Daily Archives: 2010年8月29日

解雇4(試用期間中の解雇その1)

おはようございます。

ほとんどの会社が、3か月~6か月程度の試用期間を設けていると思います。

試用期間中であれば、簡単に解雇できると誤解している方はいませんか?

試用期間中であっても、そう簡単には解雇は認められません。

判例を見てみましょう。

ニュース証券事件(東京地裁平成21年1月30日判決・労判980号18頁)

【事案の概要】

Xは、Y社(証券会社)に営業職の正社員として中途採用された。

Y社には、6か月の試用期間がある。

勤務開始後におけるXの手数料収入は、Y社の期待を下回るものであった。

Y社は、試用期間中(3か月強)に、Xを試用期間中に不適と認められたとして解雇した。

Xは、Y社に対し、解雇無効を理由とする地位確認及び賃金請求をした。

【裁判所の判断】

解雇無効。

【判例のポイント】

1 試用期間における解約権留保の趣旨・目的は、企業が従業員の採用にあたっては、採用決定の当初の段階では、その者の資質、性格、能力等が当該企業の従業員としての適格性を有するか否かについての必要な調査を十分に行えないために、後日における調査や観察に基づいて最終的な決定を留保することにある。試用者は、従来勤務していた企業を退職したばかりか、本採用を期待して他企業への就職の機会と可能性をも放棄している等の事情も存するのであるから、これらの事情に照らすと、留保解約権の行使は、その趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合に限り認められるとするのが相当である

2 Xの手数料収入は高いものとはいえないが、わずか3か月強の期間の手数料収入のみをもってXの資質、性格、能力等が会社の従業員としての適格性を有しないとは到底認めることはできず、本件解雇(留保解約権の行使)は、客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当として是認することはできない。

3 Xの成績に改善の見込みがないとのY社の主張を裏付ける証拠は全く存しない。

4 Xを即戦力として採用しており、資質能力の判断には3か月で十分であるとのY社の主張に対しては、本件雇用契約書の規定などから、6か月の試用期間が経過した時点で留保解約権の行使を行う趣旨であったとした。

試用期間中の解雇(留保解約権行使)は、三菱樹脂事件最高裁大法廷判決(昭和48年12月12日)の規範が採用されています。

三菱樹脂事件は、新規学卒者の採用後における試用期間が問題となりましたが、上記判例は、中途採用の事案についても同様の規範を用いています。

なお、試用期間の途中で、不適格として解雇する場合、残りの試用期間で、会社が要求する能力水準に達する可能性もあり、解雇すべき時期の選択を誤ったものであるとして、解雇無効と判断されるケースがあります。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。