悪臭問題1 ディスポーザの排気口からの悪臭について瑕疵担保責任が否定された事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、ディスポーザの排気口からの悪臭について瑕疵担保責任が否定された事案(東京地判令和3年4月13日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、原告が、不動産業等を営む被告から14階建てマンションの14階の2戸を購入したところ、購入した2戸とその屋上との間に臭突管(ディスポーザの排気口)が設置されており、悪臭が居住部分にも及んでいることが隠れた瑕疵に当たり、改正前民法570条、566条に基づき売買契約を解除した上で、被告に対し、瑕疵担保責任又は債務不履行に基づく損害賠償として、支払済みの売買代金や転居・調査に要した費用など1億7045万6624円+遅延損害金を支払うよう求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 瑕疵とは、目的物が通常有すべき品質・性能を欠いている状態をいうところ、本件の臭気がこれに当たるか否かについては、臭気に関する法令や規制の趣旨を斟酌しつつ(悪臭防止法は、直接には事業活動に伴って発生する悪臭について事業者を規制するものであるから〈同法1条、7条〉、本件に直接適用するという趣旨ではない。)、現実の本件各マンションの状況や相隣関係なども勘案した上で臭気の被害が受忍限度を超えているか否かといった見地から検討するのが相当である。
しかるに、上記のとおり、そもそも法令及び規制は、事業活動に伴って発生する悪臭についてのものであって、本件のような生活に伴って発生する悪臭を直接規制しているものではないと解されるところ、事業活動に伴って発生する悪臭についても、各自治体は、敷地の境界線の地表における臭気指数の許容限度を10から21までの範囲で設定していることが認められる。
その上で、臭気指数における本件各マンションの状況について検討すると、本件各マンション居室内における1401号室の臭気指数12及び1402号室の臭気指数11は、上記の許容限度の範囲内ではあるものの、上記の敷地の境界線の地表における臭気指数の許容限度は、飽くまで屋外を前提とした基準であるから、本件各マンション居室内における臭気は居住者に不快なものであることは認められる

2 他方で、本件建物におけるディスポーザ排水処理システムにより発生する臭気は、上記法令で規制の対象とされているような第三者の事業活動によって発生したものとは異なり、本件建物(マンション)に居住する者の生ごみの処理の利便と引き換えに発生した臭気であるから、居住者は、いわば自分の所有するマンションそのものに内在する問題として、上記法令の規制の場合と比べて高い受忍限度が求められると解するのが相当である。
その見地でみると、本件各マンションは、そもそも浦安市の住居(専用)地域における大気の臭気指数の許容限度を超えていない。
そして、本件建物のディスポーザ排水処理システムに一般に求められる性能基準を下回る性質・性状であることを基礎付けるに足りる証拠もない。
その上、可能な限り臭気を居住スペースに至らせないために、本件臭突管排出口は上向きに流速16.0m/sで上方に向けて臭気を排出する仕組みとされており、シミュレーションによっても屋上から階下に臭気が拡散しにくいとされていること(解析結果報告書)からすれば、本件臭突管排出口を含むディスポーザ処理システムにより本件各マンションに発生する臭気は、一時的に臭気指数11、12などの数値を示すことがあることを踏まえても、なお居住する者の受忍限度の範囲内にあるというのが相当であり,本件各マンションに瑕疵があるともいえない

上記判例のポイント2の視点・発想は非常に重要です。

事案や現象の個別具体的な原因、背景事情をどれだけくみ取れるかが鍵となります。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。