駐車場問題4 駐車場の専用使用料を月額1500円から月額約2万5000円に増額する決議が有効とされた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、駐車場の専用使用料を月額1500円から月額約2万5000円に増額する決議が有効とされた事案(東京地裁平成28年9月15日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、マンション管理組合である原告が、組合員である被告らに対し、平成23年12月11日の総会決議により被告らの使用する駐車場の専用使用料が増額された旨を主張して、上記決議が有効であることの確認を求めるとともに、平成24年1月分以降の未払専用使用料並びに管理規約所定の弁護士費用+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

 原告と被告らとの間で、平成23年12月11日開催の原告の第38期第2回臨時総会第2号議案の、駐車場の専用使用料の増額を内容とする次の決議が有効であることを確認する。
(1) 別紙駐車場目録記載の区画番号No.3の駐車場の専用使用料を平成24年1月分から月額2万5950円に改定する。
(2) 別紙駐車場目録記載の区画番号No.6の駐車場の専用使用料を平成24年1月分から月額1万2720円に改定する。
(3) 別紙駐車場目録記載の区画番号No.1の駐車場の専用使用料を平成24年1月分から月額2万3250円に改定する。

(1) 被告Y1は、原告に対し、金102万6900円及び平成27年7月1日から別紙駐車場目録記載の区画番号No.3の駐車場の専用使用権を喪失するまでの間、毎月末日限り1か月2万4450円の割合による金員を支払え。
(2) 被告Y3は、原告に対し、金44万8800円及び平成27年7月1日から別紙駐車場目録記載の区画番号No.6の駐車場の専用使用権を喪失するまでの間、毎月末日限り1か月1万1220円の割合による金員を支払え。
(3) 被告Y2は、原告に対し、金91万3500円及び平成27年7月1日から別紙駐車場目録記載の区画番号No.1の駐車場の専用使用権を喪失するまでの間、毎月末日限り1か月2万1750円の割合による金員を支払え。

 被告らは、原告に対し、連帯して、金21万6000円並びに、これに対する被告Y1及び被告Y3は平成27年6月25日から、被告Y2は同年10月14日から、支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

【判例のポイント】

1 本件マンション分譲契約時の売買対象として本件駐車場は含まれておらず、その後の譲渡等の場面においても所有権ではなく専用使用権の移転として取り扱われてきたことがうかがわれる。また、本件駐車場の各専用部分は区分所有法1条所定の区分所有権の目的となり得るものではなく、これについての被告らの権利は、区分所有者全員の共有に属するマンション敷地を排他的に使用することができる債権的権利であると解するのが相当であり、分譲後は、管理組合と組合員たる専用使用権者との関係においては、法の規定の下で規約及び集会決議による団体的規制に服し、管理組合は法の定める手続要件に従い、規約又は集会決議をもって、専用使用権者の承諾を得ることなく使用料を増額することができるものと解される。

2 そして、当該区分所有関係における諸事情、例えば、①当初の専用使用権分譲における対価の額、その額とマンション本体の価格との関係、②分譲当時の近隣における類似の駐車場の使用料、その現在までの推移、③この間のマンション駐車場の敷地の価格及び公租公課の変動、④専用使用権者がマンション駐車場を使用してきた期間、⑤マンション駐車場の維持・管理に要する費用等を総合的に考慮して、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は使用料の増額を受忍すべきであり、このような場合は使用料の増額に関する規約の設定、変更等は専用使用権者の権利に「特別の影響」(区分所有法31条1項後段)を及ぼすものでなく、同項所定の区分所有者の承諾は必要ないものと解される(最判平成10年10月30日)。

3 本件駐車場については日常的な点検の他、塗装作業や漏水部分への対応作業等が行われていることが認められる。上記作業には今後も継続的に費用支出が見込まれ、かつ、本件マンションの老朽化に伴い支出額の増大も見込まれることなどの事情に加え、近隣駐車場の相場や、被告らが当初支払対価に応じた使用利益を十分に得ていると考えられることなども考慮すれば、屋内部分については月額1万円、屋外部分については月額5000円の維持管理費を加算することは、社会通念上の相当性を逸脱するものではないというべきである。

駐車場の専用使用料の増額幅が大きいですが、それでもなお、増額の必要性及び合理性が認められ、有効と判断されました。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。