名誉毀損1 管理組合役員が総会で滞納問題を議論するために滞納組合員の氏名を議案の内容として公表したことが名誉毀損(不法行為)にあたらないとされた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

管理組合役員が総会で滞納問題を議論するために滞納組合員の氏名を議案の内容として公表したことが名誉毀損(不法行為)にあたらないとされた事案(広島地判平成14年9月26日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、管理組合役員が総会で滞納問題を議論するために滞納組合員の氏名を議案の内容として公表したことが名誉毀損(不法行為)にあたるかが争われた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

原告は、毎月2000円の管理費の滞納については、経費節約問題に関する被告ら理事の姿勢に対する批判の意を明らかにし、自己の見解の正しさを訴える趣旨で、いわば自己の正当と信じる信念に基づきあえて管理費増額分の一部の支払を留保しているというのであり、またその余の滞納分は、原告において管理組合が支払うべきものと考える工事代金の立替分を管理費から差し引いたというのである。
そして、第25回通常総会及び臨時総会議案書では、原告の管理費滞納経緯の説明の中で、原告のそのような主張も正確に記載されている。そうしてみると、原告の管理費の滞納は、原告自身正当な根拠ないし権利に基づくと考えあえて行っているものであるから、そのことを管理組合員に知ってもらって何ら不都合はないはずであり(現に原告が毎月の管理費のうち2000円を支払わない旨表明した平成11年8月30日付書面は多くの管理組合員に配布されていることがうかがえる。)、その問題が総会の議題とされれば、原告としては、まさに与えられたその場において自己の見解を訴え管理組合員の理解を得るよう努めればよいのである(それこそが原告の標榜する民主主義であろう。)。にもかかわらず、それが総会の議題とされたことによって人格が傷つけられ社会的名誉が毀損されたとの主張は矛盾しており、採用の余地はなく、名誉毀損の事実を認めることはできない。

本件は、滞納組合員に対するペナルティを目的として氏名の公表を行っている事案ではありません。

本件は、やや特殊な事案ではありますが、裁判所は、そもそも社会的名誉を毀損されたとはいえないと判断しています。

なお、当該事案はその後、控訴棄却となっています(広島高判平成15年1月22日)。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。