同一労働同一賃金13 有給の病気休暇・休職制度に関する同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。
37日目の栗坊トマト。成長期真っただ中です!

今日は、有給の病気休暇及び休職制度に関する相違が労働契約法20条に違反しないとされた裁判例を見ていきましょう。

日本郵便(休職)事件(東京高裁平成30年10月25日・労経速2386号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の期間雇用社員として雇用されていたXが、Y社が平成27年9月30日付けでしたXに対する雇止めが違法かつ無効であるとして、Y社に対し、雇用契約に基づき、①雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②平成27年10月から本判決確定の日までの賃金として毎月24日限り26万2565円+遅延損害金の支払、③平成28年から本判決確定の日までの臨時手当として毎年6月30日及び12月10日限り各9万0909円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は、Xの請求をいずれも棄却し、Xが控訴した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 病気休暇は、労働者の健康保持のため、私傷病によって勤務することができない場合に療養に専念させるための制度であり、正社員の病気休暇に関し、これを有給のものとしている趣旨は、正社員として継続して就労をしてきたことに対する評価の観点、今後も長期にわたって就労を続けることによる貢献を期待し、有為な人材の確保、定着を図るという観点、正社員の生活保障を図るという観点によるものと解することができ、一般職の職務の内容等について、前記において説示したところに照らしても、一定の合理的な理由があるものと認められる。これに対し、時給制契約社員については、期間を6か月以内と定めて雇用し、長期間継続した雇用が当然に想定されるものではなく、上記の継続して就労をしてきたことに対する評価の観点、有為な人材の確保、定着を図るという観点が直ちに当てはまるものとはいえない。また、社員の生活保障を図るという観点について、上記認定の事情から判断することは難しいものの、Y社においては、期間雇用社員の私傷病による欠務について、私傷病による欠務の届出があり、かつ診断書が提出された場合には、承認欠勤として処理されており、欠勤ではあるものの無断欠勤ではなく、問責の対象としない取扱いがされており、Xについても、これに従って手続がされている。そして、このような場合に、社会保険に加入している期間雇用社員については、一定の要件の下で傷病手当金を受給することができるため、著しい欠務状況でない限り、事実上は、ある程度の金銭的補てんのある療養が相当な期間にわたって可能な状態にあるという事情があるものと認められる。
以上によれば、Y社において、正社員について90日又は180日までの有給の病気休暇を付与し、時給制制約社員については10日の無休の病気休暇を認めるのみであることについて、その相違が、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして、不合理であると評価することができるとまではいえない

2 さらに、休職制度の有無についても、正社員に関しては、前記に説示したところと同様の理由により、有為な人材の確保、定着を図るという観点から制度を設けているものであり、合理性を有するものと解されるところ、時給制契約社員については、6か月の契約期間を定めて雇用され、長期間継続した雇用が当然に想定されるものではないのであり、休職制度を設けないことについては、不合理なこととはいえない
したがって、この点に関しても、その相違は、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして、不合理であると評価することができるとまではいえないというべきである。

病気休暇と休職制度に関する判断です。

この分野は判断が難しいので、顧問弁護士に相談しながら慎重に対応しましょう。