本の紹介2058 その他大勢から抜け出し、超一流になるために知っておくべきこと#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

とてもおもしろい本です。

明確に超一流の特徴が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

運を良くするためには、まず運の悪い人とは絶縁することだ。その上で、できるだけ運のいい人と同じ空間で生きることだ。」(113頁)

付き合う人を選ぼう、ということです。

運がいいかどうかは簡単にはわかりませんが、表情や発言からプラスのオーラが出ている人と一緒にいることです。

誰の影響を受けるかによってその人の人生が決まるといっても過言ではありません。

運・不運というと、あたかも自分の力を超越した特別な力を意味するように感じてしまいますが、それだけではないと思います。

日々の努力の結晶が、運・不運と見えるだけなのかもしれません。

セクハラ・パワハラ79 上司らの嫌がらせに基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、上司らの嫌がらせに基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

ゆうちょ銀行事件(水戸地裁令和5年4月14日・労判ジャーナル139号32頁)

【事案の概要】

本件は、旧郵政省に採用され、郵政民営化後はY社に雇用されて就労していたXが、Y社に対し、Xは、平成19年9月18日以降、上司から恣意的に担当業務を制限されたり、同僚から悪口を言われたりする嫌がらせを受け続け、これらの行為について、Y社は職場環境配慮義務を怠ったなどと主張して、債務不履行に基づき、損害金合計1億1000万円(慰謝料1億円と弁護士費用1000万円の合計)+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、55万円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 平成23年6月からY社の千葉地域センター課長代理の地位にあったBは、Xに対し、平成25年11月12日、退職届を書いたかとの旨尋ねる発言をし、平成26年8月13日、自身の退職届を渡して、これを千葉地域センター所長へ提出するよう述べたことが認められる。
BのXに対する各言動は、Xに対して、その上司であったBにおいて、Y社を退職するよう示唆し、さらに、Xが自らY社を退職するよう精神的に圧力をかける行為と見られてしかるべきものであり、客観的に見て、社会通念に照らし、度を過ぎた言動というべきである。
そして、Bは原告が配属されていた職場における課長代理の地位にあり、Xの上司として、Xが精神的に安全な環境で執務できるその職場環境を整備するべき立場にあったのであるから、BのXに対する各言動は、直接、Y社において、Xがその職場において精神的な健康の安全を確保しつつ労働することができるよう配慮するべき義務を怠ったものと解される。
したがって、この点において、Y社には、Xに対する職場環境配慮義務違反の債務不履行が認められる。

2 係長としてXの上司であったDは、平成27年10月20日、同月28日、同月30日、同年11月10日、同月12日、同月19日、平成28年2月4日及び同月9日、職場において、Xの頭髪に整髪料をつけて、Xの髪をいじってその髪型を変えるなどして、そのまま就労させ、このことは、Xにとって不本意であったとの旨の記載並びに記載部分及び供述部分がある。
これに対し、Dの陳述書及び証言中には、Xが日常的に髪がぼさぼさであったり、ふけがたまっていたりしていて、女性社員からXについて、ふけがあって近寄るのが嫌だなどと言われていたため、外部業務に行く際、身だしなみを整えるために、自身の整髪料をあげるか貸すかして、その使い方を教えたことはあるが、Xの髪を触ったり、整髪料をつけたりしたことはないとの記載部分及び証言部分がある。
しかし、真実、Xの髪や衣服などにふけが付着するなどして周囲に不快感を与える状況であったというのであれば、上司であるDとしては、まずは、Xにその旨指摘して、ふけを払うなどの措置を講じるよう促すのが自然というべきところ、Dがそうすることはせず、Xにふけの存在やこれを改善するよう指摘や指導をすることなく、ふけの除去に効果があるとは思われない整髪料を渡してその使い方を教えただけであったというのは、事の流れとして不自然、不合理である。
したがって、Dの上記記載部分及び証言部分は、採用できない。
以上によれば、Dは、多数回にわたり、Xの意に反して、その髪に整髪料をつけて直接いじって髪型を変えるなどして、職場において就労させることを繰り返していたことが認められる。
そして、Dの上記行為がXに屈辱感を与え、その人格的利益を侵害するものであることは明らかというべきである。さらに、これがXが精神的に安全な環境で執務できるその職場環境の整備に配慮すべき立場にあったXの上司によって行われたものであり、加えて、Xの髪型の変化は、Xの他の上司においても、容易にこれを認識できたものと推認され、同上司らにおいても、Dの上記行為を制止する措置をとってしかるべきであったといえる。
したがって、Dの上記行為やこれを看過した周囲の上司らの行為は、Y社において、Xに対する職場環境配慮義務を怠ったものと解されるものであって、Y社には、職場環境配慮義務違反の債務不履行が認められる。

1億円の慰謝料請求をし、認容されたのは50万円です。

印紙代や弁護士費用からしますと評価が難しいところです。

社内のハラスメント問題については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。

本の紹介2057 ムダの片づけ方#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

今から6年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「ムダな『考え』『物』『人』『行動』を捨てると、真に大切なものが得られる!」と書かれています。

まあ、そういうことです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

勉強する時間がないのではなく、勉強しないから時間がないのだ。」(154頁)

木こりのジレンマのお話と同じです。

とはいえ、ただでさえ、毎日、あれやこれやと多忙を極めている方からすると、勉強する時間を確保するのは至難の業ではないでしょうか。

おすすめは、早朝の時間です。

毎朝4時に起きれば、かなりの時間、勉強することができます。

それを5年、10年と続けることができれば、人生が変わります。

でも、多くの人は続けられません。

ゆえに人生を変えるのは難しいのです。

不当労働行為310 組合が申し入れた団体交渉を拒否したことが不当労働行為にあたらないとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合が申し入れた団体交渉を拒否したことが不当労働行為にあたらないとされた事案について見ていきましょう。

丸八ホールディングス事件(埼玉県労委令和5年3月30日・労判1293号91頁)

【事案の概要】

本件は、組合がY社に対し、平成30年12月25日付、31年3月1日付および同月4日付で申し入れた団体交渉を拒否したことにつき、本件団交事項のいずれについても、Y社は労組法上の使用者に当たるといえず、組合が申し入れた団体交渉に対しY社が応じなかったことは、労組法7条2号の不当労働行為に該当するかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 子会社につき労組法第7条の使用者性が認められる場合において、親会社にも同条の使用者性が認められるためには、親会社が強い経済的支配力を背景に、子会社の経営に対して支配できる地位にあり、子会社の労働者の基本的な労働条件等につき、現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあることが必要となる。その判断に当たっては、様々な事実を総合的に考慮することとなるが、親会社が子会社の労働者の基本的な労働条件等につき、実際に自ら決定していたか、少なくとも明示又は黙示の承認の下に、その決定を子会社に委ねていたかどうかが重要な要素として考慮されなければならない

2 Y社が、支部組合員に対し、実際に自ら労働条件等を決定していたか、少なくとも明示又は黙示の承認の下に、その決定をA社に委ねていたとは認められないことはもとより、その他、Y社が支部組合員の基本的な労働条件等につき、現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあることをうかがわせる事実の存在が疎明されているとまでは言えないから、本件団交事項におけるY社の使用者性については、これを認めることはできない。

労組法上の使用者性が争点となることがときどきありますが、上記命令のポイント1の判断要素をしっかりと押さえておきましょう。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2056 友だちをつくるな#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

要するに不必要に群れるな、ということです。

時間がもったいない。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人間関係で最大の無駄はみんなに好かれようとすること。」(64頁)

人類史上、みんなに好かれることに成功した人などただの一人もいない。そんな自然の摂理に反することをするな。」(67頁)

こんなことはかなり前に諦めている身でございます。

全員から好かれなくても生きていけます。

全員から好かれようと思うと気疲れします。

気が合う人にだけ好かれれば、もうそれで十分です。

有期労働契約123 介護施設での虐待通報後の雇止めの適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、介護施設での虐待通報後の雇止めの適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

グッドパートナーズ事件(東京高裁令和5年2月2日・労判1293号59頁)

【事案の概要】

Xと人材派遣等を業とするY社は、平成31年2月3日、Xの就労場所を第三者が運営する介護付有料老人ホーム、雇用期間を同日から同年3月31日までとする有期労働契約を締結した。
本件は、Xが、Y社から同日をもって上記有期労働契約につき雇止めをされたところ、本件雇止めは違法な雇止めで無効である旨主張して、Y社に対し、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②上記労働契約に基づき、同年4月分から令和3年12月分までの未払賃金合計1108万8000円+遅延損害金の支払、③令和4年1月分以降の未払賃金として月額33万6000円の支払並びに④不法行為に基づく損害賠償請求として慰謝料50万円+遅延損害金の支払を各求める事案である。

原審は、上記③のうち、判決確定後の賃金の支払を求める部分については確認の利益がないとして訴えを却下した上で、本件雇止めは無効であるが、XとY社の雇用契約は令和元年5月31日を終期とする有期労働契約であるから同日をもって終了し、本件雇止めによるXの精神的苦痛は本件雇止めの無効及びその後の未払賃金の請求が認められることにより慰謝されたなどとして、上記②の請求のうち平成31年4月分及び令和元年5月分の給与から、中間収入を控除した40万5570円+遅延損害金の支払を求める限度で許容し、その余の請求を棄却した。

【裁判所の判断】

原判決主文第2・3項を次のとおり変更する。
(1)Y社は、Xに対し、56万2244円+遅延損害金を支払え。
(2)Xのその余の請求を放棄する。

【判例のポイント】

1 平成31年4月分について、Xが別会社で稼働したのは同月のうち16日から30日までであるから、同月1日から同月15日までの間については中間収入の控除は認められないが、同月16日から30日までについては中間収入の控除が認められる。
なお、Xが原審において主張する中間収入控除後の未払給与額の計算方法では平均賃金の4割を超える部分を控除することにもなり得るものであるが、他方においてXは中間収入を控除する前の未払賃金額を全額請求していることを踏まえると、労働基準法12条1項及び最高裁昭和37年7月20日判決に忠実な形で上記のような計算方法を採ることを否定する趣旨ではないと解される。

中間収入控除後の賃金額について、高裁は、原審判断を修正しています。

最判昭和37年7月20日の判旨「連合国軍関係事務系統使用人給与規程並びに同技能工系統使用人給与規程の各休業手当に関する各条は、休業期間中における駐留軍労務者の最低限度の生活を保障するために特に設けられた規定であつて、軍の都合による休業が民法第五三六条第二項にいう「債務者ノ責ニ帰スヘキ事由」に基づく履行不能に該当し、労務者が政府に全額賃金の支払を請求し得る場合においても、その請求権を平均賃金の六割に減縮せんとする趣旨に出たものではないと解するのを相当する。」

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に有期雇用契約に関する労務管理を行うことが肝要です。

本の紹介2055 人生って、それに早く気づいた者勝ちなんだ!#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

表紙には、「若いうちにはわからない、若いうちにしかできないこと」「人生は、後戻りできない。」と書かれています。

残酷ですが真実です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ずっと幸せな人と、ずっと不幸な人がいる。世の中、不公平で理不尽で、神様はえこひいきだと恨んでしまう。しかし、世の中はとても理に適っており、すこぶる公平だ。今あなたに起こっていることは、生まれてから今までの集大成の結果なのだから。人生って、それに早く気づいた者勝ちなんだ。」(42頁)

この文章を読んだ時の感想ですら、人によって異なるでしょう。

その通りと考える人もいれば、何を言っているんだと不満を持つ人もいるでしょう。

今の自分は、昨日だけ、先週だけ、先月だけの集大成ではなく、これまで生きてきたあらゆる経験の集大成です。

まさに小手先の努力だけでは人生は変えられない所以です。

才能の差はさほどありません。

日々の努力の積み重ねをしてきたか否か、ただそれだけの違いです。

退職勧奨22 辞職の意思表示における錯誤の成否と辞職承認処分の適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、辞職の意思表示における錯誤の成否と辞職承認処分の適法性に関する裁判例を見ていきましょう。

栃木県・県知事(土木事務所職員)事件(宇都宮地裁令和5年3月29日・労判1293号23頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の職員であったXが提出した退職願に基づき、処分行政庁がXに対し令和元年10月31日付け辞職承認処分をしたことについて、Xが、Y社に対し、①本件退職願に係る辞職の意思表示は錯誤により無効であり、又は、詐欺を理由として取り消され、そうでなくとも、Xの自由な意思に基づかないものであるから、これを前提としてなされた本件処分は適法であると主張して、その取消しを求めるとともに、②Y社の職員がXに対し違法に退職を強要したと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金110万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

辞職承認処分取消し

その余の請求棄却

【判例のポイント】

1 職員から退職願が提出されている場合であっても、退職願の作成に至る経緯や職員の心身の状況その他の事情に照らし、その意に反しないものと認められない場合には、当該退職願に基づきなされた、当該職員に対する職を免ずる旨の行政処分は、違法であると解するのが相当である。

2 本件面談及び本件退職願の作成・提出はいずれも、Xが双極性感情障害のため傷病休暇を取得して約半月が経過し、なお傷病休暇中であった最中に行われたものであり、28余年にわたる公務員としての身分を失うという人生の重要局面における決断を、熟慮のうえでなし得るような病状であったとはいいがたい

3 本件面談当時のXは、頭の回転が落ちているという状況下において、必要な選択肢が明示的に与えられなかったことで、適切な判断をすることが困難な状況にあったものということができる。

4 本件退職願は自由な意思に基づくものとはいえず、退職がXの意に反しないものであったとは認められない。

精神疾患のある労働者に対して退職勧奨を行う際の注意点がわかる裁判例です。

現場における判断はとても難しいので、顧問弁護士等に相談をしながら慎重を進めるほかありません。

退職勧奨の際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

本の紹介2054 お金を稼ぐ人は、なぜ、筋トレをしているのか?#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

お金持ちの全員が全員、筋トレをしているわけではありませんが、この本のいわんとしていることはよくわかります。

いかに自己投資が大切であるか、ということです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ボディビルダーに限らず、何かスポーツに打ち込んでいる人は現状維持に耐えられないはずだ。エグゼクティブが筋トレ、トライアスロン、ゴルフ、ジョギングなどに没頭するのは、終わりなき成長を求めているからだ。ビジネスで現状維持は衰退を意味する。」(43頁)

経営者の多くは、現状維持は衰退を意味することを知っています。

この発想は、ビジネスに限った話ではなく、プライベートにおいてもまさに同じことがあてはまります。

代わり映えのしない日常生活を漫然と送っているだけでは、日々、衰退していることを無意識に感じるのでしょう。

何も獲得することなく、気がついたら年だけ取っていたという絶望を味わいたくないのです。

周りから「いまさらそんな大変なことをしなくてもいいのに。」と思われてしまうようなことをあえてやっているのは、まさに現状維持を嫌う精神からなのかもしれません。

賃金269 夜勤時間帯における割増賃金算定の基礎単価が夜勤手当がベースとなるとされた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、夜勤時間帯における割増賃金算定の基礎単価が夜勤手当がベースとなるとされた事案について見ていきましょう。

社会福祉法人A事件(千葉地裁令和5年6月9日・労経速2527号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員として勤務していたXが、Y社に対し、労働基準法37条の割増賃金請求権に基づき、①平成31年(令和元年)2月から令和2年11月までの夜勤時間帯の就労に係る未払割増賃金合計312万9684円+遅延損害金の支払を求め、②労基法114条所定の付加金312万9684円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、69万5625円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 労基法37条の割増賃金は、「通常の労働時間又は労働日の賃金」を基礎にして計算されるところ、本件雇用契約においては、基本給のほかに、1日当たり6000円の「夜勤手当」が支給されていたほか、基本給の6%に相当する夜間支援手当が支給されていたことが認められ、これによれば、本件雇用契約においては、夜勤時間帯については実労働が1時間以内であったときは夜勤手当以外の賃金を支給しないことが就業規則及び給与規程の定めにより労働契約の内容となっていたものと認められる。そして、このように1回の泊まり勤務についての賃金が夜勤手当であるとされていたことに照らすと、夜勤手当の6000円は、夜勤時間帯から休憩時間1時間を控除した8時間の労働の対価として支出されることになるので、その間の労働に係る割増賃金を計算するときには、夜勤手当の支給額として約定された6000円が基礎となるものと解される。
したがって、Y社における夜勤時間帯の割増賃金算定の基礎となる賃金単価は、750円であると認めるのが相当である。

2 これに対しXは、Xの勤務は、泊まり勤務の後に午前10時まで勤務することを基本としていたが、Xが更に続けて勤務したときは、その超過時間数に応じ、給与明細書に記載された時間数に応じた「時間外手当」が支給され、その時間数及び額によれば、Xの割増賃金算定の基礎となる賃金単価は、そのときの基本給の額に応じて1528円、1540円又は1560円となると主張する。
しかしながら、夜勤時間帯が全体として労働時間に該当するとしても、労働密度の程度にかかわらず、日中勤務と同じ賃金単価で計算することが妥当であるとは解されない

3 なお、最低賃金に係る法規制は全ての労働時間に対し時間当たりの最低賃金額以上の賃金を支払うことを義務付けるものではないから、泊まり勤務に係る単位時間当たりの賃金額が最低賃金を下回るとしても、直ちに泊まり勤務の賃金額に係る合意の効力が否定されるものとは解されない

本件紛争は、「夜勤手当」という名称の紛らわしさが原因となっていることは明らかです。

また、上記判例のポイント3は、誤解しがちな点ですので、しっかりと押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。