管理費・修繕積立金29 未払管理費等請求訴訟の提起の適法性が争点となった事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、未払管理費等請求訴訟の提起の適法性が争点となった事案(東京地判令和3年8月3日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、本件マンション管理組合である原告が、本件マンションの区分所有者である被告に対し、①平成26年10月分から令和2年2月分までの管理費及び修繕積立金合計59万5940円並びにこれらに対する各支払期日(前月28日)の翌日から支払済みまで原告の管理規約所定の年15%の割合による遅延損害金、②令和2年2月から被告が本件マンションの区分所有権を喪失するに至るまで毎月28日限り1か月9500円の割合による管理費等及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで管理規約所定の年15%の割合による遅延損害金、③管理規約に定めのある違約金としての弁護士費用22万7630円(計算式は,82万7750円〔令和2年1月28日時点での管理費等の滞納金及び遅延損害金の合計額〕×25%×1.10〔消費税加算〕)並びに督促及び徴収の諸費用1592円の合計22万9222円及びこれに対する令和2年3月3日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ)所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求め(本訴請求)、
他方、(2)被告が原告に対し、不法行為に基づく損害賠償金300万円及びこれに対する令和2年3月28日(不法行為の後の日である反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年10%の割合による金員(被告の主張は判然としないが遅延損害金の趣旨と解される。)の支払を求める(反訴請求)事案である。

【裁判所の判断】

1 被告は、原告に対し、76万1653円+年15%の遅延損害金を支払え。
 被告は、原告に対し、21万1046円+年5%の遅延損害金を支払え。
 被告は、原告に対し、令和2年2月以降被告が別紙物件目録記載の建物の区分所有権を喪失するまでの間、毎月28日限り月額9500円+年15%の遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 令和元年5月30日開催の原告第34期定期総会において、本訴の提起について原告の総会決議がされ、同日開催の原告理事会においても本訴提起についての理事会決議がされたことが認められる。したがって、本件訴提は適法である。
これに対し、被告は、①原告第34期定期総会議事録に決議当日に署名した者が誰もいないから同議事録は偽造されたものであって、原告第34期定期総会の決議は存在しない、②原告の理事長とされるAが本件マンションの所有者ではないなどとして、本訴提起が不適法であると主張する。
しかし、総会議事録への署名の日時が総会当日でないことから直ちに同議事録が偽造であるなどということはできず、他に原告の第34期定期総会の決議の存在に疑念を抱かせる事情ないし証拠は見当たらない
また、Aは、本訴の提起時点において、本件マンションの区分所有者である会社の代表者であったと認められる。
したがって、被告の上記主張はいずれも本訴提起の適法性を左右するものとはいえない

本件同様、訴訟提起の適法性が争点となることは珍しくありません。

訴訟提起をする前の手続きを適正に行うことは、実務においては基本的な事項ですのでしっかり押さえておきましょう。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。