Daily Archives: 2013年1月10日

有期労働契約35(NTT東日本-北海道ほか事件)

おはようございます。

さて、今日は、雇用期間5年余、更新回数5回の有期契約労働者の雇止め、および関係会社への雇用替えに関する裁判例を見てみましょう。

NTT東日本-北海道ほか事件(札幌地裁平成24年9月5日・労経速2156号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で期間の定めのある雇用契約を締結し、契約社員として複数回契約を更新していたXらが、Y社らに対し、Y社による期間満了後の更新拒絶(雇止め)は許されないと主張し、さらに、Y社との間の雇用契約を合意解約してA社へ転籍する旨の意思表示は錯誤によるものであるから無効であるなどとして、XらがY社との間で雇用契約関係上の地位を有することの確認等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇止め及び雇用替えは有効

【判例のポイント】

1 XとY社との間の雇用契約は、5年6ヶ月にわたり継続し、契約の更新も5回されているが、Xの所属していた113センタにおいては、正社員とXを含む契約社員Ⅱの業務内容には相違点があること、Xの業務は継続性のある業務とはいい難いこと、業務の縮小、再委託等がある場合には雇止めがされていたこと、契約内容更新の際には、一応契約更新の意思の確認及び契約内容の説明は行われており、雇用更新の手続が形式的、機械的なものになっていたということはできないことから、XとY社との間の雇用契約には、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になっていたということはできず、また、雇用契約が更新されるものとの合理的な期待を抱いていたということもできないから、解雇に関する法理が類推適用されない。

2 Y社による本件雇用替えの目的には、一応の合理性が認められ、Xらを雇止めしてA社に転籍させる理由としても一応の合理性があるものと認められること、Y社は、本件雇用替えに当たって、Xらを単に雇止めするのではなく、A社への移籍という選択肢を提示してるところ、その選択肢は非合理的とはいえないこと、本件雇用替えの実施に当たって適正な手続が執られていること、本件雇用替えの対象者の人選に不公正な点は見られないことからすれば、Xらの主張のように、仮に解雇に関する法理が適用されるとした場合でも、Xらとの間の雇用契約を更新しないということを正当化する客観的に合理的な理由があったというべきである。

3 B、Cは転籍に応じなければ、Y社を雇止めになる旨を認識していたものと認められ、Xについても転籍に応じなければ同社がXを雇止めできると認識していた可能性は否定できないが、A社に転籍後もY社に派遣され、従前と同じ業務を続けることが予定されていたこと、転籍後の労働条件は転籍前と比べてほとんど変更なく、転籍前の不利益をできるだけ小さくするための手当がされていたこと、逆に転籍前と異なり正社員に登用される可能性もあったこと、本件雇用替えがY社と同社の最大労組との協議、大綱了解に至っていた施策であること等からすれば、通常一般人が、仮に、法的に雇止めができないことを認識していたとしても、転籍に合意することは十分にあり得たものと考えられ、仮にXらに錯誤があったとしても、錯誤がなかった場合に、通常一般人が転籍に合意しなかったであろうと考えられるほどに重要な錯誤があったとはいえず、要素の錯誤であるとは認められない

今月、社労士会のセミナーで講師を務める際、有期雇用について触れる予定です。

最近は、使用者の中でも、ちゃんと過去の裁判例から対応策を勉強しているところは、事前に適切な手続をしてから、雇止めをしているため、以前に比べると、有効と判断されるケースが増えているように思います。

まずは、上記判例のポイントの2と3のように、2つのレベルに分けて考えるようにしましょう。

次に、どのような手続をしていると有効と判断されるのかを複数の裁判例から読み取ることが大切です。

セミナーでは、そのあたりも触れます。

有期労働契約は、雇止め、期間途中での解雇などで対応を誤ると敗訴リスクが高まります。

事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。