Daily Archives: 2014年4月8日

解雇135(オカダテニス・クリエーション事件)

おはようございます。

さて、今日は、テニススクールコーチに対する賃金減額・解雇に関する裁判例を見てみましょう。

オカダテニス・クリエーション事件(大阪地裁平成25年6月28日・労判1082号77頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が経営するテニススクールにコーチとして勤務するXが、Y社から突然に、極端な売上減を理由に賃金を減額されたうえ、Xのレッスンに対する評判が悪く、Xのクラスの継続率が著しく悪いこと等を理由に解雇されたとして、解雇の有効性等を争った事案である。

【裁判所の判断】

1 賃金減額は無効

2 整理解雇は無効、普通解雇としても無効

【判例のポイント】

1 ・・・Xが本件賃金減額に同意したことを示す文書その他の客観的な証拠は存在しない。・・・本件賃金減額は、月額35万円の賃金の約4割を減額して月額20万5000円にし、さらにアルバイトに身分変更するというものであり、労働者が容易に同意するような内容ではないことが明らかであることからすると、本件賃金減額をXがすんなり受け入れたとのY社代表者の供述は信用しがたい。
・・・以上によれば、Xが本件賃金減額に同意したとは認められず、他に就業規則、賃金規程その他本件賃金減額の正当性を根拠付けるものは存在しないから、本件賃金減額は無効であり、Xは、本件賃金減額以降も、月額35万円の賃金の支払を受ける権利を有する。

2 Y社は、本件解雇後に、新たに正社員1名及びアルバイト2名を雇用し、これらの者に対し、毎月合計30万円の賃金を支払っていることからすれば、Y社にはそもそも人員削減の必要性があったとは認められない
また、Y社は、新規に採用した3名の賃金を合わせてもXの賃金に満たないと主張するが、その差はわずか5万円であり、Y社の主張する社会保険料等の負担を考慮しても、本件解雇の合理性を裏付けるほどの経費削減効果があるとは認めがたい。・・・本件解雇は整理解雇の要件を満たさない

3 Y社は本件解雇の理由として、Xのレッスンに対する評判が非常に悪く、Xのクラスの継続率が著しく悪いことなどを挙げる。
しかし、生徒がスクールを辞める動機としては様々なものが考えられるから、継続率が悪いことだけでレッスンの内容に問題があると断ずることはできないところ、Y社の主張を前提にしても、Y社が、Xのレッスンに不満を持って退会したと主張する生徒の多くが、Xのレッスンを長期間にわたって受講し、また、一旦退会した後、Xのクラスに再入会していることに照らすと、これらの者の退会理由がいずれもXの教え方に対する不満であったとのY社の主張は採用しがたい
また、Y社代表者は、Xのレッスンに対する不満、苦情を多くの生徒から聞いていたと供述するが、そうであれば、経営者としては、Xに対し、そのような不満、苦情の内容を伝え、改善を求めるのが当然であるところ、Xに対して、直接告げたことはないと供述しており、極めて不自然であるし、仮にY社代表者の供述どおりであるとすれば、Xは、自己の教え方について生徒から不満や苦情が出ていることを認識していなかったことになるから、その点について注意、指導をすることなく突然解雇をすることは相当性を欠く
したがって、いずれにしても、本件解雇は、普通解雇としても無効である。

大幅な賃金減額をする場合には、必ず個別に同意書をもらっておくことをおすすめします。

また、本件では、新規採用をしている等、整理解雇要件(要素)を満たさないことは明白ですし、普通解雇についても、解雇に至るまでのプロセスが不十分です。

会社側とすると、準備不足と言わざるを得ません。 

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。