Monthly Archives: 1月 2019

本の紹介875 「誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?」(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
「誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?」

著者はドラマの脚本家の方です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

そうやってチャレンジを重ねてきて、わかったことがあります。それは、人の評価と自分の価値はまったく関係がないということ-。”人の評価や思惑”が気になってしまうのは、それが自分の価値を決めると信じているからです。褒められると自分には価値があると思い、けなされると自分はダメだと落ち込む。・・・こんなふうに、他人の評価で自分の価値を測るから、自分がしたいことを自由にできなくなるのです。」(34頁)

落ち込まないためにはこのように考えるのがいいですね。

でも、実際のところは、評価をするのは他人です。

自分が自分の評価をするというのはどうもしっくりきません。

特に仕事においては、自分がいいと思っても他人(顧客)がいいと思わなければ、それはダメということです。

他人に評価される仕事を目指すというのはある意味、当然の前提ではないでしょうか。

管理監督者39 管理監督者性の判断基準(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、管理監督者の該当性に関する裁判例を見てみましょう。

MUKU事件(大阪地裁平成30年7月20日・労判ジャーナル81号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、労働基準法37条に基づき、平成27年3月から平成29年2月まで毎月20日を支払期日とする割増賃金合計約398万円等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金として約379万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 アルバイトや正社員の採否や昇給等の最終的な決定は、全てY社代表者が行っていたというのであるから、Xが行った募集媒体の提案等は、実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの職務及び権限とは認められず、また、Xは、自らを含む本件店舗の従業員のシフト表を作成し、自らもこのシフト表のとおりに勤務していたことが認められるが、Xによるシフト表の作成方法は、Xが本件店舗の店長に就任した平成28年2月以降も、Xの拘束時間が相当長時間に及んでいることに照らせば、Xが自分の都合に合わせてシフト表を作成することができる状況にあったとは認められないから、Xは、本件店舗の店長に就任後、自己の労働時間についての裁量を有していたとは認められず、そして、店長就任後のXの給与の額が、管理監督者の地位にふさわしいものであると評価することはできないこと等から、本件店舗の店長に就任した後のXが、実質的に経営者と一体的な立場にあるとはいえず、労働基準法41条2号所定の管理監督者に当たるということはできない

今は昔の論点です。

本件でも管理監督者性は否定されています。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

本の紹介874 逆転の仕事論(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
あえて、レールから外れる。逆転の仕事論

さまざまなジャンルの方8名が自身の「仕事論」について語っています。

もはやこれまでの「当たり前」は全く通用しなくなっていることがよくわかります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・ある意味彼の生き方は私の生き方にも似ている。何をやっているのか分からない、そしてひとつひとつを積み上げ、ある時期からそれらがシナジーを発揮して成果を出し始める。誰しも成果を出してからしか評価してくれないのがこの世の中。そういう世の中を前提に彼は面白いことに次々と取り組んでいるのが凄いと思っている。」(228頁)

これは、俳優として活躍されていた小橋賢児さんのことを堀江さんが書いている一節です。

堀江さん風にいうと「多動力」ですかね。

興味があることにどんどんチャレンジする。

最初はバラバラだったことがそのうちつながってくるのが面白いですね。

セクハラ・パワハラ45 上司の不適切発言に基づく損害賠償請求と会社のレピュテーションダメージ(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、不適切な言動に基づく損害賠償等請求に関する裁判例を見てみましょう。

システムディ事件(東京地裁平成30年7月10日・労判ジャーナル81号38頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、賃金及び賞与を理由なく減額したと主張して、減額分の賃金・賞与、合計約491万円等の支払を求め、また、Y社に対し、上司らの退職強要等に係る債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求(休業損害、治療費及び通院交通費並びに慰謝料の損害金合計約539万円等)の支払を求め、代表取締役であるAの暴言に係る不法行為に基づく慰謝料に関し、Aに対しては不法行為、会社に対しては会社法350条又は使用者責任に基づき、連帯して慰謝料50万円等の支払を求め、また、会社に対し、民法536条に基づく休職期間満了後の賃金・賞与請求、合計約501万円等の支払を求め、また、上記復職後の減額分の賃金約12万円及び未払賞与約47万円等の支払を求め、さらに、有給休暇分の賃金・通勤手当等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

減額分等未払賃金・賞与等支払請求の一部認容(休業損害254万7963円、治療費及び通院交通費8万9900円、慰謝料80万円等)

不適切な言動等に基づく損害賠償等請求の一部認容(慰謝料20万円)

【判例のポイント】

1 Xは、A及び事業部長であるGから、不適切な言動により罵倒されるなどしながら繰り返し退職を迫られ、退職に応じなければ会社C本社に転勤させてそれまでの営業以外の業務に就かせて賃金を更に減額するなどと言われ、複数回欠勤するようになり、Gから担当業務の変更や賃金の減額を通告され、その後、医師からうつ状態と診断され、これを原因として休職するに至ったことが認められるから、Y社は、Xに対し、本件雇用契約に基づく注意義務を怠り、AやXの上司らにおける不当な言動や一方的な賃金の減額等を行ってXの意思決定を不当に制約するとともにその人格権を違法に侵害し、これによって、Xはうつ状態を発症するに至ったものと認められ、Y社は、Xに対し、債務不履行に基づき、Xに生じた損害を賠償する責任を負う。

2 AのXに対する発言等が、Xがうつ状態による1年6か月に及ぶ休職期間の満了後に、ようやくこれが寛解して臨んで面会の席上で行われたこと、上記発言中において、AはXに対して「裏切り」「寄生虫」という言葉を複数回用いたこと、AがXに対してこのような発言をしたのはこれが初めてではないことなどの事情を総合考慮すれば、AのXに対する上記発言によって生じたXの精神的苦痛に対する慰謝料としては、20万円が相当である。

使用者側とすれば、この裁判による金銭的負担のみならず、上記のような内容の裁判例が会社名とともに残ることによるレピュテーションリスクについても事前に検討しなければなりません。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介873 にぎやかだけど、たったひとりで(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
にぎやかだけど、たったひとりで 人生が変わる、大富豪の33の教え

久しぶりの”兄貴”本です。

今回の本は、吉本ばななさんとの共著です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

実際お金儲けっていうのは、簡単に言うたら時間の使い方です。『あー良く寝た』。これはもう頑張れないんだろうなって。僕にとって寝てるっていうのは死だから。死んでるのと何にも変わらへん。記憶にございませんやから。・・・どうやったら儲かるように時間使いこなせまっかっていうたら、会社に身を置いてる人はいかに不特定多数の人と時間を共有できましたかっていう事の繰り返しなんや。」(68頁)

誰とどれだけ時間を共有したかで人生は大きく変わってきます。

どの人の影響を強く受けたかということは、その後の人生に大きく影響してくるからです。

年齢を重ねてくると、自ら意識をしないと、人から学ぶ機会がどんどん減ってきます。

同業者と戯れている時間があったら、異次元の人とできるだけ時間を共有したほうが100万倍勉強になります。

業界内の噂話で時間を無駄にするほど人生は長くありません。

だれがどうなったとか、くそどうでもいいわ。 興味0。

限られた時間をどのように使うかで人生が決まると確信しています。

解雇289 幹部社員の試用期間中の解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、幹部社員の試用期間中の解雇に関する裁判例を見てみましょう。

ラフマ・ミレー事件(東京地裁平成30年6月20日・労判ジャーナル81号2頁)

【事案の概要】

本件は、Y社のジェネラルマネージャー(GM)兼コマーシャルディレクターとして雇用されたXが、試用期間中に解雇されたことについて、同解雇は客観的合理的理由を欠き社会通念上も相当と認められず無効であると主張して、Y社に対し、雇用契約上の地位確認を求めるとともに、雇用契約による賃金請求権に基づき、解雇後の賃金+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件雇用契約において、中長期的な業務計画及び財務の予算管理、損益に対する全責任を含むY社の運営管理、卸売(ホールセール)及び小売(リテール)の両業務において、年間の業務目標、予算、課題を準備、実行及び達成することなどがXの職責とされていたことに照らすと、Xの一連の行動については、明らかに不十分なものであって、Y社のGMとしての職責を果たしていないというべきであり、かつ、GMとしての職責を果たす上で資質、能力に欠けていると評価されてもやむを得ないというべきである。

2 Aの指導を経た後も、本件解雇時点におけるXの商品発注に関する理解は著しく不十分であり、Xは、商品の発注に関して、その職責を果たしておらず、かつ、Y社のGMとしての職責を果たす上で資質ないし能力に欠けていると評価されてもやむを得ないというべきである。

3 Xは、9月23日、FC2を作成する責任の所在をめぐって、Aの態度を強く非難する感情的な内容のメールを送信しているところ、Xには、Y社のGMとしてFC2を作成してフランス親会社の承認を得る責任があると認められることからすると、上記Aに対するメールにおける同人に対する非難は、合理的な理由のないものといわざるを得ない。したがって、上記メールにおけるXの態度は、感情的で自己抑制を欠いた態度と評価する他はない

どんな場合でもそうですが、資質・能力が欠けていることを示す証拠をどれだけ揃えられるかがカギです。

しっかり準備をしてから解雇をしないと厳しい戦いが待っています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介872 サービスマンという病い(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
サービスマンという病い

著者は、中国料理店Wakiya総括支配人の方です。

一流のサービスマンが日頃どのような点に着目しているのかがよくわかります。

言うまでもなくすべての仕事に応用可能な話が書かれています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・ではどうやって判断しているのかというと、私が思うに、これはやはりずっと続けてきた『観察と想像』の賜物なのではないでしょうか。・・・これは、もともと私が人の様子をよく見ている子どもだったことにも関係があるのかもしれません。周囲の人を観察する習慣は、仕事に関係なくあったようにも思います。」(101頁)

「観察と想像」はいかなる仕事においても極めて重要な能力です。

この能力がある人とない人では、仕事のしかたが天と地ほど異なります。

求められていることを先回りできる人

細かい点まで配慮が行き届く人

こういう人は、観察力と想像力に長けているので、だいたいどんな仕事をやってもうまくいきます。

みなさんの周りの「仕事ができる人」をよく観察して、真似をしてみましょう。

有期労働契約84 有期雇用契約の更新における年齢上限規制は有効か?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

本日からお仕事スタートです。

1日から毎日事務所で仕事しているのであまりスタートという感じはしませんが・・・。

今日は、一定の年齢に達した場合に有期労働契約を更新しない旨の上限条項が有効とされた判例を見てみましょう。

日本郵便(更新上限)事件(最高裁平成30年9月14日・労経速2361号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で、期間の定めのある労働契約を締結して郵便関連業務に従事していたXらが、Y社による雇止めは無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の地位の確認及び
雇止め後の賃金の支払等を求める事案である。

Y社は、平成19年10月1日、期間雇用社員就業規則を制定した。本件規則10条1項は、Y社が必要とし、期間雇用社員が希望する場合、有期労働契約を更新することがある旨定めており、同
条2項は、「会社の都合による特別な場合のほかは、満65歳に達した日以後における最初の雇用契約期間の満了の日が到来したときは、それ以後、雇用契約を更新しない。」と定めている。

【裁判所の判断】

上告棄却

【判例のポイント】

1 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、当該労働条件は、当該労働契約の内容になる(労働契約法7条)。
本件上限条項は、期間雇用社員が屋外業務等に従事しており、高齢の期間雇用社員について契約更新を重ねた場合に事故等が懸念されること等を考慮して定められたものであるところ、高齢の期間雇用社員について、屋外業務等に対する適性が加齢により逓減し得ることを前提に、その雇用管理の方法を定めることが不合理であるということはできず、Y社の事業規模等に照らしても、加齢による影響の有無や程度を労働者ごとに検討して有期労働契約の更新の可否を個別に判断するのではなく、一定の年齢に達した場合には契約を更新しない旨をあらかじめ就業規則に定めておくことには相応の合理性がある
そして、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律は、定年を定める場合には60歳を下回ることができないとした上で、65歳までの雇用を確保する措置を講ずべきことを事業主に義務付けている
が(8条、9条1項)、本件上限条項の内容は、同法に抵触するものではない。
なお、旧公社の非常勤職員について、関係法令や旧任用規程等には非常勤職員が一定の年齢に達した場合に以後の任用を行わない旨の定めはなく、満65歳を超えて郵便関連業務に従事していた非常勤職員が相当程度存在していたことがうかがわれるものの、これらの事情をもって、旧公社の非常勤職員が、旧公社に対し、満65歳を超えて任用される権利又は法的利益を有していたということはできない。
また、Y社が郵政民営化法に基づき旧公社の業務等を承継すること等に鑑み、Y社が、期間雇用社員の労働条件を定めるに当たり、旧公社当時における労働条件に配慮すべきであったとしても、Y社は、本件上限条項の適用開始を3年6か月猶予することにより、旧公社当時から引き続き郵便関連業務に従事する期間雇用社員に対して相応の配慮をしたものとみることができる
これらの事情に照らせば、本件上限条項は、Y社の期間雇用社員について、労働契約法7条にいう合理的な労働条件を定めるものであるということができる。

2 原審は、本件上限条項が、旧公社からY社に引き継がれた労働条件を労働者の不利益に変更したものであることを前提として、本件上限条項の合理性を検討している。
しかしながら、Y社は、郵政民営化法に基づき設立された株式会社であって、特殊法人である旧公社とは法的性格を異にしており、Y社の期間雇用社員が、国家公務員である旧公社の非常勤職員と法的地位を異にすることも明らかである。また、郵政民営化法167条は、旧公社の解散の際現に旧公社の職員である者について、別の辞令を発せられない限り、承継計画の定めるところに従い、承継会社のいずれかの職員となる旨定めているところ、旧公社の非常勤職員は、旧公社の解散する日の前日に旧公社を退職しており、同条の適用を受けることはない。そうである以上、旧公社の非常勤職員であった者がY社との間で有期労働契約を締結することにより、旧公社当時の労働条件がY社に引き継がれるということはできない
したがって、Y社が本件上限条項を定めたことにより旧公社当時の労働条件を変更したものということはできない

3 原審は、本件上限条項に基づく更新拒否の適否の問題は、解雇に関する法理の類推により本件各雇止めが無効になるか否かとは別の契約終了事由に関する問題として捉えるべきものであるとしている。
しかしながら、正社員が定年に達したことが無期労働契約の終了事由になるのとは異なり、Xらが本件各有期労働契約の期間満了時において満65歳に達していることは、本件各雇止めの理由にすぎず、本件各有期労働契約の独立の終了事由には当たらない。
以上によれば、XらとY社との間の各有期労働契約が実質的に無期労働契約と同視し得るとして、本件各雇止めが解雇に関する法理の類推によれば無効になるとしながら、本件上限条項によって根拠付けられた適法なものであるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。

特に結論については驚くものではありません。

上記判例のポイント1は押さえておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。