派遣労働7(日本トムソン事件)

おはようございます。 

さて、今日は、派遣社員と派遣先との労働契約の成否と更新拒絶の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

日本トムソン事件(大阪高裁平成23年9月30日・労判1039号5頁)

【事案の概要】

Xらは、平成16年4月から20年4月までの間、A社との間で労働契約を締結し、Y社の姫路工場内で、自動車のベアリングの製造業務に従事していた。

Y社は、平成15年12月当時、姫路工場において製造業務の請負化を目指したが、当初、A社にはベアリングの製造に関する技能、経験がなく、いきなり請負化しても単独での運用は難しいため、まずはY社がAから出向の形態でA社の社員を受け入れ、出向者が技能を習得することができたと判断された時点に置いて、請負形態での運用に移行することとした。

このようにして、A社とY社との間では、同年12月には出向協定が締結されたものが、17年10月からは業務委託(請負)契約に変更され、さらに、製造業での労働者派遣が解禁された後の18年8月からは、労働者派遣契約が締結された。

しかし、平成21年2月、リーマンショックのなかで、A社とY社の本件労働者派遣契約につき、同年3月をもって中途解約する旨の通知をA社が受けたことを契機に、Xらは、同日をもって中途解雇(労働契約の本来の終期は、平成21年8月であった)する旨の解雇予告通知をA社から受けた。

【裁判所の判断】

派遣労働者と派遣先との間での黙示の労働契約の成立は否定

派遣先による雇止めは適法

慰謝料請求は棄却

【判例のポイント】

1 雇用契約は、契約当事者間において、一方が他方に使用されて労働に従事することと、その労働への従事に対して一方が他方に賃金を支払うことを内容とする合意である。本件において、XらとY社との間に黙示の雇用契約の成立を認めるに足りる証拠はない

2 労働者派遣法は、労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の就業に関する条件の整備を図り、もって派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的として制定された行政上の取締法規であって、同法4条の規定する労働者派遣を行うことのできる事業の範囲や同法40条の2が規定する派遣可能期間等についてどのようにするかは、我が国で行われてきた長期雇用システムと、企業の労働力調整の必要に基づく労働者派遣とをいかに調整するかという、その時々の経済情勢や社会労働政策にかかわる行政上の問題であると理解される上、労働者派遣法によって保護される利益は、基本的に派遣労働に関する雇用秩序であり、それを通じて、個々の派遣労働者の労働条件が保護されることがあるとしても、労働者派遣法は、派遣労働者と派遣先企業との労働契約の成立を保障したり、派遣関係下で定められている労働条件を超えて個々の派遣労働者の利益を保護しようとしたりするものではないと解される上、少なくとも労働者派遣法に反して労働者派遣を受け入れること自体については、労働者派遣法は罰則を定めておらず、また、社会的にみると、労働者派遣は、企業にとって比較的有利な条件で労働力を得ることを可能にする反面、労働者に対して就労の場を提供する機能を果たしていることも軽視できないことからすると、非許容業務でないのに派遣労働者を受け入れ、許容期間を超えて派遣労働者を受け入れるという労働者派遣法違反の事実があったからといって、直ちに不法行為上の違法があるとはいい難く、他にこの違法性を肯定するに足りる事情は認められない
以上によれば、Xらの不法行為による損害賠償請求はいずれも理由がない。

本件は、出向、業務請負契約、労働者派遣という法形式の変遷があり、これが事案を複雑にしています。

派遣先との黙示の労働契約の成立については、現在のところ、一貫して裁判所は否定しています。

慰謝料請求については、裁判例により結論が別れているところですが、本件では、派遣法違反だからといって当然に不法行為上の違法とはいえないと判断しています。

なお、一審判決は、慰謝料としてXら各自に対し50万円の支払を命じました。

最高裁の判断を待ちましょう。

派遣元会社も派遣先会社も、対応に困った場合には速やかに顧問弁護士に相談することをおすすめします。

本の紹介59 小さなチーム、大きな仕事-37シグナルズ成功の法則-(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

この本も、非常におすすめの本です。

今の私にぴったりの本でした。

最近読んだ本でベスト3に入る本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたの会社に最適な規模は5人かもしれない。40人かも。200人かも。もしかして、あなたとラップトップが一台あればいいのかもしれない。どのくらいの規模にするかをすぐに決めないことだ。ゆっくり成長して最適なサイズをみつけよう。あせって人を雇うのは多くの企業にとって死因となる。身の丈に合わない急激な成長にも気をつけよう。
小さいことは通過点ではない。小さいことは、目的地でもあるのだ。
小さい企業はもっと大きければと願っているのに、大企業は身軽で柔軟であることを夢みていることに気づいているだろうか?正しいやり方はない。そして、一度大きくなってしまうと、社員を解雇したり、士気を下げたり、ビジネスのやり方を根本的に変えたりしないかぎり、縮小することは非常に難しい。
」(25~26頁)

身軽であるというアイデアを受け入れよう。今このとき、あなたは最も小さく、最も無駄がなく、最も速い。ここからだんだん鈍重になっていく。そしてものごとが身軽ではなくなるにつれ、方向を変えるのに大きなエネルギーが必要になる。・・・巨大な組織は軸を変えるのに何週間も何ヵ月もかかる。行動するかわりに会議をして、実行するかわりに打ち合わせをする。しかし身軽でいれば、ビジネスモデル、製品、機能一覧、マーティング・メッセージ・メッセージ、なんでもすばやく変えることができる。ミスをおかしても、すぐに直せる。優先度も、製品の構成も、フォーカスも変えられる。そして最も重要なことは、自分の考えを変えることができるのだ。」(66頁)

今回は、いつもより少し長めに引用しました。

言っているのは、一つだけです。

「大きくするだけが能じゃない」ということです。

私は、この文章を読んだとき、正直、はっとしました。

当初、事務所の規模を大きくしようと思っていました。

しかし、規模を大きくすればするほど、意思決定が遅れるのは明らかです。

意思決定のスピード、フットワークの軽さが命であるうちの事務所において、意思決定が遅いというのは、自滅を意味します。

うちの事務所の適正な規模がどの程度かは、正直なところよくわかりませんが、少なくとも事務所の規模を大きくすること自体を目的とすることはやめました。

スタッフの人数をどんどん増やしていくというよりは、少数精鋭で、1人1人の能力を最大限まで引き上げることの方がよほど重要です。

今後も、事務所スタッフの教育・研修は、充実させていこうと思います。

不当労働行為34(日本鋳鍛鋼事件)

おはようございます。

さて、今日は、労組法上の使用者概念に関する命令を見てみましょう。

日本鋳鍛鋼事件(福岡県労委平成23年11月15日・労判1038号95頁)

【事案の概要】

A社からY社に派遣され、平成21年1月から3か月ごとに契約を更新して、会社総務部で就労してきたXは、Y社に直接雇用される正社員化を打診されたこともあったが、平成22年3月末、Y社における就労を終了した。

Y社で就労していた際の時間外労働などに疑問を抱いたXは、組合に加入した。

組合は、Y社に対して、平成22年6月、10月、12月にそれぞれXの正社員化に関する問題およびXの時間外労働に伴う賃金問題等労働時間に関する問題を議題とする団交を申し入れた。

Y社は、「Xとは雇用関係にないので団交に応じない」旨電話で通知し、団交に応じなかった。

【労働委員会の命令】

未払賃金等労働関係の清算については、Y社は労組法上の使用者にあたる

Xの正社員化に関する事項については、Y社は労組法上の使用者にはあたらない

未払賃金等労働時間管理に関する事項について、Y社が団交に応じないことは不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 使用者とは、一般的には労働契約上の雇用主をいうものであるが、労組法7条に定める不当労働行為制度の趣旨に鑑みれば、同条にいう「使用者」については、雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて事故の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、右事業主は同条の「使用者」にあたると解すべきである(朝日放送事件最高裁判決)。

2 たとえ派遣就労が終了した後であっても、未払賃金の存否等労働関係の清算を巡る何らかの問題がなお残存しており、派遣先事業主が当該問題を解決しうる立場にあると解されるときには、なお当該派遣先事業主は労組法上の使用者に当たることがあると考えられる。
しかしながら、本件のような派遣先事業主における派遣社員の正社員化(派遣社員の直接雇用を意味する)の問題とは、本来、派遣社員の雇用主である派遣元が決定する性質のものではないのは自明であるから、これについて「雇用主と・・・同視できる」かという判断基準を用いるのは適切でない

3 正社員化について派遣労働者と派遣先会社との間で明確な合意があるなどの事情がある場合も、近い将来において労働契約関係が成立する現実的かつ具体的な可能性が存するということができる。本件においては、・・・XとY社との間に、正社員として雇用するとの明確な合意があったとはいえない。

4 申立人は、XとY社との間に黙示の労働契約が締結されていたと主張する。しかし、Xは、本来の労働者派遣の枠組内でY社に就労していたにすぎず、例えば、派遣元事業主の存在が形骸化していたり、派遣元事業主と労働者との間の労働契約が無効となるような重大な派遣法違反が存在していたり、Xの賃金等を実質的にY社が支払っていたなどの特段の事情は認められないことからすれば、XとY社との間に黙示の労働契約が成立していたとはいいがたい

このケースは、重要な判断がてんこもりですね。

しかも、2つの団交事項で、結論が分かれており、比較しやすいです。

司法試験の問題にちょうどいいですね。

派遣先会社であっても、労組法上の使用者にあたることがあるので、気をつけましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介58 コトラーのマーケティング・コンセプト(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。
写真 12-03-06 15 57 33←事務所の入り口のマットを替えました。

現在、次のアイテムに取りかかっております。

また、完成しましたら、紹介しますね!

さて、今日は本の紹介です。

コトラーのマーケティング・コンセプト
コトラーのマーケティング・コンセプト

毎度お馴染み、コトラーさんのマーケティングに関する本です。

今から10年程前の本ですが、今読んでも、全く古さを感じません。

すごい本です。

めちゃくちゃためになります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

企業はしばしば、自社が成長しないのは市場が成熟しているからだという。だが、このような弁明は、たんに想像力の欠如を表明しているにすぎない。・・・成熟市場などというものは存在しない。われわれに必要なのは、成長の道筋を見出せる成熟した経営陣だ。成長とはものの見方の問題なのである。」(99頁)

製品やサービスが、市場に浸透しきっていることなど、ごくまれにしかない。企業はこの点を見落としがちである。すべての市場はセグメントとニッチから成り立っている。」(99頁)

さすがコトラーさん、いいこと言いますね。

「不景気だから」、「市場が成熟しているから」というのは、単なる言い訳です。

たんに想像力の欠如を表明しているにすぎないと。

仮に市場が成熟していると感じるのであれば、新たな市場をつくればいいだけのことです。

また、既存のサービスに手を加え、新しいセグメントに参入することもできるはずです。

こういう抽象的なことばかりを言っていると、「言うのは簡単だよ。」「現実はそんなに簡単じゃない」と思う方もいらっしゃると思います。

それはその通りだと思います。

言うのは簡単です。誰だって言えます。

現実はそんなに簡単ではありません。 簡単だったら、もう誰かがとっくにやっています。

簡単ではないからこそ、チャンスがあるわけです。

大変だからこそ、やる価値があるわけです。

これからも、このように思える方と一緒に仕事をしていきたいと思います。

不当労働行為33(茨木産業開発事件)

おはようございます。

さて、今日は、不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

茨木産業開発事件(大阪府労委平成23年11月29日・労判1038号92頁)

【事案の概要】

Y社は、従業員約80名をもって、自動車教習所を経営しており、指定自動車教習所に置かれる管理者を直接補佐する副管理者4名程度任命している。

平成21年5月、営業担当副管理者を解任すると告げられたAは、組合に個人加盟した。

Y社は、組合とAの処遇について団交を行ったうえ、Aに対して営業担当副管理者を解任し、保安担当副管理者に任命した。その後、Y社は、Aに対し、保安担当副管理者を解任し、保安担当次長を命ずる辞令を手交した。

平成22年2月、Y社は、有期雇用契約により教習指導員として勤務していたBに対して、従前の契約書にはなかった「契約の更新にかかる記載」や「賞与にかかる記載」が、新たに「契約の更新はなし」、「賞与はなし」と明記された契約書の締結を求めた。B組合員は、この労働契約書に署名押印して、同年3月から1年間の労働契約を締結した。

【労働委員会の判断】

保安担当副管理者の解任は不当労働行為にあたる

有期雇用契約組合員の契約内容の不利益変更は不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 Y社は、本件解任について、A副委員長の能力や仕事ぶりに問題がある旨主張しているところ、Y社の副管理者解任の他の事例は、いずれも役職定年によるのであるから、能力等を理由とする副管理者からの解任は、Y社において異例のものということができる
次に、Y社が、組合及びA副委員長に対し、本件解任を提案した当時の理由の説明状況についてみると、Y社がA副委員長を副管理者から解任する旨初めて発言した平成21年8月28日の団交では、A副委員長は期待に応えていない、報告・提案だけで行動がない等と述べたにとどまることが認められ、Y社が、21年6月異動以降のA副委員長の勤務ぶりを詳細に検討した上で、本件解任を決定したかについて、疑問を持たざるを得ない
・・・以上のことを総合的に勘案すると、本件解任は、A副委員長が組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに、組合の活動に支配介入したものでもあるというべきで、かかる行為は労働組合法7条1号及び3号に違反する不当労働行為である。

2 他の満60歳以上の従業員についてみると、いずれの従業員についても平成21年度の契約書には、契約の更新の有無及び賞与についての記載はなく、同22年度の契約書には、これらの項目について記載があることが認められ、満60歳以上であるB組合員の契約書上の更新の有無及び賞与についての記載の変更は、Y社が有期雇用の従業員の労働契約書に記載する項目を追加したことに伴うものと解される。
また、賞与の有無に関しては、他の満60歳以上の従業員全員についても、賞与なしと記載されていることが認められる。
したがって、Y社は平成22年度におけるB組合員の労働契約を変更したことは、組合員であるが故の不利益取扱いということはできず、組合の活動に支配介入したということもできない。なお、この判断は、平成22年2月頃、本件解任や本件争議行為等を巡って、組合と会社との間で良好とはいえない関係にあったことを勘案しても、変わるものではない
以上のとおりであるから、この点に関する組合の申立ては棄却する。

Aに対する降格処分は、合理的な理由がないと判断されたため、不当労働行為とされました。

他方、Bに対する契約内容の不利益変更は、他の従業員との関係も考慮され、不合理とはいえないと判断されたため、不当労働行為性は否定されました。

結局は、会社の行為に合理的な理由が認められるか、組合嫌悪の意思の表れといえるかに尽きるわけです。

会社としては、合理的な理由をいかにそろえられるかにかかっています。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介57 「変える」は会社の毎日のお仕事(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

さて、今日は、本の紹介です。
「変える」は会社の毎日のお仕事 成功し続ける企業のリブランディング戦略
「変える」は会社の毎日のお仕事 成功し続ける企業のリブランディング戦略

企業のブランディングに関する本です。

主な内容としては、題名のとおり、会社や商品の「ブランディング」や「ポジショニング」を変化させていくことの重要性が書かれています。

確かに長い間、うまくいっている会社は、少しずつ業務内容やサービスを変えてきています。

ただし、変化する方法や方向を間違えると、決してうまくいきません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・私たちの経験では、この『業界の常識』というのが本当にやっかい。『うちの業界では○○だから』は、他の業界に行ったら非常識であるということを、まずは認識しないと、ここは前に進みません。逆にいえば、そこが突破口です。
コンサルタントの立場から見ると、業界の慣例や会社の効率を重視するあまり、お客さまの真の『こうして欲しい』という気持ちがないがしろにされていることが、びっくりするほど多いです。右肩上がりの時代ならそれも見過ごされましたが、今はむしろ、お客さまは、そこを非常によく見ています。
」(102頁)

若手経営者は、「業界の常識」「業界の慣例」に惑わされずに前に進む勇気と決断力が必要です。

そうでないと、新しくないからです。

最初のうちは、なかなか受け入れられないかもしれません。

でも、新しいことを始める場合、最初のある一定の期間は、そんなもんです。

効果が出るまで少し時間がかかる、ということを理解していると、我慢できると思います。

あと少しがまんすれば、状況がかわるのに、そこまで我慢できず、途中で方針を変えてしまうのは本当にもったいないです。

弁護士業界でも同じことです。

依頼者や顧問先の会社が「こうして欲しい」という要望にどれだけ応えられるか。

まずは何が欠けているのか、何が求められるのかを知る必要があります。

これは、いろいろな分野の方からお話を聞くのが一番です。

近日中に、うちの事務所では、また新しいサービスを開始します。

8割のところまで準備が進んでいますので、あと少しです。

本の紹介56 金鉱まで残り3フィート(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
金鉱まで残り3フィート
金鉱まで残り3フィート

ワタミの渡邉美樹社長監訳の本です。

根底に、ナポレオン・ヒルさんの思想が流れています。

この本は、おすすめです。 最近読んだ中では、ベスト3に入ります。

本の題名が示すとおり、「決してあきらめるな!」ということをいろんな表現で書かれています。

この本で、「いいね!」と思ったのは、こちら。

ベン・スイートランドという昔の作家の言葉に、『作家の成功とは旅の道のりであって、目的地ではない』というのがある。成功とは、ひとつのライフスタイルだ。生涯続くものだ。成功とは、自分の究極の目標を見出し、すべてを賭けてその目標を追い求めることをいうんだよ。」(49頁)

肝心なのは、あきらめることばかり考えている連中とつるまいないことだ。もうあきらめてしまおうかという気になったら、決してあきらめない人々と付き合いたまえ!エネルギーに触れればエネルギーが湧くものだ。だから、ともに過ごすにふさわしい人々と過ごし、信念をもつことだよ。」(160頁)

成功は、目的地ではなく、道のりだ、ライフスタイルそのものだ、という価値観は、斬新ですね。

成功を追い求めるのではなくて、追い求めている、その状態こそが「成功」だというわけです。

2つ目の言葉は、よく私もブログに書くことですね。

負のオーラが出ている人とは一緒に仕事をしたくありません。

エネルギーが吸い取られるような感じになってしまうからです。

一緒に仕事をするのなら、パワーがみなぎっている人としたいです。

不当労働行為32(秋田臨港事件)

おはようございます。 今日から3月ですね。

さて、今日は、組合委員長の配転と団交での発言に関する命令を見てみましょう。

秋田臨港事件(秋田県労委平成23年11月29日・労判1038号91頁)

【事案の概要】

Y社は、自動車等の廃棄物処分業を営む会社である。

Y社は、全従業員を集めて、リーマンショックの影響から業績が悪化し、平成21年2月頃には人員削減が避けられないと述べ、賃金を引き下げ、人員削減を行った。

組合は、Y社の人員削減に反対し、一時金や労働時間などをめぐってY社と対立した。

平成22年4月、Y社は、組合委員長であって約1年間シュレッダープラントの保守・監視等の業務に従事してきたXに対し、タイヤ工場への配転を命じた。なお、Y社は、Xの配転理由は技術に乏しく、基本を無視した独善的かつ極めて危険な作業を漫然と行い、シュレッダープラントの担当者としては不適であるとしている。

同年5月18日に開催された団交において、Y社側出席者である代理人は、業務時間中に組合活動を行った組合員に対する懲戒処分を検討している旨発言した。また、同年8月6日に開催された団交において、会社代理人は、組合側出席者の発言に激昂して「コノヤロウ!!」などと述べた。

【労働委員会の判断】

配転命令は不当労働行為にあたる

団交における会社側出席者の発言は不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 タイヤ工場は、再開して間もなく社内での位置づけも不確定で、また、同じ工場内で関連性はあると言うものの、シュレッダープラントで要求される技術水準は低く、シュレッダープラントで要求される高い溶接技術を活用するような部署でもない。Xは、自らの技術にこだわりと自負をもち、また、シュレッダープラントにとって欠くべからざる人間と認められていた。このような者にとっては、他の配転の例で会社が行ったような配慮も説明もなくタイヤ工場に配転された場合、労働条件低下等の経済的不利益はなくても、これを精神的不利益と受け止めるのも無理からぬものがある

2 Y社は、業務時間中や業務をしているものを対象に、許可無く組合活動を行うことは正当なものではないという見解を示し、そのような場合には懲戒処分の対象になることを予告すると共に、過去の事例に対する抗議の意思を示した「5月18日発言」は、この会社の考えを示す一連の流れの中で行われたものを、要約したものと言える。Y社は、組合活動と業務時間について、Y社の見解と対応を示したにすぎないと言え、仮に組合が別の見解を持っていたとしても、それは別途交渉を行うなどの余地はあるのであって、この発言が、組合が正当と考える組合活動を行っていてもなお、予期せず突然に懲戒処分になるおそれを抱かせるほど威嚇的なものとは認められない

3 「8月6日発言」は、確かに組合側出席者に対して悪態をついたもので不穏当とは言えるが、組合側にも、それが8月6日か8月3日のどちらであったかはともかく挑発するような発言があったのであるから、一方的にY社に帰責すべきかどうかには疑問がある。また、発言内容を検討しても、具体的に強制、威嚇、報復等を予告し、ないしはそのおそれを感じさせるものとは言えず、組合活動の自由を侵害し、その自主性を阻害するとは認められない。実際に、この発言のあった団交のわずか3日後には団交が開催され、上記発言がその開催の支障になった様子は窺えない。
以上の次第であるから、会社代理人が行った「5月18日発言」及び「8月6日発言」は、いずれも労組法7条3号には該当しない。

本件は、配転と団交での発言の2つが問題とされました。

団交での発言は、「会社代理人」が行ったようです。弁護士でしょうかね。

組合側の挑発に乗ってしまったのでしょうか。 挑発に乗っているようでは駄目です。

思うつぼというやつです。

交渉ごとですから、感情的な対応をする方が負けます。

すぐに感情的になる人は、交渉事には向いていないので、気をつけましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介55 知恵-清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
知恵―清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか
知恵―清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか

タイトルがいいですね。 そそられてしまいます。

ルールに縛られず、知恵を使いなさい、という本です。

知恵とは、状況に応じて判断する能力をいうそうです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

仕事に最大の満足を見出すのは、自分の仕事を『天職』と見ている人たちだ。彼らにとって、仕事は人生で一番大事な部分で、仕事をしていることが嬉しく、自分のアイデンティティで生死にかかわるほどの場を占め、自分の仕事が世の中をよりよい場所にしてくれると信じ、友人や子どもにもこうした仕事に就くように勧める。自分の仕事が天職だという人は、仕事で大きな自由裁量をもつ。そしてその自由裁量をうまく使う知恵を備えていることが-意味のある仕事に必要な挑戦ややり遂げるために-高いレベルの満足を得るのに不可欠となる。」(364~365頁)

・・・だからこそ自由裁量を骨抜きにし、知恵を脅かすルールやインセンティブに抵抗することが重要なのだ。だからこそ知恵を排除しようとしている機関を改革する必要があるのだ。」(371頁)

私は、今の仕事を「天職」かどうか、あまり考えたことがありませんが、仕事が大好きなのは間違いありません。

この本を読んでいると、今の仕事が天職なのかな・・・と思ってしまいます。 よくわかりませんが。

ただ、情熱を持って仕事をしていない人とは一緒に仕事をしたくありません。

顔つき、発言、決断力、実行力といった点で、パワーのある人とだけ一緒に仕事をしたいです。

そうでない方と仕事をすると、自分のパワーが吸い取られるような感じがしていますのです。

さて、この本では、あまりルールに縛られずに、「知恵」を使いなさい、と言っています。

私も、同じような意見を持っています。

ルールは、最低限を画するものであって、画一化を図ることが目的ではありません。

うちの事務所のスタッフには、かなり広い裁量を与えています。

スタッフが、自ら考えて、それでいいと思ったのなら、あまりうるさいことは言いません。

ルール通りにしか動けなくなると、ルールがない場合、あたふたしてしまうからです。

失敗しながら少しずつ向上していけばいいと思います。

最初から失敗を過度に恐れていると、びくびくしてのびのび仕事ができません。

・・・というのがうちの事務所の教育方針です。

有期労働契約25(鈴蘭交通事件)

おはようございます。

さて、今日は、60歳定年後の定時制乗務員の雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

鈴蘭交通事件(札幌地裁平成23年7月6日・労判1038号84頁)

【事案の概要】

Y社は、タクシー事業を営んでいる会社である。

Xらは、平成21年12月当時、定時制乗務員としてY社に勤務していた。

定時制乗務員に対する給与は、稼働率の50%という完全な歩合給であった。

Y社は、平成21年12月、書面をもって、Xらに契約期間満了を理由に雇止めとする旨通知した。

なお、X1は、正社員として14年間勤務した後、平成18年11月に満60歳の定年となったが、改めて定時制乗務員として労働契約を締結し、2回の契約更新を経ていた。

Xらは、本件雇止めは解雇権濫用法理により無効であると主張し争った。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 Y社が本件雇止めにおいて前提とした必要な人員削減数は、平成21年12月中旬時点での乗務員数と、その時点での車両数を20台減車した場合の必要な乗務員数を比較して決せられたものであり、乗務員の自然減が一切考慮されていないことは明らかである
しかして、本件事業譲渡による10台の減車のみでは、遊休状態にあった営業車を削減すれば足り、本件雇止めの必要は全くない。そして、新法減車は、平成21年12月の段階では減車の時期や台数は具体化していなかったのであるから、Y社としては、協議会での議論の推移や他社の動向、例年25名ほども出る自主的な退職者の状況を勘案しつつ、減車の時期と台数が具体化した段階で、必要な措置をとれば足りたはずである。平成21年12月の段階で、しかも自発的な退職者が出ることを一切考慮しないまま行われた本件雇止めは、必要性と合理性を欠いていたものといわざるをえない

2 現に、Y社においては、本件雇止めが完了した平成22年12月までに、24勤の乗務員22名が退職し、24勤者換算で29.5名が不足する状態になったのであり、結果的に見れば本件雇止めは、少なくとも余剰人員対策としては無意味であったことになる。この点、証拠中には、実際の自然退職者数がY社の想定より多かったとするものがあるが、Y社は、もともと自然数を全く考慮しなかったのであり、採用できない。

3 なお、乙第68号証によれば、事業譲渡と新法減車で17台の削減をした平成22年4月の段階では、遊休車両が0.5台となって、乗務員の過不足がほぼなくなり、その時点では本件雇止めが功を奏した形にはなっている。しかしながら、本件雇止めに伴い、Y社は乗務員募集を停止し、年末年始の繁忙期を、遊休車を抱えたまま、増員をしないばかりか、かえってXらを雇止めにすることで機会損失を増加させたのであり、札幌におけるタクシー事業の閑散期である4月に遊休車を最小化したとしても、これをもって本件雇止めの結果が合理的であったと評価することはできない。

4 以上によれば、本件雇止めは、利益の向上の見込みがあるとした判断に合理的裏付けが欠けていた上、新法減車の時期や台数が不確定な中、自然退職者が出ることを一切考慮せずに行われたものであり、必要性と合理性を欠くものであったといわざるをえない。これは、解雇であれば解雇権の濫用に相当するものである

5 Xらの労働契約が期間1年の有期雇用であるとのY社の主張を前提としても、解雇権濫用法理の類推によって、XらとY社との契約期間満了後における法律関係は、従前の労働契約が更新されたものと同様のものとなる(最判昭和61年12月4日判決)。このことは、本件雇止め後、再度契約期間が満了した後においても同様と解される。したがって、XらとY社とは、定時制乗務員としての地位を現在まで継続して有していることとなり、本件雇止め以降の得べかりし賃金についても、労働の提供はしていないものの、これは無効な本件雇止めをしたY社において責めに帰すべき事由があるので、これを請求することができる(民法536条)。

上記判例のポイント1や4を読むと、結論としてはこうなりますね。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。