本の紹介1178 会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「若者と女性が教えてもらえないキャリア・アップの法則」です。

チャンスをしっかりものにする人が日頃から行っていることが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

日本では、リスクは『危険』と訳されてしまうため、避けるべきもの、という印象があるのではないかと思います。・・・リスクとは、何かのリターンを得るために必要とされる、金銭的・時間的な投資なのです。残念ながら、日本には男女を問わず、リスクをとらずにリターンだけ求めるという考え方をする人が多いようですが、リターンが多いということは、当然リスクも高いわけです。リターンを求めるなら、まず、リスクテイクの練習をしなければいけません。」(90頁)

リスクとリターンの相関関係は理解しつつ、日頃からリスクテイクの練習をしていないために、いざというときに足がすくんでしまうのです。

性格の問題ではなく「練習」の問題です。

日頃、ほとんどリスクテイクせずに生活していながら、いきなりリスクをとる選択をすることはできません。

「練習」をしていない人の思考傾向は、何かを得ることよりも何かを失いなくない気持ちが強いということです。

「安定」の呪縛から解放されない限り、リスクテイクに基づくリターンは得られません。

不当労働行為269 組合員に賞与を支給しないことは不当労働行為?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、他の従業員に支給した平成28年冬季賞与を組合員に支給しなかったことが不当労働行為にあたるとした事案を見てみましょう。

大久保自動車教習所事件(中労委令和2年9月2日・労判1238号101頁)

【事案の概要】

本件は、他の従業員に支給した平成28年冬季賞与を組合員に支給しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 Y社は、分会員の労働条件の引下げについて組合との間で妥結に至らず、労使の対立が長期間継続する中、Y社の規程上、分会員、フリー社員いずれを、Y社の業績と労働者の勤務成績又は業績に応じて賞与が支払われることとなっている賞与について、組合からの賞与要求に対しては累積赤字等を理由に支給を拒みつつ、貢献度が高いとするフリー指導員に限らず、非組合員であるフリー社員全員に対して、分会員が冬期休暇で不在の日に、28年冬季賞与を支給したものである。
これらの事情を踏まえると、Y社は、分会員が組合の組合員であることを理由として28年冬季賞与を支払わなかったものと認められる。

組合員と非組合員との区別について合理的理由を説明できるか否かがポイントです。

本件のような取扱いに関する合理的説明は極めて困難でしょう。

日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。

本の紹介1177 世界基準の働き方#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

以前紹介した本ですが、再度、読み返してみました。

著者は、ネスレ日本代表取締役の方です。

タイトルのとおり、世界のエリートに負けない仕事術が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『上司のマネジメントが悪いから、生産性が上がらない』『会社が働きやすい環境を用意してくれないから、残業が減らない』確かにそれは事実だろうが、そうやって他人のせいにするのは簡単だ。そのままでは、あなた自身は何も変わらないだろう。自分を成長させるのは、自分自身である。そのことを決して忘れてはいけない。」(143頁)

他人のせいにして状況が好転することはありません。

これは断言できます。

自分の人生は自分で選択した結果です。

上司や会社の不満を言う暇があるのなら、退職してよりよい環境へ移ればいいのです。

不満を言っているうちに人生は終わってしまいます。

賃金214 業務手当は固定残業代?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、業務手当の割増賃金該当性に関する裁判例を見てみましょう。

ライフデザイン事件(東京地裁令和2年11月6日・労判ジャーナル109号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、雇用契約に基づき、未払割増賃金等の支払を、また、Y社の代表取締役であったCに対し、会社法429条に基づき、Y社と連帯して、同額の賠償金の支払、Y社に対し、労基法114条に基づき、上記割増賃金と同額の付加金等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Y社及びCは、業務手当が割増賃金の趣旨で支払われたものであると主張するが、Xが在職していた当時に就業規則や賃金規程は存在しなかったところ、労働条件通知書や採用内定通知書といった雇用契約の内容が記載された書面では、単に固定給として月30万円が支払われるとされただけで、業務手当が支払われる趣旨について何ら記載されることはなくXの採用時にその趣旨について説明がされることもなく、Cも業務手当を割増賃金として支払っていたかは分からない旨供述していることから、業務手当が割増賃金として支払われたとは到底認められない。

2 Xは、Y社の代表取締役であったCが、故意又は重過失によりY社に労基法37条を遵守させず、Xに対して割増賃金を支払わせる任務を行ったことにより、Xに割増賃金相当額の損害が発生した旨主張するが、そのことにつきCに悪意又は重大な過失があったとまで認めるべき的確な証拠はなく、また、Xは、Y社に対し、時間外労働等の時間に相当する額の割増賃金の支払請求権を有するのであって、Xに割増賃金相当額の損害が発生しているということはできないから、Cは、Xに対し、上記損害についての損害賠償責任を負わない。

各種手当を固定残業代として支払っている会社はリスクしかありません。

固定残業代は「固定残業代」として支払いましょう。そうすればだれがどう見ても固定残業代なので。

今回の紛争も日頃から顧問弁護士に相談をすれば、間違いなく防げるレベルです。

本の紹介1176 シンプルに考える#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

著者は元LINE代表取締役の方です。

今から6年前に出版された本ですが、読み返してみました。

帯には「本当に大切な1%に100%集中する」と書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功を捨て続けることが、その人の成長につながると僕は考えています。新しいことに挑戦すれば、当然、失敗のリスクは高まります。だからこそ、過去の成功にしがみついてしまう。『守り』に入ってしまうのです。そして、同じことをやり続けることに執着し始める。しかし、その間にも、新しい技術は次々と生み出され、ユーザーのニーズも変化し続けます。気づいたときには、時代に取り残されてしまうのです。」(92頁)

過去の成功を捨てることは本当に難しいです。

成功した方法を続けていたほうが安心ですから。

しかし、この発想では新しいモノは生まれません。

過去の延長線からはみ出すこともなく、ただ同じやり方を続けているだけですから。

これこそが「無難」のはじまりなのです。

死ぬまでチャレンジを続けるべきだと思いますし、そうでなければつまらないです。

賃金213 固定残業代が有効と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、固定残業手当と未払割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

フーリッシュ事件(大阪地裁令和3年1月12日・労判ジャーナル110号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、未払割増賃金等の支払及び付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 出勤時刻及び退勤時刻について、出退勤時にタイムカードを打刻していたことが認められるから、基本的にタイムカードの打刻時刻をもってXの出勤時刻及び退勤時刻と認めるのが相当であり、始業時刻について、Xは、所定の始業時刻より前の時間についても労働時間に当たると主張するが、Y社がXに対して早出を命じていたと認めることはできないから、Xが午前6時30分より前に出勤した場合の出勤時刻から所定労働時刻である午前6時30分までの間は労働時間と認めることはできないが、ただし、平成30年12月24日については、早出の出勤命令があったものと容易に推認されるから、出勤時刻を始業時刻と認めるのが相当であり、終業時刻について、Xは、所定労働時刻後も、菓子の製造作業や清掃等の業務に従事していたものと認められ、かかる業務への従事につき、少なくともY社の黙示の指示命令があったと推認されるから、退勤時刻をもって終業時刻と認めるのが相当であり、休憩時間について、始業時刻から終業時刻までの間に少なくとも1日につき1時間30分の休憩時間を取得していたものと認めるのが相当である。

2 本件雇用契約においては、固定残業手当として月額2万6000円又は2万9000円が支払われる旨の定めがあるところ、Xは、Y社との間で、当初、雇用契約を締結した際にも、固定残業手当が月2万6000円である旨が明記されている契約書を取り交わしたものと推認され、これらの固定残業手当の定めの存在を認識したものと認められ、また、XがY社から交付を受けていた毎月の給与明細書には、固定残業手当として2万6000円又は2万9000円が計上されているところ、Xがこれについて特段の異議を述べた形跡はなく、そして、固定残業手当は、その名称からも、これが通常の労働時間の賃金ではなく、時間外労働等の割増賃金として支払われる手当であることを容易に理解することができるから、Xに支払われていた固定残業手当は、本件雇用契約において、時間外労働等に対する割増賃金として支払われるものとされていたと認められ、かつ、当該手当が基本給とは別に定められていることからすると、その全額が時間外労働等に対する対価として支払われるものであることを明確に判別することができるといえるから、Y社による固定残業手当の支払をもって、時間外労働等に対する賃金の支払とみることができる。

上記判例のポイント2のようにしっかり固定残業制度の基本を押さえていれば有効と判断されます。

それほど難しいものではないのですが、要件を満たさない会社が山ほど存在しますので気を付けましょう。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。

本の紹介1175 世界のエリートが教えるちょっとした仕事の心がけ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から6年前に出版された本ですが、再度、読み直してみました。

タイトルのとおり、ほんのちょっとした工夫で仕事の成果が変わることはよくあることです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

コントロールできるということは、つまり、リスクが低いということです。ですから、トップエリートの考え方としても、『依存しないこと』はきわめて大切な要素です。依存するトップエリートなどいないと断言してもいいでしょう。依存はリスクであるということに気づくこと。その前提として、自分はいま会社に依存しているんだという現実に気づくこと。まずはそれが重要でしょう。」(53~54頁)

これは私がしきりに言っていることですが、あらゆることから「依存度を下げる」ということが精神的・経済的不安定さを払拭する鍵となります。

出来る限り依存しないで生きていくことを意識することが大切です。

離婚事件における専業主婦の方の例を出すまでもなく、依存度が高いことはリスクとなります。

依存度を下げるとはすなわち、自分に力を付けるということです。

それがなくなっても生きていけるという力を身に付ける努力を日々することが、依存度を下げる唯一の方法です。

賃金213 固定残業制度が有効と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、固定残業代の合意と未払時間外割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

KAZ事件(大阪地裁令和2年11月27日・労判ジャーナル109号34頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社に対し、①雇用契約に基づき、平成28年11月1日から平成30年8月31日までの未払の時間外割増賃金429万0085円+遅延損害金の支払を求めるとともに、②労働基準法114条に基づき、付加金370万5074円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、362万2460円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、付加金297万1771円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Y社は、調整手当のうち5万5000円は、1日10時間、1か月26日の就労を前提に、1日8時間を超える2時間の就労に対し、時給1000円を基準に食事休憩20分を除いた1時間40分の時間外割増賃金の26日分として計算した残業代としての支払であると主張し、証拠中にはこれに沿う部分がある。
しかし、Xは採用時にY社代表者から、1日10時間のシフト制のもとで1か月26日の就労を前提に月27万円と職能手当として月5000円を支払うとの説明を受けたにすぎず、職能手当以外の賃金の内訳についての説明はなかったこと、シフト上の休憩時間以外にY社が主張する20分の食事休憩はその説明も実態もなかったことが認められ、このことは、証人が、Y社の正社員となって以降の自らの賃金について、額面でいくらとの定めであり、調整手当が何時間分の労働に対する対価かは分からないと証言するところによっても裏付けられ、これに反するY社の主張は採用できない。
かかる事実に、調整手当という名称から、これが時間外労働に対する割増賃金の支払であると理解することは困難であることを併せてみれば、XY社間に調整手当のうち5万5000円を固定残業代とする旨の合意があったとは認められない

2 Xは採用時にY社代表者から、1日10時間のシフト制のもとで1か月26日の就労を前提に月27万円と職能手当として月5000円を支払うとの説明を受けたにすぎず、職能手当以外の賃金の内訳についての説明は受けていなかったものの、証拠によれば、Y社は、所定休日を1か月に6日として、これを基準に休日手当を支払っていたこと、月27万円の賃金は、1か月26日の就労であれば所定休日のうち2日は就労することになることを前提に、月2万5000円の休日手当を含むものであったことが認められる。
かかる事実に、休日手当は、その名称自体から、これが休日労働に対する割増賃金の支払であると理解することが容易であり、1か月に6日の所定休日を前提に休日に就労した日数に応じて金額が増減されていることも給与明細上明らかであって、Xからかかる費目や金額について異議が述べられることもなかったことを併せてみれば、休日手当は休日労働に対する対価としての支払とみるのが相当である。

固定残業代についてさまざまな名称の手当で支給している会社が散見されますが、メリットは皆無ですので、ふつうに「固定残業代として」とすればいいのです。

そうすればだれがどう見ても固定残業代なのですから。

日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることの大切さがわかると思います。

本の紹介1174 なぜ弁護士はウラを即座に見抜けるのか?(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

10年以上前の本ですが、読み返してみました。

著者の長年にわたる弁護士としての経験に裏付けられたウラを見抜く方法が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

事件の解決は、机上の法律解釈でできるものではないのである。すべての法律的なアドバイスは、具体的な紛争の処理を、実務として考慮できていなくては役に立たない。必要なのは交渉力であり、人間力である。」(187頁)

司法試験であれば、交渉力も人間力も必要ありませんが、実際の紛争解決には、法律や判例の知識だけでは足りません。

示談交渉1つ取ってみても、法律を振りかざして解決できるのなら、はっきり言って、誰だってできます。

知識自体は、ネット見ればだいたいのことは書いてありますので。

解決の糸口を見つけたり、複数の選択肢のうちいかなる選択をするかが腕の見せ所なのだと思います。

競業避止義務27 在職中の競業避止義務違反と即時解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、競業避止義務違反が疑われる従業員に対する即時解雇に関する裁判例を見てみましょう。

東京現代事件(東京地裁平成31年3月8日・労判1237号100頁)

【事案の概要】

本件は、コンピューターのソフトウェア及びハードウェア製品の製造、販売、輸出入、プログラマーやシステムエンジニアの派遣業務等を行う株式会社であるY社の従業員であったXが、平成29年6月29日に業績不良を理由として即時解雇されたことについて、解雇事由が存在せず、解雇権の濫用として無効であるとして、Y社に対し、労働契約に基づく地位の確認、解雇通知日である平成29年6月29日から解雇予告期間である30日の経過後である同年7月29日までの賃金28万6352円、不法行為に基づく損害賠償等として合計632万9612円(内訳:慰謝料及び逸失利益として合計575万4193円,弁護士費用57万5419円)の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、28万6352円+遅延損害金を支払え。

Xのその余の請求を棄却する。

【判例のポイント】

1 本件解雇が有効であるとしても、本件解雇は、解雇予告期間をおかず、また解雇時に解雇予告手当の支払をしないままであり、労働基準法20条に違反しているが、Y社が即時解雇に固執する趣旨でない限り、通知後に労働基準法20条所定の30日間の期間を経過するか、又は通知後に解雇予告手当の支払をした時のいずれの時から解雇の効力を生じると解される。本件では、Y社に即時解雇への固執はうかがわれないが、本件解雇後に解雇予告手当を支払っていないから、本件解雇通知後30日経過した時点で解雇の効力が発生することになる。

2 Xは、Y社に在職中、その勤務時間を含め、同業者であるa社の取締役又は業務委託の受託者として、a社の業務に従事し、しかも、Y社の親会社の会長が来訪する際にはa社の話を控えるなどして、a社としての活動を秘していたことが認められる。そして、Xがa社の業務に従事することにつき、当時のY社の代表取締役であるBは、a社の代表取締役でもあったことから、知っていたとはいえるが、それをもって被告がXの副業を許可していたとは認めがたい。したがって、Xは、会社の許可なくして他の会社の役員となり、また、Xの労働の報酬として金銭を受け取っており、就業規則第2章2条24号に反しているといえる。また、Xがa社の業務に関してY社のパソコンやメールアドレスを使用していたことが認められるところ、Xはa社の業務をY社の設備・備品を使用して行っていたから、これは、就業規則第2章2条6号に反するといえる。

3 Y社は、本件解雇時には、Xがa社の取締役だったことや同社の業務に関し報酬を受け取っていたことを知らなかったところ、本訴訟になって、兼業禁止に反したことを解雇事由として主張しているが、兼業禁止に反した事実それ自体は、本件解雇時に存在したものであって、解雇権濫用の評価障害事実として主張することは可能である。また、Y社が、本訴訟以前の労働審判において明らかにした解雇事由は整理解雇であるが、その主張は要するにY社の営業上赤字が続いたことにより、営業実績に比して給料が高額である営業部の廃止をしたとするものであるところ、このように営業実績が上がらない原因の一つには、唯一の営業部員であるXがa社の業務を行い、Y社の業務に専念していないことが影響していることは否定できない。そうすると、本件解雇時に、Y社が、兼業禁止違反の事実について認識していなかったとしても、その後の訴訟において、同事実を主張することは許されてしかるべきである。

4 Xは、弁論終結後に提出した書面において、服務規律違反である兼業禁止は就業規則上解雇事由と定められていないから、兼業禁止を理由に解雇することは認められないと主張する。しかしながら、Y社の就業規則の定めからは就業規則上に規定された解雇事由が限定列挙の趣旨であると解することはできず、例示列挙にすぎないと認められるから、Xの主張は採用しない

5 以上によれば、本件解雇は、Xに就業規則第2章2条6号及び24号に定められた兼業禁止違反に該当する事実が認められ、解雇の客観的合理的な理由があり、しかも、兼業の内容が就業時間に競業他社の業務を行うだけでなく、Y社の業務で知り得た情報を利用するというY社への背信的行為であるという内容に照らせば、本件解雇は社会通念上も相当なものである。

上記判例のポイント1は、基本知識ですのでしっかり押さえておきましょう。

本件のように、在籍中の競業避止義務違反の事案は、退職後のそれと比べて、違法と判断されることが可能性が格段に高いので注意しましょう(当たり前ですが)。

従業員の競業避止義務違反に対する対応については事前にしっかり顧問弁護士に相談をしましょう。