事でも同じことがいえます。

自信を保つ唯一の方法は、圧倒的な準備だと思っています。

他人を誤魔化すことはできても、自分を誤魔化すことはできません。

日々の小さな準備をどれだけ続けられるか。

これができる人は目標を達成できるというシンプルな法則なのです。 

能力ではなく、習慣の問題です。

解雇98(ネッツトヨタ札幌(諭旨退職処分)事件)

おはようございます。 

さて、今日は営業スタッフに対する諭旨退職処分の効力に関する裁判例を見てみましょう。

ネッツトヨタ札幌(諭旨退職処分)事件(札幌地裁平成24年6月5日・労判1058号88頁)

【事案の概要】

本件は、Y社にサービス担当の総合職エンジニアとして採用され、営業スタッフとして勤務していたXが、Y社から諭旨退職処分とする旨の意思表示をされたが、(1)同処分に不可欠な退職届を提出することもなかったから、同処分が効果を生じておらず、未だY社との間の雇用契約は終了していないし、(2)諭旨退職処分の効力が生じているとしても、同処分には客観的に合理的な理由がなく、社会通念上も相当であるといえないから、同処分が懲戒権の濫用により無効であると主張し、雇用契約に基づいて、同契約上の地位の保全と給与の仮払いとを求めた事案である。

【裁判所の判断】

諭旨退職処分は無効

【判例のポイント】

1 ・・・上記通知には、「貴殿は、本日まで、退職届を出していません。そこで、通知人会社は、貴殿に対し、本書送達後5日以内に、書面で退職届を提出するように、改めて、通知します。もしこの期間内に、貴殿から諭旨退職届のないときには、直ちに懲戒解雇となりますので、御留意下さい。」と記載されていると疎明されるから、それ自体、停止条件付きの懲戒解雇の意思表示と解することもできないものではない。また、Y社における従業員の退職については、自己都合退職について「本人の都合により、退職を願い出て会社の承認があったとき」と定められているほか、「その他相当の理由があるとき」と定められていると疎明される一方、諭旨退職の手続については、「諭旨のうえ退職させる」と規定されているのみであるから、Y社においては、諭旨退職の手続について必ずしも退職届の提出が必須のものとされているものではないと考えられる。そうすると、本件諭旨退職処分については、退職届の提出期限である平成23年12月30日の経過をもって、その効果が発生したものと解するのが相当である

2 本件においては、Xに雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めるべき保全の必要性があることを疎明するに足りる主張も疎明資料もない。

3 疎明資料及び審尋の全趣旨によれば、Xは、妻の外、Xの父及び兄とともに二世帯住宅において生活を送っているが、X夫婦とXの父及び兄とは別々に生計を立てていること、X及び妻は、夫婦の生活費の外、同住宅を取得する際の兄名義の住宅ローン月額13万円のうち8万円並びに同住宅の光熱費等のうち燃料代及び回線使用料等を負担していること、Xの妻は、本件諭旨退職処分の後、失業するに至っているほか、Xの父及び兄からの援助も期待することができないこと、Xに貯蓄等の蓄えもないことが疎明される。このようなXの生活状況等に照らすと、本件においては、Xが請求する月額賃金にほぼ相当する額の仮払いを命ずるだけの保全の必要性があるということができる(一方で、月額賃金を超えて賞与等の仮払いを命ずるだけの保全の必要性についての具体的な主張も疎明もない。)が、一方で、本案審理の見込みに照らすと、賃金の仮払いは、平成24年6月から平成25年5月までに限って認めることが相当である。

本件は、仮処分事案です。

上記判例のポイント1は、おもしろい認定のしかたをしていますね。

「まあ、そうとも解釈できるね」という感じでしょうか。

仮処分事案ですので、被保全権利と保全の必要性について疎明しないといけません。

現在、私も2件、労働事件の仮処分事件をやっています(1つは労働者側、1つは使用者側)。

賃金仮払いの仮処分が認められると、労働者側とすると非常に助かる反面、使用者側とすると非常につらいところです。

自ずと攻防も激しくなります。

訴訟とは異なるポイントを押さえつつ、全力で戦うのみです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介177 思考の「型」を身につけよう(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます 今週も一週間お疲れ様でした。 今日から3月です。今月もがんばっていきましょう!!
__
←先日、スタッフと「あさ八」に行ってきました

1時間一本勝負です。 野菜を食べたいときは、このお店ですね。

今日は、午前中は、建物明渡しの裁判と労働事件の仮処分の審尋が入っています。

午後は、新規相談が5件と調停の打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、本の紹介です。
思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント (朝日新書)
思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント (朝日新書)

エコノミストの方の本です。

経済学における考え方を切り口として、物事をどのように考えたら合理的であるかを解説している本です。

読み物としてとてもおもしろいと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・地球環境が一変すると、それまでの環境にパーフェクトに適応していた恐竜は絶滅せざるをえなくなります。代わって新世代の地球の覇者となったのはかつての劣等生であった哺乳類でした。『地球上の生物の生存』大目標と考えるならば、着々と環境に適応した恐竜よりも、無駄の多い進化を遂げた哺乳類の方が優れた進化の経路をたどっていたのです。
これは現代の組織においても同じことです。今の経営環境にぴったりの人材を集め、今の業界慣習に完全に併せた技能のみを習得している人材で構成される会社は、局所最適化に陥っている可能性があります。自社を取り巻く環境が変わり、その会社の経営陣・社員がみな『恐竜』になってしまっていたとき、その会社の命運はつきると言っても過言ではないかもしれません。
」(178頁)

この文章、みなさんはどう読みますか?

私は、「あまり強いこだわりを持たない」ということを大切にしています。

変にこだわりが強いと、柔軟性に欠ける気がするからです。

自ら新しい仕事をつくっていく、自らよりよい環境をつくっていくことももちろん大切です。

しかし、他方で、与えられた仕事、与えられた環境の中でいかに自分の力を発揮するかということもまた大切だと思います。

すべての前提条件を自分の力を発揮しやすいものに変えることは難しいです。

「この仕事(会社)は自分には向いていない」と思うのは自由ですが、どの仕事をしたって、すべて自分の思うとおりになることなどありえません。

みんな与えられた環境や地位の下で精一杯もがきながら役割を果たす。

そこに小さな達成感や幸福感を感じることができるかどうか。

それは、環境や仕事の内容ではなく、自分自身の考え方ひとつなんだと思います。

管理監督者30(サンクスジャパン事件)

おはようございます。

さて、今日は、業務上志望者の管理監督者性と給付基礎日額の算定に関する裁判例を見てみましょう。

サンクスジャパン事件(福岡地裁平成24年5月16日・労判1058号59頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に勤務していたXの妻が、Xは業務に起因して発症した急性心臓死により死亡したと主張して、佐賀労働基準監督署長に対し、労災保険法に基づき、遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求したところ、本件署長から、平成21年4月6日付けで、これらについて給付基礎日額を1万3236円として算定した金額を支給する旨の各処分を受けたため、上記給費基礎日額の算定に誤りがあるとして、被告国に対し、本件処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

管理監督者に当たらない
→遺族補償給付及び葬祭料の支給に関する処分を取り消す。

【判例のポイント】

1 一般に、管理監督者には労働時間、休憩及び休日に関する労基法の規定を適用しない旨を定める労基法41条2号の趣旨は、管理監督者は、重要な職務と責任を有し、労働条件の決定その他労務管理等について経営者と一体的な立場にあるため、同法の定める労働時間規制を超えて活動することが要請され、かつ、出退社等の事故の労働時間について自由裁量を働かし得る上、その地位にふさわしい待遇を受けているため、厳格な労働時間規制をしなくても労働者保護に欠けることにはならない、という点にあるものと解される。
そうすると、管理監督者に該当するか否かは、(1)その業務内容、権限及び責任に照らし、労務管理等に関して経営者と一体的な立場にあるといえるか否か、(2)自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有しているといえるか否か、(3)その地位にふさわしい待遇を受けているか否か、などの観点から個別具体的な検討を行い、これらの事情を総合考慮して判断するのが相当である。

2 Xは、Y社の商品部第4課長の地位にあり、同課が担当する家電等に関し、本件会社として仕入れる商品の選択、仕入値及び数量並びに店舗での販売価格の決定権限が与えられている。
しかし、Xの上記権限は、多岐にわたるY社の取扱商品のうちの限定された一分野に関するものである上、商品部の各課の全体的な売上げの状況などは、商品部部長が管理していることからすると、Xは、Y社から与えられた一定の裁量の範囲の中で、家電等の商品の仕入れや販売価格の決定等を行っていたことが推認される。
したがって、Xが上記の権限を行使していたことをもって、XがY社の経営全体に関する決定に参画していたなどということはできず、他にこれをうかがわせる事実を認めるに足りる客観的な証拠はない

3 Xが、この4名の部下に対し、人事考課、勤務時間の管理及び給与等の待遇の決定など、労務管理上の指揮命令権限を有し、これを行使していたことを認めるに足りる客観的な証拠は見当たらない
以上のとおり、Xが、本件会社の経営全体に関する決定に参画したとか、予算策定に直接的に関与していたとはいえない上、部下に対する労務管理上の指揮監督権限を有していた事実が認められないことなどからすれば、その業務内容、権限及び責任に照らし、Xが労務管理等に関して経営者と一体的な立場にあったとまではいえない。

4 Y社は、Xの労働時間について、タイムカード等による出退勤管理をしていない。しかし、役職に就いていないバイヤーについても同様の取扱いをしていたことからすると、単に、業務の内容及び性質からこのような取扱いをしていたにすぎないといえる。したがって、上記の事情をもって、Xが労働時間について裁量権を有していたことを根拠づけるものと評価することはできず、他にこのことをうかがわせる事情は見当たらない。
かえって、XはY社の設置した出勤簿に押印していた上、1週間ごとにXの予定を記載した週間行動予定表が作成されていることが認められることなどからすると、Xの稼働状況等については、Y社がこれを一定程度管理していたことがうかがわれる。これに加えて、Xの勤務実態からすると、Xが相当の長時間労働の常況にあったことが推測されることからすれば、Xに労働時間に関する広い裁量権が与えられていたということはできない

5 ・・・Xは、上記のとおり労基法41条2号にいう管理監督者に当たらないから、時間外労働等の割増賃金についてY社に請求できることを前提に給付基礎日額が算定されなければならない。そうであるにもかかわらず、Xが管理監督者に当たるとして、時間外労働等の割増賃金を基礎に入れることなく給付基礎日額を算定した本件処分は、上記給付基礎日額の算定を誤ったものであり、違法であるといわざるを得ない。

労災における給付基礎日額との関係で、管理監督者性が争われた珍しい事案です。

管理監督者性については、多くの裁判例を同じく、否定されています。

この程度の事情ではまず肯定されないと思います。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

本の紹介176 人生と仕事を変えた57の言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、久しぶりに鷹匠の「ARIYOSHI」に行ってきました

写真は、「シャンピニオンと有機にんにくのオイル焼き」です。

てっぱんメニューです。

このお店は、店内が照明を落としているため、とても落ち着きます。

今日は、午前中は、掛川の裁判所で交通事故の民事調停があります

午後は、そのまま御前崎へ行き、法律相談です。

夕方から、事務所で打合せが1件入っています。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
「プロフェッショナル 仕事の流儀」決定版 人生と仕事を変えた57の言葉 (NHK出版新書 362)
「プロフェッショナル 仕事の流儀」決定版 人生と仕事を変えた57の言葉 (NHK出版新書 362)

NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介された方の言葉が紹介されている本です。

いつか出てみたいです。

プロフェッショナルと情熱大陸は、とても勉強になりますね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

夢を実現したいと思って努力してきたけど、自分の思いとは違う『使命』という風が吹くときがある。夢よりも使命のほうが大事なんですよ。自分を否定しても『使命』をとらなきゃいけないんだって」(121頁)

使命という風が吹いたときに、それに身を委ねることができる人だと思います。そしてそのときに、自分の思いとか考えとか、都合とか好き嫌いというものを、やっぱり一部断念することができる人。それがプロだというふうに考えています」(122頁)

ホームレス支援、牧師の奥田知志さんのことばです。

なかなか言える言葉ではありません。

自分の夢とは違う「使命」を感じたときには、いったん夢を断念して、使命に身をゆだねる。

深いですね。

個人的には、あまり目標や夢に縛られない方がいいと思っています。

もちろん目標や夢はあります。

でも、それは、一応の目標や夢です。 特に状況が大きく変わらなければ達成すればよいものです。

奥田さんの言葉を借りれば、途中で使命という風が吹いたときは、その風に従えばいいと思っています。

あまり強くこだわりを持たず、あるがままを受け入れるほうが自然な感じがします。

そんな感じです。

賃金55(アクティリンク事件)

おはようございます。

さて、今日は、不動産会社元従業員による割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

アクティリンク事件(東京地裁平成24年8月28日・労判1058号5頁)

【事案の概要】

Y社は、不動産売買、賃貸、管理およびこれらの仲介業を目的とする会社である。

Xらは、Y社の元従業員である。

Xらは、Y社に対し、雇用契約に基づく賃金請求として、時間外労働に対する割増賃金の支払を求めた。

【裁判所の判断】

X1につき、Y社に対し約278万の未払残業代及び275万円の付加金の支払いを命じた。

X2につき、Y社に対し、約193万円の未払残業代及び190万円の付加金の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 労基法37条5項及び労基法施行規則21条所定の手当は、いずれも除外賃金とされているが、除外賃金に該当するか否かは、名称に関わりなく実質的にこれを判断すべきである。住宅手当が除外賃金とされた趣旨は、労働と直接的な関係が薄い費目を基礎賃金から除外することにあると解されるから、除外されるべき住宅手当とは、その名称の如何を問わず、実質的にみて住宅に要する費用に応じて算定され、支給される手当をいうものと解するのが相当である
Y社では、住宅所有の有無や、賃貸借の事実の有無にかかわらず、年齢、地位、生活スタイル等に応じて1万円から5万円の範囲で住宅手当が支給されていたこと、Xらは、本件請求にかかる期間中、家賃等住宅にかかる費用についてY社に申告したこともないこと等の事実を認めることができる。これらの事実にかんがみれば、本件における住宅手当は、実質的にみて、住宅に要する費用に応じて支給される手当ということはできない。
よって、本件における住宅手当は、除外賃金には当たらないというべきである

2 ・・・営業手当は、本件賃金規程において、月30時間分に相当する時間外労働割増賃金として支給されることとされていることからすれば、いわゆる定額残業代の支払として認められるかのようにもみえる
しかし、このような他の手当を名目としたいわゆる定額残業代の支払が許されるためには、(1)実質的に見て、当該手当が時間外労働の対価としての性格を有していること(条件(1))は勿論、(2)支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明示され、定額残業代によってまかなわれる残業時間数を超えて残業が行われた場合には別途精算する旨の合意が存在するか、少なくともそうした取扱いが確立していること(条件(2))が必要不可欠であるというべきである
・・・これらの事実にかんがみれば、営業手当は、営業活動に伴う経費の補充または売買事業部の従業員に対する一種のインセンティブとして支給されていたとみるのが相当であり、実質的な時間外労働の対価としての性格を有していると認めることはできない

3 労基法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)とは、同号の趣旨にかんがみ、一般に「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」をいうものと解され、それに当たるか否かの判断は、職位等の名称にとらわれずに、職務内容、権限及び責任並びに職務態様等に関する実態を総合的に考慮して決すべきものと解される。
この点、確かにXらは、課長または班長の地位にあったことが認められるが、反面、Y社の経営に参画し、自らの部下らに対する労務管理上の決定権を有していたとまでは認めることができず、少なくとも業務開始時刻については、タイムカードによる出退勤管理を受けていたことが明らかである。
したがって、Xらが「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」ということはできず、Xらは、労基法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)には当たらないものというべきである。

固定(定額)残業代に関する上記判例のポイント2は参考になりますね。

あらゆる手当に固定残業代の意味であるとすることは許されないということになります。

当然といえば当然のことですね。

また、上記判例のポイント1の除外賃金についても、よく争われるところですが、しっかり理解しておかないと勘違いをしてしまいます。

ご注意ください。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介175 誰も教えてくれなかった 運とツキの法則(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 また一週間が始まりましたね。今週も一週間、がんばりましょう!!

さて、今日は本の紹介です。
誰も教えてくれなかった 運とツキの法則
誰も教えてくれなかった 運とツキの法則

クレディセゾン社長の林野さんの本です。

先日、林野さんの「BQ」という本を紹介しましたが、この本がとてもよかったので、林野さんの別の本も読んでみました。

タイトルだけ見ると、西田塾を思い浮かべる方もいると思います(笑)

実際、この本の巻末付録に「西田文郎から学ぶ」というページが設けられています。

「BQ」との比較で言えば、今回の本は総論で、「BQ」は各論、という感じでしょうか。

「BQ」の方が、私は好きです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

物事に悲観的になっている人やしょげている人にはけっして運とツキはおとずれません
明るく頑張っている人、努力を惜しまない人に運とツキはやってくるものです
」(38頁)

ハングリー精神が運とツキを呼び、勝利を勝ち取る」(78頁)

これは正しい、間違っているという問題ではなく、価値観の問題です。

「運がある」とか「ついている」などということを軽視する人もいると思いますが、私は、「運」や「ツキ」というものを非常に重視しています。

運やツキというと、たまたまいい結果が出たというように捉えがちですが、そうではありません。

運のいい人、ついている人というは、日頃からちゃんと準備をしているのです。

ある出来事が起こっても、何も感じない人もいれば、「これはチャンスだな」と思える人もいます。

たとえそれが客観的に見ればマイナスの出来事だとしても同じことです。

ある一定の考え方の習慣を持っているか否かだけで、人生や仕事の捉え方が大きく変わってきます。

すべては性格ではなく、習慣であるということを理解すれば、物事の捉え方を変えることができます。

ですから、「自分はそういう考え方ができない性格なので・・・」ではなく、「自分はまだそういう考え方をする習慣ができていないので・・・」が正しい言い訳なのです(笑)

習慣をつくるまでが大変ですが、それもまた習慣によって乗り越えられるわけです。

まずは、習慣をつくる。そうすれば、あとは習慣が人間をつくってくれる、というわけです。

解雇97(World LSK事件)

おはようございます。 

さて、今日は、中途採用の内定取消しに対する損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

World LSK事件(東京地裁平成24年7月30日・労判1057号160頁)

【事案の概要】

Y社は、LEDの販売等を営む会社である。

Xは、Y社への採用が内定したが、平成23年9月、同内定を取り消された。

なお、Xは、Y社の入社面接時、A社で勤務しており、Y社からの内定を受けて、A社を退職している。

【裁判所の判断】

内定取消しは違法

Y社に対し約133万円の支払を命じた

【判例のポイント】

1 Y社代表者は、8月8日には具体的に確定した雇用条件でXを採用する旨の意思表示をしており、同時点で本件労働契約が成立したと認めるのが相当である。

2 Y社は、本件労働契約が成立しているにもかかわらず、Xに対し、Xの就業開始日の翌日である9月2日に突然、採用を取り消す旨の意思表示をし、また、その点について何ら合理性のある理由を説明していないから、Xに対し、違法な採用内定の取消しを行ったというべきであり、これと相当因果関係を有する損害の賠償責任を負う。

3 本件労働契約の内容からすれば、Xは、本来であれば、平成23年9月1日からY社で就業を開始し、基本給月額50万円を得られたはずであった上記給与を得られなかったこと、Xは、10月1日、別の会社に就職することができ、同社での給与は月額39万6100円であること、Y社における給与額とXが就職した会社における給与額との差額は、月額10万3900円であること、本件労働契約においては試用期間が3か月と定められていたことが認められる。
そうすると、Xは、少なくとも3か月はY社に勤務することができ、月額50万円の給与を得ることができたと認めるのが相当であるから、その逸失利益は、9月分の給与50万円及び2か月分の差額20万7800円(10万3900円×2か月)の合計70万円7800円と認めるのが相当である

4 Xは、Y社の採用内定に基づきA社を退職したこと、Y社による採用内定取消し後、再就職先を探し、東京都内の会社に就職したことが認められる。Xは、G市内で再就職先が見つからなかった旨主張するが、G市内において、再就職先がまったくなかったとは考え難く、転居費用については、Y社の違法行為と相当因果関係のある損害とは認め難い(なお、転居したことについては慰謝料算定の一事情として考慮する。)。

5 Xは、Y社の採用内定に基づき、前勤務先であるA社を退職し、Y社での就業準備を行ってきたにもかかわらず、一方的に採用内定を取り消された上、Y社社長からこの点に関する説明もなく、不誠実な対応をされたことなどにより精神的苦痛を被ったことが認められる。このXの精神的苦痛に対する慰謝料としては50万円が相当である。

内定取消しに関する裁判例です。

採用内定を受けた者の不利益を考えると、やはり合理的な理由のない内定取消しは許されるべきではありません。

使用者としては、十分注意してください。

また、上記判例のポイント4は、損害論のところで問題となりますね。

個々の事案において、どこまでを相当因果関係の範囲と認めるのかという点です。

参考にしてください。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介174 結局「仕組み」を作った人が勝っている(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます
__←先日、お昼ごはんを食べに、はじめて「ブロンコビリー」に行きました

ハンバーグ400gにガーリックビーフライスを付けてみました

おもしろ半分で注文してしまいました 夜ごはんは当然、食べませんでした。

満席でした。サラダバーがあるとお客さんが集まりますね。

みんな真似すればいいのに・・・と思ってしまいます。

今日は、午前中、裁判が2件と顧問先会社の打合せが入っています。

午後は、新規相談が1件、裁判の打合せが1件です。

夜は、社労士の先生と一緒にオープンセミナーを行います。

テーマは、「弁護士×社労士による未払残業代請求対策セミナー」です。

会社が残業代請求について気を付けなければならないポイントについて解説します。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は本の紹介です。
新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている―驚異の自動収入システムは今も回り続けていた! (知恵の森文庫)
新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている―驚異の自動収入システムは今も回り続けていた! (知恵の森文庫)

要するにいかに不労所得を増やしていくか、という内容の本です。

利益を生む「仕組み」さえつくれば、あとは自動的にその「仕組み」が利益を出してくれるというわけです。

これだけ読むと、いかにも胡散臭いですが、多くのビジネスは、この「仕組み」の上に成り立っていることは疑いようのない事実です。

大変参考になる本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

すべて自己流でやって成功できると考える人も、僕には理解できない。東大に行きたいと思ったら、みんな塾に行くなり家庭教師をつけたりするでしょう?それなのにビジネスに関してはみんなタダで何とかしたいと考える。それで成功しようなんて無理ですよ。
今後、プチリタイアに限らず起業を考えている人には『成功するまで続けろ』『知らないのにやるな』という2つの言葉を贈りたいですね。
」(116頁)

「成功するまで続けろ」というのは、よく聞くことばですね。

どれだけ本を読んだかではなく、また、どれだけセミナーに参加したかでもなく、成功するまで続けられるかどうかなんだと思います。

途中で修正しながら、あきらめないでやり続けることしかないんだと思います。

これに対して、「知らないのにやるな」というのは、私にとっては新鮮でした。

言われれば「そりゃそうだ」と思いますが、それを文字にできることがすばらしいですね。

成功した人の意見を聞き、素直に受け入れる。とにかくそれでやってみる。

これが一番の近道です。 

素直さと柔軟性が大事なのです。

変なこだわりやプライドは1つもプラスにはなりません。

解雇96(甲タクシー事件)

おはようございます
__
←先日、修習生3人と「キャトルプレジール」に行ってきました

写真は、定番の「ガーリックチキン」です。 秀逸です。

私も修習生のときは、いろんな先生に食事に連れて行っていただきました。

今は、その恩返しを後輩にしています。 

今日は、午前中は、打合せが2件入っています。

午後は、清水で大学生等を対象とした「JOBコン」に参加します。

最近の学生がどんなことを考えているのか、とても興味があります。

今日も一日がんばります!!

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さて、今日は、タクシー運転手に対する懲戒解雇処分に関する裁判例を見てみましょう。

甲タクシー事件(千葉地裁平成24年11月5日・労経速2161号21頁)

【事案の概要】

Xは、平成22年10月夜間、タクシーを運転して、一方通行道路を逆走し、前方を走行していた自転車に対し、道路の端によけさせえようとして、警音器を鳴らす等しておあり運転をし、また、逆送を継続しながら、自転車を追尾し、自転車が停止した後、そのわずか数十㎝手前でタクシーを停車させる行為をした。

なお、Xは、本件請求と同旨の労働審判等を求めたが、労働審判委員会は、Xの申立てに係る請求をいずれも棄却するとの労働審判をしたところ、Xが、異議申立てをした。

Xの請求内容は、地位確認、賃金の請求、慰謝料50万円の請求である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は有効

【判例のポイント】

1 ・・・以上によれば、Xのこれらの行為は、本事件の際に本件タクシーが本件自転車に衝突したか否かにかかわらず、道路交通法を遵守し、安全運転を行い、交通事故の防止に努めるべきとする本件就業規則及び本件服務規程の定めに違反する行為と認められる
また、Xは、本事件の前にも、本件出勤停止処分(1)及び(2)という懲戒を受けており、その懲戒理由は、それぞれ、乗車拒否及び不当な料金の収受という、本件就業規則の定める違反行為に当たることが認められる。すなわち、Xは、本事件の前、本件就業規則の定める違反行為を繰り返したものと認められる

2 さらに、Xは、本事件の後、Y社代表者がXに対して指導をしたにもかかわらず、本件女性が、本件自転車を道路の端に寄せるなどして後方の本件タクシーに道を譲るという、本来そのような義務のない行為をしなかったことを批判するばかりか、本件女性が本件自転車を本件タクシーに衝突させようとしたなどと、本件女性を非難するばかりで、上記のとおり、道路交通法に違反し、危険な運転をしたことについては、反省の意思を何ら示さず、かえって、Y社代表者を誹謗中傷する言動に及んだものであり、タクシー事業を経営するY社の規律を全く顧みない言動を繰り返したものと認められる
以上に述べたところによれば、Xのこれらの行為は、Y社の重要な服務規律に違反し、さらに、本件就業規則の定める違反行為を繰り返し、会社の秩序等を乱したものとして、本件就業規則の定める懲戒解雇の事由に当たると認められる。

3 また、Y社においては、これまで、人身事故を起こした労働者や、乗務前の飲酒検査において基準を超えるアルコール量が検知された労働者らに対しても、けん責の懲戒しかされていなかったことが認められる。しかしながら、上記懲戒処分を受けたY社の労働者らが、当該懲戒を受けた際、当該懲戒処分について反省の意思を示さなかったとの事実や、それまでに本件就業規則等の定めに違反する行為を繰り返していたとの事実を認めるに足りる証拠はないのに対し、Xは、・・・に照らせば、このことによっても、本件解雇が不公平な懲戒であるとまでは認めるに足りない

4 Y社がXに対してして本件解雇は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であるとは認められないものとはいえず、かえって、合理的かつ相当であり、やむを得ない懲戒処分と認められる。

本件は、本人訴訟です。

参考にすべき点としては、上記判例のポイント3でしょうか。

原告としては懲戒処分の相当性について争ったわけですが、否定されています。

懲戒事案は、個別性が高いため、本件事案が従前の事案と完全に同一なものでないことは明らかです。

また、従前の事案に対する処分が適切であったかすら判然としないのが通例のため、結果、主張立証を重ねても、本件事案の解決には影響しないことがほとんどだと思われます。