本の紹介1193 「学ぶ」を「お金」に変える技術#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から約10年前に紹介をした本ですが、再度、読み直してみました。

帯には「成果(お金)に結びつかない学びは浪費と同じです!」と書かれています。

勉強は仕入れですから、売上に変えないと意味がないですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人は動物。動いてナンボ、行動してはじめて価値を生み出すことができるのです。・・・いかなる場合も評価は行動の結果に対して与えられるものです。行動もしないで、評価されない、お金がついてこないといっている人が多すぎます。」(177頁)

動かなければ何も変わらないという真実。

成果がなかなか出ない人の1つの特徴として、成果につながらないことに費やしている時間が多いということがあげられます。

その時間の使い方、投資ですか? 

それとも浪費ですか?

成果を出すためには、できるだけ多くの時間を、自分の価値を高めるために使うことです。

労働者性38 ホテルフロントマン(業務委託)の労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、ホテルフロントマン(業務委託)の労働者性に関する裁判例を見ていきましょう。

ブレイントレジャー事件(大阪地裁令和2年9月3日・労判1240号70頁)

【事案の概要】

本件は、Xが、Y社との間で労働契約を締結したと主張して、Y社に対し、①労働契約に基づき、平成28年7月1日から平成30年6月29日までの間(以下「本件請求期間」という。)の労務提供分につき、労基法37条1項所定の割増賃金合計775万8029円+遅延損害金の各支払い、②労基法114条に基づく付加金575万6920円+遅延損害金の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、737万9533円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、付加金520万2182円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 業務内容及び遂行方法に対する指揮命令
Xの業務は、本件業務委託契約書中に、その内容が細かく特定されていた上、同契約書上、Xは、かかる業務をY社の指示によって行い、勤務日ごとに毎回各種状況の報告を行うこととされていた。そして、Xは、実際に、Y社に対し、受託業務報告書の書式を用いて、利用客についての報告事項、引継ぎ事項を記載する欄のほか、一時間ごとの入室中、掃除中及び利用停止中の客室数に至るまで、業務につき詳細な内容の報告を上げていた。このように、Y社による詳細な特定や報告の要求があったことからすると、Xの業務内容及び遂行方法に対しては、Y社の指揮監督が及んでいたということができる。

2 時間的場所的拘束性
Xの業務は、その業務時間が、基本的に午前11時から翌日の午前11時と定められ、業務を行う場所も、本件ホテルという一つの場所に定められているものであって、時間的場所的な拘束性がある

3 労働契約との内容の近似性
Xは、形式上、Y社との間で、業務委託契約を締結している。
他方、午前11時から翌日の午前11時までというXの業務時間は、労働者であるY社の従業員を対象とした就業規則に記載されている始業時刻及び終業時刻の内容と同一である。また、Xが、本件業務委託契約書に基づいて従事する業務内容や、Xの具体的な勤務日の決定方法については、業務委託契約の締結以前に、労働契約に基づいて労務を提供していたときのものと変わりがなかった

4 小括
以上によれば、Xは、Y社との間で、形式的には業務委託契約を締結しているものの、時間的場所的な拘束を受けている上、その業務時間・内容や遂行方法が、Y社との間で労働契約を締結した場合と異なるところがなく、Y社の指揮監督の及ぶものであったことからすると、Xは、実質的には、Y社の指揮命令下で労務提供を行っていたというべきである。

仕事のしかたとして、これを業務委託と考えるのはやはり無理がありますね。

結果、凄まじい残業代となっております。

労働者性に関する判断は難しいケースも中にはありますので、業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

 

本の紹介1192 わたしの人生に奇跡を起こしたマーフィー100の言葉#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

約10年前に紹介をしました本ですが、再度読んでみました。

10年経ちましたが、いまだにマーフィーさんには興味が湧いておりません(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

知識が豊富であることは素晴らしいことですが、それを行動に進化させることができる人はさらに素晴らしい成果を手にします。」(110頁)

何かを知っていることで人生が変わることはありません。

動くことによってしか人生は1ミリも変わりません。

正確には、動き続けなければ何も変わりません。

これまで、途中で投げ出して人生が変わったことがあるでしょうか。

どれだけ忙しくても、暑くても、寒くても、眠たくても、疲れていても、やっている人はやっています。

いつだって、弱い弱い自分との戦いなのです。

不当労働行為273 団交の際、財務資料を用いた具体的な説明を行わなかったことと不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、准職員および時間雇用職員の無期転換に関する団体交渉を行う際に、人件費や財務への影響についての資料を用いた具体的な説明を行わなかった法人の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

国立大学法人東北大学事件(宮城県労委令和元年11月14日・労判1240号100頁)

【事案の概要】

本件は、准職員および時間雇用職員の無期転換に関する団体交渉を行う際に、人件費や財務への影響についての資料を用いた具体的な説明を行わなかった法人の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y法人は、本件質問要求書のうち質問として合理性を有する事項に対して、適切かつ誠実に対応しているとは認め難く、また新たな資料として提供したものは、限定正社員採用試験の受験者数及び合格者数にすぎないことから、本件質問要求書に対する平成30年2月7日の団体交渉におけるY法人の対応は、労組法7条2号の不当労働行為に当たる。

2 確かに、X組合はY法人に対し、回答できない理由を検討中であることを記載する程度で良い旨述べるとともに、速やかに回答するよう求めていることから、簡易なものでも良いから、ともかく回答することを優先するよう求められているとY法人が理解した可能性がある。しかし、そのことを前提にしたとしても、Y法人は、本件質問要求書に対して、平成30年2月7日の団体交渉で十分に対応していないし、その1か月後(本件質問要求書提出から約2か月後)の同年3月7日においても、Y法人は、本件文書により、何ら具体的な情報提供を行っていない
これらの経緯を考慮すると、本件文書による回答だけでは、本件質問要求書に対する回答として不十分であり、不誠実なものであると言わざるを得ない。よって、Y法人の本件文書による回答は、X組合の本件質問要求書に対して誠意をもって対応したとはいえず、労組法7条2号の不当労働行為に当たる。

組合から財務資料を求められることは少なくありません。

会社側は財務資料を開示することを通常嫌がりますが、合理的理由なく開示を拒むと不当労働行為と判断されますので気を付けてください。

団体交渉における具体的な対応方法については、必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。

本の紹介1191 一流の死に方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

帯には「54人の最期から学ぶ一流の生き方」と書かれています。

生き方は皆自由ですが、死ぬまで向上していたいという方には参考になる本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私たちはこうした『成果』だけを取り上げて、『成功者だ』とか『一流の人だ』という評価をしがちです。しかし、一流というのは、そんな目に見える成果では決まらないし、幸福な人生を最期まで全うできるかというのも、成果では決まりません。・・・どんなに成果が世に認められなくても、最期まで情熱をもって一つの目標に向かって前進し続ける。」(24頁)

死ぬまでに残されている時間がどのくらいあるのかわかりませんが、それまで向上していきたいという願望は強く持っています。

貯金を取り崩すかのような人生ではなく、自分の価値を増やしていく準備をいつまでも続けていきたいと思います。

昔取った杵柄で生きていけるほど、世の中は甘くありません。

運動と勉強こそがその典型です。

脳と身体ともに鍛えまくるのが日々の習慣です。

まさに継続こそが力。

負けたら終わりではなく、やめたら終わりなのです。

同一労働同一賃金21 無期職員と契約職員との地域手当、住居手当、昇給基準を巡る待遇差と同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、無期職員と契約職員との地域手当、住居手当、昇給基準を巡る待遇差が不合理でないとされた裁判例を見てみましょう。

独立行政法人日本スポーツ振興センター事件(東京地裁令和3年1月21日・労経速2449号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社と期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結しているXが、①Xの学歴・経歴によれば、Y社の基準に照らし基準月額を81号俸とすべきであるのに、Y社がXに対し、基準月額を61号俸とする労働契約の締結を余儀なくさせた、②Y社が期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している職員に対して支給している地域手当及び住居手当をXに支給せず、また、無期労働契約において設けている昇給基準をXに適用せず昇給させないのは不合理な労働条件の相違であり、平成30年法律第71号による改正前の労働契約法20条(同条は、前記改正により削除され、令和2年4月1日施行の有期雇用労働者法8条に統合された。同条は、前記改正前の労働契約法20条の内容を明確化して統合したものであるから、以下、同法20条に関する当事者の主張は、有期雇用労働法8条による主張と整理した上判断する。)に違反する旨主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として平成28年4月分から令和元年7月分までの基準月額、地域手当、住居手当、基準月額に連動する契約職員手当、超過勤務手当及び特別手当の各差額賃金相当額701万1762円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 無期職員は、転居を伴う異動の可能性があり、配置される地域の物価の高低によって必要とされる生活費に差額が生じることから、勤務地の物価の高低に応じ、生活費の差額を補てんする必要があるといえるが、契約職員は異動が予定されておらず、東京都特別区にしか配置されていないことから、勤務地の物価の高低による生活費の差額は生じず、これを補てんする必要がない。
したがって、無期職員に対して地域手当を支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという待遇の相違は、不合理であると評価することができるものとはいえないから、有期雇用労働者法8条にいう不合理と認められる待遇に当たらないと解するのが相当である。

2 無期職員は、転居を伴う異動の可能性があり、転居がない場合と比較して住宅に要する費用が多額となり得ることから、住宅に要する費用を補助する必要がある一方、契約職員については東京都特別区内にしか配置されておらず、転居を伴う異動の可能性はない。
したがって、無期職員に対して住居手当を支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理であると評価することができるものとはいえないから、有期雇用労働者法8条に違反するものではないと解するのが相当である。

3 本件昇給基準は、無期職員に適用されるものであるところ、その文言によれば、管理又は監督の地位にある職員以外の職員について、「おおむね」、昇給区分Aの割合を100分の5、昇給区分Bの割合を100分の20とするものであって、おおむねの割合を示すものと解されること、及び、本件昇給基準より上位の規定である職員給与規則は、無期職員の昇給は予算の範囲内で行わなければならない旨規定し、昇給に予算の制約を設けていることを考慮すると、本件昇給基準は、昇給区分AないしBとすべき職員の割合についての決まりを設けたものと認めることはできない
したがって、本件昇給基準に関し、無期職員について昇給の決まりを設けているとはいえないから、無期職員について昇給の決まりを設ける一方、契約職員について昇給の決まりを設けていないという不合理な待遇の相違があり、不法行為に該当する旨のXの主張は、その前提を欠くものである。

各種手当に関する格差については、当該手当の趣旨から議論がスタートします。

格差について合理的理由を説明できるか否かがポイントとなります。

同一労働同一賃金の問題は非常にセンシティブですので、顧問弁護士に相談して対応するようにしてください。

本の紹介1190 「成功」と「失敗」の法則#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

今から約10年前に紹介をした本を再度、読み直してみました。

奇を衒わないこれぞ王道という内容しか書かれていません。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

すでに手に入れた豊かさは棚に上げ、さらに他のものを求める。客観的な豊かさの基準があると信じ、自分には『何かが不足している』と常に不満を抱いている。だから『豊かさ』を実感できないのです。本来、『豊かさ』とは個人によって感じ方が違う主観的なものであり、客観的な基準などはないのです。ですから『足るを知らない人』、あくまで『不足を感じる人』はどんなに豊かな状態になってもそれを感じることはできないのです。」(85~86頁)

「ある」ことに感謝せず、「ない」ことに不満を感じる。

このような人は、いつまでたっても、また、どこまでいっても、不満が先行します。

幸せや豊かさに客観的な基準などありません。

自分が幸せだと思えるか、豊かだと思えるか、ただそれだけです。

不満を感じるときは、多くの場合、「当たり前」だと思っていることに対する感謝の気持ちを忘れているときです。

労働時間72 休憩時間、仮眠時間の労働時間性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、休憩時間、仮眠時間が労働時間に該当しないとされた裁判例を見てみましょう。

千代田石油商事事件(東京地裁令和3年2月26日・労経速2448号38頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であるXが、平成29年1月から平成30年3月までの間、時間外・深夜・休日労働に従事したところ、本件請求期間の時間外労働等に係る割増賃金の未払いがあるなどとして、Y社に対し、①雇用契約に基づき、未払残金311万0127円+遅延損害金の支払を求めるとともに、②労基法114条に基づき、付加金311万0127円+遅延損害金の支払を求め、③Xの子が紛失した健康保険被保険者証の再発行に当たり、Y社から、指示どおりの内容の謝罪文を書くよう要求されたことが不法行為を構成するとして、Y社に対し、不法行為に基づき、慰謝料10万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、68万3552円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、同額の付加金+遅延損害金を支払え。

慰謝料請求は棄却。

【判例のポイント】

1 Y社においては、本船業務を1人又は2、3名程度の複数名で執り行っていたものであるところ、シフト等により休憩、仮眠時間が割り当てられ、これをとるものとされていたものである。この間、Xを含め、休憩、仮眠時間を取っていたY社の従業員が即時の対応を義務付けられていたことを裏付ける的確な証拠はない
この点、Xは、液化天然ガスを扱うという職務の公共的性質や上長としての立場について指摘し、これらの時間中においても作業の監視を続けざるを得なかった旨主張し、X本人の供述にはこれに沿う部分があるが、上記時間中まで作業の監視が続けられていた具体的な事実を裏付ける証拠はなく、まして、上長であったが故に他の従業員の作業内容を補助し続けなければならなかったというような実情を裏付ける証拠もなく、採用し難い。X本人の供述には、休憩,仮眠時間においてもトランシーバを所持し、一歩間違えば大惨事に至りかねない緊急時に備えていた旨述べる部分もあるが、そのような義務付けやこれによる即時対応をY社が義務付けていたと認めるべき的確な証拠はない。

2 トラブル発生の頻度をみても、緊急対応が必要となった大きなトラブル事象は657隻の取扱い中、1件にとどまっている上、これ以外のトラブル事象をみても、多くは入港前やマニホールド業務時間中の発生事象で、かかる時間帯における休憩時間にあって、XやY社従業員が、休憩をしていない従業員に代わり、即時の対応を余儀なくされたというような事実は認め難い。CCR業務(定常荷役中)のトラブル事象に至ってはトラブルの発生頻度自体も低く(4回にわたる桟橋補助業務を含めて3パーセントから5パーセント程度にとどまる。)、やはり、休憩や仮眠に当たっていない従業員が、これに当たっている従業員に代わって、即時の対応を余儀なくされたというような事実は認め難い
むしろ、証拠より窺われる時間管理後のXの休憩、仮眠時間の取得状況に照らすと、桟橋補助業務に当たっていたときはともかく、本船勤務日毎に、特段の中断なく、まとまった休憩、仮眠時間をとることができていると認められる。
そして、これら休憩、仮眠時間にあっては休憩室等の提供も基本的にはされていたものである。また、夜通しの勤務であることから仮眠時間中に仮眠がしっかりとられるべきということはいえても、休憩、仮眠時間中の過ごし方がY社により決定されていたものとも認められず、その間における場所的移動が禁止されていたとも認め難い
そうすると、休憩、仮眠時間において労働契約上の役務の提供が余儀なくされ、これが義務付けられていたと認めることはできないところであり、労働からの解放が保障されていないものとしてY社の指揮命令下にあったと認めることはできず、他にこの点を認めるに足りる的確な証拠はない。

休憩時間、仮眠時間の労働時間性が否定されました。

労働からの解放が保障されているという評価がどのような事実に基づきなされているかを理解しておくことが大切ですね。

この分野も事前の準備・運用が勝敗を決します。日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理することが求めれています。

本の紹介1189 あたりまえのアダムス#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

約10年前に紹介をした本ですが、再度、読み直してみました。

本自体は、今から20年程前に出版されたものです。

タイトルからもわかるように、「あたりまえ」のことに光を当てることの大切さが説かれています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あたりまえのことは、ほとんど常にシンプルです。あまりにもシンプルなので、ときには大勢の人がそれを目にしていながら、しかし見ていないということさえあります。だとすれば、もしあるアイデアがいかにも賢げだったり、独創的だったり、複雑だったりするようなら、それを疑ってみることです。それはおそらく、『あたりまえ』ではありません。」(65頁)

ビジネスにおいて、サービスの種類や内容を複雑にすることはとても簡単です。

しかしそれは、多くの場合、売り手側のエゴに基づくものであり、顧客が求めているものではありません。

同様に、生きていく上で大切にすべきことはいつもシンプルです。

シンプルすぎて大切にすべきことを忘れてしまうのです。

解雇350 上司に対する誹謗中傷を理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、上司に対する誹謗中傷を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

IHI事件(東京地裁令和3年1月15日・労判ジャーナル111号44頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社から、平成30年11月27日付けで解雇されたことから、本件解雇が無効であると主張して、Y社との間で労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、Y社に対し、雇用契約に基づき、本件解雇日以降の月例賃金として、同日から本判決確定の日まで、毎月25日限り、月額36万円+遅延損害金の支払を求め、違法な本件解雇により精神的苦痛を被ったと主張して、不法行為に基づき、慰謝料50万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、上司から指示された防図書業務の点検用の説明資料を、その作成業務が無用のものであるなどとして、その指示に従って作成しなかったばかりか、その作成を指示する上司のBに対し、事ある毎に批判し、容易にその指示に従わなかったものである。
批判の内容も、Bをごみ呼ばわりしたり、頭がいかれているなどと指摘するといった激烈なものを含み、ときには同人の態度や発言を大笑、あるいは嘲笑し、同人を貶めることもあったと指摘することができる。
しかも、そうした所為は、Bやその上長、さらにはd総務部の担当者により、口頭、メールでの告知により再三注意、警告がされてきたものであるのに改まらず、二度にわたり懲戒処分をされてもなお改まらなかったものである。
なお、Xは、Xに対して二度にわたりされた懲戒処分(本件減給処分及び本件出勤停止処分)の効力も争っているが、Xには業務指示に従わず、上長の批判を公に繰り返すといった所為があったものであり、就業規則90条14号所定の事由があったと認められるところであって、しかも、その処分の内容が減給や出勤停止といった内容にとどまっていたことにも照らせば、その有効性は優にこれを肯認することができる。
そして、Xの上長に対する批判は、Bのみならず、Cに対しても向けられるようになっており、そうしたXの不服従の様子は収束の様子を見せていない
以上の点に照らせば、Xには、Y社主張のように、少なくとも就業規則94条1項5号の普通解雇事由はあったと認めることができ、上記のとおり再三の注意や指導、懲戒処分にもかかわらずXに反省の情を見出し難かったことにも照らせば、Xを解雇することとしたY社の判断は、社会通念に照らしても、やむを得ないものとして相当なものであったと認められる。
したがって、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たるとはいえず、有効と認められる。

これだけの事情が証明できれば、解雇が有効と判断されます。

訴訟になった際に立証できるように準備することが大切です。

いかなる準備をすべきかについては、顧問弁護士に相談するようにしてください。