Daily Archives: 2018年1月15日

セクハラ・パワハラ34 違法な指導と慰謝料の金額(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、元警察官らの人格権等侵害に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

熊本県・熊本県警察事件(福岡高裁平成29年9月15日・労判ジャーナル69号34頁)

【事案の概要】

本件は、熊本県警察に警察官として採用され、熊本県警察学校に入校した元警察官ら(A,B、C)が、熊本県に対し、警察学校の教官の指導に違法があり人格権等を侵害されるとともに、違法な退職勧奨により辞職を余儀なくされたとして、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金約569万円(逸失利益・慰謝料等)の支払を求めたところ、原審が、A及びBの各請求をそれぞれ11万円の限度で、Cの請求を22万円の限度で認容したため、元警察官ら及び熊本県がいずれも原判決を不服として控訴した事案である。

【裁判所の判断】

原判決一部変更
→A及びBの認容額を22万円に変更

【判例のポイント】

1 Hは、Aに対し、警察学校に在校しづらくなることを示しながら、監察課に連絡した教官によるAに対する暴行はなかったとしてこれを取り下げるように父親に働きかけることを要求したことが認められ、Aに対する不法行為となり、また、Fは、Bに教室の最後列の後ろに机を持って移動させているところ、このことが他の学生から孤立させられ、他の学生に対するいわば見せしめとされたような屈辱感をBに与えるものであるから、指導として違法といわざるを得ず、さらに、キャビネットの施錠忘れは警備当番であったLによるものであったが、同人のほかBを含む警備当番3名の連帯責任とされたものであるところ、Cのみに重量が少なくとも5キログラムある上記盾及び2023グラムのダンベルを持って走ることが命じられたこと、その時間も合計約1時間に達することを考慮すると、指導として合理性を欠くものといわざるを得ず、違法であること等から、Aらの請求はいずれも22万円等の支払を求める限度で理由がある。

これが日本の慰謝料の相場です・・・。

弁護士費用が費用倒れになるような金額しか認めてくれません。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。