本の紹介47 売れるもマーケ 当たるもマーケ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則
売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

少し前の本ですが、昨年5月時点で27刷ですから、結構売れているわけですね。

内容がわかりやすくていいです。 納得する部分が多々あります。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一般に会社は、あまりにもナンバーワン企業をまねしすぎるきらいがある。『あの連中は何が有効か知っているに違いない。だから、それと同じことをしてみよう』と考える。だが、これはいい考え方ではない。
ナンバーワンと張り合えるような正反対の属性を探してみるほうが、はるかに利口なやり方だ。
」(148頁)

マーケティングはアイデアの戦いである。だから、もしあなたが成功したいと思うなら、独自のアイデアや属性を用意して自分の努力をそこに傾注しなくてはならない。」(149頁)

言っていることは、ポジショニング理論と同じことです。

チャレンジャーがやるべきことは何か、ということです。

リーダーと同じことをやっていても勝てませんよ、ということです。

ただ、個人的には、場合によっては、「ナンバーワン企業」の模倣も必要だと考えています。

異業種のナンバーワン企業から学べることもあります。

形を少し変えて、自分の業界に取り入れることで、新しいサービスが提供できることもあります。

異業種の常識が、現時点で、自分の業界の非常識の場合には、どんどん取り入れます。

不当労働行為31(石原産業事件)

おはようございます。

さて、今日は、不当労働行為に関する事案を見てみましょう。

石原産業事件(中労委平成23年10月19日・労判94頁)

【事案の概要】

Y社の従業員(約80名)は、店舗および事業所のゴミを収集・運搬する業務に従事する者を正社員、吹田市および豊中市の委託を受けて一般家庭のゴミを収集・運搬する業務に従事する者を準社員と区分している。

平成19年4月、Y社従業員は、X組合を結成した。

X組合とY社は、同年5月から9月までに7回の団交を行った。

X組合は、10月、団交にY社が応じなかったことから、ストを開始した。

同年10月、Y社は、組合のスト期間中に就労した非組合員に一律5万円の特別報酬を支給した。

その後開催された団交において、Y社は、非組合員に通常の業務を超える負担をいただいたことに感謝の意を示すものとして特別報酬を支給した旨述べた。

同年12月上旬頃から、Y社は、組合員を事務所コースに配置し、本来業務のゴミ収集から外して単純作業の洗車や車両点検のみの作業指示を行うようになった。

【労働委員会の命令】

特別報酬の支給は不当労働行為にはあたらない。

ストに参加した組合員に洗車や車両点検等のみの作業指示を行ったことは不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 スト期間中に就労した従業員には、通常に比して大きな肉体的・精神的負担がかかっていたといえるのであるから、Y社がこのような従業員の負担増大に対する報酬として特別報酬を支給したことには合理的理由があるといえる。また、支給対象者はスト期間中に就労した従業員であり、支給額も相応と認められる範囲内である。さらに、Y社がスト終了以前に特別報酬の支給を予告したり、示唆したりした事実はうかがわれないことからすると、特別報酬の支給は、Y社がこれを支給することにより今後の組合のストライキを抑止する意図をもって行ったものとはいえない
よって、ストに参加した組合員に特別報酬が支給されなかったのは、スト期間中、通常業務を超える作業に従事しなかったことを理由とするものであって、これが組合員の組合活動等を嫌悪してなされた不利益取扱いや組合の弱体化を企図した支配介入であるとまではいえない。

2 洗車や車両点検の作業は、通常、ゴミ収集車に乗った従業員がその車について行っていることからすると、洗車と車両点検のみに従事させることに業務上の必要性があるとはいい難い。したがって、Y社が、組合員らに洗車や車両点検の業務のみを行わせたことに合理的な理由は認められない
・・・以上からすると、上記業務指示等は、19年4月の組合結成以降、労使対立が続く中で、ストライキという組合の正当な行為を嫌悪し、敢えて必要のない業務指示等を差別的に行ったものと認められ、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たる。

妥当な結論だと思います。

特別報酬については、外形上、組合嫌悪の意思の表れと判断するのは難しいと思います。

他方、洗車や車両点検の作業を命じるというのはあからさまなやり方ですので、不当労働行為と判断されてもやむを得ません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介46 ストーリーとしての競争戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は本の紹介です。
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

題名だけ読んでも、何のことかさっぱりわかりません。

帯には、「戦略の神髄は思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある。」と書かれています。

まだよくわかりません。

「まえがき」を読むと、著者が言わんとしていることがわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのは、こちら。

賢者の盲点を衝くためには、まずその時点で業界の内外で広く共有されている『信念』なり『常識』を疑ってみるという姿勢が大切です。・・・一般的に『良いこと』と信じられている常識の『逆を行く』という思考様式が求められます。」(471~472頁)

賢者の盲点を見出すためには、日常の仕事や生活の局面で遭遇する小さな疑問をないがしろにしないことが大切です。」(472頁)

「常識の逆を行く」という発想を常に持っていると、アイデアのとっかかりになることが多いです。

ただ、言うのは簡単ですが、常識の中にどっぷり浸かっているとそもそもこういう発想をしなくなってきます。

「相談者が事務所に来て、弁護士が相談にのる」というのは弁護士業界では「常識」です。

「別に簡単な相談なら電話でもいいんじゃない」というのが「常識の逆を行く」ということです。

今、頭の中に「常識の逆を行く」アイデアがいくつかあります。

どんどんやりたいのですが、なかなか時間をとることが難しい状態が続いています。

「もう少し練りなさい」ということなのかもしれません。

不当労働行為30(サンケン電気事件)

おはようございます。

さて、今日は、労組法上の使用者に関する命令を見てみましょう。

サンケン電気事件(石川県労委平成23年10月18日・労判1036号95頁)

【事案の概要】

Y社は、Z社の株式を100%所有するグループ会社の中核会社である。

Z社は、半導体を製造する会社である。

平成22年2月、Z社は、赤字製品対策のために工場を閉鎖すると提案し、X組合と、22回にわたり団交を御子なった。

Xは、Y社に対しても、工場閉鎖提案の撤回を議題とする団交を申し入れた。

Y社は、Y社とZ社は別法人であり、Z社が雇用する労働者についてY社は労組法上の使用者に該当しないので団交に応じないと回答した。

【労働委員会の判断】

Y社は労組法上の使用者に当たらない。
→不当労働行為には当たらない。

【命令のポイント】

1 通常時のX組合組合員の賃金、一時金、時間外労働手当、有給休暇、労働時間、職員採用、人事異動、懲戒などの基本的な労働条件等については、Z社がX組合との団体交渉や経営会議により独自の判断に基づき決定していたものであり、Y社による現実的かつ具体的な関与は認められない

2 Y社が親会社としてグループ内の子会社従業員の緊急対策的な労働条件等にかかる方針を決定し、当該方針をグループ内子会社に示していたことが窺われ、そのことがX組合組合員の労働条件等に影響を与えた可能性も否定できないが、当該労働条件等を現実的かつ具体的に決定したのはZ社であるから、Y社の関与は、グループ内子会社に対する経営戦略的観点から行う管理・監督の域を超えているとまでは認められない。

3 ・・・以上のことからすると、Y社は、Z社の経営に対し一定の支配力を有していたことは認められるが、それが親会社がグループの経営戦略的観点から子会社に対して行う管理・監督の域を超えているものとまでは認められないことから、X組合組合員の基本的な労働条件等に対して、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有している者とはいえず、Y社は、労働組合法第7条の使用者に当たるということはできない。
よって、Y社は、本件について不当労働行為責任を負う者には該当せず、不当労働行為は成立しない。

朝日放送事件(最高裁平成7年2月28日判決)の基準に従って判断されています。

本件では、親会社の労組法上の使用者性が問題となりましたが、上記のとおり、子会社従業員の労働条件について、現実的かつ具体的な支配・決定権限はないと判断されています。

使用者概念の拡大の問題は、もう少し研究したいところです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介45 経営戦略の教科書(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
経営戦略の教科書 (光文社新書)
経営戦略の教科書 (光文社新書)

題名どおり、経営戦略に関する本です。

基本的には、ポーターさんのポジショニング理論を中心とした内容となっています。

私が興味を持ったのは、「講義7 チャレンジャーの戦略」という章です。

以前にもブログに書きましたが、チャレンジャーは、リーダーと同じような戦い方(経営戦略)をしてはいけません。

勝てるわけありませんから。

私を含め若手弁護士は、まさしく「チャレンジャー」です。

弁護士になって20年といったベテラン弁護士と同じような仕事をしていていいわけがありません。

常に新しいサービスを提供しつづけることこそが「チャレンジャー」の使命だと思います。

また、私もいつか「ベテラン」と呼ばれる日が来ます。

その時であっても、決して「チャレンジャー」の心を忘れることなく果敢に新しいことに挑戦していきたいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

チャレンジャーにとってひとつの大きな武器となりえるのは、スピードです。リーダーはとかく組織の肥大化とともに、動きが鈍重になりがちです。『大企業病』的な症状も表れてきます。スピーディな一点突破は、チャレンジャーの大きな武器となりえます。つまり、チャレンジャーはリーダーの弱点や盲点をつくことが肝要です。従来の『定番』とは全く異なる差別化された価値を創造し、一点突破的にスピーディに攻める。それこそがチャレンジャーの戦略の要諦と言えます。」(104頁)

確かに組織が大きくなればなるほど、一般的には意思決定が遅くなります。

スケールメリットならぬスケールデメリットというやつです。

この点、チャレンジャーは、身軽であることが多いため、自分で決断すればあとは実行するだけです。

協議や決裁などという煩わしい手続はすっとばすこともできます。

スピード命です。 

もう一つ。

「一点突破」について。

チャレンジャーがリーダーと挑む際、全ての分野でいきなり勝負しようとするのはあまりにも無謀です。

まずは、一点集中です。 それでもリーダーに張り合うのは大変です。

自分の強みは何なのかをよく考え、それを徹底的に押し出すというのが、チャレンジャーのあるべき姿だと思います。

若手弁護士のみなさん、私たちは、チャレンジャーです。

お互いがんばりましょう!!

解雇62(学校法人福寿会事件)

おはようございます。

さて、今日は、専任教師に対する懲戒解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人福寿会事件(福島地裁郡山支部平成23年4月4日・労判1036号86頁)

【事案の概要】

Y社は、平成13年2月に設立された学校法人であり。A学校を運営している。

Xは、平成12年4月、A学校の専任教員として雇用され、勤務してきた。

Xは、Y社との間で、平成14年4月から平成15年3月末までとする雇用契約書を作成した。

その後、Xは、Y社がXに対し平成22年3月に委嘱期間を更新しない旨の通知をするまでの間、同学校で勤務していた。

Y社は、これとは別にXを懲戒解雇した。

懲戒解雇事由は、Xが報道関係者の取材を受け、A学校に関わる紛争や問題点を指摘する旨の報道がなされたことである。

Xは、本件通知は解雇権濫用に該当すること、懲戒解雇は懲戒解雇事由がなかったなどと主張し争った。

【裁判所の判断】

本件通知は解雇であり、解雇は無効

懲戒解雇も無効

【判例のポイント】

1 ・・・当事者間で雇用契約書が作成されたのは1回だけであり、XとY社の雇用契約書には年1回の昇給に関する記載がある等、雇用契約が1年を超えて継続することをうかがわせる記載もあった。・・・そうすると、Xらの職務内容が一時的・臨時的なものであったとは認め難い。結局、XらとY社の各雇用契約書には雇用期間を1年とする旨の記載があるが、これらの雇用契約書は本件雇用契約の内容を正確に反映したものではなかったと認めるのが相当である
・・・そうすると、本件契約は、Y社が主張するように、期間を1年とする有期雇用契約の更新が繰り返されていたものとは認められず、むしろ、本件就業規則に従い、特段の事情がない限り、Xらが定年まで勤務することを前提にした期間の定めのない雇用契約であったと認めるのが相当である

2 ・・・報道は報道機関の判断等によってなされるものであり、仮に報道によってA学校が損害等を受けたとしても、直ちにXらの行為によるものといえるかは疑問の余地がある。また、本件就業規則49条は、本件学校に関する取材に応じることを禁じたものとは認められない。加えて、Xらが取材を受けたのは本件通知の後であり、XらとY社は紛争状態にあり、Y社はXらとの雇用関係が終了したとの立場であったことを考慮すると、なおさら、XらがY社との紛争や自らの見解について、報道機関の取材に応じない義務を負っていたと認めることはできない。さらに、Xらは、報道機関の取材に対して、Y社に対し、地位保全等仮処分を申し立てた等の事実を述べたり、本件学校内の問題に対する自らの認識や見解を明らかにしたに過ぎず、虚偽の事実を述べてA学校の業務を妨害したり、学校の信用を毀損したり、本件学校に損害を及ぼしたりするために取材に応じたと認めるに足りる的確な証拠はない。そうすると、Xらが取材に応じたことにより、結果として本件学校に関わる紛争が生じている旨の報道や、本件学校の問題点を指摘する旨の報道がなされたとしても、このことをもってXらが本件就業規則49条(1)、(6)に反し、学校の業務を妨害したり、学校の信用を低下させたり、学校に損害を与えたりしたと認めることはできず、Y社の主張する懲戒解雇事由があったと認めることはできない
したがって、その余の点を判断するまでもなく、本件懲戒解雇は無効である。

上記判例のポイント1、2ともに、事実認定の勉強になりますね。

有期雇用の契約書があったとしても、それ以外の資料から期間の定めのない雇用契約を想定していると評価されれば、有期雇用とはなりません。

これはもう常識といえば常識です。

形式では勝負はつきません。 あくまでも実質が重視されるわけです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介44 イノベーションのDNA(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

さて、今日は、本の紹介です。
イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press)
イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press)

ハーバード・ビジネス・スクール教授で、「イノベーションのジレンマ」という有名な本の著者が書いた本です。

この本の特徴は、題名通り、「破壊的」なイノベーションをいかに行うかという点が具体例を踏まえて述べられているところです。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

イノベータは人と違う考え方をするが、スティーブ・ジョブズがいうように、実はつながっていないものをつなげることによって、違う考え方をしているにすぎない。アインシュタインはかつて創造的思考を『組み合わせ遊び』と呼び、『生産的思考の本質的特徴』とみなした。」(47頁)

スティーブ・ジョブズ曰く、『創造とは結びつけることだ』。彼はこう続ける。『創造的な人は、どうやってそれをやったのかと聞かれると、ちょっとうしろめたい気持ちになる。実は何をやったわけでもなく、ただ何かに目を留めただけなのだ』・・・」(52頁)

いい言葉ですね。

「実はつながっていないものをつなげること」によって、新しい商品、サービスが生み出されているということですね。

「組み合わせ遊び」というのも、おもしろい表現ですね。

私は、どこにいても、何をしていても、この「組み合わせ遊び」をしています。

「あ、このサービス新しいな! でも、もうひと工夫ほしいな~。あれと組み合わせるとかなり斬新だな。」などとひとり遊びをしています。

いつも言うことですが、大切なのはここからなのです。

いいと思ったアイデアを実行に移すことをしなければ、単なる妄想で終わってしまいます。

いいアイデアは、実行に移しましょう!!

不当労働行為29(緑光会事件)

おはようございます。

さて、今日は、組合脱退勧奨等と不当労働行為に関する裁判例を見てみましょう。

緑光会事件(中労委平成23年9月7日・労判1035号172頁)

【事案の概要】

Y社は、病院のほか精神障害者社会復帰施設等を経営している。

平成20年10月、X組合は、Y社理事長がZに対して組合からの脱退を働きかけたこと、平成20年4月、X組合がカンファレンスルームの使用を申し入れても、部外者である組合員の出入りは患者に悪影響があるとして拒否したことが不当労働行為であるとして、救済を申し立てた。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 ・・・このように、短期間に100通を超える脱退届が提出された経緯をみると、個々の組合員だけでない組織的な対応がうかがわれる。しかしながら、本件においては、Y社の管理者が分会員に対して脱退を勧奨したり、上記脱退についての説明会等に出席を促したという事実は認められず、他にY社が本件脱退に関与したことをうかがわせる事情はない

2 上記事情からみれば、Y社が組合に対して強い関心をもっていたことがうかがわれる。しかしながら、Y社理事長がZに対し「外部は邪魔だ」と発言した事実は認められず、その他法人が本件脱退に関与した事実は認められない
一方、本件脱退前に、食事会で出席者の中にX1が同年4月の団交において突然代表者交渉を提案したことなど分会員とX1との信頼関係が失われていったことを示す事情が認められることからすれば、本件脱退は、分会員側の事情において発生し、進められたものとの推認を否定することはできない

3 以上によれば、本件脱退の経過、本件脱退前後の状況を考慮しても、Y社理事長がZ1に対し分会員を組合から脱退させるよう働きかけ、理事長の意を受けたZが分会執行委員らに対し組合から脱退するよう働きかけ、更にZの発言を受けた分会執行委員らが分会員に対し組合からの脱退を働きかけたとは認められない。
したがって、Y社は、分会員らに対し、組合からの脱退を働きかけた事実は認められない。

4 Y社が、組合からのカンファレンスルームの使用申入れを拒否した際に明示した、外部の者の出入りを一定の範囲で制限するという理由は、病院が精神科病院であることからその治療の観点からみて必要性と合理性があるものといえる
・・・したがって、組合によるカンファレンスルームの使用を拒否したY社の対応は、組合によるカンファレンスルームの使用を拒否して組合活動を妨害したものとはいえず、この点に関する組合の主張は理由がない。

組合員の大量脱退の理由について、会社が脱退を働きかけたとは認定されなかったため、不当労働行為とはなりませんでした。

完全に事実認定の問題ですね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

不当労働行為28(阪急トラベルサポート事件)

おはようございます。

さて、今日は、不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

阪急トラベルサポート事件(中労委平成23年11月16日・労判1036号93頁)

【事案の概要】

Y社は、一般労働者派遣事業、旅行サポート事業等を行っている会社である。

組合支部は、Y社に登録する派遣添乗員により組織されている。

Xは、平成13年6月からY社東京支店に登録し、専ら阪急交通社に派遣され、旅行の添乗業務におおむね2か月に3回、月12日程度従事してきた。

Xは、平成19年1月の支部結成以来、支部執行委員長である。

平成21年2月発売の週刊誌に支部の活動を紹介するXのインタビュー記事が掲載された。

Y社の東京支店長は、Aに週刊誌記事を示して事情聴取を行い、同記事が事実に反しY社の名誉を毀損し、業務妨害にも当たるとして週刊誌に訂正を申し入れること等を求めた。

しかし、Xはこれを拒否したため、支店長は、Xに対し、今後添乗業務を割り振らない措置をとる(本件アサイン停止)と告げた。

【労働委員会の判断】

労組法7条1号の不利益取扱いにはあたらないが、同条3号の支配介入にあたる。

【命令のポイント】

1 Y社は、Xは派遣の都度雇用関係が生じる登録型派遣労働者であり、アサインを受ける権利を有しないなどとして、本件アサイン停止は不当労働行為に該当する余地はないと主張する。
・・・Xは、労働者派遣事業者であるY社に登録され、阪急交通社に派遣添乗の度ごとにY社との短期労働契約を結んで派遣されていたのではあるが、Y社と同人の関係は、その実態においては、派遣添乗ごとの短期労働契約が長期間にわたって専属的かつ継続的に繰り返されてきたものであり、かつ就業規則も各労働契約の期間とその間の登録期間を一体的な期間として適用対象としてきたものであるから、常用型の派遣に近似していたものとみることができる
したがって、Y社とXとの間には登録期間も含め常用型の派遣に近似した関係があり、Y社は同期間も含め労組法第7条が適用される使用者であったとみることができるから、本件アサイン停止は、Y社とXの間に存在してきたこのような関係を切断する措置として、不当労働行為に該当し得るものである。

2 ・・・Xの上記取材における対応は、・・・会社の名誉・信用を相当程度毀損するものであったと推測できることにかんがみれば、組合活動として正当化し得るものではない。また、Xが、そのような発言によって生じたY社の名誉毀損の拡大の回避、会社の名誉回復の措置をとらなかったことも、やはり組合活動として正当化し得るものではない。
以上によれば、本件アサイン停止は、Xに対する「労働組合の正当な行為」の故の不利益取扱いとはいえない。

3 しかしながら、Xに対する本件アサイン停止は、自ら執筆した記事に対する責任が問われたものではなく、同人の取材における対応が問題とされたものである。このことに、これまでXに非違行為があり、同人に注意・指導が行われたり、懲戒処分などが行われたりしたことをうかがわせる事情は認められないこと(審査の全趣旨)を勘案すれば、同人に対する本件アサイン停止の相当性には疑問がある
・・・以上のとおり、支部は、結成以来、Y社に未払残業代を支給させたり、一定の条件下にある派遣添乗員の雇用保険・社会保険の加入を実現させてきており、また、みなし労働の適用ないし未払残業代の支払をめぐってはY社と厳しく対立していたが、Xは、支部の委員長として、これら活動の中心的存在として重要な役割を担っていたものと認められる。Y社はこのようなXを快く思っていなかったことは当然に推認される
以上を総合勘案すると、本件アサイン停止は、みなし労働の撤廃等を活動する支部の中心的な存在であるXに対し、解雇と同視し得る措置を課し、同人をY社から排除することにより、組合の組合活動を減退させようとして行われたものと推認でき、労組法7条3号の支配介入に該当する。

不利益取扱いにはあたらないが、支配介入にはあたるという点が特徴的です。

通常、いずれにも該当するのが多いですが、今回のような判断もあるわけです。

上記命令のポイント3のような論理の運びは、労働者側としては参考にすべき点です。

会社側としては、組合幹部に対する対応は慎重にしなければいけません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介43 ハイコンセプト-「新しいこと」を考え出す人の時代-(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 また一週間はじまりました! がんばっていきましょう!!

さて、今日は本の紹介です。
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ダニエル・ピンクさんの本です。

以前、ダニエル・ピンクさんの「モチベーション3.0 持続する『やる気』をいかに引き出すか」という本を紹介しました。

ピンクさんの本の特徴は、とにかくわかりやすいということです。

業界の常識をぶち破りたいと考えている若手経営者の方におすすめです。

この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

この時代を生き抜くためには、あらゆる人も組織も、自分たちが収入を得るために行なっていることについて考えなくてはならない。次のように自らに問いかけてみよう。
① 他の国なら、これをもっと安くやれるだろうか
② コンピュータなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか
③ 自分が提供しているものは、この豊かな時代の中でも需要があるだろうか
」(102頁)

いかがでしょうか。

①と②は、考えやすいと思います。

場所を問わない仕事、誰がやっても同じ仕事、専門家がわざわざやらなくてもパソコンのソフトがあれば誰でもできる仕事は、当然のことながら、価格が安い方がいいわけです。

問題は③です。

③について、ダニエル・ピンクさんは、別の言葉で説明しています。

自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか。」(346頁)

この本では、いくつかの例が挙げられています。

弁護士業界で、③とはどのようなことを指すのだろうか・・・と、この本を読んでからずっと考えています。

いくつかのアイデアが浮かんでくるのですが、まだまだ詰めが甘い感じです。

顧客の「非物質的で超越した欲望」とは何を指すのだろう・・・。

もう少し考えてみます。