駐車場問題14 区分所有者である法人の代表者が駐車場を不法占有したことが共同利益背反行為にあたるとされた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、区分所有者である法人の代表者が駐車場を不法占有したことが共同利益背反行為にあたるとされた事案(東京地判平成29年10月19日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、いわゆる分譲マンション管理組合法人である原告が、区分所有者である被告会社及び区分所有法6条3項所定の占有者である被告Y1(被告会社の代表者)に対し、被告らが上記マンションの共用部分に設置された本件駐車場を不法に占有していることが「区分所有者の共同の利益に反する行為」(同条1項)に当たるなどと主張して、(1) 区分所有法57条に基づき本件駐車場の明渡しを求めるとともに、
(2) 不法行為に基づき、①平成28年5月1日から同年11月30日までの間の本件駐車場の使用料相当損害金合計17万5000円+遅延損害金並びに②同月1日から本件駐車場の明渡し済みまで1か月当たり2万5000円の割合による使用料相当損害金の連帯支払を求める(区分所有法47条6項後段及び8項参照)事案である。

【裁判所の判断】

1 被告らは、原告に対し、別紙物件目録記載の駐車場を明け渡せ。

 被告らは、原告に対し、連帯して17万5000円+遅延損害金を支払え。

 被告らは、原告に対し、連帯して平成28年12月1日から1項の駐車場の明渡し済みまで1か月当たり2万5000円の割合による金員を支払え。

【判例のポイント】

1 本件規約15条4項、6項及び7項の定めの文言及び構造に加えて、法人がマンションの区分所有者となり得ることは一般常識の範疇に属することであって、本件規約の定めにおいて法人が本件マンションの区分所有者となることが想定されていないなどとは解し難いというべきこと(このことは、本件規約を受けて定められた本件使用細則に法人が区分所有者である場合の駐車場の使用関係に関する定めが置かれていること〔本件規約18条、本件使用細則1条1項からも明らかというべきである。)に照らすと、本件規約15条4項、6項及び7条は、駐車場を使用する区分所有者が、その所有する専有部分を他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与した場合について、その区分所有者の駐車場使用契約は原則として効力を失うものとする一方、専有部分の譲渡又は貸与の相手方が本件マンションに居住している親族であり、かつ、駐車場使用料に未納金がないときを唯一の例外として、従前の駐車場使用契約の承継を認める趣旨の定めであると解するのが相当である。これと異なる被告らの主張は、本件規約の解釈を超えたいわば制度論を述べるものというほかないものであって、採用することができない。
そうすると、本件において、被告らが原告とb社との間における本件駐車場の駐車場使用契約を承継したものということはできない。

2 区分所有者又は占有者による行為が区分所有法6条1項にいう「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるか否かは、当該行為の必要性の程度、これによって他の区分所有者が被る不利益の態様、程度等の諸般の事情を比較考量して決すべきものと解されるところ、本件マンションの区分所有者である被告会社及び占有者である被告Y1が本件駐車場を含む対象物件(本件規約4条参照)の使用方法につき本件規約及び本件使用細則を遵守すべき義務を負っていること(区分所有法46条、本件規約3条及び5条2項)に照らせば、上記の比較考量に当たり、本件規約及び本件使用細則に違反する行為である本件駐車場の占有によって被告らが得る利益は、被告らに本件規約及び本件使用細則を遵守させることによる他の区分所有者らの利益に劣後することが明らかというべきであって、被告らによる本件駐車場の占有は、他の区分所有者らに被告らによる本件規約及び本件使用細則違反を受忍させることを正当化するに足りる特段の事情のない限り、「区分所有者の共同の利益に反する行為」(区分所有法6条1項)に当たるものというべきである。

本件使用細則1条1項は、駐車場の使用者は、本件マンションに居住する区分所有者及び本件マンションに居住するその親族に限るものとするが、区分所有者が法人の場合の駐車場の使用者は、本件マンションに居住する法人の役職員又はその同居親族とする旨を定めています。

裁判所は、この規定をそのまま適用しています。

区分所有建物においては、規約や使用細則の規定内容が重視・尊重され、安易な拡大解釈はされません。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。