本の紹介2045 あの小さなお店が儲かり続ける理由(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、本の紹介です。

帯には、「小手先のマーケティングはもういらない!」「お金のムダ!」「時間のムダ!」「労力のムダ!」と書かれています。

ブランディングをどのようにしていけばよいかわからない方は是非、読んでみて下さい。

きっとやるべきことがわかると思います。

あとは勇気をもってやり続けられるかどうか。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

オンリーワンビジネスにおいて最も重要なのは、みんなから嫌われないように無難に装うことではなく、自分が本当に付き合いたい人に好かれること。本命を落とすことである。どうでもいい相手に媚びる前に、『おまえは誰に愛されたいんだ?』ということなのである。」(80頁)

万人から好かれることを目指してしまうと、最後は「無難」なサービスになってしまうのが世の常です。

無難は嫌われませんが、愛される(選ばれる)こともありません。

嫌われたくないという気持ちが強い人は、減点を避けるために、意に反して多方面に媚びなければなりません。

そんなことを気にしているうちに人生は終わってしまいます。

できることとできないこと、やりたいこととやりたくないことを明確にすることが、幸せへの第一歩です。

不当労働行為307 金融機関における人事部附への配置転換の不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、金融機関における人事部附への配置転換の不当労働行為該当性について見ていきましょう。

あおぞら銀行事件(東京都労委令和5年1月24日・労判1291号95頁)

【事案の概要】

本件は、組合員Aに対する人事部附への配置転換が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 以上のとおり、Y社がAを人事部附に配属したことについての業務上の必要性は疑問であり、同人を人事部附に配属したことは不自然であるといわざるを得ない。そして、本件懲戒処分をめぐって労使が鋭く対立していた中で、Y社は、組合を軽視し、退職勧奨について組合が交渉を求めていたにもかかわらず、組合を通さずにAと直接話をしようとするなど組合との更なる交渉を忌避しようとしていたことが認められる。
また、本件懲戒処分に納得せず、Y社からの始末書提出の指示に素直に従わず、組合の力を得て団体交渉でY社を追及しようとするAをY社は疎ましく思い、同人をY社から退職させようとしていたことが認められる
そうすると、本件配置転換は、組合の存在を嫌悪していたY社が、組合員として自身の懲戒処分撤回等の活動を行っていたAを退職誘導して職場から排除し、ひいてはY社から排除することを企図して組合を弱体化させるために行ったものであったといわざるを得ない。
したがって、本件配置転換は、Aが組合員であること及び組合活動を行ったことを理由とする不利益取扱いに当たり、また、組合の運営に対する支配介入にも当たる。

気持ちは理解できますが、やはり上記事情からすると、不当労働行為と判断されてしまいます。

労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。

本の紹介2044 付加価値のつくりかた(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

キーエンスの考え方が紹介されています。

まさにタイトルのとおり、いかにして付加価値をつくり、利益を生み出すかが説かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

売れない人は『特長』を語り、売れる人は『利点』を語る」(194頁)

「特長」のその先の未来をいかに語るか、ということに尽きます。

これは業種を問わず、あてはまることだと思います。

このサービスを導入すると何ができるのか。

それによって、どのように仕事のしかたがより良くなるのか。

この未来を具体的にわかりやすく伝えられるかどうか、です。

解雇402 整理解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、整理解雇の有効性に関する裁判例を見ていきましょう。

リビングエース事件(大阪地裁令和5年2月3日・労判ジャーナル138号34頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、Y社から整理解雇され、Xの地位確認等請求を認容する労働審判が確定した後、再度、Y社から整理解雇されたため、本件解雇は解雇権の濫用に当たり無効である旨主張し、雇用契約に基づき、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、未払賃金等の支払を求め、また、本件労働審判が確定したにもかかわらず、Y社がXの職場復帰を認めず、本件解雇をし、あるいは未払賃金の支払を拒否したのは違法である旨主張して、共同不法行為に基づき、Y社、代表取締役B、元代表取締役Cに対し、連帯して、慰謝料100万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

地位確認請求認容

損害賠償請求棄却

【判例のポイント】

1 本件解雇当時、Y社の経営状況が悪化して人員削減が必要な状況にあったとはいえず、その他これを認めるに足りる証拠はなく、また、Y社は、経費削減について最大限できることはやり尽くした旨主張するが、かかる事実は認められず、役員報酬等の減額が十分といえるかには疑問があり、さらに、Bは、本件解雇をするに当たって雇用調整助成金が受給可能であるかどうかの検討をしていないことからすると、Y社の解雇回避努力が十分であったとはいえず、他方、本件解雇当時におけるY社の従業員は、Xのほかに、代表取締役であるBと女性事務員の2名であったことからすると、人員削減の必要性が肯定される限りにおいて、Xを解雇対象とすることが不合理であるとまではいえないから、本件解雇につき人選の合理性があったこと自体は否定できないが、Y社は、先行解雇が無効であることを前提とする本件労働審判に対して異議申立てをせずにこれを確定させており、本件労働審判の内容を履行すべき立場にあったところ、その後、民事調停を申し立て、民事調停が不成立となるや、Xに対して何ら事前説明をすることなく本件解雇をするに至ったものであり、本件解雇の手続が相当であったとは認められないから、客観的に合理的な理由があったとはいえず、解雇権を濫用するものとして無効である。

2 本件解雇は無効であるというべきであるが、本件解雇に至る経緯等を考慮しても、Y社による復職拒否及び未払賃金支払拒否が独自の不法行為を構成するとは認められず、あるいは、Xに上記未払賃金が支払われることによってもなお填補されない精神的損害が発生したとは認められないから、XのY社らに対する不法行為に基づく損害賠償請求には理由がない。

整理解雇を行う場合、一般的には経営がかなり逼迫した状況であるため、手順や手続を無視してしまうことがありますが、有効要件がかなり厳しいので、多くの事案で無効と判断されています。

整理解雇を行わざるを得ない場合には、事前に顧問弁護士に相談することが大切です。

本の紹介2043 お客を捨てる勇気(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

「お客を捨てる」なんて、とても怖くてできません、という経営者の方は是非、読んでみて下さい。

いかにブランディングが大切であるかを再確認できる本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

例えば旗のないお店は、集客サイトなんかに頼って利便性やお得感をエサに集客するしかないから、当然自分都合なお客ばかりが集まるんだよ。」(85頁)

いずれにしても、吹けば飛ぶような小さなお店が、しっかりと足元を固めて真の安定経営を築き上げようとするならば、なにを差し置いてもお客選びだけは間違えちゃいけない。だからこそ、まずは自分自身のことを正しく知るためにも、自店の旗をつくる。つまり明確な想いを炙り出すことが重要なんだよね。」(87頁)

この発想、感覚、少数で事業を行っている経営者であれば、ご理解いただけるかと思います。

万人を対象としたビジネスを行わないということは、本当に本当にとても大切です。

力が分散しないように、あれもこれもと手を出さないことです。

「何をやるか」も大切ですが、それと同じくらい「何をやらないか」を決めることが大切だということです。

時間もマンパワーも有限です。

これからますますこの傾向が強くなっていくと思います。

 

賃金267 賃金減額不同意に基づく未払賃金等請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、賃金減額不同意に基づく未払賃金等請求に関する裁判例を見ていきましょう。

海外商事事件(東京地裁令和4年11月30日・労判ジャーナル138号36頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員が、Y社に対し、同意していないにもかかわらず賃金を減額されたとして、労働契約に基づき、減額された未払賃金等の支払を求めるとともに、時間外労働をしていたと主張して、労働契約に基づき、未払割増賃金等の支払並びに労働基準法114条に基づく付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Y社は、Xに対し、仕事ができていないことなどを説明した上で、平成28年6月度からの賃金を20万円に減額することを申し入れ、同様の状態が続いたため、平成30年1月度からの賃金を10%(2万円)減額することを申し入れたところ、いずれもXはこれに同意したと主張するが、Y社の上記主張を裏付ける確たる証拠はないから、Y社の上記主張は採用することができないが、Y社は、コロナ禍で業績が悪化したため、Xを含む全従業員に対し、令和3年2月度からの賃金を5%減額することを申し入れたところ、Xの同意が得られたと主張するが、XがY社の状況を理解した上で令和3年2月度からの基本給が減額になることに同意する旨の書面に署名しただけでなく、減額幅は5%にとどまり大きいものとはいえず、Xだけでなく全従業員が対象となっていること、コロナ禍によりY社の業績が悪化し、他の経費削減方法については既に尽くしていることを書面で説明していることなどに照らすと、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するといえ、Xは、令和3年2月度からの基本給が5%減額になることに同意したと認められる。

どのような事情があれば労働条件の不利益変更について労働者の自由な意思に基づく同意を認定してくれるのか、とてもよくわかる事案ですね。

是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介2042 収入の9割はマネースクリプトで決まる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。

メンタリストDaiGoさんの本です。

マネースクリプトとは「お金への考え方」の意味だそうです。

帯には「考え方を正せば、お金は貯まる」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

富裕層たちに、『何が欲しいですか』と、アンケート調査を行いました。その結果、多くの富裕層が望んだのは『自由な時間』でした。一生懸命働いて、年収3000万円以上のトップ1%のレベルに上り詰めたとき、結局、人間が求めたのは『自由でゆっくりした自分の時間』だったのです。」(191頁)

いくらお金があっても、「自由」がなければ幸福度は上がりません。

もちろん、一般的にはお金があるほうが経済的・精神的な自由度は上がります。

しかし、忙しすぎるとどれだけお金があっても、常に時間に追われており、精神的な自由度はそれほど高くありません。

「自由」とは「選択できる状態」を意味します。

そう考えると、公私ともに多忙になりすぎない状況を維持することが幸福度を高める1つの重要な要素になるのだと思います。

朝から晩までずっと予定ややらないといけないことが詰まっているという生活にならないように意識をしていないとあっという間に予定が詰まってしまいます。

セクハラ・パワハラ77 ハラスメント及び安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、ハラスメント及び安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

医療法人社団慈昴会事件(札幌地裁令和5年3月22日・労判ジャーナル138号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が経営するクリニックで就労していた看護師が、Y社に対し、当該クリニックの院長からハラスメントを受けたと主張して、安全配慮義務違反又は民法715条に基づき、損害賠償金110万円等の支払を求めるとともに、当該クリニックの更衣室のロッカーの戸が外れて看護師が受傷した事故につき、安全配慮義務違反に基づき、損害賠償金110万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 院長の発言は、そもそも看護師がマスクの着用を促したことに対するものであると認められる上に、「クソ生意気な女」、「バカ面白くない」、「バカ女」などというその侮辱的な内容のほか、繰り返し「バカ」という侮辱的な言辞が用いられていること、医師と比べて看護師を著しく低く評価する趣旨の表現が含まれていることからすれば、看護師に対する指導・教育の範疇にとどまるなどとは到底評価することができず、看護師に対する不法行為を構成することが明らかであり、そして、Y社自身、院長の言動が看護師に対する指導・教育であると主張していることを踏まえると、院長の上記の不法行為につき、Y社が使用者責任を負うことは明らかであり、看護師の精神的苦痛を慰謝するに足りる金額としては、10万円をもって相当と認める。

このような事案における慰謝料の相場を知ることができます。

金額よりもレピュテーションダメージの方が大きいです。

社内のハラスメント問題については顧問弁護士に相談の上、適切に対応しましょう。

本の紹介2041 大切なことは、「好き嫌い」で決めろ!#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。

今から7年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

帯には「好きな人と、好きなことだけやっていけ」と書かれています。

多くの人が実現できないと諦めていることですが、事実、やっている人もいます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ここだけの話、好きなことを仕事にしたら人生は勝ちだ」(68頁)

好きなことを仕事にできた人が全員思うこと。『生まれてきて、本当によかった』」(84頁)

仕事に限らず、あらゆることはすべて自分の選択によります。

「しかたなかった」「選択の余地が事実上なかった」などと言ったところで、実際に選択をしたのは他でもない自分です。

人生の意識のある時間の大半を仕事に費やしているわけですから、仕事が辛いというのはほとんど人生が辛いというのと同義です。

これに家庭も不和で辛いとなるともう円グラフはほぼ「辛い」で埋め尽くされてしまいます(笑)

すべては自分の選択の集積・総体が今の自分をつくっています。

解雇401 退職合意の存否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、退職合意の存否に関する裁判例を見ていきましょう。

大央事件(東京地裁令和4年11月16日・労判ジャーナル138号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、Y社との間の労働契約に基づき、Y社との間で退職に合意したことはないと主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、Xは、令和2年12月28日までY社で勤務したものの、Y社は、同月29日以降、Xを退職したものと扱って勤務できなかったと主張して未払賃金及び未払賞与等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

退職合意無効確認請求認容

未払賃金等請求認容

未払賞与請求棄却

【判例のポイント】

1 ①退職届などのXの退職の申出を記載した書面は作成されていない上に、X自身は退職の申し出をしたことはない旨を陳述していること、②Y社自身の供述によっても、「それでも出ろって言うなら辞めます」「どうしても出なきゃいけないんであれば、自分は辞めます」とのXの発言は、年末年始の休暇取得を認めるか否かのやり取りのなかでされた発言であって、少なくとも確定的にY社を退職する旨の意思表示とはいえないこと、③Xは、令和2年12月27日に、Y社に対して解雇通知書の交付を求めているとともに、令和3年1月7日には、代理人を通じて、Y社を退職する意思はない旨を伝えていることからすると、Y社代表者が令和2年12月初旬ころにXから退職の申し出を受け、これを了承したとまでは認められない。

2 Xは、令和3年2月1日、A社に就職したことが認められるところ、XはすぐにY社に復職できる見込みがあったわけではなく、家族がいるため収入のない状態のままでいるわけにはいかないことから、同社に就職したことが認められるから、Xは、Y社において就労する意思を喪失したとは認められない

上記判例のポイント1の事情からすれば、退職の意思表示を認定することは難しいですね。

また、上記判例のポイント2では、再就職をした場合に問題となる復職の意思の有無について判断されていますが、他の裁判例を見ても、必ずしも再就職したからといっても当然に復職の意思は否定されていませんので、この点はしっかりと押さえておきましょう。

日頃の労務管理が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談することが大切です。