Monthly Archives: 1月 2019

本の紹介880 自分マーケティング(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
自分マーケティング―― 一点突破で「その他大勢」から抜け出す (祥伝社新書)

まずは自分が単なる「労働力」ではなく「商品」と捉えるところからマーケティングは始まります。

そして、自分の商品価値を高めるという意識を持ち、日々、努力を続ける。

それ以外に僕たち凡人が生き残る方法はありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

彼が幼い頃、父親に質問しました。『父さん、野球でヒットを打つにはどうしたらいいの?』すると父親は、こう答えます。『簡単なことだよ。人がいないところに打てばいいのさ』シンプルだけど真理を衝いた答えです。あなたが自分という商品を売り込む時も同じです。」(58頁)

わかりやすい例えですね。

仕事においては、まずは、自分の商品価値、特徴を正確に把握することが肝心です。

マーケティングも大切ですが、価値がないものを売ろうとしてもうまくいきません。

商品価値を高めることがすべてであり、王道です。

だからこそ、毎日毎日、こつこつ価値を高めるための努力を続けるのです。

もう答えは出ているのです。やることも決まっているのです。

あとはやるかやらないか。やり続けるか途中で投げ出すか。

それだけの話。

有期労働契約85 定年後再雇用について労使協定に定める基準を充足しないことを理由とする雇止め(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、定年後再雇用について労使協定に定める基準を充足しないことを理由とした雇止めに関する裁判例を見てみましょう。

エボニック・ジャパン事件(東京地裁平成30年6月12日・労経速2362号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の正社員であるXが、平成27年3月31日付けで60歳の定年により退職し、雇用期間を1年間とする有期雇用契約により再雇用された後、「定年退職後の再雇用制度対象者の基準に関する労使協定」所定の再雇用制度の対象となる物の基準を充足しないことを理由として、平成28年4月1日以降は同契約が更新されず、再雇用されなかったことについて、実際には同基準を充足していたことなどから、労働契約法19条2号により、同一の労働条件で同契約が更新されたとみなされること、平成27年分及び平成28年分の業績賞与の査定等に誤りがあることなどを主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本件雇止め以降の未払基本給(バックペイ)並びに前期業績賞与の未払分の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

【判例のポイント】

1 Y社においても、就業規則16条2項により、継続雇用制度としての定年退職後の再雇用制度が設けられ、平成24年改正法による改正前の高年法9条2項に沿って、継続雇用制度の対象者を限定するための本件労使協定が平成18年4月25日に締結されていた。少なくとも平成24年改正法の施行前については、Y社における60歳定年後の再雇用制度が単一のものであったことは明らかである。
そして、平成24年改正法の施行にあわせ、就業規則16条2項については、特別支給年金年齢到達前の再雇用契約について、本件再雇用基準の適用を制限する趣旨の改正がなされたものの、本件労使協定については、平成24年改正法の施行前後において変更されていないのであるから、本件労使協定は、上記改正後の就業規則16条2項の基準に達しない部分を除いて、特別支給年齢到達前の再雇用契約に対しても効力を有するものと解される(労働契約法12条、13条)。
以上によれば、Y社の正社員として勤務した後に平成27年3月31日に定年退職し、本件再雇用契約を締結したXについては、同契約が65歳まで継続すると期待することについて、就業規則16条2項及び本件労使協定の趣旨に基づく合理的な理由があるものと認められ、CGMも、本件労使協定1条について、本件再雇用基準に該当する限りにおいては必ず再雇用するという趣旨の規定であると述べている。そして、本件再雇用契約の終期である平成28年3月31日の時点において、Xは、本件人事考課基準を含む本件再雇用基準に含まれる全ての要素を充足していたから、本件雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とは認められないものといえ、労働契約法19条2号により、同一の労働条件で本件再雇用契約が更新されたものと認められる

2 高年法それ自体が私法的効力を有していないとしても、高年法の趣旨に沿って設けられた就業規則16条2項及ぶ本件労使協定が私法的効力を有することは明らかであり、これらの解釈に当たり高年法の趣旨が参照されることに支障があるとはいえない。また、労働契約法19条は適用対象となる有期雇用契約の類型等を特に限定しておらず、他の同種の従業員全員が有期雇用であるとか、定年後の再雇用であるといった理由により、その適用自体が否定されるものではないから、同②の指摘は失当である。

3 高年法9条1項は、高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保することを目的としているのであり、平成24年改正法は、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを廃止したうえで、同法の施行の際、同法による改正前の9条2項に基づく措置を実施している事業主のみを対象として本件経過措置を設けたに過ぎない。また、本件無期雇用契約の下でのXの基本給は月額83万3000円であったところ、本件再雇用契約の下でのXの基本給(月額50万円)は、その約6割に減額されていたものであるし、上記において説示したとおり、Xは、本件人事考課基準を充足していた。さらに、年収280万円という金額は、本件労使協定が一般的に定めた定年後再雇用における賃金の最低水準に過ぎないところ、かかる最低水準を上回る労働条件が本件再雇用契約において定められていたのであるから、労働基準法19条2号の要件を充足する以上は、本件再雇用契約の内容である労働条件と同一の労働条件で同契約が更新されるという効果が生じることは否定し得ないものである。

継続雇用制度の運用については、労働人口の減少、高齢化に伴い、ますます重要度が高まってきます。

適切な運用をしていかないと、訴訟リスクが高まりますのでご注意ください。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介879 余計なことはやめなさい!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
余計なことはやめなさい!: ガトーショコラだけで年商3億円を実現するシェフのスゴイやり方 (単行本)

この本で著者が言いたいことは、まさにタイトルそのまんまです。

余計なこと、無駄なことをやめるとうまくいくよ、ということです。

そのとおりです。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『余計なことをやめる』ためには、『何が余計か』を見極める必要があります。そのためにはまず、『余計じゃないこと』を特定する必要があります。余計じゃないこと。つまり、本質であり重要なこと。要は、あなたにとって、何が本質なのかを見つける必要があるのです。」(152~153頁)

言うは易しですが、やるしかありません。

あれもこれもやっている程、人生は長くないですし、いろんなことに手を出せば出すほどすべてが薄まってしまいます。

仕事を増やすこと、広げることは意外と楽なのです。

むしろいたずらに広げないことを意識することのほうが大切です。

意識しないとすぐに広がってしまうからです。

解雇291 教員の教育的指導という名の体罰は許されるか?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、教員の体罰等を理由とする懲戒免職処分取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

宮崎県・宮崎県教育委員会事件(福岡高裁宮崎支部平成30年6月29日・労判ジャーナル81号44頁)

【事案の概要】

本件は、宮崎県教育委員会が、本件高校の元教員Xに対し、Xが顧問を務めていた本件柔道部の生徒に対する体罰等を理由として、地方公務員法29条1項1号、3号により、懲戒処分として免職する旨の本件処分を行ったため、Xが本件処分は裁量権を逸脱、濫用したものであるなどと主張して、県教委に対し、本件処分の取消しを求めたところ、元判決がXの請求を棄却したため、Xが原判決を不服として本件控訴を提起した事案である。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Xが行った行為は、本件柔道部の複数の部員に対し、長期間にわたり、その都度、複数回、平手で叩いたり、足で蹴ったりする激しい暴行を加えたというものであり、Xのこれらの行為は、その態様や程度等に鑑みると、指導と呼べるようなものではなく、単に部員に対して恐怖心を植え付けるものであり、これらの行為が15歳から18歳までの女子に対して向けられたものであることをも併せ考えると、Xの上記体罰は、部員に対し、身体的苦痛のみならず、極めて深刻な精神的苦痛を与えるものであったといわざるを得ず、著しく悪質で、重大な結果を招くものであったというべきであり、Xは、教職員として、生徒を指導し教育する立場にありながら、その生徒に対して、長期間にわたり、繰り返し、極めて悪質で、かつ、重大な結果をもたらす行為に及んでいることなどからすると、県教委がXに対して懲戒処分のうち免職を選択して本件処分を行ったことは、社会観念上著しく妥当を欠くとはいえず、裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したものということはできない。

昔は公然と行われていたこのような「指導」は、今の時代はもはや指導とは評価されません。

自分が学生時代に受けた指導を、現在、指導者として行うことは許されません。

「自分たちのときはこのくらい当たり前だった」という認識を取り除くことが求められます。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介878 メモの魔力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

SHOWROOMの前田社長の本です。

タイトルのとおり、メモをとりまくることを薦めています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人生は『時間をどう使ったか』の結果でしかありません。ならば『時間をどう使うのか』というところで、自分の人生の勝算につながる選択をすべきです。すべては、これからのあなたの選択にかかっているし、その選択の前提となる人生の軸を自己分析によって得ていることは、大変な強みになります。」(194~195頁)

人生は、毎日、小さな選択の連続です。

これまでの小さな選択の集積が今の自分を作っています。

日々の選択の基準が、自分の人生の勝算につながっているかどうかがすべてです。

過去へは戻れません。

人生を変えたければ、たった今から日々の選択を変える以外に方法はありません。

セクハラ・パワハラ47 パワハラによる精神疾患発症と解雇制限の適用の判断方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、上司の暴行等に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

共立メンテナンス事件(東京地裁平成30年7月30日・労判ジャーナル81号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に勤務していた元従業員Xが、適応障害に罹患し、その後休職となり、休職期間満了により自動退職とされたところ、Xが、同適応障害は、上司等から継続的にパワーハラスメントを受け、かつ、上司からも勤務中に暴行を加えられたことによるものであり、業務上の傷病であるから労基法19条1項により同自動退職は無効であると主張して労働契約上の地位確認を求めるとともに、上司の上記暴行につき、上司、Y社に対して、連帯して200万円の損害賠償等の支払、さらに、前記の上司等による継続的なパワハラに加えて、Y社から一方的に年俸額を減額され、休職後には、Y社がXの標準報酬月額を不当に減額して届け出たことが原因で健康保険組合から受領する傷病手当金を不当に減額されたなどと主張して、Y社に対し、民法709条に基づき562万円の損害賠償等の支払を請求した事案である。

【裁判所の判断】

上司の暴行に基づく損害賠償請求は一部認容(20万円)

その余は請求棄却

【判例のポイント】

1 Xの頭部打撲、頸椎捻挫の程度は、経過観察7日間を要する程度に止まっている上、上司の行為態様としても、その暴行態様が強度なものであったとまでは言い難いことや、上司の暴行行為としては、本件事件時の1日のみに止まっていることからすると、かかる上司の暴行が、客観的にみて、それ単体で精神障害を発病するほどの強度の心理的負荷をもたらす程度のものと認めることには、躊躇を覚えざるを得ず、そして、Xが、東京臨海病院のみならず本件事件当日に受診した木場病院でも、医師に対し錯乱状態や不眠症といった症状を訴えていることからすると、Xに発病した適応障害が業務上の傷病に当たると認めることはできず、本件自動退職が労基法19条1項により効力を生じないとするXの主張は、その前提を欠くものであるから、Xは、休職期間満了によりY社を退職したと認められる。

2 Y社がXについての標準報酬月額の変更要件に関する解釈を誤ってその変更の届出を行った結果、Xの傷病手当金の支給額の減額がされたと認められるが、その後、Xからの健康保険被保険者資格確認請求手続を経て、Xの標準報酬月額は是正され、傷病手当金の追加支給がされて、その経済的損失は回復されているもので、Y社が故意に事実に反する内容の届出をしたものではないことに鑑みると、この点に関して、Xに慰謝料請求を認めるべき精神的損害が発生したと認めることはできないというべきである。

上記判例のポイント1のように、労基法19条1項の適用を巡って、精神疾患とその原因行為との間に相当因果関係が認められるかどうかが争われることがあります。

医療記録等をしっかり確認をしながら判断をする必要があります。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介877 考えたら負け(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
考えたら負け 今すぐ行動できる堀江貴文150の金言 (宝島社新書)

タイトル通り、堀江さんはいつも「行動せよ」と言い続け、自らも動きまくっています。

この本はこれまで本等の総まとめですが、とてもいい本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

僕には所有欲もほとんどない。・・・でも、実に多くの人が所有欲に囚われているように僕には思える。まず、いったん所有欲に縛られると、『あれがほしい』『これを手に入れたい』と所有物のために働くようになり、本当に自分がやりたいことに集中できなくなる。また、所有物が価値を判断する基準となるため、自分が持っていないものを持つ人を妬んだり、持っているものを失うことを恐れたりと、心がまったく休まることがない。それはやがて心を欲望まみれにし、パフォーマンスを確実に下げていくだろう。所有欲ほどムダなものはないのだ。」(123頁)

私も物欲、所有欲がほとんどありません。

何かを買いたいということがお金を稼ぐ動機にならないわけです。

物に対する執着がないので、こだわりというこだわりがありません。

そういうのは面倒くさいし、どうでもいいと思っているのです。

できるだけモノを持たずに身軽なまま生きていきたいです。

解雇290 教諭の未成年者との性交渉を理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、元教諭の未成年者との性交渉等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人日本体育大学事件(東京地裁平成30年6月19日・労判ジャーナル81号48頁)

【事案の概要】

本件は、平成25年4月1日、Y社が、期間1年の常勤講師として雇用し、その期間満了後の平成26年4月1日、期間の定めのない専任教諭として雇用した元教諭Xを、未成年者との性交渉をもつ行為等、Y社との間の信頼関係を破壊する事項があったとして平成27年3月31日限り、Xを解雇したため、Xが、Y社に対し、上記解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものであり、権利を濫用したものとして無効であると主張して、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、上記解雇の翌月である平成27年4月から本判決確定の日まで弁済期である毎月20日限り賃金1か月約38万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xには、Y社から雇用されるに先立ち、現職の教員であったのに、街中でたまたま見かけた約20歳年下の未成年の女性に声を掛け、その3日後には同女性と性交渉を持つに至ったという、Y社がその教員としての適性を疑ってしかるべき行為があり、その後、そのような事実がY社の知るところとなり、本事件は、報道機関により広く報道され、インターネット上の掲示板においては、本事件に関してXの実名も掲載されており、Xは、Y社に雇用されるに当たって提出した本件志望書中において、Y社がXの採否を判断するに当たり関心を持ってしかるべきW高校の退職事由につき、解雇されたとの事実を隠したのみならず、自発的な辞職であったと積極的な偽りを故意に記載し、その後の別件訴訟の結果等について、真実に反する自己に有利な内容虚偽の説明をしたものであり、Y社はこれらの事情を踏まえてXを解雇したものであるから、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠くものとはいえず、社会通念上相当であると認められないものともいえないのであって、権利を濫用したものとして無効であると解することはできない。

特に異論のない結果ではないでしょうか。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介876 新世界(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
新世界

キングコング西野さんの本です。

お金と信用についての西野さんの考え方が書かれています。

とても参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

”貯金時代”は、お金を貯めれば安心が得られた。しかし、貯信時代においては、『貯金』は機会損失だ。『お金を銀行に何年も寝かせておくぐらいなら、そのお金を使って一人でも多くの人を笑顔にして、信用を稼いでおいた方がいい』という流れになる。」(108頁)

真実ですが、これを読んで本当にこのとおり実行する人は全体の0.1%もいないでしょう。

どれだけ本を読んでも人生が変わらないのは、行動に移さないからです。

本を読むのは、人生を変える手段であって、単なる仕入れにすぎません。

仕入れは、売れてはじめて、仕入れた意味があるのです。

貯金は機会損失だという意味がわかると、お金の使い方が変わってきます。

セクハラ・パワハラ46 パワハラ発言の客観的証拠がない場合の裁判所の判断(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、パワハラ及び違法な雇止めに基づく損害賠償等請求に関する裁判例を見てみましょう。

セイハネットワーク事件(大阪地裁平成30年7月6日・労判ジャーナル81号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、上司から叱責等のパワーハラスメントを受け、これによって生じた欠勤を理由にY社から違法な雇止めをされたとして、Y社及び上司に対し、不法行為又は使用者責任に基づく慰謝料500万円の損害賠償等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、上司が、Xに対し、長年にわたり、「風邪をひいてはいけない」、「欠勤3回目はクビやで」、「仕事があるのはありがたいんやで」などと叱責し続けた旨主張するが、Xの上記供述を裏付けるに足りる的確な証拠はないこと、Xは、上司が、平成25年4月以降、変則的なスケジュールを組んでXに休養を与えなかった旨主張するが、同月以降のXの休日や具体的な勤務日(シフト)の決定に上司が関与したことを認めるに足りる証拠はないこと、上司は、Xに対し、平成25年4月以降の勤務形態について、Xの健康状態に配慮して、日曜日を含む週休2日のフルタイムBを提示しているのであり、あえてXについて変則的なスケジュールを組んだり、組むよう指示したりする理由はないことに鑑みれば、Xの上記主張は理由がないというほかないから、Xに対して、上司によるパワハラがあったとは認められない。

2 Xは、多数回にわたり欠勤しただけでなく、事前に連絡することなく欠勤(無断欠勤)したことが複数回あり、事前に連絡できなかった合理的な理由も明らかではなく、Xが主張するように、何らかのストレスが原因で欠勤する場合であっても、事前に連絡することすらできないという事態は通常想定し難いのであり、無断欠勤に対してY社から繰り返し注意を受けていたにもかかわらず、Xが平成25年10月に無断欠勤を繰り返したことに照らせば、本件雇止めが客観的に合理性を欠くとか、社会的に相当性を欠くと評価することはできず、ましてや本件雇止めに不法行為を校正するほどの違法性があるということはできない。

ハラスメントの客観的裏づけがない場合、上記判例のポイント1のような認定になってしまいます。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。