Daily Archives: 2022年6月17日

従業員に対する損害賠償請求11 自損事故の損害に基づく元従業員に対する損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、自損事故の損害に基づく元従業員に対する損害賠償請求に関する裁判例を見ていきましょう。

阪本商会事件(大阪地裁令和3年11月24日・労判ジャーナル121号36頁)

【事案の概要】

甲事件は、Xを雇用していたY社が、Xに対し、XがY社の所有する普通貨物自動車を運転中、自損事故を起こして本件車両を損傷させ、Y社に損害を発生させたと主張して、不法行為に基づき、損害金32万円+遅延損害金の支払を求める事案である。
乙事件は、Xが、Y社に対し、①XはY社から平成30年4月16日から同年5月15日までの賃金の支払を受けていないと主張して、労働契約に基づき、上記未払賃金27万3310円+遅延損害金の支払を求めるとともに、②Y社はXの賃金から月額500円ずつ積立金の名目で控除しながら、退職後も上記金員を返還しないと主張して、不当利得に基づき、利得金合計2万6500円+遅延損害金の支払を求める事案である。

原審は、甲事件については、Y社のXに対する請求を、10万円+遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却し、乙事件については、XのY社に対する前記①の請求を、27万3310円+遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却し、XのY社に対する前記②の請求を棄却したところ、Y社が敗訴部分を不服として控訴した。
なお、原審は、乙事件におけるXのY社に対する前記②の請求を棄却したが、これに対してXは控訴も附帯控訴もしていないため、上記請求については当審の審理・判断の対象ではない。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、本件事故により32万円の損害を被っており、本件事故はXによる自損事故であり、その原因は専ら被控訴人の過失にあることが認められる。
他方、Xは、Y社代表者の運転手を勤めながら、日常的にY社代表者の命じる様々な雑用をこなし、これを通じてY社の業務に従事してY社に貢献していたものであり、かかる事情は、損害の公平な分担の見地から考慮されるべきである。
そうすると、本件の事実関係の下においては、Y社が本件事故により被った損害のうちXに対して賠償を請求し得る範囲は、信義則上10万円を限度とするのが相当であり、Y社がXに対してこれを超える部分の請求をすることは認められないというべきである。

32万円の損害に対して10万円の限定で請求可能と認定されています。

感覚的にはこの程度だろうという相場観を理解しておきましょう。

日頃から顧問弁護士に相談をすることを習慣化しましょう。