義務違反者に対する措置26 生ゴミ等を大量に放置することで臭気や害虫の発生を招いたことが共同利益背反行為に該当するとされた事案(不動産・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、生ゴミ等を大量に放置することで臭気や害虫の発生を招いたことが共同利益背反行為に該当するとされた事案(東京地判令和4年1月26日)を見ていきましょう。

【事案の概要】

本件は、本件マンションの本件管理組合の管理者である原告が、本件建物の区分所有者である被告において、本件建物内に生ゴミ等を大量に放置することで、臭気や害虫の発生等を招き、近隣の区分所有者(居住者)等に迷惑を及ぼしていることが、区分所有者の共同の利益に反しているとして、被告に対し、区分所有法57条1項及び本件管理規約66条に基づき、本件建物内に放置されている生ごみ、腐敗物等のごみを除去すること、及び、本件建物内に生ごみ、腐敗物等のごみを放置してはならないことを求めるとともに、本件管理規約67条4項に基づき、共同の利益侵害行為停止等請求に係る本件管理組合(原告)と被告との間の訴訟の費用(弁護士費用)相当額の違約金44万円と本件管理組合・被告間の本件確約書に基づく違約金10万円の合計54万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 被告は、本件建物内に生ごみ、腐敗物等のごみを大量に放置して、臭気や害虫を発生させており、しかも、本件管理組合側からの要求にもかかわらず、それを長期にわたって改善していないことが認められる。
以上のような状況は、本件マンションの被告以外の区分所有者の共同の利益に反するものといえる(区分所有法6条1項、本件使用細則3条11号及び12号)。
また、被告は、本件建物について上記のような不衛生な状況を作出し続けているのみならず、本件管理組合(本件管理会社)による本件建物内の立入りを拒否し続けており、これらは、本件確約書の確約事項にも違反する。
 
2 以上によれば、区分所有法57条1項及び本件管理規約66条に基づき、本件建物内に放置されている生ごみ、腐敗物等のごみを除去すること、及び、本件建物内に生ごみ、腐敗物等のごみを放置してはならないことの請求、並びに、本件管理規約67条4項に基づき、共同の利益侵害行為停止等請求に係る本件管理組合(原告)と被告との間の訴訟の費用(弁護士費用)相当額の違約金44万円と本件確約書に基づく違約金10万円の合計54万円+遅延損害金の支払を求める請求はいずれも理由がある。

弁護士費用のほかに確約書に基づく違約金が別途認められています。

マンション管理や区分所有に関する疑問点や問題点については、不動産分野に精通した弁護士に相談することが肝要です。