不当労働行為235 関連会社の従業員との団交と労組法上の使用者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、関連会社である申立外Fおよび同Gの従業員と労使関係になること等を理由に団交に応じない法人の対応が不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

日本貨物検数協会(転籍)事件(大阪府労委平成31年2月12日・労判1213号87頁)

【事案の概要】

本件は、関連会社である申立外Fおよび同Gの従業員と労使関係になること等を理由に団交に応じない法人の対応が不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 確かに、指定事業体から法人に採用され得る職員には、本件組合員も含まれているとみられるが、特定多数存する指定事業体の従業員のうちから、特に本件組合員を指名して無条件転籍させることを確認したとまで認めることは困難である。
あくまで、28.3.23確認書は、指定事業体から毎年度約120名の職員採用について努力することが確認されているにすぎず、同確認書により、法人が本件組合員と近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存するものになったとはいい難い。

2 以上のとおりであるから、本件団交申入れ事項に関し、法人が本件組合員の労働組合法上の使用者に当たるとはいえず、その余について判断するまでもなく、組合の申立ては棄却する。

本件のように、組合員のみならず非組合員も対象とされている場合には、不当労働行為と判断される可能性は低くなります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。