Monthly Archives: 6月 2020

労働者性30 整骨院院長との契約は雇用契約?業務委託契約?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、整骨院院長の雇用契約成立に基づく未払賃金等支払請求に関する事案を見てみましょう。

思いやり整骨院事件(大阪地裁令和2年1月17日・労判ジャーナル97号18頁)

【事案の概要】

本件は、柔道整復師であるY社の元院長Xが、「思いやりグループ」と称する本件整骨院を含む複数の事業所若しくは法人からなる集団の中で「総括」等と呼称される地位にある者に対し、主位的に、Xと総括の間に雇用契約が締結され、Xが総括経営に係る整骨院に勤務して労務を提供した旨主張し、未払賃金・未払時間外割増賃金・付加金等の支払並びに雇用保険資格取得届を怠ったという債務不履行に基づく損害賠償請求をした事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 総括は、Xから、高頻度かつ定期的に、本件整骨院の収支状況に関する詳細な報告書等の提出を受けるのみならず、さらに口頭での報告を受けていたことが認められ、この点は、総括のXに対する本件整骨院の業務に関しての指揮監督の存在を強くうかがわせるものであり、そして、Xが本件整骨院での業務に関与することによって得た収入は、売上高その他業績による変動がみられない「基本給」及び「交通費」名目での固定的な性質のもので、この点は、Xが労務提供の対価としての賃金を得ていたとの評価になじみやすいものといえ、また、Xが本件整骨院での業務に関与する契機となった求人情報は「正社員」若しくは「アルバイト・パート」を募集するもので、X自身「アルバイト勤務希望」と記載するなどした履歴書を作成したことが認められるところ、これはX及び統括がともに雇用契約の締結を念頭に置いていたことを推知させる事情にほかならず、また、Xが本件整骨院の院長を辞するに際しての「退職届」の作成は、他者に雇用されているとの意思を有していたことをうかがわせるものであるから、Xと統括の間には、業務委託契約ではなく、雇用契約が締結されたと認定することができる

2 雇用保険の手続不履行による債務不履行責任の有無等について、Xは、本件整骨院の院長を務めている間、統括に対し、雇用保険資格取得届の手続をするよう求めた形跡は見当たらず、そのような取扱いを受け容れていたとみる余地があることに照らせば、統括に対して慰謝料の支払を命ずるまでの精神的損害が発生したと認めるには足りないから、債務不履行に基づく損害賠償には理由がない。

マッサージ店等は労働者性が争われやすい分野です。

業務委託契約を締結する場合には、その実態が雇用契約に近づかないように細心の注意をしましょう。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介1049 フルライフ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

著者は、予防医学研究者の方です。

決して読みやすく、わかりやすい本ではありません(笑)

がんばって読んでいくとなんとなくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

気軽に転職していろいろな経験を積むことが大事だと言いましたが、そうするには前提があります。いくつかの職を転々としながらも、どこか自分の得意な領域を見つけて、ハードワークを行い、圧倒的な成果を残すことです。」(142頁)

毎晩のように、今いる会社や上司の愚痴を言う生活を送っているくらいなら、どんどん転職したほうがいいでしょう。

一生、1つの仕事をし続ける義務なんてありませんので。

複業時代ですので、やりたいことを全部やればいいのです。

転職したければする。したくなければしない。

自分の人生なのですから、我慢などせず、生きたいように生きればいいのです。

賃金189 求人票の記載と入社面接時の説明が異なる事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、試用期間中における求人票との労働条件相違と差額賃金請求に関する裁判例を見てみましょう。

カキウチ商事事件(神戸地裁令和元年12月18日・労判1218号5頁)

【事案の概要】

本件は、Y社(運送事業者)の従業員(トラック運転手)であったXらが、Y社に対し、労働契約に基づき、未払賃金、未払割増賃金+遅延損害金並びに付加金+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 確かにXらがY社入社前に見たY社のホームページには大型ドライバーで月給36万円いじょうとの条件が記載されていたが、Y社が1月にハローワークに申し込んだ求人票には「基本給13万円~15万円、基本給+精務給+各種手当で35万円~」と記載されており、入社前の面接の際、A及びBが、基本給のみで35万円との説明をすることはにわかには考え難いこと、Xらは、Y社入社前、Y社と同業の会社に勤務し、運送会社の賃金体系を把握しており、X1も、基本給が月額35万円ではなく、手取りで月額35万円と認識していた旨を供述し、時間外手当等を含めないと月額35万円に届かないことを認識していたことからすると、Xらが基本給月額25万円であると認識していたものと認めることはできない

2 Xらは、8月7日の個別面談の際、Y社側から本件契約書1・2に署名するよう求められたので、十分に確認しないまま署名した旨供述するが、Xら及びCらは労働条件が採用面接時の説明と相違するとしてY社に抗議して本件説明会が開催され、そこでもY社側と労働条件についてやりとりをしているのであるから、Xらが労働条件に無関心なまま本件契約書1・2に署名したとは考え難く、Xらの上記供述はいずれも採用できない。

裁判所がいかに事実認定をするのかがよくわかりますね。

求人票の記載と入社面接時の説明が異なる事案は見かけますが、事実認定はケースにより異なりますので注意が必要です。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1048 ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

まさにタイトル通りの内容です。

オリジナリティを出すためにどのようなことが必要かがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

オリジナリティは不変の性質ではない。自由に選択できるものだ。リンカーンは生まれつき強気な性格だったのではない。対立をものともしない剛胆な性質がDNAに組み込まれていたわけではなく、意識的に論争を受けて立つ意志を身につけたのだ。」(52頁)

既存の能力だけを使うのではなく、みずから率先して新たな能力を開発し、自分だけの仕事を形成することができたのだ。・・・『自分の限界は、自分で設定していたにすぎない』ということに気がついたのだ。」(54頁)

オリジナリティは、意識的に努力した結果を指すのであり、生まれつき備わっている性質ではありません。

つまり、オリジナリティは自分でコントロール可能なものなのです。

どのようなオリジナリティでも自分で自由に選択できるということを理解し、日々その準備をする。

やっている人は当然のようにやっています。

自分の限界なんて設定しているようでは話にならないのですよ。

不当労働行為244 タイムカードの提供拒否と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員の未払残業代を議題とする団交において、未払残業代が発生していないとする理由を具体的に説明しなかったこと、および同人のタイムカードの写しを提供しない理由を説明しなかったことがいずれも不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

光明土地改良区事件(大阪府労委平成31年1月11日・労判1218号92頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の未払残業代を議題とする団交において、未払残業代が発生していないとする理由を具体的に説明しなかったこと、および同人のタイムカードの写しを提供しない理由を説明しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

いずれも不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 29.7.20団交において、組合が、A2組合員の未払残業代が発生していない根拠として、管理監督者であること、固定残業代として既に支払っていること、残業は一切していなかったことの3点しか考えられないが、どれに当たるのか尋ねたのに対し、Y社は、残業に必要な手続を踏んでいないことを付け加え、4つとも当てはまる場合もあると思う旨等回答していることが認められる。
Y社は、上記をもって誠実な回答を行った旨主張するが、法人は、そもそも残業代を支払っていない旨答えており、残業代を支払わなかった理由を具体的に答えることが可能であったのだから、一般論で、しかも4つとも当てはまる場合もあると思うなどと答えたことをもって、誠実に対応したということはできない

2 29.7.20団交において、Y社が、給与規程に基づき残業手当を支払わず、管理職手当を支払っている旨述べたことに対し、組合は、①給与規程には、管理職手当について、固定残業代を含む旨の記載は一切なく、何を根拠に法人が固定残業代と言うのか不明である旨、②管理職手当等が固定残業代には当たらないという認識であるが、残業代を請求するにしても、きちんと計算をして請求したいと考えている旨等述べていることからすると、29.7.20団交で、組合は、本件タイムカードの写しを要求する根拠を具体的に述べていると解するのが相当である。
組合は、本件タイムカードの写しを要求する根拠を具体的に説明しているといえるにもかかわらず、Y社が、本件タイムカードの写しを提供すべき理由を理解できないと繰り返すだけであったことは、組合の主張に対して、提供できない理由を具体的に説明したとみることはできず、Yのこのような回答は不誠実といわざるを得ない

3 29.7.20団交において、Y社が、A2組合員の未払残業代が発生していないことについて具体的な説明を一切行わなかったこと及びA2組合員のタイムカードの写しを提供できない理由の説明を行うことなく、A2組合員のタイムカードの写しの提供を拒否したことは、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する誠実団交義務を尽くしたとはいうことができないことから、不誠実団交に当たるといえ、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。 

会社側が「タイムカードの写しを提供すべき理由を理解できない」という主張を繰り返しているようですが、全く生産的ではなく、また、このような主張が認められる可能性はゼロです。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1047 サードドア 精神的資産のふやし方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サードドアとは、「成功への抜け道」を指しています。

一読しても、著者が言いたいことがすぐにわかる本ではありません(笑)

根気強く読んでいく本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

小さな決断によって、誰もが人生を大きく変えることができる。みんなが並んでいるからと何となく行列に加わり、ファーストドア(正面入り口)の前で待つのも自由だ。行列から飛び出して裏道を走り、サードドアをこじ開けるのも自由だ。誰もが、その選択肢を持っている。これまでの旅で学んだ教訓が1つあるとすれば、どのドアだって開けられるということだ。」(435頁)

みんなが並んでいるから自分も並ぶという発想では、群れから抜け出すことはできません。

みんなが右に行くなら、自分は左に行ってみるのです。

日々の小さな決断がやがて習慣となり、その総体が人生となります。

何事にも縛られず、自由に生きたいと思うであれば、自分に力をつけることです。

その準備を毎日コツコツやり続けるしかありません。

メンタルヘルス4 休職命令等の措置をとらずに解雇は有効?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、休職命令等の措置をとらずに行った解雇が有効とされた裁判例を見てみましょう。

ビックカメラ事件(東京地裁令和元年8月1日・労経速2406号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結し、販売員等として勤務していたXが、平成28年4月15日付けでされた解雇は無効であるとして、Y社に対し、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②平成28年5月分から平成30年3月分までの賃金として合計526万7376円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

Xは、Y社は、Xが精神疾患にり患している可能性を把握できたにもかかわらず、早期に専門的な医療機関の受診を指示せず、また、休職命令等の措置をとることなく、Xの問題行動が多くなったことを理由に、強制的に心療内科を受診させ、懲戒処分を続けたりしたものであり、かかる対応は不適切である旨主張する。
しかしながら、Y社は、Xの問題行動を確認するようになった後、Xに産業医との面談を行わせ、精神科医を受診させたほか、社員就業規程に基づき精神科医への受診及び通院加療を命じるなどしているのであるから、Xの問題行動が精神疾患による可能性について、相当の配慮を行っていたものと認められる
確かに、Y社は、Xに対して休職の措置をとることなく本件解雇を行ったものであるが、Xから休職の申出がされたことは窺われない上、Y社の社員就業規程においては、Y社が休職を命じるためには、業務外の傷病による勤務不能のための欠勤が引き続き1か月を超えたこと、又は、これに準じる特別な事情に該当することや、医師の診断書の提出が必要とされているところ、Xが1か月を超えて欠勤した事実は認められず、また、証拠によれば、Y社は、原告に対して精神科医の受診を命じた上で、診察した医師に対して病状等を照会したものの、Xの精神疾患の有無や内容、程度及びXの問題行動に与えた影響は明らかにならなかったというべきであるから、Xに対して休職を命じるべき事情は認められない
そして、Y社は、Xの問題行動に対して懲戒処分や指導を行っていたほか、精神科医への受診及び通院加療等を命じるなどしているのに対し、Xは、継続的な通院を怠り、問題行動を繰り返しているのであるから、これらの事情を考慮すると、Y社において休職の措置をとることなく本件解雇に及んだとしても、解雇権を濫用したものということはできない
したがって、Xの上記主張は、採用することができない。

会社としては、本裁判例同様、就業規則に基づき、精神科医への受診や通院加療を命じるというプロセスを踏むケースがあり得ることを認識しておきましょう。

この分野は本当に判断が難しいです。必ず顧問弁護士に相談の上、慎重に進めていくことが求められます。

本の紹介1046 アナロジー思考(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「『構造』と『関係性』を見抜く」です。

たとえ話が上手いとかあだ名をつけるの上手いというのは、一種のアナロジー思考ですね。

著者が言うところの「抽象化思考力」が高いことを指します。

異なる2つの概念の類似点を即座に見つけ出せるというのは、頭の良さを測る1つの基準になると思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

アナロジー思考力の強い人はありとあらゆることを関連付けて考え、すべての事象を学びの対象にすると同時にすべての事象をアウトプットの対象にする。それに対して、アナロジー思考に弱い人は、『これはこれ、あれはあれ』とすべての事象を別々に考えるためにまったく応用が利かない。アウトプットもすべて一から考えるために効率が非常に悪いばかりでなく、新しい発想へと膨らんでいくこともない。」(2頁)

これができる人は、もはや無意識レベルで習慣的に「connecting the dots」をしています。

「これって、あれと考え方同じだよね」という感じです。

だからこそ、他業種から多くの学びを得ることができるのです。

一見すると全く自分の仕事と関係がないように思えても、切り口を変えると関連性を見出せるのです。

有期労働契約95 契約更新手続きの厳格さと労働者の更新に対する期待の合理性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、雇用継続の合理的期待がないとして有期労働契約の期間満了時の雇止めが有効とされた裁判例を見てみましょう。

学校法人A学園(雇止め)事件(那覇地裁令和元年11月27日・労経速2407号7頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのある労働契約を締結していたXが、Y社の雇止めは、客観的に合理的な理由及び社会通念上の相当性を欠くものであり、労働契約法19条によりXとY社との間の労働契約は従前と同一の内容で更新されたなどと主張して、Y社に対し、地位保全及び賃金仮払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

本件申立てをいずれも却下する。

【判例のポイント】

1 Xは、看護師として採用されたものであり、業務内容は、臨時的なものではなく、継続的に行っていく必要がある業務も含まれていたことが認められる。しかし、Y社が採用している看護師は全て任期制雇用であり、Xの地位は、正職員と記されている場合があるものの、それは、派遣社員との比較における記載で、契約書上も就業規則上も明確に有期雇用であるとされ、更新の可能性は指摘されているが、継続的に更新されるとまではされていない
また、Xは、当初2年の契約期間で雇用され、その後、1回の更新を経て、通算期間2年5月の勤務をしてきたものであり、多数回で長期間の契約期間であったものではない

2 1回の更新後の契約期間についての意味合いについては、Z4博士によるXに対しての説明内容について、当事者間に争いがあるものの、更新期間が5月であり、クリニックの再開の目途がたった場合に、更新を必ず行うというのであれば、そもそも2年更新を検討するという前提(Y社側の説明に合致する。)だったからこそ、とりあえず年度末まで契約更新して、それまでの間に考え、更新しない方針となったのであれば、更新しないこととすることを考えた上での、更新であったと認められる。
また、契約更新の手続は、システム上で行えるものとなっており、Y社から契約更新の条件を明示され、かつ、それにXが同意すれば更新されるというものであり、厳格なものであった。

3 以上の事情を総合すると、X自身としては、Y社において勤務するにあたり看護師として長期にわたり働く予定であったことはうかがえるものの、あくまで主観的なものといえ、Xに雇用継続の合理的期待があるとはいえず、本件労働契約は労働契約法19条2号に該当しない。

上記判例のポイント1、2のような運用をしている限り、雇止めが無効と判断される可能性はかなり低いといえます。

雇止めが無効と判断されている事案の多くは、運用の稚拙さがその理由となっています。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1045 人生100年時代の稼ぎ方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

平均寿命がどんどん延びて、それでいて年金は全くあてになりません。

少し前に「2000万円問題」が話題になりましたが、もはや「老後」なんて言葉は死語になりつつありますね。

早晩、死ぬまで働くのが当たり前の社会になると思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生100年時代で皆さんが抱えている最も大きい不安は、お金に関することだと前述しましたが、優先順位を上げて対策を立てるべきなのは、『健康』です。・・・不健康というのはとにかくコストが掛かります。病院にかかるお金だけではありません。回復にかかる時間、そのために失った仕事の時間、さらにそのために失う収入、事によっては家族や会社の人の時間を奪うことにもつながりますから、めまいがするほど失うものは膨大です。」(20~21頁)

疑う余地のない真実です。

健康なうちは健康のありがたさに気が付かないものです。

大学に入り、親元を離れて一人暮らしをしてはじめて親のありがたさがわかるのと同じです。

多くの人が将来に不安を感じ、その不安を払拭するためにいろんなことを我慢して毎月コツコツ貯金をしています。

これからますます不安定な社会になるので、この傾向は強くなるのでしょう。

このような不安定な時代においては、一時的に(本人は一時的と思っていないですが)調子が良い時に生活水準を上げたり、会社の規模を拡大しないことがとても重要です。

つまりは、固定費を上げないことが肝心です。

ビジネスは意識していないとすぐに拡大してしまうものなのです。

拡大するのははっきりいって楽です。成長しているという感覚も味わえますしね。

しかし、それでもなお不安定な時代ではスモールビジネスこそがキモだと確信しています。